この前の桂花には驚いたわね。そう、感じながら私は中庭にて思いにふけていた。
正直、今でも驚きを隠せない。あの桂花が周りを気にせず一刀に甘えるだなんて。
何時かは一刀に口説かれ、関係を築く事はわかっていた。
しかし、アレ程とは思わなかった。全く恋は盲目とよく言ったモノね。
あら?噂をすれば二人が居るわね。
「それじゃあ、一刀。私は風に呼ばれてるから行くね」
「ん、了解。仕事頑張ってな」
「うん!」
真っ昼間から甘い雰囲気だ事、頭に来るわね。
前言撤回して桂花にお仕置きしちゃおうかしら。
「あれ?華琳じゃないか、休憩中?」
…全く暢気な男ね。本気で画策してたのに貴方の気の抜けた顔と声で、
毒気が抜けちゃったじゃない。
…そうだわ。この前聞きはぐった桂花の件について、
今ここで洗いざらい教えて貰いましょうか。
「ええ、そうよ。ねぇ一刀。私は見ての通り手持ち無沙汰なのよ。
話し相手になりなさい」
「………ああ、別に構わないよ」
そう言うと一刀は私の隣に腰をかける。今の間は何なのよ、
まぁ、いいわ。さて、何から聞こうかしら。
と、その前に何時で取り出せる様に絶を準備しておきましょう。
ふふ、一刀。事と次第によっては私の絶が火を噴く可能性があるから、
覚悟しておきなさい。
「風が気持ちいいな。…で、俺に何か聞きたい事があるんだろ、華琳」
「えっ!?」
私は驚いて思わず声を洩らしてしまい、一刀は首を傾げ私を窺っていた。
良く見ると一刀の口の端、口角が吊り上っていて次第に笑みと声を溢した。
…何よ、その顔はそんなにも驚いたのが可笑しいのかしら。
私は眉間に力を入れながら絶を取り出そうと手を伸ばす。しかし一刀が、
「ゴメンゴメン。華琳があまりにも可愛かったから、つい」
何て一言を私に伝える。この言葉に私は更なる動揺を晒していまい、
尚且つ、顔は間違い無く紅く染まっているだろう。
「~~っつ!?そ、そんな事より、如何して私の考えている事がわかったのよ!!」
私は話を元に戻そうと疑問を投げつける。
「…わかるさ。華琳の考えている事くらい、顔を見れば瞬時にわかる」
こういう時だけ一刀は以上に勘が鋭い。何時もは超が付く程、
鈍感なくせに、こういう時だけ……。
私は一刀に見られたくないが為、顔を俯かせる。
だって、今の私は覇王ではなく、一人の少女の顔になっているから。
「華琳?………」
頭の上から聴こえている声、私は熱が冷める迄、この状態を保つ事にした。
……もう、大丈夫。私は意を決して顔を上げるが、
ここに居た筈の一刀の姿がなかった。私は座っていた場所から勢い良く立ち、
一刀を探そうとした瞬間、急に後ろから抱きしめられた。
こんな事をやる奴なんて一人しか居ない。
「…どうして抱きしめるのかしら?」
私は極めて冷静に一刀に問う。けれど。それとは逆に胸は、
異常な程、高鳴っており非常に煩わしい。
「んー、なんかさ。今日の華琳は元気が無い様に見えたからさ」
「私が?」
「うん、だから元気が出る様にと思って」
一刀の言葉に疑問を抱き思考を始める。別段、普段通りに接しているつもりだ。
しかし、指摘されているのだから無意識に、そういう素振りを見せていたのかも知れない。
私は原因を探るべく、一刀を目視した所から記憶を呼び覚ます。
一刀に気付いた時は何時もと同じだった筈。
次に一刀が桂花と会話しているのを見て……もしかして。
原因に辿り着いた私は俄かにも信じたくなかった。
だって、その…わ、私が……嫉妬している…から。
「…もしかして、嫌だった?」
「……嫌、な訳ないじゃない」
「そっか、良かった」
一刀、貴方、変わったわね。何だか大人びた雰囲気を醸し出してるし、
女の子の扱いが上手くなった、そう印象付けられる。
全く私だけ、こんなにもドギマギしているなんて馬鹿みたいじゃない。
これも、桂花の影響かしら。
……まだ、顔の熱が冷めないわよ。
「……………」
「……………」
暫くの間、抱きしめられた状態が続き時が過ぎていった。
その間、私は徐々に慣れが生じ今では心地良さを感じる程の余裕がある。
この最中、私は私の中で生まれた感情、嫉妬と向き合い始めた。
どうやら、自分では気付かない程に心を一刀に支配されていたようだ。
まさか、こんな事になるなんてね。私は思わず嘆息するが、ふと、ある事に勘付いた。
成る程、だから桂花は一刀に惹かれたのね。
一刀は見えない力を持っていて、その力、魔法を掛けられると、
自然と一刀の方に目が向き、心に入り込む。
そして、自覚してからは時すでに遅く、心を奪われる。
全く厄介なモノをお互いに貰ったわね、桂花。私は苦笑しながら目を瞑る。
「…もう大丈夫だね、何時も通りの華琳だ」
何がもう大丈夫だねよ、全然だわ。
て言うか後ろから顔を覗くのは反則よ。
「私の許可なく離れ様とするだなんていい度胸だわ、一刀。
貴方は私のモノだから、私がいいと言う迄この状態を保つの、いいわね」
「……りょーかい。そう言えば華琳。俺に聞きたい事があるんじゃなかったっけ?」
「ああ、それ。それはね」
謎を解明したし、今更桂花について聞くことなんて、
何一つないけど、これだけは伝えておきましょうか。
「一刀。桂花はとても純粋で魅力的な女の子よ。
だから、桂花も幸せにしてあげなさい」
「それは、勿論。だけどね、俺は華琳も幸せにしてみせるさ」
………ばか。本当にばかなんだから。
私は抱きしめられている一刀の腕に手を添える。
そして、今だけ、この瞬間だけは、少女で居たいと覇王らしからぬ事を思っていた。
「……行かなくていいのですかー?」
「…一刀は皆に必要とされているわ。だから今は行かない。
それに、ここ最近、私が一刀を独占していた訳だししょうがないわね。
でも、一番の座は例え華琳様と言えども譲らないわ」
「おやおや、そのデレ具合、随分とお兄さんに調教されたようですね。
この雌猫が~」
「う、煩いわね!!そういう貴女はどうなのよ!!」
「私?私ですか……ぐー」
「寝るな!!!!」
「おおぅ。…そうですねー。虎視眈々と狙っている
という事にしておきましょうかねー」
「全く貴女は素直じゃないわね」
「それを桂花ちゃんに言われたらお終いですねー」
「どういう意味よ!!」
「そういう意味なのですー。では、予算編成の方を再開しましょうかー」
「あ!?コラ!!待ちなさいよ、風!!待ちなさいってばーーーーーっ!!!!」
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こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
食事会での華琳様が意地悪との事だったので、
何故そういう心情になってしまったのかを書いてみました。
タイトル通り華琳様だって………なのです♪
最後に、稚拙な文章、口調がおかしい所があるかもしれません。
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