No.654083

十間君と向島さん~電車で会いましょう~

たけ坊さん

前に投稿しました二次創作の第二弾です!
こちらもよしづか先生に描いて頂いた2人のイラストから妄想させて
いただきました…!2人が可愛すぎて辛いです…。
そして、何と描いて頂いた絵を一緒に載せても良いと許可まで頂き、
嬉しいのと感謝の思いでいっぱいです…!

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2014-01-12 21:22:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:460   閲覧ユーザー数:456

十間君と向島さん

~その後もまた会いましょう~

 

●電車で会いましょう編

 

もうすぐで、向島さんが乗ってくる停留所だ。

車内のアナウンスが彼がいるその場所に近づいてくると手中にある本の内容も中々入ってこない。

会って、最初何を言えばいいのだろう。

どんな話をしよう。あ、まず挨拶だよな…

…それ以前に俺に気づいてくれるのだろうか?

 

いろんな不安と期待がグルグル回ってきて、

メガネをはずして眉間を揉みこんでいた。

 

「ふぅ…」

 

ー次は○○~ー

 

「…!」

 

次だ!トクトクと心臓が次第に早くなるのを感じ、メガネをかけなおすと

静かに深呼吸をした。

 

プシュー…

 

電車が止まる。数人の客が降り、待っていただろう客が乗る。

中年のサラリーマン、ケータイから目を離さない女子高生、

和気あいあいと話す男子高生たち、小さな子供を連れた女性、老婆…

 

(あれ?)

 

人が途切れたが、乗ってくるはずの向島さんの姿が見当たらない。

 

『では、発ーー』

 

「…ま、」

「待って!運転手さん、待ってください!」

 

運転手側の扉が今閉じようとした時だった、

そのドアの前に立つ学生を一瞥すれば運転手はふぅとため息をつく、

 

『はいはい、開けるからちょっと下がってねー』

「すみません!」

『はい、今日は特別ね。』

「ありがとうございます!」

 

車内の人に軽くお辞儀をしながら歩いてくる彼をみていると

バチリと目が合った。少し目が見開いたかと思えば罰が悪そうに笑う。

 

「はははー、やっちゃった。」

 

頭をガシガシとかきながら、恥ずかしそうに笑う彼を可愛いと思う。

男性に可愛いというのは失礼だと思えど、本当にそう思ってしまうので

口にはあまり出さないようにだけ心がけている。

最初言ってしまった時は、食べていたたい焼きを落とすほど驚かせちゃったからな…。

 

「おはようございます。」

「おはよー。ね、隣いい?」

「どうぞ。」

「へへ、ありがと。」

 

トスンと座ると徐にリュックを開け「えと1限は…」と、時間割の確認をしているようだ。

ふと彼をみてあることに気付く。

 

「…寝坊ですか?」

「…へ!?あ、今日!?あーうん、実はそう。目覚ましが鳴らなくてさ…そしたら猫が時計倒してて!」

「猫…」

「もー起きて時間見た時はびっくりしたよ!…ん?え?」

「だから、」

「あ、あの…」

「寝癖、付いてますよ。」

「え?わ、わあっ!まじで?!」

 

思わずのびた手は向島さんの後頭部に回っていて、寝癖をとかすように

なでていた。パッと離せば自分でワシワシと触る向島さん。

恥ずかしいのか、下を向いている。

 

「今日はこんなんばっかだな…恥ずかしいな。」

「たまにはいいんじゃないですか?」

「そ、そうかな!」

 

優しいな十間くんは、と彼はそう言うと次に出たのは欠伸だった。

 

「はは…じゃあその言葉に甘えて…ちょっと寝ようかな。」

「いいですよ、起こしますから。」

「ありがと。んじゃ…」

「…」

「…スー…」

 

おやすみ3秒。こちらに寄りかかった彼は既に夢の中。

ジワジワと体温が伝わってくるけれど、嫌に思うことは無くて。

窓の外は夏の景色をそこに映していた。

 

手元にある本をそっと開けば、

先ほどとは違って穏やかな心地で文字が入り込んできた。

 

 

 

伝わる温度が心地よくて。

触った部分が少し熱くて。

読んでいる物語の主人公に自分を重ねて

これからも貴女といられたらと願う。

 

 

 

「すみません!」

「まさか十間君も寝ちゃうなんてねーははは!!」

 

 

終わり

 

 

 

 

トンビコートに萌える今日この頃…


 
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