人 物
西歩惟(あい)(16)高校生
山本耕介(38)歩惟の叔父
西京子(40)歩惟の母
土田香織(28)主婦
土田大晴(6)香織の長男
○電窓
晴天。遠ざかる日の丸の旗を掲げた家。
○電車・中
50名ほどの乗客がいる。
並んで座る西歩惟(16)と西京子(40)。
歩惟、京子の裾を引っ張って指をさし。
歩惟「お母さん、あれ」
扉付近。
手すりにつかまり山本耕介(38)がいる。
片手に丸めた転職誌。
京子「や、やだ、耕介!」
立ち上がる京子。
ハッと見る耕介。京子の姿を認めて、
そろそろと逃げようとする。
京子、山本の腕を掴んで。
京子「あんた、まさか! また会社クビになっ
たんじゃ……」
山本「いやその、えへへ」
京子「えへへ、じゃない!」
パコッと、山本の頭をはたく京子。
京子「っとに。気い小さいのに、どうしてこ
うケンカッぱやいのかしら?」
山本、京子のしぐさと口調をまね。
山本「ケンカッぱやいのかしら?」
歩惟「巧(うま)っ!」
京子「ふざけんじゃない」
山本「はい」
京子「今からちゃんとリクルート行く! あん
た1人で行けんの?」
山本苦笑。頭をかきつつ。
山本「姉さんついて来て、て駄目?」
京子「私は買い物が……て、そうだ! 歩惟、
あんた行きなさい。休みだし、暇でしょ?」
歩惟「えーっ!」
○電車・扉
駅に止まる。
扉が開いて降りる京子。
○電車・中
並んで座る歩惟と山本。
ふてくされた表情の歩惟。
貧乏ゆすりをしている山本。
歩惟、山本の様子をそろそろと盗み見る。
大きくため息。
土田大晴(6)の泣き声がきこえてくる。
ふと顔をあげる歩惟。
目の前で大晴が泣いている。
抱き上げてあやす土田香織(28)。
泣きやまない大晴。さらに激しくなる泣
き声。
車掌の声「次は、平塚。平塚あー」
山本、車掌の声をまねて。
山本「次は、平塚。平塚あー」
ニコニコと立って、大晴に顔を近づける。
大晴、泣きやんで。
大晴「今の、おじちゃん?」
山本「そうだよ。おじちゃん、物まね巧いんだ」
咳払いの後、江戸川コナンの口調で。
山本「僕、江戸川コナンだよ」
大晴「わっ、コナン君だあ!」
香織「おじちゃん、巧いねえ」
談笑する大晴、香織、山本。
座ったまま、山本を穏やかに眺める歩惟の顔。
○電車・扉
駅で止まっている電車。
空いた扉から、一礼して降りていく香織と大晴。
○電車・中
一礼して山本、歩惟の隣に座る。
扉が閉まる音。
ガタンッと動き出す電車。
歩惟、山本を見て。
歩惟「決まるといいね、会社」
山本「うん」
歩惟、笑って車窓に目を向ける。
○車窓
満開の桜並木が続いている。
ナレーション「J●東海」
END
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懐かしのCM「J●東海」風シナリオです。
まずはほのぼの系。