俺の朝は、一杯のコーヒーから始まる。
…………っていうのをやって見たかった…………
「ふぅ」
俺は、お茶を一杯飲みながら、一息つく。
起きたばかりの体にはちょうど良い温かさと苦味だった。
俺は、お茶を飲み終えると、立ち上がり、キッチンに向かう。
「さぁ、今日の朝飯でも作るか」
キッチンに向かい、そんなことを言って見る。
「はぁ、何やってんだ俺……」
と、なぜか自分らしからぬことをやってしまったことにため息をつきながら、冷蔵庫を開け、10秒で食べれるあれを取り出す。
「ふぅ」
食べ終え、俺は、ソファに腰掛ける。
「あ、カーテン開けなきゃ」
俺は、カーテンを開けていないことに気づき、立ち上がってカーテンを開けた。
ところで、余談なんだが、俺の家は曇りガラスである。
曇りガラスは、透けていない代わりに、少しだけ向こう側に何かあるのが分かる。
で、
「ん?」
窓を開けようとした俺は、曇りガラス越しに何やら不穏なものを見つける。
それは、なにやらうごめいていて、しかもカチャカチャと音を立てていて、曇りガラス越しだが、絶対に怪しいやつだということが分かった。
「おい、何をやってるんだ?」
俺は、窓を開け放ち、なにやらうごめていたものに質問をぶつける。
そして、そこにいたのは、
「えっ?!
な、なんですか?」
そこには、何やら武偵高校の制服を着た女子がいた。
武偵高校…………それは近年増加する犯罪に対して作られた高校であり、そこに在籍する生徒は有償であらゆる事件を解決する武装探偵、略して武偵を育成する学校なのである。
まぁ、要するに軍隊だな、ほとんど。
で、見たかんじ小さく、中学生みたいに見えるから、本当に武偵高のやつなのかな?と思ったけど、今はそんなこと関係ない。
「おい、ここどこだか知ってるか?」
俺は、少し怒った感じの声を出しながら、その女子に質問する。
「えーと、学生寮……です」
少し言いずらそうにしていたが、その女子は言った。
「だけど、今大事なのはそういうことじゃない。
ここは、"男子"寮だ」
「は、はい」
その女子は申し訳なさそうに縮こまる。
「まぁ、それだけだったらいい」
俺は、その様子から、あ、武偵高特有の変人じゃないな、と判断したので、話を続けた。
「なんでこんな時間にお前は、よりにもよって"駐輪場"にいる?」
そう、今は5時ジャスト。
普通の女の子、いや、普通の武偵の女の子でさえ、こんな時間によりにもよって"男子"寮にいるはずがない。
しかもだ、俺の部屋の窓の前は、ちょうど寮の駐輪場なのだ。
すると、その女子は、理由を話すのかと思いきや、
「じ、じゃあお兄さんはなんでこんな時間から起きてるの?」
と聞かれた。
「はぁ、なんで質問に質問で聞き返すのか知らないけど」
俺はため息をつきながらも、その質問に答える。
「そりゃあ、俺は"大家"さんだからだよ」
「うん、知ってる♪」
そしてその女子は逃げるようにスタコラサッサとその場を去って行く。
「……………………」
取り残された俺は、何とも言えないこの状況にため息をつきたかったが、とりあえず窓を閉めた。
「はぁ」
あ、と俺はため息をついたことに苦笑いを浮かべながら、入れ直したお茶を啜った。
武偵高は、今日が始業式のはずだったが、今日のニュースに『武偵高の少年、武偵殺しに狙われる!?』というニュースが印象に残った。
そんな日の翌日、俺はとある少年の部屋の前に立つ。
インターホンを数回ならし、ドアの向こうからバタバタと音がすると思うと、しばらくしてドアが開いた。
「あ、なんです…………大家さん…………」
とその少年……遠山金次は、俺の姿をみるなり思いっきり嫌な顔をした。
「コラ、そんな言い方があるか」
俺は、遠山の頭を軽く叩きながら言う。
「で、今日は何のようですか?」
遠山は明らかに「なんか隠してます」という顔をしながら俺に聞く。
「はぁ、知っての通り、てめぇのところの新たな入居希望者の訪問だよ」
「な、なんでそのことを…………」
「苦情があった」
俺はさらっと言い、家に上がろうとする。
「いや、あの、その、なんていうか……「キンジ、どうしたの?」げっ…………」
遠山は、俺が入るのを拒否したが、その言い訳を始めようとした時になにやら男子らしからぬ声が聞こえて来た。
声の主を見るとそこにいたのは、
「女子か…………」
「いや、その…………」
俺はそこにいる少女……昨日の女子から胸をとって(先日の少女はでかかった)、髪の毛をピンク色にした感じを見て、少し驚いたあと、
「まぁ、見逃す気はないが、対応策がある、家に入っていいか?」
「あ、はい」
俺は、遠山の無駄にでかい部屋のソファに体を預けると、
「ねぇ、キンジ、あいつは?」
「あぁ、あの人はな、ここの寮の大家さんだよ」
「つまりこの寮の管理人ってこと?」
「まあ、そんなもんだ」
俺は、目の前で堂々とコソコソ話をしている遠山たちの話に割り込み、本題に移る。
「それで、今回俺が来たのはだな」
「やっぱり、"ルール違反"のことっすか」
「そうだ」
「?」
やっぱり、流石にこの寮に住んでいるせいか、ルールのことについては分かっていたらしいが、当の本人は、分からないというように首を傾げた。
「まぁ、そこのお嬢ちゃんも「お嬢ちゃんじゃないわよ!!」ははっ、分かったよ」
俺は笑いながらも話を続ける。
「ここはな、なんかこの寮には、なんか知らないが昔から"女人を連れ込む場合は大家に申請をすべし"っていうルールがあるんだ」
と、俺はルール違反のことについて話す。
「なによそれ、女子寮じゃあるまいし」
「まぁ、そうだよな、俺も最初思った。
で、俺もあまり乗り気じゃなかったんだが、もしこのルールをなくした場合、かなり苦情の電話がくるんだ」
「?」
実際にルールをなくしたことはないが、前に無断で女連れ込んだやつがいて、その時にいろんな男子から「何やらリア充の気配がするので、駆逐してください」という電話が二桁以上きた。
まぁ、そいつは駆逐したがな☆
で、分かったことが、ここの寮の壁が薄くて、イチャイチャすればすぐにバレる。
で、ここはルールのせいか非モテの人間たちの巣窟となっていた。
しかも、自分で言うのもなんだが、ここは立地に対して家賃が安い。
ってことで、まぁ、そうなった。
「まぁ、色々あるんだよ……」
と、遠い目をしていると、
「まぁ、分かったわよ、仕方が無いわね」
と、何故か口調"だけ"上から目線で言われた。
「で、今回の事はどうするんですか?」
遠山は、少し震えながら俺に聞いてくる。
こいつは俺が実際に駆逐している様を見たんだったな。
「いや、一番よければ、お…………」
と、俺はまたもお嬢ちゃんと呼びそうになってしまったので、少女の方を向くと、
「アリアよ…………」
と、少女はむすっとしながらいった。
「アリアちゃん「ちゃんなんてつけないで!!」…………はいはい、アリアが出て行ってもらうって言うのが一番の手なんだが」
「冗談じゃない!!
キンジは私の奴隷なのよ!!
そ、それにまだこいつの調教が終わってないし!!」
俺の提案に対してアリアは即答で断った。
「い、いやアリア!!なんでそんな事…………」
と、キンジは今のセリフにあたふたしている。
俺は、遠山を見て「お前の趣味か?」と目で聞いてみると、首をちぎれんばかりに横に振った。
はぁ、武偵高お得意の変人か…………と俺はため息をつきそうになったが、
「まぁいい、見たかんじ折れなさそうな性格に見えるし、お前らはそーゆー関係にならないと思うから、とりあえずお前に入寮試験受けさせてやる」
と、俺は立ち上がりながら言うと、遠山は理解できなかったのか、ポカーンとしている。
「何ポカーンとしてるんだ、お前らまだ寝巻きだろ、早く着替えていくぞ」
今の時間はだいたい7時ちょっとすぎ。
そんな時間に学生は起きているわけではなく、目の前の二人は寝巻き姿だった。
「?」
と、"神崎"はどこに行くのかが分からなかったのか、まだぼけっとしていたので、
「これから行くのは、
武偵高だ」
そう言って俺は部屋を出て行く。
「はぁ」
俺はやっと気を休めることができたので、息を吐く。
「なーんでこんなことやってんだろうな〜」
まるで他人事のように言って見たのだが、過ぎてしまった事はどうにもできない。
カチャ
俺は徐にケータイを開き、一通のメールを見る。
送り主のところには『教務科』と書かれていて、本文には、
『今回の任務
期間 一ヶ月以内
任務内容
神崎・H・アリアの実力を手合わせをして、レポートにし提出(なお、本人にばれないように)。
神崎の特徴
・……………………
・……………………
:
:
:
:
:
』
「絶対おかしいよな、こういうの」
自分が二人を説得する時にものすごい変な事違和感を感じながら、これからの事を考える。
でも、教務科からの依頼だから、あいつ、訳ありなんだよなー、きっと。
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緋弾のアリアの遠山金次が住んでいる寮に大家さんがいて、その人がチートだったら?みたいな妄想の産物。