No.653399

【真・恋姫†無双】愛紗との日常(後編)

南無さんさん

こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
後編です。実はこのお話、前々から考えていた物なのです。
萌将伝の不遇っぷりを払拭できればなと思っています。
最後に、稚拙な文章、口調がおかしい所があるかもしれません。
それでも、暇な時間に読んで頂けたら嬉しいです。

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2014-01-10 14:11:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5763   閲覧ユーザー数:4861

いつの間にか他の民達も集い各々感謝を述べられた俺達。

 

しかし、その中の、とある老人が発した言葉に俺、

 

特に愛紗が酷く動揺する事になる。

 

 

「ありがとうなぁ、御使い様、関羽様」

 

「気にしないでよ、爺ちゃん。さっきから言ってるけど

 当然の事をした迄だから」

 

「そうです。それに私達も日頃からお世話になっております故、

 お互い様ですよ」

 

「ご謙遜召されますな、これも御二人が仁愛なる精神で、

 我々を気に掛けお守り下さるから、こうして感謝を述べているのです。

 …所で関羽様」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「御使い様との子は。まだ宿りませんかな?

 儂も老い先短い身。目の黒いうちにお二人の子を拝見したいのですが」

 

「なっ!?なーーーーーーーーーっ!!!!」

 

 

予期せぬ質問に素っ頓狂な大声を上げる愛紗。

 

俺も顔には出さないが、内心驚いている。

 

こんな感動溢れる場面でそんな事を聞きますか。

 

 

「きゅっ、急に何を仰るのですか!!」

 

「ナニと申されましても御使い様との子を……」

 

「その先は言わなくて結構です!!」

 

「まぁ、落ち着いて愛紗」

 

「で、ですが!!」

 

 

気持ちは凄くわかる。だけどクールにクールになるんだ。

 

爺ちゃんも俺達の事を思って言ってるわけだし。

 

 

「爺さんの言う通りですぜ。御使い様、関羽様。

 オレッチ達は今か今かと御懐妊の方を心待ちにしているんだ。

 次世代に受け継がれる御使い様の由緒正しき血統を」

 

 

いやいや、そんな大層な血筋の家柄じゃないですから!

 

普通人ですから!!

 

 

「アタシは第一子は関羽ちゃんとの子が好ましいんだよね。

 頑張りな関羽ちゃん!!一番先に元気な赤ちゃんを産んで、

 正室の権利と御使い様の心を掴むんだよ!!」

 

「聞き捨てならないな。劉備様こそ正室に相応しい。異論は認めん」

 

「ふっふっふ。まだまだ甘いなお前達。星様こそ御使い様の正室だ。

 二人はメンマよりコリコリとした絆で結ばれている。

 故に選ばれるのは当然なのだ」

 

 

何故メンマで例えた!!

 

つーかコリコリした絆ってなんだよ!!

 

 

「ん~とね、え~とね、ワタシはね~。翠お姉ちゃんがいいな~。

 お姉ちゃん、みつかいさまといっしょにいるときね~。

 おんなのかおになってるんだもん」

 

「ほほ、儂は黄忠様にもう一度、幸せになってほしいの」

 

「ここは厳顔様だろ。あのお方のおっぱいは実にけしからん!

 だから正室だ!!」

 

「黙れ、おっぱい好きが!!常識的に考えて張飛様か孔明様。

 もしくは士元様に決まっている。

 いやいっその事、三人一緒に正室だ!!!」

 

「お前こそ黙ってろ!!貧乳教が!!

 てか三人一緒に正室とか、おかしいだろ!!」

 

 

皆、生き生きと話してるなー。

 

 

「オイラは月ねぇか、詠ねぇがいいなぁ。

 二人ともやさしくて、いいにおいがしてみつかい様のせーしつにぴったりだよ」

 

「…呂布様と陳宮様の名が出ないなんておかしいですね。

 特に呂布様。あのお方の愛くるしい食事模様を知らないのでしょうか」

 

「ん~と、ボクはね。蒲公英おねえちゃんと焔耶おねえちゃんかな。

 あの二人はいつもケンカしてるから、

 みつかいさまといっしょにケッコンすれば、きっとなかよくなるよ」

 

「いやいやいやいやいや、袁紹様……は、いいや。…顔良様!!

 顔良様こそ正室に相応しいぜ!

 けど、それだと文醜様も付いて来るな。…むむむ」

 

「馬鹿野郎共が。伯圭様を忘れてるなんてな。いいか、伯圭様はなぁ、

 普通に良い人で、普通に何でもそつ無くこなせちゃうし、普通に可愛いし、

 よし決定、伯圭様が御使い様の正室だ!」

 

「美以ちゃん達も正室の可能性があるねぇ。かっかっか!」

 

「……………」

 

 

当人を無視して、この盛り上がり様。これだから華琳さんや雪蓮さんに、

 

色々と突っ込まれるんだよな。だが、そこが良い。

 

俺はこの雰囲気が堪らなく好きだ。皆が楽しめる空間、遠慮など必要ない絆。

 

これこそ、平和を謳歌している証拠だ。

 

 

「良い光景だよね、愛紗。………愛紗?」

 

 

声を掛けるが返答が無い。俺は視線を皆から愛紗に向けると

 

この日一番の赤ら顔。湯気が出るんじゃないかと思う程真っ赤っかだ。

 

耳を澄ましてみると小声でブツブツと何かを言っている。

 

 

「私がご主人様の…正室。いや待て無骨者を絵に描いたような私がご主人様の正室など・・・。

 だが、ご主人様が、か、かか可愛いと申してくれた事もあるし……」

 

 

やれやれ、こちらも聞く耳持たずですか。しかも今、夢の世界に旅立たれたようだ。

 

愛紗さん妄想が口から零れていますよ。

 

 

「子は四人欲しいな。上から、『平』『興』『索』『銀屏』

 皆、ご主人様に似て優しい心を受け継ぐだろうな。

 そして、何時の日か暖かな陽気の下、ご主人様と二人、

 子供達の成長を見守り、幸せな家庭を……」

 

 

…愛紗って妄想家だったっけか。内容が具体的過ぎるんだけど。

 

ともあれ現実に戻ってもらうとしよう。

 

 

「妄想とはいえ、そこは名で呼んでほしいな」

 

「それでは、かず……ご主人様!?」

 

「おかえり」

 

 

薔薇色の妄想から帰還した愛紗は顔を俯かせ羞恥に身を震わせている。

 

 

「あの……聴いておられました…か?」

 

「バッチリと」

 

「~~~~!?わ、忘れてください!!」

 

 

愛紗が可愛らしい妄想を吐露したんだ、忘れるなんて勿体無いだろ。

 

俺はそう思うと愛紗の腰に手を回し引き寄せる。

 

そして、俯いたままの顔を上げる為、優しく顎に手を添えた。

 

 

…可愛い。思わず見とれてしまう。愛紗も俺を見つめ、

 

その瞳は期待と不安が混在しているかの様に潤ませている。

 

美髪公は髪だけではなく、瞳もまた魅力的だと思い知らされる。

 

 

「…忘れていいの」

 

 

意地悪な問い掛け、自分でも分かっている。

 

けど、愛紗の口から聞きたい、本当にそう望んでいると…

 

 

「…あの、その、わ、私は誰よりもご主人様をお慕いしておりま…す。

 もし、叶うのならば、女らしさの欠片も無い無骨者の私をせい…んっ!?」

 

 

俺は愛紗の唇にそっと人差し指を押し付ける。此処まで言ってくれたら十分、

 

後は男である俺の役目。それと一つ訂正、愛紗は女らしくないと言ってるけど、

 

そうは思わない。だって何時も俺に尽くして一生懸命じゃないか。

 

それが何よりも掛け替えの無い証だよ。

 

 

「俺は愛紗が……」

 

 

想いが紡がれ言葉に成ろうとした瞬間!!

 

 

「いけ!そこだ!熱い接吻をブチューっと一発!!」

 

「母上。御使い様は何を為さろうとしておられるのですか?」

 

「アンタにはまだ早いから友達と遊んでなさい。

 ……御使い様も焦れったいねぇ」

 

 

さっきまで俺を無視してたのに、如何して肝心な時に邪魔をするかな。

 

せっかく良い雰囲気だったのに台無しだよ。

 

ほら、愛紗も俺の腕の中から離れ、そっぽを向いちゃったよ。

 

 

「ねぇねぇ御使い様。正室は関羽様ですか?」

 

 

空気が読めない奴め。けど、答えてあげるとしますか。

 

 

「…俺が正室に選ぶのは」

 

「「「選ぶのは……!!!!」」」

 

 

固唾を飲む皆。愛紗もチラチラと俺を見ている。

 

 

「……内緒」

 

「は?」

 

「へ?」

 

「じゃあ、俺達は警邏を再開しなくちゃいけないから、これで。

 行こうか、愛紗」

 

 

爽やかに言い放ち、この場から手を繋いで去る俺達。

 

その間、愛紗はというと混乱している様で頭の上に、

 

?マークを浮かべている状態だ。そして、後ろからは…

 

 

「ここまで来て、そりゃないぜ。御使い様~」

 

「ほっほっほ、御使い様も焦らしますな」

 

「あ~ん。言ってくれないなんて、いけずな御人」

 

 

などと言った落胆の声を上げている。これは邪魔をした罰だ。

 

大いに反省するがいい。

 

 

「……あの、ご主人様」

 

 

不意に掛けられる言葉。

 

 

「ん?何?」

 

「あ、いえ、何でも…ありません」

 

 

……そうだよな、ありたっけの勇気を振り絞って、

 

返答しないのは失礼だよな。

 

それに焚きつけたのは俺自身、答えを言う義務がある。

 

 

「…俺は愛紗が一番可愛いと思ってる」

 

「えっ?」

 

 

皆に聴こえない様に愛紗の耳元で囁く。この言葉に秘めたる想いもこめて。

 

 

「それって………!?」

 

 

そう、つまりはそういう事。でも、はっきりとは伝えない。

 

また、邪魔をされるかも知れないし、何より愛紗自身に気付いてほしいから。

 

 

「ご主人様…」

 

 

愛紗は顔を朱色に染め眩い程の笑顔を浮かべる。

 

そして、隣から一歩前に出て俺の手を引いた。

 

 

空からは陽光が降り注ぎ、愛紗の身に纏う。この光景、民や大切な人だけではなく、

 

日常も守っていきたい。ここに来てから色々な出来事があった。

 

人の生き死にを目の当たりにして帰りたいと思ったこともある。

 

でも、今は違う。この国が、人が、全てが好きだ。

 

だから、切に願う。俺の物語がまだまだ続きますようにと。

 

天の御使いなら成就するに決まってるよな。

 

そう思うと俺は雲一つ無い青空へと想いを馳せた。

 

 

 

「…ずっと一緒に付いて来てくれるかな、愛紗」

 

「はい、ご主人様!!」

 

 

 

                        ~おしまい~

 

 

 

 


 
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