No.652706

鏡の中の11番 【原作:実況パワフルプロ野球】 プロローグ

三振王さん

※この作品はニコニコやピクシブで活動している某作品に影響されて書いた作品で、コナミの「実況パワフルプロ野球」のサクセスモードが原作の作品になっています。

※舞台は高校野球編で2011のときめき青春高校編をベースにしていますが、9、13、2011その他諸々のサクセスのストーリーをごちゃまぜを始めとしたうえ、ねつ造設定盛りだくさん、キャラ崩壊等の内容となっております。

※この作品の主人公はいわゆるチートオリ主……パワプロ風に言うなら天才型となっております。

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2014-01-07 23:23:13 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1791   閲覧ユーザー数:1782

 

 舞い散る桜の花びらが道路を桜色に染める4月初旬、ときめき青春高校の校門からは、始業式の後の授業を終えた新入生や在校生たちが次々と出てきて、家路に付いたり仲が良くなった者同士街へ遊びに繰り出そうとしていた。校庭の方では早速不良達が喧嘩を始めており、体躯のいい体育教師たちが体を張って止めていた。

 

 この某県にあるときめき青春高校は県内屈指のヤンキー校であり、毎年喧嘩等の迷惑行為に明け暮れ、教師たちや地元の住人、警察官達の悩みの種となっていた。

 

 そんな生徒達の人波の中、一人の学生帽に学ラン姿の少年がカバン片手に校門をくぐった。

 他の学生たちと違い、長い前髪で目元を隠し、背は少し高いがどこか暗くて近寄りがたい風貌の少年は、どこか憂鬱そうな顔で生徒達の人波に乗って家路に付こうとしていた。しかし少し急いで焦っていたのか、通りすがりの強面の学生と肩がぶつかってしまう。

 

「ってえなコラ!」

 

 強面の男子生徒は今にも殴り掛かってきそうな様子で前髪の少年を睨みつける。

 

「ひいぃ!? すみませんっ!」

「誤って済むと思うな……よっ!」

 

 強面の男はすぐに前髪の少年の腹部に右のボディブローを軽く見舞う。前髪の少年はその場で膝を付いてしまった。その様子を見ていた強面の生徒の仲間らしき男が彼に声を掛ける。

 

「そんな雑魚ほっとけ、それより早くしねえと集会に遅れるぞ」

「ちっ、運のいいヤローだ」

 

 強面の男は悪態を突きながら唾を吐き、仲間達と一緒にその場を去って行った。

 

「うう……はあ」

 

 前髪の少年は溜息を一つ付くと、そのまま再び校門に向かった。するとその姿を通りすがりの生徒達が目撃する。

 

「あ、あれってパワフル中学のパワプロじゃね?」

「知ってんの?」

「ああ、なんか野球部のすげえ選手だったらしいけど、三年生になった途端野球辞めて引き籠っちゃったんだってよ。怪我でもしたのか?」

「ふーん……なんか惨めだな、元エースがひきこもりって」

 

 そんな自分への憐れみを向けられているとも知らず、前髪の少年は校門をくぐり、一人家路についた。

 

「この学校を選んだの……失敗だったかな」

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

そして数分後、前髪の少年は人波を外れ河川敷を一人歩いてた。すると少年は河原の古ぼけた野球場で、メガネを掛けた自分と同い年ぐらいの少年が一人でティーバッティングをしているのを目撃する。

 

「ふう、この矢部明雄一生の不覚でやんす。プロ野球選手を目指してあかつきや帝王、パワフル高校を受けたのに全部落ちて滑り止めで受けたときめき青春高校に入学したはいいでやんすが、まさか野球部が無いなんて……いやいや、ここで挫けちゃいかんでやんす。ここでオイラの一発逆転サクセスストーリーが始まるでやんすよ!」

 

 なんかやけに説明的な独り言だなぁ、おまけにこっちまで聞こえてくるし……と、前髪の少年は心の中で思いながら、少しその少年の事が気になって足を止めた。

 

「うおー! まずはパワーを上げるでやんす! 目指せ150m弾でやんす!!」

 

 そう言って矢部と名乗ったメガネの少年はティーの上に乗った硬球を金属バットでフルスイングする。ただバットがボールの下の方に当たったせいで、打球はバックネットを超え、様子を見ていた前髪の少年の足元に転がる。

 

「おう、ちょっと力み過ぎたでやんす。そこの人―、ボール取ってくださいでやんすー」

 

 メガネの少年に言われ、足元のボールを拾おうと前かがみになる前髪の少年、、しかし一旦止まり何か考え事をした後、ボールを右手で取った。

 

「いくよー」

「ほーいでやんす」

「へやっ!」

 

 前髪の少年は振りかぶりそのまま40mぐらい離れているメガネの少年目掛けてボールを投げた。しかしボールはまるでハエが飛んでいるかのようにへにゃへにゃな軌道を描いた後、メガネの少年の約10m地点で落下した。

 

(うっわ肩弱っでやんす……体格はちょっとよさそうなのに見かけ倒しでやんす。ん?)

 

 メガネの少年はボールを拾おうとしながら、何だかバツが悪そうにしている前髪の少年を見る。そして少年が通っているときめき青春高校の制服を着ている事に気付き、彼に駆け寄った。

 

「もしかしてときめき青春高校の生徒でやんすか?」

「は、はい……今日入学しました……」

「おお! よく見ると入学式で見かけたでやんすね。暗……特徴的な容姿だから印象深かったでやんす!」

 

 メガネの少年はオドオドしている前髪の少年をじーっと見つめ、そして頭上にピコンと電球マークを浮かべてある事を思いついた。

 

「君! もしよかったらうちの野球部に入ってくれないでやんすか!?」

「野球部? トキセー(※ときめき青春高校の略称)って野球部がない筈だけど……」

「オイラが1から作ったでやんす! 今はまだ部員はオイラ一人でやんすが……いずれ人数をそろえて甲子園へ行くでやんす! そしてギャルにモテモテうっはうはでやんす!」

 

 そう言いながらちょっとだらしなくニヘラと笑いつつ、自分が可愛い子達にちやほやされる妄想に浸るメガネの少年。そんな彼を見て前髪の少年はくすっと笑った。

 

「君って面白いね……でもいいの? 僕ってさっき見た通り下手くそだよ?」

「この際贅沢は言わないでやんす!  “野球は上手い下手よりも、どれだけ好きで楽しめるかが大事” って昔TVで誰かが言ってたでやんす!」

 

 その言葉を聞き、前髪の少年はメガネの少年が持つボールを見つめ、ぽつりとつぶやいた。

 

「うん……僕も昔、同じことを言われたよ。じゃあ、その……マネージャーとしてなら……」

「全然OKでやんす! うひょー! いきなり一人目の部員ゲットでやんす! こりゃ幸先イイでやんす!」

 

 そう言って大喜びするメガネの少年に、前髪の少年も思わずつられて笑っていた。

 そしてメガネの少年は改めて自己紹介を始めた。

 

「オイラ、C組の矢部明雄でやんす! 君の名前は?」

「僕は……B組のパワプロ。よろしくね」

 

 

 

 二人のいるグラウンドに、春風が舞い、出会いの始まりを感じさせる桜と新緑の香りを運ぶ。

 

 

 

(僕は……また野球をやってもいいのかな)

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 これは、とある少年が遠い日にした約束を叶える物語。

 

 これは、どん底まで落ちた野球バカ達が頂まで駆け上がる、奇跡の物語。

 

 

 プロローグ「ready, steady, go! ~さあ、その手に白球を!~」

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

~あとがきを書く喜びはあった~

 

 

 ※パワプロ君(主人公)の選手データ

 

身長180cm 体重79kg

 

右投げ右打ち 外野手 スタンダード1 弾道1 ミートG パワーG 走力E 肩G 守備E エラー回避F 弱気 送球1 いいヤツ モテモテ

 

ニコニコとここで掲載されている某パワプロ漫画作品に影響されて書いてみました。

 

 この作品のパワプロ君は「現実にこういう境遇の選手居そうでいないけど、これから出てきそう」というキャラ付にしています。これを読んでいる人たちに勇気を与えられるキャラになってほしい……そう思って作りましたので、みなさん応援よろしくお願いします。

というわけで新年一発目は実況パワフルプロ野球の小説になります。


 
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