No.652630 模型戦士ガンプラビルダーズI・B 第13話コマネチさん 2014-01-07 19:47:15 投稿 / 全6ページ 総閲覧数:995 閲覧ユーザー数:972 |
濃霧立ち込める廃墟の街、Gガンダムで登場したフィールド、『ネオイングランドのロンドン』で複数の機体が飛び交い戦っていた。
緑のフルフェイスヘルメットの様な頭部の機体。『アデル』ガンダムAGE1の量産機だ。
逃げるアデルに相手の機体が高速で追いかける。霧がかかってる為相手の機体は判別出来ない。
「兄ちゃん!アイツ早すぎる!」
「待ってろ!今行く!」
アデルのビルダー、ケイ三兄弟は慌てていた。三人でガンプラバトルをしていたらいきなり挑戦者が現れたのだ。
挑戦者は一人、最初は数で圧倒しようとした三兄弟だが逆に翻弄されてしまった。
そのまま散り散りになるものの次男、タケオのアデルが追われていた。
「に!兄ちゃぁぁんっ!」
タケオのアデルがあっという間に追いつかれビームサーベルで真っ二つにされる。そのままアデルは爆散。
三男ウメオは長男マツオに通信を入れる。
「いきなり乱入してここまで引っ掻き回されるなんてな。兄ちゃん……」
「……少しはヤタテに対抗して自信つけたつもりなんだけどよ」
そう、この三兄弟、以前アイに卑怯な手を使い負けた。そして身を隠し腕を磨いていた。その時アイに説教されたが改心したわけではない。
彼らは打倒アイを掲げて腕を磨いていた。その為に他人に任せていたガンプラ製作も自分でやるようになった。
平静を装ってはいるが、自信と腕を砕かれた事にマツオは内心ショックを受けていた。
「あ!もしかして相手はヤタテか?!」
「いや……にしては感じが違うような」
そうこうしていると相手の機体が迫ってきた。
「クソッ!仇討ちだ!」
「ま!待て!」
アデルが左腕のビームサーベルを構え突っ込む。そのまま機体目掛けて大振りする。が軽くかわされる。
そのまま濃霧の中の敵はアデルの左肩の付け根を切り落とす。
「なっ!」
驚愕するウメオに、そのまま敵機は胸部からビームバスターを発射、至近距離で受けたアデルはそのまま爆発した。
「残念だけど、僕には止まって見えるんだよね」
――男の声!?ヤタテじゃない!――
「ヒロ、あまり遊んでると相手に失礼だ。早く決めるんだ」
――もう一人いる?いや、バトルに参加してるのは一人か――
通信から相手の人数を予想するマツオ
仕上げといわんばかりに爆風の中から、相手がビームサーベルを掲げ、マツオのアデルに突っ込んできた。
迎え撃とうとマツオもアデルのビームサーベルを構え突っ込む。
「うぉおおっ!!」
「何度も言わせないでよ」
そのまま相手の機体はすれ違いざまにアデルを切り裂いた。
「止まって見えるんだってば」
「なんだ!!コイツは!!」
切り裂いたアデルは上半身だけの状態になり地に倒れる。敗北を悟ったマツオは霧のかかった機体に通信を入れる。
「余裕しゃくしゃくだけどな……俺達を倒したと思っていい気になるなよ……?ここには俺達よりもっともっと強い奴がいるんだからな!それも女で!」
「もしかして君達……ヤタテ・アイさんの知り合い?」
思わぬ反応にマツオは一瞬たじろいた。
「……まさかお前の目的、いや、本命は!」
「そう、その通り、ヤタテ・アイさんと戦う事だよ」
「なんだとぉぉっ!」と叫ぼうとしたがその瞬間にアデルは爆発した。
爆発に照らされた機体は赤いカラーリングが露わになる。そしてスリットの目が勝利を喜ぶ様にピピピ、と音を立て光った……
同時刻……山回高校にて、
「ん~、今日も授業終了、眠かったぁ」
「お疲れさん、なんで午後の授業ってあんなにきっついんだかね~」
「本当、中学の時はあんなんじゃなかったのに」
帰りの挨拶の後、両腕を上げて伸びをするアイ。あのコンドウとの戦いからしばらくが過ぎた。
季節は四月になりアイ達は高校二年生へと進級した。
「アイちゃん、今日暇?今日はボク達も部活ないし一緒に帰ろうよ……」
ムツミが誘ってくる。進級してクラス変えが起こっても、馴染みの友達は同じクラスだった。
「うん、今行くね」
アイはそう言うとナナと一緒に歩き出した。
下校中、友達が集まると自然と会話も弾むもの、アイ達もそれは例外ではない。通学路を歩きながら今日も他愛もない内容で話が弾む。
「そういえば『SGOC(スゴック)』のアルバム昨日発売だったよね。ムツミちゃんやっぱり勝った?」
「当然……!聴く用に保存用に布教用……!抜かりはないよ……!」
眼を輝かせてムツミは言う。アイドルグループ『SGOC』ムツミはリーダーのコウジ・マツモトを初めSGOCの大ファンだ。
「いつも思うけどSGOC関係になるとすっごいわねアンタ、別に複数買い前提の仕様じゃないんだから一枚でいいでしょうに。CDならコピー出来るんだし」
「ナナ……!君はわかってない……!ファンと名乗る以上は生で聞く事に意味があるんだよ……!」
「そういうもんかね~」
ナナは当たり障りなく返す。いつもの様な会話、
しかしその日はいつもと違った風に全員が感じていた。その原因は……
「はぁぁぁ~……」
タカコが大きくため息を吐く。今日はいつになくタカコの元気がない。時折こうして大きなため息を吐いていた。
「タカコ、今日何度目よそのため息」
フジ・タカコ、今日彼女はずっとこんな感じだ。さすがに気になってナナが聞く。
「タカコちゃんらしくないよ。いつもだったらどんな話題でも食いついてくるのに」
いつも会話するにあたって目立っていたのがタカコだ。いつも騒いでる彼女が黙っている事にアイとナナは違和感を感じていた。
「別に気にする必要はないよ……」
理由を知っているのかムツミが答える。
「ムツミちゃん?」
「個人で取材対象にしていた好みの男の子が彼女持ちだっただけの事だよ……」
その程度の事。そう含みを持たせてムツミは言った。あぁ、そういう事、とナナはリアクションを取る。
「ぅ~、なんか皆酷くない?感受性豊かな高校生が失恋しちゃったんだよ?もっと皆慰めるとかしてよ~」
タカコが口を開くと沈んだ調子で喋った。
「いつもの事じゃん」
「どうせまた年下だったんでしょ……」
ナナとムツミには見慣れた光景だ。
「タカコちゃん、失恋しちゃったんだ……」
二人と比べタカコと接する機会が浅い所為か、一人アイは真面目にその事実を受け止めていた。
「ぅあ~んアイちゃ~ん。わかってくれるのはアイちゃんだけだよ~」
タカコはアイにしなだれかかる
「わ!タカコちゃん!?」
「別にシリアスに受け取る必要ないわよアイ。こっち引っ越して来てからコイツの性格よく知ってるでしょ?」
「自爆するのもいつもの事なんだから……」
「ぅ~好きなんだからいいじゃん。あ~あ、あたしもその子と共通の趣味あったら良かったのにな~」
「共通の趣味なら仲良くなれるキッカケがあるから?」とアイは聞いた?
「お、やっぱり分かってるねアイちゃん。アイちゃんもガンプラ趣味だから分かる?」
「君と違ってアイちゃんにそんな邪な気持ちはないよ……。ね、アイちゃん……」
ムツミが突っ込みを入れる。が、アイは「え?!」と意外そうな、そして反応に困るように驚いた。
アイ自身、イレイ・ハルというガンプラマイスターに会いたくてガンプラにのめり込んだ経緯がある。
ムツミの言った考えに当てはまってるともいえないと自ら思った故の反応だった。
「?」
「え~アイちゃんだってガンプラが高じて彼氏出来たらって期待した事位あるでしょ?」
「えと……どうかな。男女入り乱れているけど、むしろ小学生の男女一緒のサッカーチームみたいな感覚だよ。自然にやってるから異性とか意識した事ないし」
アイは平静を装いながら説明する。ムツミはアイの反応に何か感じたようだ。
「でもさ、この間大会でウルフ倒して優勝したんでしょ?アイちゃんに興味持ったり、アプローチかけてくる人とか出てくるかもよ」
「そういうもん……かな?憧れる側ってなった事ないからどうもピンとこないよ」
「でもあの近辺で一番強い人に勝ったわけでしょ?憧れる立場になるのには充分だと思うな」
その時だった。
「ああ!いたいた!探したぜお前ら!」
『え?!』
アイ達は不意に声をかけられる。声をかけたのは見知った顔だった。線目で首のない太目の体型の良く似た二人。
「あ、前の兄弟の長男」
「ケイ兄弟だ!そして俺は長男じゃなくて次男だよ!」
声をかけて来たのは次男、タケオとウメオの二人だった。
「どっちでもいいわよ。一体なんの用?」
「お前に会いたいって言ってる奴がいる」
そう言って長男、マツオが二人の青年を連れて出てきた。
「君がヤタテ・アイさんかい?」
栗色の髪の青年が聞く。くせ毛の髪でややガッチリ目の体格。しかし呑気そうな印象だ。
「そうですけど……あなたは?」
「僕は『ハガネ・ヒロ』そしてこっちが……」
ヒロと名乗った青年が隣にいた青年を指さす。
「『フクオウジ・マスミ』という。よろしく」
軽く笑いながら、マスミと名乗った青年が会釈をする。少し伸びた黒髪を一本に纏めたツリ目の青年だ。こちらは中性的な印象がある。
二人ともウルフとは全く違う。年齢は二十歳位、長身のイケメンと言った感じだ。
「出会って早々単刀直入に言おう!ヤタテ・アイさん!僕と付き合ってもらいたい!」
『な!なんですってぇぇっっ!!!!!』
突然の発言にその場でアイとタカコは大声で叫んだ。ナナとムツミはポカンと硬直していたが。
「ヒロ。何誤解招く言い方してるのさ」
マスミと名乗った青年がヒロにツッコミを入れる。
「変な言い方をしてしまって悪かったね。ヒロが突飛な発言をしてしまったが、つまりは君とガンプラバトルがしたいと……」
「タ・タカコちゃん!どうしよう!本当に男の人がアプローチかけてきちゃったよぉぉ!!」
「おおお落ち着いて!ここは二つ返事はナシにして充分な検討を……」
「そ!そうだね!と・とりあえずお友達から!!」
「……もしもーし」
「あ!すいません!少し待ってもらえます?!」
「すぐ落ち着かせますから……!」
顔を真っ赤にしてうろたえるアイとタカコの二人をナナとムツミは必死になだめた。
――この子がコンドウ達を倒したというヤタテ・アイか……――
マスミはアイを見ながら実力を見定めようとしていた。
で、模型店『ガリア大陸』Gポッド内
「普通にガンプラバトルしたいだけだなんて……」
「最初からそう言えば良かったのに……アンタねぇ!」
アイはガンプラバトルのGポッド内で、タカコは観戦スペースでそれぞれ赤面した、うちタカコは同じく観戦してるマツオを掴み揺すった。
今日いる知り合いのギャラリーはナナ、タカコ、ムツミ、ケイ三兄弟、そしてマスミとかなり多い。
「ぐええ!俺は関係ないだろ!言ったのはあのヒロって奴で勝手に勘違いしたのはお前らなんだし!」
「で、誰なのあの人」
「いや、俺も知らん」
「なにそれ?!」
「ただヤタテに会いたいと言って、俺が顔を知ってるという理由で案内役を任されただけだ」
「……でも確かに見たことない人だったな。この辺の人じゃないのかな?常連だったらアイの顔知ってるはすだし」
……
「今回は視界が悪いな、気をつけて飛ばないと……」
Gポッド内でノーマルのAGE2E(オプションはGNハンマーとGNピストル)に乗ったアイは画面の隕石群をかわしながら進んでいた。
今回のステージはガンダムUCに登場した宇宙のデブリベルトだ。ユニコーンのライバル機、『シナンジュ』が初対戦をした場所である。
目の前を散らばった隕石やデブリが漂う。ぶつからないように注意が必要なステージだ。とそこに敵機接近の警告音が鳴る。
「早い!……この速度は?」
非常に速い、いうなれば通常の三倍と言ったところか
「通常の三倍……ってまさか!」
アイの脳裏にある機体が浮かんだ。『通常の三倍』というフレーズはガンダムキャラの代表『シャア・アズナブル』の代名詞だ。
このステージではその再来と言われた『フル・フロンタル』というキャラが、シナンジュという機体で三倍スピードでユニコーンを圧倒した。もしかしたらシナンジュが?とアイは思案する。
敵は隕石に遮られまだハッキリと視認できない。敵機のスピードに使用機体を予想するアイ、隕石同士の隙間を高速で縫う様に飛びながら
敵はビームを何発も撃ってきた。
「くっ!こんな動きづらい場所じゃ!」
かわしつつ、アイもAGE2Eのハイパードッズライフルを構え撃つ。ビームはまっすぐ敵機に向かう。
が敵機は隕石の間を移動しつつかわす、お互いが機体がスッポリ覆うサイズの隕石やデブリを盾にしながらの撃ち合いだ。
アイが狙い撃ちしようにも、敵はすぐ次のデブリに移動する為決定打にはならなかった。
「チッ!見通しが悪すぎる!あれだけ早いってやっぱりシナンジュ……ッ!?」
アイは大型のデブリに隠れながらぼやいた、その直後、敵が上からビームサーベルで斬りかかってくるのに気づいた。
アイはライフルのGNソードを展開、相手の攻撃を受け止める。そして初めて敵機の正体が分かった。
「シナンジュじゃない!?」
「あえてこの機体だけど言わせてもらうよ!見せてもらおうか!コンドウさんを破ったビルダーの実力とやらを!ってねぇ!!」
「ゼイドラ!?」
ゼイドラ、ガンダムAGEに登場したAGE2のライバル機だ。こちらもシナンジュ同様三倍の機動力を持つといわれた機体だが、
少なくともガンプラバトルではシナンジュ程の機動力及び総合性能はない。しかしシナンジュよりは扱いやすい機体なので好んで使用するビルダーも多い。
だがこのゼイドラは通常の物より強化されていた
「くぅっ!出力が普通のより高い!?」
「本来ゼイドラにビームサーベルはついてこない!コイツのビームサーベルはジムⅡの物を移植した!一緒にスキャンさせたから通常の物より威力が上がっているんだ!」
「そうか!だからあんな高出力に!」
「そういった気遣いがガンプラの決定的差につながるのさっ!」
そのままゼイドラは猛攻をかけ、AGE2Eを裂こうとする、
アイはその攻撃を切り払いながら凌ぐ、が、サーベルの出力は高い、防御に構えたシールドは両断されてしまい、とっさにアイは機体を下がらせた。
「シールドまで切り裂く!?」
「簡単すぎる。それがコンドウさんを破ったビルダーの力か!?」
「コンドウさんを知っている!?」
「僕はかつてコンドウさんに挑み、そして敗れた。そしてコンドウさんに勝つために腕を磨いた。でも挑戦しようとした時!コンドウさんを君が破った!」
ゼイドラは右手のゼイドラガンを撃ちながらAGE2Eを追いつめようとする。
「コンドウさんの腕は技術だけじゃない!ガンプラをただの玩具と扱わない……相棒……友として扱える人だった!
そしてそれは強者のビルダーの腕以外の絶対条件!」
そして再び斬りかかる。アイのAGE2EはGNソードで防戦になりつつあった。
「君がコンドウさんを超えるビルダーなら!ただガンプラ作りがうまい女の子じゃないハズだ!」
「だから私に挑もうと……」
「そう!君の実力を!」
そのままゼイドラはAGE2Eを蹴り飛ばす。
「くっ!なんて気迫と勢い……!」
それだけ強い気持ちを持った相手なのだとアイは思った。ゼイドラはゼイドラガンを捨てると両手にビームサーベルを発生させ斬りかかる。
アイもまたGNソードとビームサーベルで受け止める。ぐぐっとつばぜり合いになる二機、
「なんだろう……気合?気迫?技術だけじゃないものを感じる……」
ムツミはヒロのゼイドラを見て呟いた。
「呑気に言ってる場合じゃないよ!あのままじゃアイちゃん負けちゃう!」
タカコの慌てた声が響く。観戦していたナナ達もゼイドラのパワーに押し切られこのままアイが負けるかと思った。
しかし一人、そうは思ってない人物がいた。
「どうかな?古人いわく『窮鼠猫をかむ』ってね」
マスミが呟く。突然のその発言にその場にいた全員が『ハ?』と首を傾げた。
「確かに技術ならコンドウさんには及ばないかもしれない……でもね!!」
マスミの言った通り、まだアイは諦めてはいなかった。
――……負けられないよね……私も……アナタも!――
アイが自分の機体へと心で呟く。それに呼応するかの様にAGE2Eの眼が光った。
それはアイがレバーとペダルに全力で力を込めたからに過ぎない、しかしビルダーによってはアイの心にガンプラが応えたと思う者もいるかもしれない。
その力はAGE2Eの両手に伝わり、つばぜり合い中の両腕をぐぐっと広げた、間接強化したAGE2Eの力は、押していたはずのゼイドラの両腕を外側に広げる。
「力負けしている!?ここまでパワーがあるなんて!」
「気持ちだけならコンドウさんに……!!」
そのまま、左足を目いっぱい上げ、足に装着していたGNハンマーをゼイドラにかかと落とし、否、ふくらはぎ落としの要領で叩きつけた
「負けてるつもりはないっ!!!」
ゼイドラの右肩にGNハンマーは当たり爆発する。
「な!なんだってぇっ!!」
ゼイドラの肩は破壊できたがアイのAGE2Eも無事ではない。ハンマーを装着した左足は破壊されて……いや、自ら破壊してしまった。
「くぅっ!なんて無茶を!機体を粗末に扱うか!?」
「そんなつもりないよ!!」
そのままアイはGNソードで斬りかかる。斬撃のラッシュに今度はAGE2Eが優勢となる。
「大事だからこそやったんだよ!このまま負ける事を望んではいないもの!私もコイツもね!」
「何!?」
「負けたくないってこいつは言ってる!だから私は自分のガンプラに全力で答えてあげる!
自分の全部を出し切ってみせる!たとえそれがコンドウさんのと違うかもしれなかったとしても!」
『ガンプラの声が聞こえる』。比喩である上におかしい発言かもしれない、だが自分の作った機体、ことガンプラバトルでは有名な話だ。
昔から『技術よりも作る時の楽しい気持ち、完成した時の嬉しい気持ちがガンプラバトルの決定打となる』といわれているくらいだ。無論アイもヒロもそれは知っていた。
「ガンプラの気持ち……か!前々からオカルトだの付喪神だの言われていたけど……!僕だって信じるさ!だが負けない!」
「同じく!」
ヒロはゼイドラの胸部からビームバスターを発射、至近距離のAGE2Eを撃破しようとする。が、AGE2Eは高速でその場から離れた。
「戦法を変えた?!待て!」
追いかけるヒロのゼイドラ、残った左腕のビームバルカンで牽制しつつ、ビームバスターを撃とうと照準を合わせる、が、発射間際にAGE2Eは近くのデブリに身を隠す。
「それで防げるとでも?!甘い!」
発射されたビームバスターがデブリを破壊する。が、発射のタイミングでストライダー形態に変形したAGE2Eが飛び出し。そのままゼイドラに突っ込む。
「発射のタイミングを狙って!?しまった!!」
「でぇぇえいっっ!!」
機首に取り付けられたGNソードがゼイドラを貫き、そのままハイパードッズライフルを発射する。
「この情熱……コンドウさんに近い……」
「女にとって他人に比べられるって……好きじゃないです」
「いや……君独自か……負けたよ……」
0距離射撃で風穴を開けられたゼイドラはそのまま爆発した……
「完敗だ、君独自の情熱と技術、見せてもらったよ!」
「こちらこそ!一見ノーマルでも凄い実力でした!」
バトルが終わった後、晴れ晴れとした表情でヒロとアイは握手をした。マスミがヒロの左肩に手を置く。
「これで解っただろう?西ヨーロッパは中国を『眠れる獅子』と例えた。本気になったヤタテさんは鼠じゃなくて『眠れる獅子』だったということだよ。ヒロ」
「あぁ、コンドウさんを倒した実力は伊達じゃなかった。いい土産話が出来たよ」と答えるヒロ。
ただしアイは「私日本人ですよ!?」とうろたえ他の全員は「だから何言ってるんだこの人……」と若干引き気味だったが
「しっかしまぁあのオッサンにこんな執着する奴がいたなんてねぇ」
ナナがボソッと口走る。
「コンドウさんをオッサンか……あいにくだけど執着するのは僕だけじゃないよ」
「え?」
「君達が思ってる以上にコンドウさんは実力あるビルダーだったんだ」
ヒロに続いてマスミがアイに指を指した。
「ヤタテ・アイさん、『眠れる獅子』は君だけじゃない。君の戦いの激しさは各地のその獅子達を起こした。コンドウさんを倒した君にはこれから挑戦者が現れるだろう!」
……
そして全員は解散し、四人は帰路についた
「挑戦者が現れる……かぁ」
「こんな展開になるとは思わなかったね~」
アイはタカコの表情に不審に思った。何か言いたそうだ
「どうしたのタカコちゃん?黙りこくっちゃって」
「いや……帰りに言われた通りアイちゃんに興味持つ男出て来たなーって思って……」
「なっ!」
「更にあの勝ち方だとなんか今のガンプラが彼氏~みたいな解釈もアリかな~ってあたし的に思っちゃったり……」
「いやそれはあんまりだよ!確かに自分のガンプラは大事だけどそれ認めたら次のガンプラ作り辛いよ!気持ち的に!」
「ありゃ、次の作品考えてあるんだ」
「まぁね」
といっても考えてるわけではない。色々AGE意外も試行錯誤してみたいというのが本音だった。
「ほほう、つまり男を吟味しまくって気に入った男を彼氏に……」
「だから違うって言ってんでしょ!!ぁぁもう逃げないでよタカコちゃん!!」
「あはは!ゴメンゴメン~!」
「あ~あ、あの二人は」
「ていうかタカコ……、もう失恋忘れたんだね……」
夕方の商店街を走り抜けるアイとタカコ……それを呆れぎみに見つめるナナとムツミ、
そんな四人をケイ三兄弟は見つめていた。
「兄ちゃん。ヤタテへのリベンジ、やり辛くなっちまったな」
「いいさ。アイツがどんなに実力をつけようとも、俺たちは追いかけるだけだ。アイツを倒すのは俺だからな」
マツオはアイが自分の適わない存在であると理解しながらも、これからアイの受けるであろう戦いを思い浮かべ、呟いた。
「ヤタテ・アイ……この台詞で聞くぜ。『君は生き延びることが出来るか?』」
今回から第二章となります。コマネチです。
第二章ではコンドウをアイが倒した事により、噂を聞きつけた各地のビルダーから挑戦を受けるという流れになります。
今後はチーム戦やイベントも増やす予定なので今後もよろしくお願い致します。
※今回のゼイドラは友達が作った物を使用しました。私が作った物ではないのでこれ単体の投稿はできません。ですが有難う!わが友よ!
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第13話「眠れる獅子達の目覚め」
仲間と力を合わせ、コンドウとのバトルに見事勝利したアイ達
そしてしばらくの月日が流れ、季節は春…