No.65116

真・恋姫†無双 魏END 外伝 ~愛、千里~ 後編

南風さん

投稿が遅くなって申し訳ありません。そして、感想をお待ちしておりますのでよろしくお願いします。後、~おまけ~のコーナーについての質問も受け付けますのでよろしくお願いします。

2009-03-25 00:17:32 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:18964   閲覧ユーザー数:12604

真・恋姫†無双 魏END 外伝

~愛、千里~ 後編

 

「それは良いが、見てのとおり今はそんな暇ではない。」

秋蘭は凪をかかえていた。

「大丈夫。」

黄色の布を顔にかけた一人、まぁどうみても地和が高らかに手をあげる。

すると何処からか、兵士があらわれた。

「夏候淵さま、隊長は我らにお任せください。」

現在凪の元で働いている警備兵達であった。

「うむ。では頼む。」

「っは!!」

警備兵達は凪を担架に乗せその場から消えていった。

 

「では、勝負をするとして何で勝負をするのかな?」

「簡単よ。倒すか倒されるか。」

「それは構わないが、お主達におくれを取る夏候妙才ではないぞ?」

「知ってるわよ!でもこれならどうかしら?」

三人が顔から黄色の布を取る。

「なに?」

「みんな~出番だよ~。」

天和の声とともに、何処からともなく黄色の布をかぶった男達があらわれた。

十や百といった数ではない。

「・・・・・なるほど。」

「あなたには悪いけど、これが私達の戦い方なの。」

「しかし、これでは規則を破っているのではないか?」

「それは大丈夫。」

「みんな、ちぃ達のファンだから迷惑なんて思ってないもんねー。」

「「「ほわあぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」

ちぃの一言に周りが一斉に声をあげる。

「じゃあ~ファンのみんな~?頼んだよ~?」

「「「ほわあぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」

その掛け声と共に、一斉に男達が秋蘭に襲い掛かる。

 

「ふむ・・・・・暴徒とはいえ、民に弓を引くわけにはいかないか・・・・・・・・・。」

「・・・・・・無手はさほど得意ではないのだがな!!」

そう言うと秋蘭に一番に飛び掛った男が宙を舞う。

「謹んで相手をしようか。」

 

 

 

 

――中庭――

軍師三人による変則的な遊戯の戦い。

互いの間に遊戯盤を置いて三つ巴戦をしている。

ルールは簡単、互いに勝負をして自分が勝負している二人を両方倒すこと。

「ねぇねぇ、桂花ちゃん?」

「なによ?」

「なぜ桂花ちゃんはこの戦いに参加したのですか?」

「なぜって、私が優勝すればあいつを自由にこき使えるじゃない?それに華琳さまから遠ざける事もできるわ。」

笑っているが、確実に悪巧みを考えている顔である。

「風、質問しても正直な答えは返ってきませんよ。」

「な、なによそれ!?」

「稟ちゃんの言うとおりですかね~。」

「ちょっと、話を勝手に進めないでよ!」

「では、正直に話してください。」

「私の意見は無いことにする気!?」

「はぁ~。」

「やれやれです~。」

 

「じゃあ、そういう稟はどうなのよ?」

「私にあれだけ言っておきながら何もないなんて言わせないわよ。」

「うぅ~稟ちゃんはぁ~~~~。」

「いいのよ風。私は自分の本当の気持ちを確かめたいだけです。」

「本当の気持ち?」

「えぇ、一刀殿をどう想っているか・・・・・・・・・・。」

 

(そんなの確かめなくてもわかるわよ。)

 

「何か?」

「何でもないわ。」

「私はそれだけですよ。」

「ふん!」

「風には聞かないのですか~?」

「それこそ聞かなくてもわかるわよ!」

「桂花ちゃんは酷い人なのですよ~。」

「何よそれ!?」

穏やかな会話の中でも駒を進める手は止まらない。

勝利をもぎ取り、己が想いを果たすため。

 

 

 

――鍛錬場――

少女はまだ泣いていた。

少女いやもう一人の女性だろう。

兄と慕う人物を男として好きになり、女としてこの戦いに参加した。

友の季衣はそんな自分を見て戦いに参加した。

だから季衣は迷っていた。

戦う意味に。

普段と変わらない。

他からはそう見えたかもしれない。

だが、季衣も一人の女として悩んでいたのだ。

 

流琉は後悔した。

知っていたのに、

季衣は心配してくれていたのに、

全部気付いていたのに、

これは予想できたことなのに・・・・・・。

 

 

二人の戦いが始まり、数合打ち合った。

「本気だしてよ!!」

「ちゃんと本気だしてるよ!!」

季衣とはいつも打ち合っている。

だからこそ気付く異変。

「嘘言わないで!!」

「・・・・・・・・・うるさい。」

「なによ!!」

「・・・・・・・・・・。」

「季衣?」

一瞬だった。

流琉が放った葉々。

いつもなら季衣なら弾いてしまう一撃。

だが、季衣がとった行動は、

 

ドス!!

 

「季衣!?」

 

何もせず攻撃を正面から受けとめるといことであった。

 

季衣は物凄い勢いで吹き飛んだ。

 

何が起こったのか理解できず、ただ季衣の元に駆け寄る琉々。

「大丈夫!?」

口からわずかに血を流し、季衣は動かなかった。

「いやあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

これが今まで起こった事である。

 

 

そんな二人の前に兵達が現れた。

「・・・・・?・・・・・あなた達は?」

 

 

 

 

――大通り――

人が飛ぶ。

人が飛ぶ。

人が飛ぶ。

 

秋蘭はもうすでに数十人いや百人近く無手で倒している。

普段なら何ら問題が無い。

だが、凪との戦いの疲れを引きずっているため疲れが見えていた。

「っへ、息があがってるぜ!」

「あぁ、勝って三姉妹の一日デートは俺のもんだ!」

「いや、俺のもんだ!」

そういって秋蘭に飛び掛るものから宙に舞い、地面に倒れていった。

 

(さすがに疲れがでてきたかな・・・・・。)

 

(しかし、ここではまだ負けられん!!)

 

 

「っち、意外と頑張るわね。」

「まだまだこれからよ、ちぃ姉さん。」

「・・・・・・・ねぇ~?」

「何よ?」

「どうしたの?」

「あれは何?」

三人の後方から迫る兵達の姿があった。

 

 

――穴の中(霞と真桜)――

「ん~どないやって出よ?」

穴の底から見上げる霞。

しかし、穴の上から縄梯子が投げ込まれる。

「ご無事ですか?」

「おぉ、あんがとな。こっちは大丈夫やで~。」

真桜をかついで霞が上がってくる。

「寝てるだけや、安心し。でもあんたらは?」

 

 

――中庭――

三者三様の悩み方をしている。

遊戯は面白いことになっていた。

桂花は稟に勝っている。

稟は風に勝っている。

風は桂花に勝っている。

絵に描いたような三竦みが成り立っていた。

そんな三竦みも四人目が現れると崩れ去る。

「軍師様方、お迎えにあがりました。」

数名の兵士が中庭に現れる。

「どうしたのよ?」

「何かありましたかね?」

「何でしょうね~?」

 

――玉座の間――

もうすでに何百合と打ち合ってどれだけの刻限がたっただろう。

それでも二人はやめなかった。

確実にどちらから倒れるまでやめることはなかっただろう。

だが二人は今の事態に怒りを向けていた。

二人が打ち合っていた玉座の間に兵が乱入したのだ。

「下がれ!!」

「やめなさい春蘭。我らの戦いをやめさせたほどの理由はもちろんあるわよね?」

「「「・・・・・・・・・・。」」」

二人のはなつ怒気に兵士は完全に縮こまっている。

 

「もちろんあるよ。」

「え?」

扉をくぐって現れたのは今回の景品になっていた北郷一刀。

その驚きの登場に二人はばつが悪そうになる。

「帰るのは明日になるのではなかったのかしら?」

「あぁ本当ならな。でもちゃんと仕事はしてきた。行く街、行く街の人たちに歓迎されたよ。」

「・・・・・・そう。」

「しかも皆が皆、早く戻って曹操様達と一緒にいてくださいって言われたんだよ。だから早く戻ってこれた。一日だけだけどな。」

「・・・・・・・・・・。」

「んで、帰ってきたらこの騒ぎだ・・・・・。」

一刀は手をあげてやれやれといったポーズをする。

「元はと言えばあなたが悪いのよ。」

「そうだ、貴様が悪いのだ!!」

 

「はぁ~、わかってるとは思うけど王らしくないぞ華琳。」

「うるさいわね、今回は王としてではなく女としての戦いよ。これなら文句ないでしょ?」

「開き直らないでくれ。・・・・・・そうかなら俺も男として今回の景品としてやることがある。」

そういうと一刀は華琳の前にたち、

 

「何よ。」

 

ピシッ!!

 

「いたっ!」

 

もてる限りの力でデコピンを華琳のオデコにくらわせたのだ。

オデコを抑えてうずくまる華琳。

 

「一刀、貴様!華琳さまにいったい何を!」

一刀に怒鳴りながら向かってくる春蘭にも、

 

ピシッ!!

 

「はぅ!」

デコピンをくらわした。

普段なら絶対に当てられないだろう一撃も疲れきった状態なら当てることができる。

そして、何も言わず二人を抱きしめる。

「にゃ!にゃにをする!」

「ち、ちょっと一刀!」

 

「ごめん。・・・・・・そして、ありがとう。」

その一言、二人にはそれだけで充分だった。

 

 

そして、兵に連れられ次々と現れる今回の参加者に、

 

「うぐ!」

 

「いた!」

 

「っ!」

 

デコピンをくらわしていった。

そして一人一人抱きしめていった。

ちなみに怪我をしている凪・沙和・真桜・季衣は別室で寝ている。

季衣はわずかに口の中を切っただけで、気絶しているだけという医者の報告を聞いて、

流琉はほっと肩をおろし笑顔が戻った。

だが、

 

「ひゃ!」

 

デコピンをされてまた涙目に戻るのであった。

 

 

一刀にデコピンをされて、皆一刀の前で並ばされている。

デコピンをされてしばらくたつが皆のオデコは赤いまま。

「今回のことは俺が悪いんだ。ごめん。」

一刀は頭を深く下げる。

「皆に迷惑をかけた、これは男としてけじめをつけないといけないと思った。んで考えた結果こうなった。」

「どうなったのよ?」

「まぁ待てよ華琳。」

「嫌なら捨てるなりしてくれ。もし嫌じゃなかったら・・・・・・・・・・いや、詳しいことは箱の中の手紙に書いてあるから各自で確認してほしい。ちゃんと紙の代金は俺が払ったからな!・・・・・出世払いだけど。」

「何か言ったかしら?」

「何でもありません!・・・・・じゃあ各自の部屋に箱があるから確認してくれ。天和達は事務所に置いてある。」

 

「・・・・・・・・ごめんな。皆俺のために頑張ってくれたのに一番を決めるなんて俺には出来なかった。本当にこんな優柔不断で節操がなくてごめん。でも・・・・・そんな俺のために・・・・・・・・皆ありがとう。」

 

一刀の一言を聞くと、皆無言で部屋に戻っていった。

「ねぇ、一刀?」

華琳を除いて。

「ん?どうかした?」

「あなたが戻ってきた日、あなたが何を言おうとしてたのか当ててあげましょうか?」

「やめてくれ、恥ずかしい。」

「さっきの台詞のほうが恥ずかしいわ。」

「・・・・・・仕返しか?」

「当たり前でしょ。私は攻めるほうが好きなの。」

一人の少女の笑みとでも言うのだろうか、華琳は可愛らしい笑顔を残してその場を去っていった。

 

一刀は部屋に戻らず寝ている四人のもとに行った。

俺のために怪我をした、

そういった自責の念が一刀の中にあるからだ。

だが、一刀のそういった考えは無駄に終わる。

四人は元気に笑い声を上げながら、差し入れのお菓子を食べていたからだ。

さすがに四人は一刀が来たことにばつを悪そうにした。

しかし、四人のそんな姿に一刀は笑みをこぼし、デコピンをくらわしていった。

そして、四人に先程と同じ事を言い部屋を後にした。

 

 

 

日も暮れて夜。

一刀は部屋の寝台で横になっていた。

皆に話をしてたから随分と立つ。

そして一刀が手紙の中で指定した刻限まで後少し、そして集合場所は玉座の間。

一刀は様々な思いを胸にしまい、玉座の間へと向かっていった。

 

「まだ、誰もいないか・・・・・さすがに早く来すぎたかな?・・・・・・それとも・・・・・・・。」

一刀の中にわずかに不安が生まれる。

しかし、それも覚悟出来た事と自分に言い聞かせる。

 

誰も来ない。

 

静けさだけが玉座の間を支配する。

 

一刀の中の不安が大きくなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・一刀殿?」

 

静けさを切り裂く声。

 

扉の前に立っていたのは、

 

一刀が来ないと予想していたうちの一人だった。

 

「・・・・・・稟、似合ってるよ。」

 

「そんな嘘は言わないでください。こんな格好、私には似合わないです。」

 

稟が着ているのは純白で体にピッタリと吸いつくドレス。

一刀が稟のために用意したウェディングドレスだ。

装飾は胸元にある白い花の装飾と肩に伸びる花の装飾のみ、マーメドラインタイプのウェディングドレスである。

シンプルな形と黒のグローブが稟のもつ美しさを見事にひきだしていた。

 

「・・・・・本当に似合ってる。用意してよかった。・・・・・・・・・・下手したら着てもらえないと思ってからさ。」

 

「あんな手紙まで用意しておいた人が言うことですか・・・・・。」

 

一刀はウェディングドレスを入れおいた箱の中の手紙に時刻と場所の指定とあと、一人一人に向けた言葉を書いてある。それとこのドレスを着る意味を。

 

稟には、

 

「稟のことを戦友でもなく仲間としてでもなく一人の女性として愛してる。愛人でも

なく恋人になりたい。」

 

と書いたのだ。

 

 

「稟・・・・・・。」

一刀は静かに稟を抱きしめる。

 

「わ、私だって・・・・・あなたのことを愛してるんです!!」

 

「あぁ、ありがとう・・・・・。」

 

「やっと自分の気持ちに気付きました・・・・・・・っあ。」

顔と顔が近づいてゆき、唇と唇が・・・・・・・

 

 

「うーーーーーーー・・・・・。」

 

「「風!?」」

そんな二人を羨ましく見つめていたのは稟の友人の風。

「いい雰囲気ですねー、稟ちゃん。」

 

「え!?えっと・・・・これは・・・・・その・・・・・・・・。」

 

「はは、ごめんな風。似合ってるよ・・・・・・・。」

 

風が来ているウェディングドレスは稟とは違いプリンセスラインと呼ばれるお姫様ドレス。

だが風のドレスは純白ではなく真紅。

それは風の不思議な雰囲気と可愛らしさを女としての妖艶な美しさとしてひきたてている。

「・・・・・・・そんなありきたりな言葉では風は喜ばないのですよー。」

頬を膨らませ、明らかな不満を表す。

 

「ならこうだ!」

 

「ほおぉぉ!?」

一刀は風を抱き上げる。文字通りお姫様だっこだ。

 

「・・・・・・・許してあげるのです。」

 

「ありがと。」

 

風が満足したのを見て一刀は風をおろす。

「ねぇ、風。」

「なんでしょう?」

「風の手紙には何て書いてあったの?」

「それは秘密なのですよー。」

三人の間には暖かい空気が流れる。

 

しばらくして、扉のほうから駆け足が聞こえてくる。

足音の主は霞。

 

「一刀~~~~~~~!!!!!」

そして、もの凄い勢いで一刀にドレス姿の霞が飛びついた。

 

「おっと、危ないぞ。」

一瞬よろめくが、そこは一刀が男の意地で踏ん張った。

 

霞のドレスは純白のスレンダータイプのドレス。

普段まとめている髪をおろして、白のグローブをつけている。

体のラインに沿う細身のドレスで、大人の女性な霞だからこそ似合うドレスである。

「うち、めっちゃ嬉しい。」

そういう霞の目は涙が溢れんばかりになっている。

 

「どういたしまして。」

一刀は霞の頭をやさしく撫でた。

 

「・・・・・・これで一刀とずっと一緒にいれるんやね。」

 

「そうだよ。」

霞の頬を涙がつたった。

 

 

そして次に現れたのは北郷隊の三羽烏。

三人のドレスはエンパイアラインタイプのドレス。

エンパイアラインドレスとは一刀の世界のギリシャ世界の女神達が来ているドレスから形をとったもの。

まだまだ幼さが残る三人を見事大人の女性として引き立てている。

 

「あ、あの一刀さま・・・・・似合っていますか?」

 

「あぁ、とても凄く。」

不安そうだった凪の顔が明るくなる。

 

「ちょっと、うちらもいんねんから。凪ばっかりかまったら、嫌いになってしまうよ。」

 

「そうなの。女の子の晴れ姿なんだからちゃんと見てほしいの。」

 

「悪い悪い・・・・・・・・・二人ともよく似合っている。」

その言葉で二人の顔も明るくなる。

 

「これで、うちら正真正銘・・・・・か、一刀のものやねんな。」

 

「そ、そうなの。そうだよね?・・・・・・一刀さん。」

 

二人は凪から話を聞いていた。

女として自分はもう隊長ではなく一刀さまと呼ぶことにしたと。

そして、そんな凪の話を聞いて二人は自分達もとっ思い、思い切って呼んでみる算段をしていたのだ。

そしてそんな二人に対し笑顔で返事を返す。

「もちろんだよ。」

 

「・・・・・・・おおきに。」

 

「うれしいの。」

 

「私もです。」

 

 

そして何やら騒がしくやってきたのは季衣と流琉。

二人は風と同じプリンセスタイプのドレスで、季衣は薄いピンク色・流琉は淡い緑色をしている。

そして二人とも普段と違い髪をおろしていた。

少しでも大人の女性に近づきたいという二人ならではの表れであった。

 

「ねぇ~やっぱりこれ動きにくいよ~。」

 

「文句言わないの。それにこの服を着る意味だってわかってるんでしょ?」

 

「わかってるけど・・・・・でも、動きにくいものは動きにくい!」

 

「もぅ、季衣の我が侭!」

 

「おいおい二人ともここで喧嘩は駄目だよ。」

二人の間に一刀が割って入る。

 

「うぅ~、兄様~。」

 

「兄ちゃん、流琉がぁ~。」

 

「わかったわかった。」

二人の頭をくしゃくしゃと撫でる。

いつもと変わらない二人。

そんな二人を見て心の底からこの日に感謝する一刀であった。

 

さらに騒がしかったのが張三姉妹。

三人のドレスはミニタイプといって短いスカートが特徴的なウェディングドレスだ。

一刀は舞台でも着れて歌も歌えるようにと思ったのでこのドレスを選んだのだ。

 

「ちょっと一刀!なんで私達はお揃いなのよ!」

 

「嫌か?」

 

「・・・・・・べ、別に嫌とかじゃなくて何か手抜きしたかと思ったの!」

 

「そんなことするもんか。ちゃんと三人の事を考えて作らせたんだから、あと三人同じに見えて微妙に違う。そこが俺のこだわったとこだ。」

 

「ふん!・・・・・ならいいわよ。」

 

「一刀~ありがとう~。」

天和が自慢の胸を一刀に押し付けながら腕をつかむ。

 

「一刀さん、嬉しい。」

負けじと人和も胸を押し付けてくる。

 

「ちょっと、ちぃも仲間に入れなさい!」

 

「うわ!ち、ちょっと三人とも当たってるって!」

 

「何がかな~?か・ず・と。」

 

「うるさいわね、嬉しいくせに。」

 

「ごめんなさい。でも、姉さんたちには負けられえないの。」

 

(ち、違う!確かに嬉しい男としてかなり嬉しい・・・・・が!みんなの視線がかなり痛いんだー!!!!)

 

「「「じーーーーーー。」」」

先程から背中に突き刺さる視線が痛い・・・・・痛すぎる!!

 

「あれ?興奮したのかな~?汗かいてるよ?」

 

「そ、そんなことないよ。」

(それは、冷や汗だー!!!!)

 

「一刀殿・・・・・やはり胸の大きさで選ぶのですね!」

 

「うううううーーーーーーーーーー・・・・・。」

 

「兄ちゃん・・・・・。」 「兄様・・・・・。」

 

(だ、誰か俺を助けてくれーーーーー!!!!)

 

「うちらまだ胸あるから安泰やなー。」

 

「っな!?」

(それは助けではないですよ、霞さん!)

 

「で、ですが・・・・・一刀さま・・・・・・・不潔です。」

グサッ!!

 

「うちかて胸ある方やけど、それは無いわぁ。」

グサグサッ!!

 

「さすがにそれは無いの、一刀さん。」

・・・・・・・チーン

 

「もう、何も言わないで。お願いします。」

(心がもたない、俺の心が・・・・・・・。どこからともなく般若心経が、俺の心を癒して・・・・・・・・。)

 

 

「いったいこれは何の騒ぎ?」

やんややんやの騒ぎの中に響く一つの凛とした声。

 

「そうだぞ、何の騒ぎだいったい?」

 

「姉者も華琳さまも、仕方がないことですのでここは穏便に。」

 

「・・・・・・・・・・・・・。」

 

やって来たのは純白のAタイプのウェディングドレスを着こなしている華琳・春蘭・秋蘭の三人と後ろでこそこそしている一名。

Aタイプとは一般的なウェディングドレスだが、逆を言えば王道のドレス。

このドレスを着こなすあたりさすがと言うべきだろう。

 

さて、後ろに隠れているのは・・・・・

 

「桂花・・・・・・・。」

 

「な、何よ・・・・・・・・・・。」

 

「大好きだーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

「ち、ちょっと離しなさいよ!!孕むでしょ!!」

 

「ぜひ、俺の子供を孕んでください!!大切に育てるから!!」

 

「っな!!!!ふざけなで!!この万年発情男!!・・・・・・・・・・しかも何で私のだけ皆と違うのよ!?」

桂花の着ているのはウェディングドレスではなく白無垢なのだ。

白無垢、伝統的な日本の花嫁衣裳だ。

 

「それは、俺がいた世界でなおかつ俺の住んでた日本の伝統な結婚衣装なんだ!」

 

「それってどういう意味よ。」

 

「桂花ならこっちの方が似合うと思って、あとやっぱ特別な存在だから。」

 

「・・・・・・・・・・・・ふん!・・・・・・・・・ありがとう。」

顔を赤くして後の言葉は小声だった。

 

だけど、その小声すら一刀は聞き逃さなかった。

「大好きだーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

一刀は桂花を持ち上げ振り回した。

「きゃーーーーーーー、変態ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

「はぁ~。」

 

「どうしましたか?」

 

「一刀との間に子供ができたら、一刀はとんだ親バカになりそうね。」

 

「ふふっ、良いではないですか。・・・・・ところで姉者、そんなに同じ事をしてほしいのか?」

春蘭は羨ましそうに二人を見つめていたのだ。

 

「にゃ、にゃにをいう!?」

顔が一瞬で真っ赤になる。

 

「それでは認めてると同じだぞ。」

 

「うぅぅぅ~~~~。」

 

 

「ちょっと一刀。」

華琳に呼ばれて我に戻り、桂花を開放する。

「・・・・・・・・・華琳。」

 

「私にも言うことがあるのではなくて。」

 

「・・・・・・綺麗だよ。そして、愛してる。」

 

「・・・・・・・・バカ。」

唇と唇が軽く触れ合う。

 

「ほら、はやく春蘭と秋蘭にも何か言いなさい。」

 

 

「綺麗だよ二人とも・・・・・今すぐ食べたいくらいだ。」

 

「こ、こんなとこで何を言ってるんだ!」

赤みがさらに増す。

 

「私はかまわんぞ。」

 

「し、秋蘭まで!」

 

「冗談だよ、姉者。」

 

「残念。」

 

「ふふっ、後で楽しみにしている。なぁ?姉者。」

 

「わ、私は・・・・・そ、その、だな・・・・・・・・・・。」

 

一刀はひとしきり楽しんだ後、一刀は皆と向き合った。

「本当に今日はありがとう。・・・・・後はこれを皆に受け取ってほしい。」

取り出したのは指輪。

 

「俺のいた世界だと、結婚する相手にエンゲージリング、まぁ結婚指輪って言うのかな?確か。それを渡して結婚が成立する。」

 

「だから、受け取ってほしい。」

 

一人、一人指にあった指輪を渡している。

 

「とりあえず、指輪が小さいと感じるようになったら言ってくれ。大きくしていくから。」

 

「それは、私達が太るというとでもいうのかしら?ね、一刀。」

華琳が不敵に笑う。

 

「・・・・・わかったから、いじめないでくれ。」

 

「ごめんなさい。・・・・・気遣ってくれてありがとう。」

そう、まだ華琳や風などはまだ成長するためだ。

それは凪達と言えども例外ではなくそのための一言。

 

 

皆が指輪をもらい喜びの笑顔を浮かべている。

そんな顔を見て、心より安堵と達成感にみたされる。

そう、あの言葉を聞くまで・・・・・

 

「ねぇ一刀。」

 

「ん?どうかしたか華琳。」

 

「一刀の国でのその婚礼の儀式って他に何かあったの?」

 

「そうだな、俺もやったことがあるわけじゃないからな。」

 

「当たり前よ。いくらあなたが魏の種馬でも私達以外との結婚経験まであったらたまらないわ。それにどんな昔の英雄だった人間でも、こんな大勢と一度に婚姻したのはいないわよ。」

 

「耳が痛い限りです。」

 

「で、知ってる限りでいいのだけれど?」

 

「そうだな。本当は結婚式場で婚姻の儀を執り行って、その中で友人代表とか親戚代表とかが二人への祝辞を言って・・・・・・あとはウェディングケーキっていう大きい祝いの時に食べるお菓子?かな・・・・・・それを、二人で切って皆に渡して一緒に食べる。んで、さっきみたいに指輪を渡して終わりだけど。」

一刀の説明を皆熱心に聞き入る。

 

「ねぇ、兄様。そのけーきのつくり方を教えてください!」

「あぁ、知ってる限り教えてやるよ。んで、できたら俺に一番に食べさせてくれな。」

「はい!」

「ずるいよ兄ちゃん!ボクも食べる!」

「じゃあ皆で食べような!」

「もぅ・・・・・楽しみにしててね季衣。」

「うん!」

 

 

「で、他にはないの?」

「他にかぁ~。」

力いっぱい悩む一刀。

そして、何を考えたか出してはいけない答えを出してしまった。

「まぁ~、本当はブーケっていう花束を投げて結婚してない女性が次結婚しますよって占い?みたいなあとは・・・・・・・・・・・そのまま、新婚初夜とか新婚旅行とか・・・・・・・ん?」

「ねぇ一刀?新婚初夜というのは?」

「なぁ一刀?新婚旅行ってなんなん?」

(しまった!!)

「どうしたのよ?」

「えっとだな・・・・・新婚初夜というのは・・・・・・・・・・。」

「閨を共にするということでしょ?意味合いは。」

「・・・・・・・・・・・はい。・・・・・普通に答えただけだ、いやらしい思いはない!」

「わかってるわよ・・・・・・ふふっ。」

「なんだよ。」

「いえ、なにもないわ。」

 

「なぁ~新婚旅行っていうのは何なん?」

「そのままだよ、結婚した後そのまま旅行に行くんだ。初めての思い出作りかな。」

「へぇ~~。」

眼を輝かせているのは霞と三羽烏。

 

(俺は何てバカなんだろう。)

 

「じゃあ一刀はこれから皆の相手してくれるのかしら?」

「はい?」

(さすがに無理ですよ、華琳さん。)

「じゃあ、決めなくてはね。順番を。」

「いやいや、それはさっきやめさせた・・・・・・・。」

「じゃあ皆の相手をする?」

「・・・・・・・・・・ごめんなさい。」

(謀ったな!・・・・・俺の自滅っぽいけど!)

 

そんな中、でてしまった禁断の一言。

 

「ねぇ、兄ちゃんは誰が一番すきなの?」

「それは、私も聞きたいです。」

二人が俺を一心に見つめてくる。

「・・・・・それは、さすがに選ばないよ。」

「却下よ。」

「うむ、その通りだな。」

「男らしくないぞ。」

「そうだよね~。」

「ねぇ、一刀は誰が一番なの?」

「一刀さん・・・・・・。」

 

(そ、そんな眼で見つめてくるな!)

 

「風、稟、助けてくれ!」

「さすがに私も気になるとこなので。」

「ふふっ、人の気持ちとは、そんな簡単なものじゃないのですよ。」

「何が!?」

「どんな甘い言葉を言われても、女の意地は消えないということです。」

 

(・・・・・・・ですよねー。)

 

「さぁ、決めてもらいましょうか一刀。」

すっと、どこからか絶を持ち出す。

「いつのまに!?それに命がけですか俺!?」

「当たり前よ。あなたが結婚を申し込んだのは魏の将よ。」

「答えになってない!!」

逃げ出そうとする一刀。

「逃げさせん!一刀!」

「観念しろ。」

春蘭と秋蘭が一刀の逃げ道をふさぐ。

 

「一刀さま・・・・・私は新婚旅行に興味があります。」

「うちもや、一刀。」

「皆で行くのー。」

三羽烏が興味があるのは新婚旅行。

 

「うちも、旅行に興味あるな。」

猫目をギラギラ輝かせる霞。

 

「じゃあ、旅行組みは後でいいかしら?」

 

「はい。」

「うちらは旅行の時に可愛がってもらえればいいよ。」

「えへへへ・・・・・。」

(そこ!顔を赤くしてクネクネしだすな!)

 

「うちもそれでええよー。」

(霞も!)

 

 

「じゃあ、行きましょうか一刀。」

 

「いやあぁぁぁ~~~!!!!」

無残な叫び声とともに暗闇に引きずられていった。

そして、なぜか桂花はいつの間にやら風と稟に拘束されていた。

「んんん~~~~~!!!!」

 

 

「ん?季衣たちはええの?」

「はい、さすがに大勢は恥ずかしいです。」

「あとで、いいもんねー。」

「ちょっと季衣!何言ってるか、わかってるの?」

「わかってるよーだ。」

どうやら季衣は少し大人になったようである。

 

 

 

 

その日から三日間、城内でも城外でも一刀の姿を見たものはいなかったという。

そして四日後、侍女や兵の話によるとフラフラになった一刀が中庭で白くなっていたという。

一刀とは逆に魏の将は肌がつやつやだったとか何とか・・・・・。

 

 

 

一刀が魏に戻って告白してから幾許の年月がたった。

魏の将達の結婚が判明したときは、日夜お祭り騒ぎで凄いことになっていたが、

逆に張三姉妹のファンは意気消沈だったとか・・・・・。

 

そんな喧騒が懐かしく思える平和が今の三国にはあった。

 

――魏、中庭――

一刀が大の字に木陰で昼寝をしている。

しかし普段とは光景が少し違う。

一刀を囲んで一緒に寝ている小さい者達がいるのだ。

 

「まったく・・・・・これが魏の三国の平和をつくった功労者の姿かしら。」

「良いではないですか。平和な光景です。」

「しかし、幸せそうだな。」

「どうかしらね?」

「あら、桂花。あなたの娘が一刀の上で一番幸せそうよ。」

寝ているのは一刀と一刀の間に生まれた魏の将の娘たち。

それを見つめるのは華琳・春蘭・秋蘭・桂花の四人。

一刀ともっとも古い付き合いで、共に乱世を駆けてきた四人。

 

 

「んんん~~~、華琳愛してる~~~~~。」

 

 

「どんな夢を見てるのかしら。」

「それだけ愛されているのですよ。」

「それは皆も同じよ。」

「ですが、やはりそれでも特別だと思います。」

「春蘭に言われると本当にそうなのかしらね。」

「まったく、あの万年発情男は・・・・・。」

「妬かないで、桂花。」

「そ、そんなつもりではありません!」

「そう言う事にしておくわ。」

「華琳さま~~~。」

 

笑い声が響く。

 

女として、

 

母親として、

 

その喜びをかみ締める声。

 

 

「一刀、私もあなたのこと愛してるわ。」

 

 

 

~愛、千里~ 後編 完

 

 

 

~おまけ~

本当に今まで自分の駄文に付き合ってくださってありがとうございます。

これにて魏END 外伝は終わりになりますが、自分自身書きたい物語があるのでそのつどよろしくお願いします。終わりとはいいましたが、短編と長編を投稿予定です。

 

では予告コーナーです!!

 

「今回で終わりなんて意外と寂しいわね。」

「でも、次の作品があるらしいわよ。」

「実はね~~。」

「どうしたのよ姉さん?」

「じゃ~ん。」

「そ、それはまさか予告!?」

「そうなの~さっきはこれを取りに行ってたの。」

「じゃあ、秘密の内容ってこれ?」

「そうよ。」

 

「三人同時に言うわよ!」

「もぅ~仕方ないなぁ~。」

「楽しみね。」

 

「「「次の予告です!では、どうぞ!!」」」

 

 

 

 

時は三国時代と呼ばれた時代・・・・・。

しかし皆が知っている三国時代ではない。

ここは外史。

北郷一刀が活躍した外史の三国時代。

 

呉では魏を破り、蜀と共に平和をつくった。

 

魏では、愛する者の夢を叶え消えていった。

 

蜀では、三国同盟をつくり大陸に平和をもたらした。

 

今回は・・・・・・・・・・

 

 

魏、玉座の間

「華琳さま・・・・・今回の乱の首謀者ですが・・・・・・・・北郷一刀という男です。」

一刀が乱を呼ぶ!

「そう・・・・・誰であろうと我が覇道を邪魔する者は許さないわ。」

 

 

呉、玉座の間

「どうするのだ、雪蓮?」

「決まってるわ・・・・・北郷一刀を殺すわよ。」

孫呉も敵!!

 

 

そして・・・・・蜀は・・・・・・・・・・・

 

燃えている。

 

家が、

 

人が、

 

燃え盛る炎の中、

 

子供の亡骸をかかえ泣き叫ぶ少女が一人。

 

「わ、私は・・・・・北郷一刀を許さない!!」

 

その少女は・・・・・・劉備玄徳。

 

北郷VS劉備

 

 

北郷一刀が大陸を全てを敵にまわして何をするのか!?

 

「俺にはやらなくちゃいけないことがある・・・・・・・。」

 

全てを犠牲に全てを救うため・・・・・悲しい男の戦いが今はじまる。

 

 

作者 南風

 

主演 北郷一刀・厳顔・魏延・黄忠・徐庶(オリジナル)・法正(オリジナル)・張松(オリジナル)

 

 

次回、心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

新たなる恋姫†無双がついに開幕!!

 

 

「お館ーーーー!!!!」

 

北郷一刀、戦場に死す。

 

※この作品はオリジナルキャラや設定が多くありますので、そういった作品が苦手な方は申し訳ございません。そして、史実の三国とはおおいに違いますので、そちらも苦手な方はよろしくお願いします。

 

 

 

 

同時進行。

~そんごけ~

この物語は孫呉三姉妹の平凡な日常を淡々に書いたものよ。

過度な期待はしないでね。

あと部屋は明るくしてPCから1尺は離れて見てね。 By小蓮

 

※この作品は真・恋姫†無双との進行とは一切関係なく進みます。なので、お隣さん的な存在で様々な武将が登場しますので、苦手な方は申し訳ありません。ですが時代は三国時代ですのでよろしくお願いします。

 

 

 

 

「今度は私達の出番ちゃんとあるのかしら?」

「さぁ?どうでしょうね。」

「でもでも、何か楽しそうだよ?」

「まぁいいわ。皆今まで本当にありがとうね!」

「じゃあ、また次の作品で。」

「まったねぇ~。」

 


 
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