No.65092

やってきました! 年に1度のあの日が!! <前編>

ユングさん

真・恋姫無双をモチーフにした小説です。
蜀ルートの袁紹組にスポットを当てています。

2009-03-24 22:44:11 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:4977   閲覧ユーザー数:3901

【やってきました! 年に1度のあの日が!!】

 

~前編~

 

「ふぅ...退屈ですわね」

南皮から遠く離れた蜀の地で客将(居候?)となったさる名家の御令嬢は、

誰に向かうとも無く呟いた。

「斗詩ぃ、あたいも暇だよぉ~」

「もう。麗羽様も文ちゃんも我侭言わないの。」

「そんなことも言っても暇すぎて頭がおかしくなるよ~」

「あら?猪々子さんにおかしくなる頭がありまして?」

クスクス笑いながら袁紹は文醜のおでこを指差した。

「うわっ!ひっどいなぁ、麗羽様。あたいと大して変わらないくせに...

って、いひゃい(痛い)!いひゃひっへ(痛いって)、ふぇいふぁ様~(麗羽様~)」

「ど・の・口が!!おっしゃるのか・し・ら?」

文醜のほっぺたをまるで点心の皮を練る様にこね回す袁紹。

「こんなに遊んでるのにどこが退屈なんだろう? あれ?」

首を傾げつつ一点を見つめる顔良に袁紹は

「なんですの? 何か面白いものでも見つけましたの? 斗詩さん?」

「いえ、ただあそこに皆集まってるからなんだろうって...?」

「何やら楽しそうですわね...行きますわよ!! 文醜さん!顔良さん!!」

「「アラホラサッサー」」

「文醜さん...顔良さん...ふざけてるとお仕置きですわよ?」

 

 

「そうか。もうそんな季節なんだなぁ」

「ええ、ご主人様。我らが桃園で誓いを立てたのは今頃でした。」

「そうだねぇ...綺麗な桃の花だったよねぇ」

「そうなのだ!あの時飲んだお酒はとってもおいしかったのだ!!」

若干会話の歯車が噛み合わない台詞もあったが、

劉備・関羽・張飛そして一刀は陽光暖かい庭で昔を懐かしんでいた。

 

「雛里ちゃん、私達が水鏡女学院に入学したのも今頃だよね。」

「そうだね、朱里ちゃん。」

お茶を入れながら蜀の誇る2大軍師も遠いあの日に思いを馳せた。

 

「何かを始めるには丁度良い時期なんだろうな」

椀に注がれたお茶をすすりながら一刀は感慨深げに言った。

 

・世を憂い、常山より出でて君たらん者を見定めようと決意した星。

・漠然とではあるが、だが確かに視線の先には庶人の安寧を見続けた白蓮。

・五胡の襲来で対抗すべく初めて軍を率い、見事撃退して西涼を守ると誓い合った翠と蒲公英。

・宦官の悪政を少しでも取り除き、庶人を助けると頷きあった月・詠・恋そしてねね。

・都に負けない位の良い国を作り民の笑顔を望み、杯を酌み交わした紫苑と桔梗。

・とにかくおいしいものが食べたいと騒ぎあった美以達南蛮娘。

皆それぞれに記憶の奥底に手を差し伸べた。

 

「皆なんだかすごいね。文ちゃん、私達も何か決意したことあったかなぁ?」

「どうだろ?あたいはとにかく強い奴と戦ってうまい飯が食えれば良かったからなぁ。」

「ちょっと文醜さん顔良さん? そんな両手に枝を持って何を真面目な顔して言ってるんですの?

似合いませんわよ?」

「「麗羽様?両手に枝どころか顔を手拭で隠してる人が何言っても説得力ありませんよ?」」

「ぐっ(汗)」

かたやお互いを認め合い、それぞれの昔話に華を咲かせる蜀将達。

かたや知らない人間が見れば真っ先に警邏に通報されそうな3人組...

 

 

「そういえば桃や桜の時期ということは、そろそろアレの日か」

「ほぅ主よ、あれの日とはなんです?」

いつの間にか茶碗が酒盃に変わっている星が一刀の一言に興味を持ったのか身を乗り出して聞いた。

「まぁとりあえず月の思ってる日じゃ無いことは確かだが」

「へぅぅぅ」

何を勘違いしたか顔を真っ赤にした月と今にも飛び掛ってきそうな詠に微笑みつつ一刀は続けた。

「俺のいた世界では1年に1度だけ嘘を吐いても良い日があるんだ。」

「嘘ってなんだよ。あたしは嘘なんて嫌いだし無い方が良いに決まってると思うけど。」

何が楽しいのかとハテナマークを頭に浮かべた翠に一刀は続けた。

「嘘って言っても悪意の無いものだよ。例えば「俺が愛紗と一日中稽古するぞ!」とかな。

人の生き死にに関わったり、傷つけたりするのは駄目だ。」

横でため息を吐いた愛紗が

「はぁ嘘ではなく、本気で稽古してくださる日は来るのだろうか...」

とぼやく。

何やらヤバい雰囲気が出てきた為、愛紗をスルーしつつ

「まぁ纏めると無理に嘘を吐くことも無いけど、

大らかな気持ちでいようって日のことだね。」

 

 

「ちょっと聞きまして?文醜さん?」

「はい!バッチリ聞きましたよ麗羽様!!嘘を吐いても許されるなんていい日ですね~」

目を輝かす二人に

「二人とも、無理に嘘を吐かなくても良いってご主人様も言ってるよ?」

と柔らかすぎる釘を無駄だと思いつつ差す顔良。

その言葉が終わる間もあらばこそ、袁紹と文醜はまるで曹操から追われたあの日の様な

速さで何処かへ駆けていった。

 

 

「麗羽様も文ちゃんも何がしたいか予想は付くけどね...」

と半ば諦めつつ、それでも顔良も嬉々とした思いを止めることは出来ずに二人を追いかけていった。

 

 

<続く>

 

 

性懲りもなくまた書いてみました。

そろそろエイプリルフールなので仕事中に頭に浮かんだものをまとめてみました。

まだまだ稚文・乱文ですがご指摘等頂けたら幸いです。

 

 

先日初投稿した後で応援メッセージを頂戴しました。

早速お返事したかったのですが見習い中は見れないそうで....(TT)

後編を投稿すれば見れると思いますので、その時にお返事させて頂ければと思います。

すみませんm(_ _)m


 
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