No.650891

模型戦士ガンプラビルダーズI・B 第12話

コマネチさん

第12話「狼達の決戦」

ヤタテ・アイ、コンドウ・ショウゴ
二人はガンプラバトル大会へ向け万全の用意を整えた。
そしてついに来た!大会の日が!

2014-01-01 23:07:49 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:1026   閲覧ユーザー数:1006

「ここか……」

 

肌寒い冬の朝。ミヨ・ムツミは市民体育館を見上げ、呟く。

 

「でっかいねぇ。どんだけの人が出るのかな?」

 

隣にいたフジ・タカコが続く。

 

「さぁね、でもアイちゃんやナナの晴れ舞台だ……。しっかり応援しなきゃ……」

 

そう、二人はアイとナナがガンプラバトル大会に出るということで応援に来たわけだ。

応援するからには自分たちも全力でやろうとムツミは気合を入れる。

 

「行こう……。タカコ……」

 

「ねぇねぇ君達ぃ、ガンプラバトルでんの?よかったらお姉ちゃんのインタビューに答えてくれないかなぁ。あと写真も」

 

が、当のタカコは後ろにいた少年二人(小学生)に目を輝かせながらインタビューをしようとしていた。

 

「……」

 

直後ムツミがタカコの首筋を掴み会場に引きずっていったのは言うまでもない……。

 

 

ムツミ達がロビーに入り程なくしてアイ達は見つかった。既にナナとコウヤもパイロットスーツを着て準備はOKだ。

三人はロビーのベンチに座りながら開会式を待っていた。

 

「アイちゃん……」

 

「あ、ムツミちゃん。来てくれたんだ」

 

ムツミが声をかけるとアイ達はすぐさま反応した。

 

「大会頑張ってね……応援してるから……」

 

「へへっ!任せとけって!俺がついてるんだからよ!」

 

アイの代わりにコウヤが自信ありげに答える。

 

「自信あっていいわね……アタシなんかガチガチだわ……」

 

反面ナナは強く緊張していた。初めての大会だ。こういうのには慣れてない。

 

「大丈夫だよ。今まで練習してきたんだし、ナナちゃん頼りにしてるから」

 

アイがフォローを入れる。言葉に気休めや嘘はない。ナナもそれを分かっていた様だ。

 

「アイ……そう言われたんなら答えなきゃね」

 

「優勝したらアイちゃんの好きな牛丼……皆で食べに行こうよ……」

 

そしてそれを見ているムツミも、アイ達が優勝すると信じていた。

 

「あ、ムツミそれ敗北フラグ」

 

「タカコ……黙って……」

 

 

そして開会式も終えて参加者全員がGポッドに入る。参加した近隣のビルダーは40人にも上った。

ムツミとタカコも観客席から40個のGポッドを見下ろしながらアイ達の身を案じる。

天井には四方の観客席の方向に向けて大型モニターが吊るされている。そこから観客はバトルが観戦出来るわけだ。

 

「凄いね~、Gポッドや会場の大きさだけでなくステージも大きいんだ」

 

タカコがパンフレットを読みながら言った。

 

「40人も出るからね……。そりゃそれだけ広くもなるよ……」

 

パンフレットに表示されるステージは『デブリベルト・ユニウスセブン』

プラントと呼ばれるそれは『ガンダムSEED』という作品におけるコロニーであり、

核ミサイルを撃ちこまれ、戦争のきっかけとなった因果の地である。

全長8kmにも及ぶ廃墟は、ガンダムが戦争を扱った暗く重たい作品である事を見せつけるかのようであった。

宇宙で大量にデブリの漂う中、衛星軌道を漂うそれは、宇宙に浮かぶ朽ちた島そのものだった。

 

「それでは!ガンプラサバイバルバトルを開始します!」

 

そのアナウンスと共に全ビルダーが仮想の戦場へ飛び立つ。

 

「ヤマモト・コウヤ!アメイジングレジェンド!」

 

「ハジメ・ナナ!ストライクI.W.S.P.!!」

 

「ヤタテ・アイ!ガンダムAGE2Eフェンリル!!!」

 

『出ます!(出るぜ!)(出るよ!)』

 

 

それぞれのビルダーが己を鼓舞する様に叫ぶ。そして母艦からアイのフェンリル、ナナのストライク、コウヤのアメイジングレジェンドが出撃した。

もう戦闘は始まってるのだろう。遠くで爆発の光が見えた。

 

「早速始まってる!」

 

「部長たちとも戦わなきゃいけない!気を引き締めていこうぜ!」

 

「模型部ねぇ……で、思ったんだけど」

 

「?何ナナちゃん」

 

「なんでアタシらのチーム名『山回高校模型部(補欠)』なわけ!?」

 

そう、アイ達のチーム名はいつの間にか模型部部長のコナミの手によって勝手に登録されていた。

 

「いや部長の横暴は悪いと思うけど我慢してくれよ!」

 

「納得いかないわよ!バトルで会ったらただじゃおかないんだから!」

 

「私だって納得いかないけど今言ってる場合じゃないよ!早速私達にも来たよ!」

 

「!?」

 

そう、高速でアイ達に近づいてくる機影が三機。『ガンダムAGE』に登場した黒い二足歩行のトカゲの様な機体『ゼダス』だ。

下半身を後ろに倒すという簡易的な変形により飛行形態が取れる機体だ。三機ともその形態で突っ込んできた。

 

「ガッテン!迎え撃つぜ!」

 

ロングライフルを構えるコウヤのレジェンド、

 

「待って!ここは私に!」

 

そう言うとアイはフェンリルをストライダー形態に変形、ウォーミングアップといわんばかりに三機のゼダスに突っ込んでいった。

 

「あ!アイ!」

 

フェンリルが突っ込むとゼダスは散開する。アイは一機に狙いをつけ追いかける。追われるゼダスは振り切ろうとするがフェンリルのスピードは凄まじく振りきれない

それを別のゼダスがフェンリルを追いかけながら両手のビームバルカンを放つ。だがフェンリルは機体を高速で左右に動かし回避する。

アイはブーストのタイミングを使いこなしていた。

 

「逃がして!!たまるかぁっ!!」

 

フェンリルは前方のゼダスを機首部分のドッズランサーで貫いた。と同時にドッズランサー下部のビームガトリングガンを発射、零距離射撃によりゼダスは爆発。

それにより発生した爆風がフェンリルを包む。後方にいたゼダスは爆風の所為で状況を確認できない。かなり近い位置だった。

だがその時、突然ゼダスに乗ったビルダーのGポッドに警告音が走った。

 

「!?」

 

ゼダスのビルダーは状況を確認しようとする。直後、ゼダスの脳天はドッズランサーで貫かれた。状況が解ったと同時にゼダスのビルダーは敗北を悟った。

 

「このっ!よくも仲間をっ!」

 

残ったゼダスがフェンリルに向う。身構えるフェンリル。だが直後そのゼダスを二つの弾丸が機体を砕いた。

 

「何っ!?」

 

ゼダスのビルダーが弾の飛んできた方向を見るとストライクI.W.S.P.とアメイジングレジェンドがいた。

こっちを狙って撃ったのだと理解。同時にゼダスは爆散した。

 

「ちょっとアイ!一人で突っ走らないでよ!」

 

「そーだぜ!俺達だっているんだから!」

 

「あ、ゴメンね二人とも。早く機体を暖めておきたくて……ッ!?」

 

突如アイのGポッドに警告音が響いた。多数のビームが地上からフェンリルの側面を狙い飛んでくる。

アイは高速で前へ出て回避。飛んできた方向に向くも、それが誰のビームなのか覚えがあった。

 

「ザクⅣ!ソウイチ君!」

 

「覚えていてくれたんでスか?光栄ッスよ」

 

地上の廃墟からソウイチの機体が姿を現す。赤いザクⅢの改造機、ザクⅣだ。今回は右手にハンドガンの代わりにフェダーインライフルというロングライフルを装備していた。

 

「俺も忘れないでくれよ?」

 

「!?ツチヤさんも!」

 

アイが反応すると同時に戦闘機が突っ込んできた。両サイドにインパルスのエクスカリバーが取り付けられた左右別々の色の戦闘機、バウ・ナッター。

アイはバウ・ナッターの突撃をかわしつつ、ビームガトリングガンで応戦。それにナナとコウヤも援護射撃を行う。

 

「アイ!今のうちに離れて!」

 

「クッ!やっぱり仲間も無視できないか!」

 

ツチヤはかわしながらバウを合体させ距離を取る。

 

「いきなり真正面から攻めてくるなんて!アンタ達作戦とかないわけ!?」

 

「考えなしと勘違いしないでくれ。今回はステージ的にやり辛いんだよ」

 

「それに俺らあんま小細工が通用するとも思ってないッスよ」

 

「ステージ的に!?どういう事!……ッ!?」

 

アイが言葉を返そうとしたその時、ガガガッ!と耳をつんざく音が聞こえてきた。何か硬いものを掘るような音が、

 

「始まった。見てみなよ」

 

ツチヤのバウがビームライフルである方向を示す。アイが見るとそこには三脚で立つ大型の緑色の物体があった。

それがユニウスセブン中に至る所に配置してある。

物体は中心部に取り付けられたドリルで地面を掘っている。ドリルはそのまま地面の中に消えた。

 

「あれってまさか……」

 

「あれって何よ。アイ」

 

「メ!メテオブレイカーだ!!」

 

疑問を持つナナにコウヤが答えた。メテオブレイカー、SEED(シード)の続編、SEEDDESTINY(シードデスティニー)でユニウスセブン破砕に用いた大型掘削機だ。

元々は小惑星破砕に用いられる物で、一定深度まで穿孔した後、ドリル部が爆発して隕石を砕く物だ。

 

「あれをここで使うって事は……まさか!!」

 

「まさかってどういう事よ!」

 

ナナが疑問を投げかけると同時にドンッ!と地中で爆発するような音がし、全長部8キロにも及ぶ大地に亀裂が入り火を噴き上げる。そして……

 

「何なの!?」

 

「ブレイク・ザ・ワールド……崩壊するユニウスセブン」

 

 

観戦してるタカコとムツミもその光景に絶句していた。

 

「何あれ!?」

 

「火を噴いたラインに沿って……ユニウスセブンが……割れる……!?」

 

 

同時に画面に小さく残り時間のタイマーが現れる。タイマーは画面上で『大気圏突入まで後5分』と表示されていた。

 

「そう、これはSEEDDESTINYの崩壊し地球に落ちるユニウスセブンの再現ステージだ。アニメ本編とはちょっと違う仕様だがな!」

 

「その声!コンドウさん!!」

 

ユニウスセブンの向こう側、地球をバックに一機のモビルスーツが腕組みをしながら立っていた。細身の肢体に頭部に立つ二本の鍬形、ガンダムOOのスサノオだ。

見た目にも変化の見られる改造が施されており、元々黒だったボディはマルーンに塗装されており

背部にはジャスティスガンダムの背部ユニット、『ファトゥム-00』のエンジン部分を追加、

更にその外側にGNクローを移植、太腿部にイージスガンダムの肩アーマー、その外側にはイージスのサイドアーマーをバーニアとして使用、

空いた腰のGNクロー接続部にはスローネツヴァイのGNバスターソードが取り付けられていた。(更にバスターソードにも市販のバーニアパーツが取り付けられていた)

 

 

「赤い……血みたいに」

 

「鎧武者……その機体が……!」

 

「そう、俺のとっておき!お前と全力で戦いたかったんでね!ゼクじゃ役者不足だろう?」

 

「そう思ってくれるなら嬉しいですよ。でもそれ過大評価です」

 

「俺はそうは思わないよ!文字通り時間もない!速いとこ勝負といこうか!!」

 

コンドウは機体のGNクローから実体剣、シラヌイとウンリュウを抜く、同時にアイも機体のドッズランサーを持ちつつ、両腕のレイザーブレイドを身構えた。

 

『……』

 

両者の間で緊張が走る

 

「コンドウ・ショウゴ『スサノオ改・ミブウルフ』……」

 

「ヤタテ・アイ『AGE2Eフェンリル』……」

 

『出ます(参る)!!』

 

同時に二体の狼の名を冠する機体は飛び上がる。地球を背にして……

 

「アイッ!」

 

ナナがアイの勝利を祈るように見上げた。ツチヤとソウイチはナナも加勢しようとする様に見えたようで、ナナのストライクを制止する。

 

「追いかけるのは勘弁して欲しい。それは野暮だと言うってものだからね」

 

「アンタ達!」

 

「アンタ達はアンタ達で俺達と戦ってもらうッスよ!」

 

ナナに不安がよぎる。相手の強さはアイのバトルを見てて知っているからだ。

 

「ハジメ!今までの練習を思い出そうぜ!そうすりゃきっと!」

 

コウヤはナナの緊張を感じとった様だ。

 

「解ってるわ……!アイも頑張ってるんだもの!アタシだって!」

 

ナナは自分を奮い立たせるとコウヤと共に、ツチヤとソウイチに向っていった。

 

 

「るぃりやぁあああっ!!!」

 

ミブウルフは二刀流で突っ込んできた。

フェンリルは両腕のレイザーブレイドでそれを防ごうとする、しかしミブウルフの出力は追加されたリフターにより出力が強化されていた。

その勢いにアイのフェンリルは弾かれてしまう。

 

「つぅっ!なんてパワー……」

 

「これで終わりじゃあないぞ!」

 

立て続けにコンドウが仕留めようと突っ込んでくる。

 

「こっちだって守りだけじゃない!」

 

アイはフェンリルのレイザーブレイドを構え突っ込む。お互いが得物を振りかぶり高速でぶつかり合った。

 

「出力は!そっちが上だろうけどねぇぇ!!」

 

「チィッ!真正面から受け止めるか!!」

 

轟音を上げながら二機はつばぜり合いになった。フェンリルの両腕に取り付けられたレイザーブレイド。

フェンリルその物は軽量な機体ではあるが、レイザーブレイドの質量から発生する慣性力を利用した斬撃力、そして打撃力はミブウルフの出力にも負けていない。

 

「簡単に勝たせる気はありませんからね!」

 

「ハハハ!こっちだって同じだぁぁっ!!」

アイとコンドウが上空で戦ってる一方、ナナとコウヤも各々の敵と戦っていた。砕けた大地とはいえ1キロはあるユニウスセブンの破片の上で、

四機はその自機の実力をぶつけ合っていた。

 

「はぁぁっ!!」

 

ナナが片刃の巨大な剣で斬りかかる。今回I.W.S.P.の手に握られているのは対艦刀でない。『グランドスラム』という大剣だった。

ツチヤのバウHはエクスカリバーでそれを受け止める。

 

「至近距離!頂き!」

 

そのままナナはバウHの胸に膝蹴りを入れようとする。しかし分離して避けるバウH。

 

「おわっと!思ったよりよく動くじゃないか。細かい所で改修が光ってるな」

 

「当然!アイに手伝ってもらったんだもん!ほとんど色分け部分も塗ったんだから!」

 

「おまけにグランドスラムはホビージャパン付録のか!」

 

「知らない!アイからもらった奴だからね!」

 

 

「やっぱヤタテが頑張ってるんだからこっちも頑張らねェと!」

 

コウヤのアメイジングレジェンドが、ソウイチのザクⅣをロングライフルで狙い撃つ。

 

「納得はいかないッスけど!あの二人を邪魔させるわけにはいかねぇんスよ!コンドウさんの為にもねぇ!」

 

ソウイチは飛びながら難なくそれをかわす。そして背部のレールガンで撃ち返してきた。コウヤもそれをかわす。

ツチヤとソウイチの二人……ナナとコウヤでは差はあれど必死に二人は食らいついていた。

もっとも相手の二人はコンドウとアイの方が気がかりのようだったが

 

「しかしヤタテさん……思ったより食いつくッスね、コンドウさんとぶつかりあえるなんて」

 

「アイちゃんは結構部を守ってるな。反面コンドウさんは随分と熱くなってる、ひょっとしたら……」

 

「ちょっとぉ!アタシ達と戦ってるのに雑談!?」

 

「俺達は眼中にないって事かよ?!」

 

呑気に通信を入れてるのがわかったのだろう。ナナとコウヤが憤慨する。

 

「いや失敬!真面目にやるべきだったな!」

 

「これでもこっちは真面目にやってるんスよ!」

 

二人は自分のやる気を示す様にナナ達に機体の射撃を続けた。

 

……

 

2機がぶつかりあってもう3分が経った。背景として遠くに見える地球はどんどん大きくなる。

このまま5分たてば地球に落ちる、それを全く意に介さないようにアイとコンドウの2機は高速で激突する。

コンドウの機体はオレンジの粒子を放つ為、遠くから見ればオレンジの光に見え、アイの機体は蒼いカラーリングの為か蒼い光となっていた。

ぶつかっては離れ、撃ちあい、またぶつかる2つの光……

 

『……!!』

 

お互いが揺れる機体の中、バトルのみに集中し、声を出す事すら忘れていた。

コンドウはまた接近戦に持ち込もうと兜の鍬形からビームチャクラムを放ち牽制、

機体を高速で移動させていたアイは自分の機体を追いかけるそれをドッズランサーのビームバルカンで迎撃。

直後、ミブウルフの腹部と両肩が展開、球体状のビーム、トライパニッシャーを相手の進行方向目掛けて放つ。

 

「!」

 

とっさに機体に急停止をかけてかわすかとアイは考える。だがかえって当たってしまうかもしれない。それならばとアイは自機をストライダー形態へと変形、

最大でフェンリルを加速させる。自分のスレスレをトライパニッシャーが通り過ぎた。そのまま機種のバルカンを乱射しつつミブウルフに突っ込んだ。

 

「ただ突っ込んでくる相手をかわすのはたやすい!!そのまま切り裂く!」

 

ミブウルフは突撃をアッサリかわすと、そのままカウンターでフェンリルを側面から蹴り飛ばす。

 

「アゥッ!」

 

飛ばされたフェンリルはクルクル回りデブリに衝突し止まる。ユニウスセブンが割れた際に発生した浮かぶ破片だ。

 

「クッ……なんて人……あの一瞬で蹴り入れるなんて……」

 

人間ある緊張状態では相手の動きをゆっくりに感じるという。今のコンドウの挙動。そしてアイの判断の原因がまさにそれだった。

コンドウはシラヌイとウンリュウの柄を組み合わせる、ソウテンへと合体させると突き刺そうと突撃をかける。

 

「これで終わりだぁっ!!」

 

「クッ!まだ……まだぁ!!」

 

ソウテンが腰のサイドアーマー部分に突き刺さる瞬間、突然フェンリルの腰部が90度下がった。

 

「ッ?!」

 

コンドウのミブウルフはそのまま勢い余ってデブリに剣を突き刺してしまう。

 

「外した……っ!?いや!変形!?」

 

下がったのではないとコンドウは悟る。斬られる瞬間アイはフェンリルを変形させかわしたのだ。

突き刺した剣を抜こうとするコンドウ。アイはフェンリルの前身のスラスターでぐるっと回りミブウルフに向く。

向きながらレイザーブレイドのついた腕でミブウルフにストレートを入れる。

 

「これでぇえええっっ!!」

 

「ちょこ……ざいなぁぁっ!!」

 

とっさに機体を下がらせるコンドウ、レイザーブレイドはミブウルフの胸を掠めた。

 

「クソッ……仕留め切れなかった……」

 

アイが悔しそうに吐き捨てる

 

「変形してかわす……更に勢いを利用して攻撃に転用する。大した奴だよ……本当に……フ……フフフ」

 

コンドウの声が震えている。そして笑っている。そして剣を捨て、機体の腰にマウントしていたGNバスターソードを手に取る。

そして両手で構えフェンリルに斬りかかった。

 

「デカいっ!」

 

「俺をとことん熱くしてくれる!こんな充実したバトルは久々だぁぁっっ!!!!!」

 

GNバスターソードを両手のレイザーブレイドで受け止める。パワーはさっきの二刀流以上だ。そのまま二機はこう着状態となる。

 

「しかも重い一撃!!」

 

「だから!俺が本気で言ってるという事を示そう!」

 

「な……にっ!」

 

「トランザムッ!!」

 

コンドウが叫ぶと同時にミブウルフが赤以外の部分含め紅く染まる。

『トランザム』ガンダムooに登場したシステムで、機体に蓄積した高濃度の圧縮粒子を全面開放、一定時間スペックの3倍に相当する出力を得る。

ガンプラバトルでもその機構は再現されており使用した機体は攻撃力とスピードがかなりアップする。反面原作では使用後性能の低下というデメリットがあり、

ガンプラバトルでもこのペナルティがある。(ガンプラバトルでは第二期、劇場版の機体、疑似太陽炉でも同じ仕様という設定)

 

「トランザム……!決める気ですか!!」

 

「あたりきよ!!一気に決めさせてもらう!!」

 

ジャカッ!とバスターソードが音を経て開く、そして背面に取り付けられていたバーニアを一斉に点火させた!

 

 

剣は威力を増しズシッとレイザーブレイドにかかる重みが増す。

「うおおおりゃぁぁっ!!!」

 

そのままコンドウは相手を薙ぎ払い吹き飛ばす。

 

「うぁっ!」

 

そのままコンドウのミブウルフは追撃をかけようと両手で剣を構え突っ込む、そのスピードは自機の残像が出る程だ。

 

 

タカコとムツミは観戦している身でありながらこの状況の絶望的状況を肌で感じていた。

 

「うわっ!どうするの!敵があんな隠し玉持っていたなんて!」

 

「アイちゃん……勝てないの……?」

 

 

「ハジメ!マズイぞ!ヤタテが」

 

「翻弄されてる!?アイ!」

 

ナナ達のいる地点、ここからでもアイとコンドウの戦いは見えた。トランザムを使ったミブウルフはフェンリルに斬りかかっては弾き飛ばし、

斬りかかっては弾き飛ばしの連続で襲っていた。当のフェンリルは直撃は防いでる物のレイザーブレイドでガードするのが精いっぱいだった。

 

「一対一の戦いであれ?!卑怯よ!」

 

「つったってあれも公式の戦法だからなぁ」

 

「もう見てらんない!アタシ行く!」

 

「無茶だろ!お前が行ったってあの二人の輪に入れねーよ!」

 

「言わないでよ!分かってるわよそんな事!でもあのままじゃアイが……!」

 

「それは俺だって同じ気持ちだよ!でも俺達だってこんな状況じゃ……」

 

そう、二人もツチヤとソウイチに追いつめられていた、今二人は背中を合わせ動けない状況だ。

ナナのストライクはシールドとI.W.S.P.のレールガンを損失、グランドスラムは折れずにいたがそれを杖に立っている程に消耗していた。

コウヤのレジェンドも手持ちのライフルとハンドガンを破壊され、残った装備はヒートナタのみ、そんな二人の機体をバウHとザクⅣが挟み込むようにいた。

 

「こんな状況で会話とはね。さっきの言葉、そっくり返すッス」

 

「クソッ……実力差があるのは知ってるつもりだけど……ここまでとはよ……」

 

コウヤが呟く、ツチヤ達がナナとコウヤの機体に銃口を向けた。

 

『これで終わりだ(ッス)!』

 

ここまでか、と思った二人!だがその時だった。30条ものビームがバウとザクに飛んできた。

 

「な!なんだ!!」

 

「これだけの火力!どこから!」

 

「オーホッホッホ!!ご苦労だったわね!コウヤ!」

 

聞き覚えのある黄色い声だ。コウヤとナナは誰なのかすぐ分かった。

 

「ゲッ!部長!!」

 

そう、模型部部長、ウミノ・コナミだった。コナミのドラッツェ・オクトパスのドラグーンがビームの正体だったわけだ。

 

「身を隠していた甲斐があったわ!消耗した所を狙えばウルフといえど倒しようはあるって事よ!」

 

ドラッツェに続き二機のハイゴッグがビームカノンを撃つ。片方はカワサキの機体だった。

 

「部長……さすがにこれはセコすぎやしませんか……」

 

「何言ってんのよカワサキ!サバイバルなんだから常套手段でしょ!わざわざ全部正面きって戦いを挑む奴なんかいやしないわよ!」

 

そう、もうほとんどのチームは破壊され、残ってるのはこの3チームだけだった。コナミ達が消耗していたチームばかりを狙っていたのは内緒だったりする。

 

「本当汚い!やっぱりコドモ部長じゃなくて小物よ!」

 

「小物言うな!」

 

「なんだかよく分からないが!俺達を倒せると思うなよ!」

 

ツチヤはバウを分離させ模型部を迎え撃つ。

ドラッツェとハイゴッグ二機相手にツチヤとソウイチは標的を変えた。

 

「……」

 

それを見たコウヤはナナに通信を入れる

 

「ハジメ……部長達がアイツらひきつける間にヤタテの所へ向かってちょ」

 

「!ヤマモト!?アンタ……」

 

「行きたいんだろう?ヤタテん所へ」

 

「でもアンタは……?」

 

「多分部長負けるだろうから、それをほっとけない」

 

「え……」

 

ツチヤとソウイチは消耗しているとはいえ模型部達を追いつめかけていた。このままでは負けるだろう。

 

「つべこべ言うなよ!俺達はチームだろ!?そして同時に俺は模型部だ!負けるなら俺は両方の仲間の為に戦って負けたいんだよ!」

 

「ヤマモト……アンタ……ゴメン!!」

 

ナナはコウヤの真剣な声を意外に感じるも、それを口に出さず、ナナはI.W.S.P.のバーニアを吹かし飛び立つ。

 

「!?させるか!」

 

ツチヤはバウ・アタッカーのミサイルでドラグーンを撃ち落としつつ、バウ・ナッターの突撃でハイゴッグを一体破壊。

そんな中でストライクがここを離れようとするのに気付く。迎撃しようとバウの機首をストライクに向けようとした。

 

「こっちのセリフだぜぃ!」

それをコウヤのレジェンドがヒートナタを一本投げる。ナタはバウ・アタッカーの下部に吊るされたビームライフルを切り裂いた。

 

「!ライフルが!!」

 

「コウヤ!アンタ!」

 

コナミが驚きの声を上げる。

 

「部長!危なっかしぃんだからもう!」

 

「そのやり方、嫌いじゃありやせんけど邪魔ッス!」

 

既にもう一機のハイゴッグを破壊していたソウイチはアメイジングレジェンドを背後から狙い撃つ、

ライフルは命中しレジェンド背部のブースターが破壊される。その音を聞いたナナが振り向いた。

 

「ヤマモト!」

 

「振り向くな!ヤタテん所へ急げぇ!!」

 

「!」

 

そのままナナはストライクで、アイのいる離れたユニウスセブンの欠片に向かった。

 

「アイ……!待ってて!!」

 

「逃がすか!」

 

「こっちのセリフっていったぜ!」

 

なおも追おうとするツチヤのバウ・アタッカー、だがそれは阻止された。

バウにコウヤのレジェンドが組みついたのだ。バウ・アタッカーを腕で掴むレジェンド。

 

「な!なんて奴だ!ソウイチ!お前だけでも追え!」

 

「言われずともッス!」

 

「させるかぁ!」

 

飛び立つザクⅣに残ったヒートナタを投げつけた。背を向けていたザクⅣにそれは当たり右の翼を損傷させる。ソウイチのGポッドに衝撃が走った。

 

「うわっ!コイツ!よくもぉ!」

 

ソウイチは怒りを見せると、残った翼のレールガンでコウヤのレジェンドを撃とうとする。

 

「待ちなさい!」

 

「!?」

 

だがそこへコナミのドラッツェがビームサーベルで割って入る。ソウイチはフェダーインライフルのビームサーベルでそれを受けた。

もうドラッツェのドラグーンはほとんど落とされた状態だった。

 

「部長!?どうして!」

 

「コナミは部長よ!部員のピンチを放っておけるわけないでしょ!」

 

そうは言うがザクⅣと鍔迫り合いになったドラッツェは押されている。ザクⅣのパワーにドラッツェでは及ばないのだ。

 

「啖呵きったはいいけど無謀ッスよ!!」

 

ソウイチはドラッツェを薙ぎ払う。

 

「キャアッ!」

 

そのままドラッツェはユニウスセブンの大地に墜落する。コウヤはバウにしがみついたまま叫んだ。

 

「部長!」

 

「離れろ!離れないというのなら!」

 

ツチヤはバウ・ナッターをこちらに向かわせる。エクスカリバーでレジェンドだけを貫くつもりだ。

浮かぶバウ・アタッカーにしがみついた体勢のレジェンド、それを側面からバウ・ナッターが襲いかかる。

コウヤはこの状況をどうにかしたいがレジェンドにはもう武器がない。

 

「敵ながらあっぱれな奴!だからこそ倒さなきゃ厄介だ!覚悟するんだな!」

 

「くそっ!武器がない!」

 

「コウヤ!だったらこれ使いなさい!」

 

コナミはドラッツェの背部のビームライフルを外すとコウヤのレジェンドに投げつける。ドラッツェがザクⅣに撃ち抜かれたのはその直後だった……。

投げられたビームライフルはレジェンドの手に収まる。元々これはレジェンド用のビームライフルだから使用に問題はない。

 

「部長!うぉぉおお!!!」

 

コウヤはレジェンドのビームライフルを至近距離で発射。バウ・アタッカーを撃ち抜いた。

 

「ば!馬鹿な!」

 

ツチヤの断末魔が響く中、バウ・ナッターのエクスカリバーがレジェンドをを貫通したのはほぼ同時だった……

 

「そんな……ツチヤさんが……!?」

 

ソウイチはまさかツチヤがやられた事に驚いていた。

 

そしてアイとコンドウ……こちらも勝負は見え始めていた……

ミブウルフの猛攻に耐えるフェンリル。レイザーブレイドの刃もコンドウの何度もの猛攻に限界だった。

所々レイザーブレイドにヒビが入ってきている。

 

「クッ!もう駄目なの!?」

 

「どうやらもう防ぐ手だてはないようだな!この勝負!もらったぞ!!」

 

「!?」

 

「覚悟オォォーッ!!」

 

真正面からコンドウのミブウルフはバスターソード振り上げ、一刀両断にしようとする。

 

「まだ……」

 

「何!?」

 

「まだ終わらない!!」

 

その瞬間、フェンリルの胸が激しい光を放つ。胸部のドクロに搭載された眩惑用発光器『フラッシュアイ』だ、

 

「グオッ!何も見えん!小癪なァァ!」

 

不意打ちでモロに眼をくらませたのだろう。コンドウは一瞬たじろき、腕で眼を覆いながらもバスターソードを振り下ろした。が、手ごたえがない。

 

「!そこか!」

 

自機の左からフェンリルが斬りかかってきた。コンドウはミブウルフのバスターソードでそれを受け止める。

 

「チッ!」

 

「甘いんだ!詰めが!」

 

バスターソードのバーニアの勢いでフェンリルを弾き飛ばす。が、コンドウはミブウルフの腕に何かが巻き付いてるのが見えた。

ワイヤーだ。何かフックの様なものが先端についてる。手持ちのアンカーガン『アンカーショット』だった

 

「やっぱりこれくらいの手じゃ勝てないか……でもまだ、私のカードは出し切ってないんですよ!!」

 

「これは……アンカー!?まさか!」

 

「そういう事!いけぇ!!」

 

アイのフェンリルがアンカーに電流を流す。赤く発光していたミブウルフが電撃により青く染まって見える。

コンドウのGポッドは強烈な振動という形で伝わっていた。

 

「ぐああぁぁッ!!!!」

 

「おとなしくしてて下さいよ!せめてトランザムが終わるまで!!」

 

「なるほど……そういう手か……だがな!!」

 

「そんな!こっちに来る!?」

 

「うおおッ!!」

 

振動するGポッドでコウドウは自機をフェンリルに突っ込ませる。そのままミブウルフは右手でフェンリルの顔を掴んだ。

電撃はフェンリルにも襲い、振動はアイにも伝わった。

 

「くぅぅっ!」

 

「観念してそのアンカーを離せ!!」

 

「離す……もんかぁぁッッ!!」

 

そのまま二機はもつれ合いながらきりもみしつつ落ちる。その際にフェンリルはドッズランサーを手から離してしまった。

そして轟音を上げてユニウスセブンの地表へ激突した。

 

「うぅっ……アンカーショットから手を離してしまった……っ?!」

 

アイは愕然とした。目の前にミブウルフがいる。もつれ合ったまま地表に落ちてしまったのだ。

トランザムは限界時間を超えた為終わっていたがまだ危機は去っていない。

 

「は!離れなきゃ!……できない!?さっきのワイヤーが」

 

そう、さっきのきりもみ落下でワイヤーが二機をぐるぐる巻きついてフェンリルは離れる事が出来なくなっていた。フェンリルは腕すら動かせない状況だ。

ヒビ割れしているとはいえ、レイザーブレイドに当たってる部分は切れるがそれ以外の部分は切ることが出来ない。

 

「フラッシュで足止めし、ブレイドとアンカーの二重攻撃……俺も舌を巻いたぞ……」

 

「コンドウさん!」

 

「だが後一歩だったな!俺の方は腕が動く!悪いが頂く!」

 

コンドウのミブウルフは腕を上げた体勢だったのでワイヤーが巻き付いてなかった。腕を回しバスターソードを下に向ける。そのままフェンリルを突き刺すつもりだ。

 

「さらばだ!」

 

――よけられない!ここまでなの!?――

 

もう駄目か!アイがそう思い目を瞑った時だった……。ビームがミブウルフのバスターソードを持った左手首を掠めた。

 

「ぬっ!?」

 

撃ったのはナナのストライクだった。ビームライフルを構え向かってくる。

 

「アイィィッッ!!」

 

高速で突っ込んできたストライクはバスターソードを思いっきり蹴り飛ばす。バスターソードはミブウルフの手を離れ飛んで行った。

 

「バ・バスターソードが!!」

 

「ナナちゃん!?」

 

「待ってて!今切るから!」

 

右手のライフルを捨てると対艦刀を右手で抜き、二機に絡まったワイヤーを切る。

 

「腕が動く!ありがとナナちゃん!」

 

フェンリルとストライクはそのまま離れると残りのまとわりついていたワイヤーを取り除く。

フェンリルとストライクは並び立ち。ミブウルフと向かい合っていた。

 

「俺としたことが仲間の存在を忘れていた。しかしサブロウタ達を倒してきたか」

 

「悪いけどアタシは逃げてきただけよ。コウヤがアンタの取り巻きを倒してくれたんだから」

 

「そうか。だがあいにく倒し切れなかったようだな」

 

「え?―!?」

 

その時ストライクのコクピットが背後からのビームに撃ち抜かれた。撃ったのはソウイチのザクⅣだった。ナナのストライクを追ってきたのだ。

 

「ナ!ナナちゃん!!!!」

 

「ゴメン……ドジった……ここまでみたい……」

 

ナナが悔しそうな声で答える。

 

「でもここまでこれたんだ……アタシ信じてるよ……勝てるって……」

 

ナナはそう言うとストライクは爆散。そのままグランドスラムがユニウスセブンに突き刺さる。

 

「悪ぃコンドウさん、時間がかかったッス」

 

「ソウイチ……サブロウタは?」

 

「やられたッスよ……俺としたことが油断……?!」

 

言い終わらないうちにザクⅣを巨大な回転物が引き裂いた。フェンリルの両腕のレイザーブレイドを組み合わせた投擲武器『レイザーブーメラン』だ

 

「俺としたことが油断したッスね……」

 

ソウイチが呟くと同時にザクⅣは爆発した。

 

「決着……つけましょう」

 

アイはそういうとグランドスラムを引き抜き、構えた。そしてコンドウも同じくバスターソードを引き抜き構えた。

 

「そうだな……」

 

向かい合う二機、残り時間は30秒を切る、大気圏に突入した為背景の地球は大きく、そして赤く染まっていた。

 

『ぉおおおおおおっっ!!!』

 

 

お互いが一気にブーストをかけ、迫る。コンドウのミブウルフがバスターソードで横にフェンリルを薙ぎ払う。が、手ごたえがない。

 

「上か!」

 

フェンリルは上へ飛んでいた。上からつき刺そうとグランドスラムを下に向ける。

 

「だが甘い!こちらから串刺しにしてやる!」

 

「間に合わない!?でも!」

 

コンドウは上にバスターソードを向けようとバスターソードのバーニアをふかす、……その時だった。

 

(パキッ)

 

「なっ!?」

 

ミブウルフの左手首がボロッと割れた。その所為でミブウルフは対応が遅れてしまい、

フェンリルのグランドスラムがミブウルフを脳天から貫く。そのままミブウルフは膝をついた。

 

 

『!!!!!!!!!!!』

 

観戦していたタカコとムツミはお互いの顔を見合わせる。

 

「……やった……!!!」

 

「やりやがったよ!!!!アイちゃん!!!!!!!」

 

 

――そうか……さっきのストライクの攻撃で……それの所為でバスターソードの負荷に堪えられなかったのか――

 

――ナナちゃんが……助けてくれたんだ――

 

「最後まで……私ひとりじゃどうしようもありませんでした……」

 

「そんなことないさ、俺がトランザムという手段を使ってもお前は耐え凌ぎ、最後まで仲間の期待にちゃんと応えた、それはまぎれもなくお前の実力だ、過大評価じゃないぞ?」

 

「コンドウさん……」

 

「満足だよ。ここまで楽しい戦いが出来て……これこそが……あの時俺が夢見たバトルだ……」

 

「あの時……?」

 

「数年前に見たバトルだよ……魂を震わすバトルだった。それを俺もしたいが為に……サブ……ソウイチ……わがままにつきあわせちまったな……すまん……」

 

そう言うとミブウルフは膝をついた体勢のまま沈黙した。ミブウルフを中心にユニウスセブンに亀裂が入り割れる。

 

「時間ギリギリか……」

 

アイはフェンリル越しに眼前に迫る地球を見上げた。そうしてこのバトルは……大会は終わった。

 

 

「それじゃ記念写真撮るよ~」

 

閉会式の後、タカコがデジカメを持ちながら並ぶアイとナナ、コウヤに言った。

 

「は~い!ほらアイ、アンタ主役なんだからもっと満面の笑みで笑いなさいよ」

 

横にいるトロフィーを抱えたアイにナナは言う。アイはほぼ燃え尽きた状態だった。

 

「いや……どうもこういうのだと緊張しちゃって……でもなんか優勝したって実感ないよ」

 

「フフ……最初はそんなものだよ……そのうち実感するよ……」

 

そんなこんなで授賞式を迎えることが出来た三人だった

 

 

「それじゃあ昼ご飯食べにいこうか……、優勝祝いにさ」

 

「あいあ~い、でワリカン?」

 

「ボク達の奢りに決まってるでしょタカコ……」

 

「ぁう……やっぱり……」

 

「フフフ……でもコウヤ君はどうするの?」

 

アイはコウヤの方を見る。

 

「凄いじゃないかコウヤ!かっこ良かったぞ!」

 

「いやいやさすがに今回は運が良かったとしか思えないぜナガレ。無我夢中だったしさ」

 

「珍しく謙虚だなお前」

 

「何言ってんの!アンタはコナミ達模型部の誇りよ!ただしビームライフルはコナミが渡したからコナミの方が立派だけどね!」

 

――この部長は……――

 

コウヤは模型部のメンバーにもみくちゃにされていた。

 

「ほっといて行きましょうよ。終わったらアタシもお腹減って来たし」

 

「いいのかなぁナナちゃん」

 

「今邪魔しちゃ悪いだろうし……いいんじゃないかな……」

 

「ほら早く行こ行こ」

 

ナナやタカコに手をひかれ、「明日学校で会ったら言い訳考えておこう」そうアイは思っていた……。

皆様、明けましておめでとうございます。コマネチです。

今回でコンドウとの決着、そしてガンプラビルダーズI・B第一章が終了となりました。

次回からまた新展開を迎えます。

未だうまい人から見れば笑われるレベルかもしれませんがお付き合いいただければ幸いです。

それでは今年もよろしくお願い致します。

 

そして今年初のガンプラ投稿作品ミブウルフです。

http://www.tinami.com/view/650901

もしよければよければ見てください。


 
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