No.65065

変革

華詩さん

この世界を、未だ数匹の亀と象が支えていた時代。
霧は濃く、森は暗く、神秘と信仰と迷信は絶えず、ただ空だけはどこまでも高かった頃。
忘れられた、彼らの物語。

世界観を共通させた短編連作「死者物語」です。

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2009-03-24 19:51:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1451   閲覧ユーザー数:1310

「さぁ、みんな始めよう世界を変える為に。」

 

 不満が蔓延している。

 

 始まりは小さな小さな不満だった。

 

 その不満が少しずつ蓄積していくうちに小さな不満の数が多くなり、大きくなっていった。

 

 これが一人だけならここまで蔓延はしなかっただろう。

 

 ごく一部を除き、ほとんどが同じように不満を募らせていった。

 

 おかげでこんなにも広く深く不満が蔓延してしまった。

 

 その不満は今や行き場を失いかけ破裂しようとしていた。

 

 いやここで破裂させようとしている。

 

 不満を目にせず他人事とする一部の人間にも不満を教える為に。

 

 誰もやらないからやるんだ。

 

 不満に朽ちていった人々の意志を伝える為に。

 

 どれだけの時間がかかろうとも。

 

 どれだけの命が潰えようとも。

 

 私は引き金を引く。

 

 その為に例え世界が滅びようとも。

 

 だってこんな世界は必要ないから。

 

 ただこれは黙ってないとな。

 

 壊す前にこちらが壊れてしまうから。

 


 
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