真・恋姫†無双~物語は俺が書く~
第1幕「俺か?通りすがりの…」
三国志の時代にタイムスリップしてしまった北郷 一刀。
次の目的地は蜀か呉か、それとも魏か?
By.貂蝉
「いや、マジ始まってもいないから」
俺は今、荒野にいる。起きたらここにいた。それしか言えない。
…状況を纏めよう。
昨日は休日で、朝起きてジョギングをして朝シャンして飯を食った。⇒〇
昼は友達、及川に誘われ女の子二人…計四人で映画を見に行きその後昼食、そしてゲームセンターに行った。⇒〇
夕方、午後のトレーニングをして風呂入って飯食って寝て…摩訶不思議な夢を見た。⇒ …△?
推測↓
① 何者かの陰謀により見ず知らずとこの地に放置した。
② スパルタ爺さんが強烈な睡眠薬で俺を眠らせ、修行の一環として連れてきた。
③ …信じたくは無いが摩訶不思議な夢の所為。
④ テレポート♪超能力に目覚めたよ!!
「①と④はないな」
そういうと近くの肩掛け式バックを見る。もし、誰かの陰謀なら俺に生きていく術[すべ]を与えるわけないし。④に至っては論外。
「②に至っては残念ながら期待できそうにないな」
いくらスパルタでも人情高いあの爺さんが何も言わずに放置する訳ない、断言できる。
「となると、やはりあの夢が?でも現実になるのか……取りあえず近くの物を漁ろう。どんなRPGそうじゃないか!ゴミ箱然り、机の中然り、そして思春期の男のベッドの下」
最後は違うが取敢えず漁ってみた。その中には…愛刀の『朔夜[さくや]』、それに暗器の類が幾つか。ペンケース、生徒手帳、携帯、音楽プレイヤー等々。見た目以上に入っていたというか…俺の私物ばかりだし、幾ら出しても底が見えない。
その中でメモ用紙が入っており何気に捲ってみると自分の字ではない。気になり読み始める。
そして、頭の文に戻る。
いくつか出たキーワードから予測する。
「義と徳・覇王に覇道・国王に乱世。更に蜀・呉・魏…極めつけが三国志に貂蝉か…認めたくないがここは」
―――三国志の時代―――
「いや、でも貂蝉ってあのカマのことだろ?本物なら女だし。夢の続きでも見てるのか?もしそうなら…」
常識人なら否定するこの状況、しかしこの北郷 一刀は一味違った。
「楽しまなきゃ損だよな!あっ!でも俺、中国語の読み書き出来ねえ。くそ、こんな時『翻訳蒟蒻』がこれほど欲しいと思ったことはないぜ!?シット!!」
この状況を楽しもうとしていた。別名、現実逃避とも言う。
なんにしても行動しなければ始まらないことを本能的に知っている一刀は肩掛け式バックを背負い歩き出そうとして、
「おい、そこの兄ちゃん。上質そうな服きてんな」
―――神(貂蝉)よ、私(俺)は貴方(テメ―)を恨み(次、会ったら殺し)ます。ここに着て日本語が話せる奴が何故追剥[おいはぎ]みたいなこと言ってるのですか?―――
後ろを振り返ればデブ・チビに(雑魚の)リーダー格らしきのおっさんが三人立っていました。
「ひ、人の話をき、聞いてんのか!?」
「デブ、もういいから殺して剥いじまおうぜ。ねぇ、アニキ?」
「服を汚すんじゃねえぞ?」
「(服、服って寝巻にそんなに金をかけた覚えが…何故制服着てんの、俺!?)」
改めて自分の服装を確認すると、寝る時に着替えた甚平ではなくフランチェスカ学園の制服を着ていた。しかも、上着は白いポリエステールで出来ている為見た目は確かに高価そう見えなくもない。
思考を巡らしている最中にデブのおっさんが掴み掛り、服を脱がせようとした。
「わ、悪いけどお、大人しく…」
「…気安く…触るな」
「えつ?ぶっひゃ!?」
一刀が呟いたと同時に、デブのおっさんが宙に舞いそのまま地上と激しい接吻をした。残りのおっさんは驚き声を出すことも出来なかった。自分たちでは、デブを悶絶させることは出来ても打ち上げるなどといった芸当など到底出来ないからだ。
獲物(一刀)を見ると先ほどとは打って変わり、鋭い目つきとなり右足を蹴り上げた状態で止まっていた。そして、右足を下し代わりに右手の人差し指を天高く掲げる。
「スパルタ爺さんが言っていた…自分にとっての悪は決して許すな、っと。喜べ、今から貴様らは俺の敵となった」
「何者だ?てめぇ…」
「俺か?ただの通りすがりの師範代だ…多分。取り合えず、地獄への運賃はそれで十分だ」
訳が分からず唖然とするおっさん’s。しかし、危険ということは理解したのだろ。腰の帯剣を引き抜き構えたその時だ。
「待てぃ!」
「!?こ、今度は、誰だ!!?」
この圧倒的有利な状況に凛とした女の声が響いき、この状況について来れないおっさんたちは混乱しているのか、必死に声の主を探しているがその前に第二声が飛んできた。
「たった一人相手の庶人相手に三人…いや、二人掛かりで襲いかかるなどと……その所行、言語道断」
「この状況をどう見たらそう見えんだよ!?」
やっと声の主を見つけたのか二人して後ろを向いた。そこには…白を基調とした振袖のような着物。しかし、裾の丈がミニスカート位しかなく白いニーソ?に底の厚い下駄を履いた、短髪(一部長髪のテール)に藍鼠色の髪の女が鋭い目つきでおっさんを睨んでいた。
「(綺麗な子だな)」
それが一刀にとって三国志最初の武将との邂逅であった。
「何者だって言っていんだよ!?」
一刀に背を見せて怒鳴るおっさん。その隙を見逃すほどあまい一刀ではない。
「チャンス?」
「あん?っ!?」
「兄っ!?き~!?」
おっさんが振り向くより速く、バックから細長い15㎝弱程の針を取り出し、おっさん達の首に刺した。そして、呻き声と倒れた。
その異常な速さに女性はというと…
「そんな外道に名乗る名前は…」
まだ、前置きを言っていた。取敢えず、助けてくれようしたのだから声をかけて見る。
「あの、もう終わりましたよ?」
「な…い?はぁ?」
突然のことに、呆気を取られていたようだがすぐに余裕を取り戻し、一刀に賞賛の言葉を送った。
「いや、なんという手際の良さ!返り血を浴びるどころか、一瞬で殺すとは!!この趙子龍、感服致しました」
「いや、殺してないから。仮死状態にするツボに『千本』という針を刺し……」
自分のやった事について説明しようとして、彼女の発言を思い返す。
「…附かぬ事をお聞きしますが、貴女のお名前をお聞きしても?」
「おお、これは失礼。まだ、名乗っておりませんでしたな?我が姓は趙、名は雲、字は子龍と申します。趙雲と呼んで構いませぬ」
「…本当に?彼の有名な、あの趙子龍?」
「おや、私も有名になったものだ!!はっはっはっ!」
趙子龍…確か、劉備の子供を助けるために戦場を単騎で駆けた、っと記憶しているが…えっ?目の前の彼女が?次から次へと訳の分からない事が起こり、頭が混乱する一刀。
「星ちゃーん、大丈夫ですかー?その人生きてますか?」
「いや、しっかりと立っているのだから、この場合は無事かを確認すべきだろ」
そこに、二人の女の子が走ってきた。
一人は眼鏡を掛けた凛とした女の子。もう一人は栗色の長髪で頭にヘンテコな人形を乗っけている、おっとり口調の少女だった。
「この二人は貴女の連れですか?てか、今のって君の本当の名前?」
出来るだけ冷静を装い、情報を聞き出そうとしているが趙雲にはバレバレのようで顔が笑っている。
「えぇ、そうですよ」
趙雲は二人に自己紹介をするよう二人に目配りをする。そして、眼鏡を掛けた子が一歩へと出る。
「私は、今は戯志才と名乗っております」
「私は程立です~」
「因みに『星』とは私の真名だ」
「マナ?(宝具でも発動出来るのか?)」
あまり、聞きなれない単語に反応する一刀に少々呆れる三人組。
真名とは親しき者にしか呼べぬ神聖な名。もし、この名を趙雲の真名を呼んでいれば、首を飛ばされても文句は言えないらしい。
「そんなことも知らないとは。どこの貴族ですか、あなたは?」
呆れ気味に言われても…時間跳躍したなどと言ったら引かれるだろう。そう考えている時、程立がある一言を言った。
「もしかしたら、『天の御遣い』かもしれませんね~?」
戯志才曰く、『黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流星。その流星に天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静す』という噂が管輅というエセ占い師によって広められているらしい。
その時、一刀の身体に電流が走った。『そうだ!それを名乗ればなんとか生きていける気がする』。そんなことを感が告げていた。この一刀ある意味、『江東の小覇王』といい勝負をしている。感で行動する辺りが…。
―――同時刻、荊州南陽にある『江東の小覇王』の館―――
「くしゅんっ」
「?策殿、風邪ですか?」
「う~ん、違うと思うわ。心配ありがとね、祭。なんというかね…」
「なんと申しますか?」
「面白いことが起きる前触れのような気がするわ!」
「どうせなら、風邪で寝込んでくれれば良いものを」
「どうゆう意味よ!?冥淋?」
以上
第2幕「世界は自分中心に回っている。そう思った方が楽しい。By.天の道を往く男」へ続く…
応援してくれた皆様、有難うございます。応援されると嬉しいものがあると実感している覇炎です。
本当は曹操に合う処まで行きたかったのですが長くなってしまったのでここで一端、区切らして頂きました。
次もできる限り投稿できるように頑張ります。
備考…『千本』
本来は針治療に使う針。しかし、余りに細く折れやすい為に少し厚みを増やし折れ難くしている。
本当は幼少時代に怪我が多かった為、治療費を削減しようと自分で治療をしていた際に人体の仕組みを追求しすぎて体の破壊する方法まで知ってしまった。
試したことは無いが、その気になれば1発で人をイかせることも容易だも言う。←(色々な意味で)
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この作品の北郷 一刀は性格が全く異なりますのであしからず。
仲間には優しいですが敵と判断すると最低です。
主に落とし穴に嵌めたり、縄で逆さ吊りにしたりと…。しかも、いつ仕掛けたのかも解らないほど鮮やかに。
強さは武将達と渡り合えるくらい。
しかし、武力が全てはない。
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