No.647493

ミサイル破壊作戦竹島沖海戦

藤居義将さん

DLサイトで販売しています。
http://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ129589.html
HP[ふじさんの漫画研究所」http://book.geocities.jp/hujisam88/index.html
戦艦伊勢が単艦独立戦隊とする「蒼海燃ゆ」の最終話。統一朝鮮軍による核ミサイル発射計画を頓挫させた戦艦伊勢は、日本領海に到達するまでに捕捉される。竹島沖で日本と南朝民国が衝突した。

2013-12-23 13:29:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:749   閲覧ユーザー数:749

「独島の裏に隠れただと?」

申はレーダー員に聞く

「は。敵は島陰に隠れました。」

申はうなった。

「うぬ。これではミサイルは当たらない。」

対艦ミサイルは急激な角度を追尾できない。洋上ならともかく、島陰となると当たることはない。

「やりおったな。我が艦隊を晒すほかないのか・・・」

すると、今度は通信員が叫んだ。

「ヘリ空母『独島』に魚雷攻撃!大破です!」

「なに?」

伊勢ばかり気にとられて、後方が留守になっていたのだ.

「潜水艦か?」

「いえ。そんなはずが。駆逐艦『王健』が追跡中。音源見当たりません。」

「……おかしいではないか。」

「『王健』に魚雷命中!」

「ぬぬぬ・・・なぜだ・・・」

王健の探知していたのは、現用の潜水艦だった。第二次世界大戦時の音紋は雑音にしか聞こえなかった。

 

一方、伊勢の方も戦いの佳境を迎えていた。

「敵、竹島まで距離40。」

「・・・。我が方も撃てません。島が邪魔です。」

弘美は言った。目の前には島、どうやったって、徹鋼弾を打つには島が邪魔だ。すると山口は

「主砲、榴弾込め!」

といった。

CICにちんもくが流れた。

「榴弾って、対艦戦ですよ。とてもじゃないですが・・・」

弘美は疑問をぶつけた。船に対し榴弾とは艦砲射撃ではないだろう。通常、装甲のある軍用艦を貫くために徹鋼弾がある。いわば拳銃の弾だ。一方榴弾は、中が爆発する事で敵の被害を拡大させる。火薬が詰まった爆弾だ。

「とにかく、榴弾だ。」

山口は聞かなかった。

「榴弾込めっ!」

弘美は復唱した。

「全門一斉発射。一気にカタをつけるぞ。仰角最大!」

「発射準備完了!」

「て―――――っ!」

島の向こうに向かって放たれた。弾は山を越えた。

 

「敵、発砲!撃ってきました。」

「あと、数分で我がミサイルの射線が取れる。やつら何処へ撃ってんだ?。」

山を越えた弾は空へ撃ったのと同じだ。弾道計算でもそうなっていた。

「・・・いえ・・・こっちに来ます!」

「なに?」

「落下してきます!」

「バカな!徹鋼弾ならそのまま突き抜けて行くんだろうが!」

「来ますっ!」

水しぶきをあげて至近弾、命中弾が降り注ぐ。

「我が方は撃てんのかっ!」

「無理ですっ!」

「奴等は一体何をした!」

山越しの攻撃は、あまりに現実的ではなかった。現用最強と言われる世宗大王級が次々破壊される。

「は、は、中破か・・・まだ何とか・・・」

申は起き上がり、周りを見た。

「み、ミサイル発射できます・・・」

申から笑みが漏れた。

「日本軍の亡霊など消し去ってやる。ミサイル発射っ!」

と言った時に、船は鈍い音を立てた。

ギギギ・・・

すると、ぐぐっと船が傾いた。

「な、なんだ?」

「栗谷李珥(ユルゴク・イ・イ)、西厓柳成龍(ソエ・ユ・ソンリョン)転覆っ!」

椅子にやっとしがみついている通信員が言った。

「ま、まさか・・・転覆・・・」

セジョンデワン級は重武装ゆえの復元性が悪いと言われていた。中破程度のダメージでバランスが崩れたのだ。

喫水線が上がったかと思うと、大きな水しぶきをあげひっくりかえった。黒い艦艇を上にして静かになった。

 

「敵、駆逐艦沈黙・・・」

レーダー員が言った。

「ど、どうして・・・」

弘美はおろおろ狼狽した。海戦の常識を超えた状況なのだ。すると山口は

「敵は大戦期の装甲艦じゃない。電子機器の固まりだ。それらを破壊するだけでよいのだ。南朝の駆逐艦はトップヘビーだ。それに、-徹鋼弾でなく榴弾にすることで、重い榴弾だから、途中で失速、落下したのだ。迫撃砲のイメージだ。セジョンデワン級は重武装ゆえの復元性が悪いのだ。兵器は武装ばかり強くするだけが能じゃない。穴をあけてやればひっくりかえる。」

榴弾にはそんな意味があったのか・・・弘美は思った。

「すぐに日本に向かうぞ。そろそろタイムリミットだ。天候が回復しつつある。」

そういえば風と雪は収まってきたように思う。ここは南朝だ。艦隊を沈められ、復讐の炎をたぎらせていることだろう。

「敵、対艦攻撃機多数発進しました!」

レーダー員が言った。

「それらが来るのは30分。こちらも戦闘機を出すぞ!取り舵60!最大戦速!」

伊勢は戦闘機隊の全機発艦を命令した。

「今までの大漢のようにはいかんぞ。」

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択