「狩野さん。いい加減、目の前のことに集中したらどうですか」
「んなこと言ったって三時間だぞ、三時間! こりゃ、ちょっと異常だぜ。……な、そっちの眼鏡だって、そう思うだろ?」
「確かに、これだけ長く待たされるのは俺だって癪なんだけど、まだ状況が読めていない段階では動かないほうがいいと考えて、今は最善策を模索している最中なので、……要は邪魔をしないでくれると助かるのだが」
「和田さんの気持ちもわかります。が、決してゴミ箱は蹴らないで下さいね。昨日の晩、誰かさんが酔いつぶれた挙句にピーでガーでドカーンした影響でその中はブラックホール状態なんですから。しかもどうせ、片付けるのは一番年が若い僕なんですし」
「おや、工藤君が綺麗にしてくれるのかい? だったら一度蹴ってみるのもいいかもしれないね。彼女を止めすらしなかった人間が目の前で無様な姿を見せてくれるらしいから。それと放送禁止効果音を口で再現するのは見苦しいからやめてくれ」
「ちょっとまて熱くなるな二人とも。それに、何もあれは工藤だけの責任じゃねえだろ。……あいつの事だって、まだ何かあったと決まったわけじゃないんだ。」
「何かあったのか何もなかったのか判らないからこうしてイライラしているんじゃないか! 君は一度、足りてない頭でその辺をよく考えてみるべきだ!」
ドカッ
「さぁて僕はあがりで……あああカオス空間が床に広がっていく! トランプという名のささやかな僕の休息よ、グッバイ」
「工藤君、頼んだよ。僕は読書しているからその間、臭いが部屋に充満する前に処理してくれ」
「まあったく、あからさまに苛立っている人に話を振らないようにー。って、小学校で教わらなかったんですかねぇー」
「も、元はと言えば、話をはじめたのは工藤だろ」
「皆が必死こいて忘れようとしてる最中に、この話題を振ったのはアンタですよ」
「なっ……」
「二人とも、くだらない会話はそれまでにしたらどうだい」
「アンタがそれを言いますか」
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女をめぐってなにやら言い合っている様子。