雪が降る。冷たい、雪が。
いったい何人の仲間がこの冬を越せずに、この雪に埋もれて死ぬのだろうか。あと幾夜、この凍てつく夜を過ごせば春が訪れるのだろうか。
いや、春が来たところで、また冬はくる。
そうしていつか、僕も死んでいった仲間たちのように、静かに眠るのだろうか。それは、とても悲しいことに思えた。
僕らは孤児だ。家族もなく、家もない。ただ幾人かの仲間がいるだけ。この街にとっても、この世界にとっても、ちっぽけな存在。誰に気にかけられることもなく、ひっそりと死んでいく存在。
今は冷たい仲間の寝顔を見ながら、僕は涙を流した。
彼を知るのは僕だけ。
だから、僕は泣く。
いつか僕が眠るときに、誰かに泣いて欲しいから。
ああ。
今夜も雪がやまないな。
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この世界を、未だ数匹の亀と象が支えていた時代。
霧は濃く、森は暗く、神秘と信仰と迷信は絶えず、ただ空だけはどこまでも高かった頃。
忘れられた、彼らの物語。