No.646325

真・恋姫無双~Re:道~

ツナまんさん

なんとか今年中に一章は終われそうかな?

『Re:道』と書いて『リロード』ということで

注:オリキャラがでます。リメイク作品です

2013-12-19 09:32:14 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1489   閲覧ユーザー数:1342

   第一章‐陸話 『 そして御遣いは運命を背負う也 』

「お前等!早よう、急ぐで!」

 

天水に賊の知らせがあってから半刻ほど、一人の将が己が騎馬隊を率いて荒野を駆けていた。知らせてきたのは一人の行商だった。本来ならもう少ししっかりと部隊を編成するのだが、行商からの詳細を聞いた主が「早急に兵を出してください」となりもっとも機動力のある彼女・・・張遼の部隊が先発して出陣することとなった。

なぜそうまでして彼女の主が早急に兵を出させたのか。それは、賊の足止めに行商が雇ったという者達がたった五人でその場に残った事を知ったからだ。

(ほんま、月は優しいなぁ。)

そんな事を思いながらも部隊は全速力でひた走る。その五人が残ってから今に至るまでで恐らくかなりの時間が経っている。もしかしたらその五人は既に、そう思わされるほどに。

しかし――

 

「なんや、これ…」

 

ようやく辿り着いたその場所で彼女は目を疑う。

目の前の大地は真っ赤に染まり夥しい数の躯。その光景に唖然となっていた時

 

「御勤め、ご苦労さん。」

 

そんな飄々とした物言いで、声を掛けられた。

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

時間はすこし遡る。

一刀の案で賊を迎え討つことにした五人だが、その数は百や二百等と生易しいものではない。下手をすれば千にも上る大群である。だからこそ和輝は今言うべき事があると感じて口を開いた。

 

「お前等、今の内に覚悟決めとけよ。特に一刀、お前だ。」

「?なんだよ突然。」

「アレだけの数だ。半端な考えじゃ間違いなく死ぬ。だから覚悟を決めろ。人を殺して生きる覚悟を…人殺しの罪を背負う覚悟をな。」

 

重い言葉、それでいて極端な選択を迫る言葉。殺して生きるか、殺さずに死ぬか…。こんな世界じゃなければ考えることすらないその問い。だが、この世界ではそれを選ばなくてはいけない。なら、答えは決まっている。少なくともわけも解らずに死ぬのだけは御免だ。何も出来ず、何もやり遂げずに死ぬのは御免だ。だから、

 

「背負うよ。どんな罪でも背負って、そんで生き抜く。」

「解った。お前等はどうだ?」

「親分が背負うなら自分達も背負うっすよ。」

「…まぁ今はいいか。なら、こっちから仕掛けて行くぞ。誰でもいいから親玉を殺ればなんとかなるだろ。」

 

和輝の作戦とも呼べない作戦に全員が頷くと五人は賊に目掛けて駆け出した。

 

 

「アニキ。なんか前の方から誰か突っ込んで来てますぜ。」

「だれだ?」

「男が二人に女が三人です。」

 

その部下の報告を聞くと、賊の大将であるその男はニヤニヤと下品な笑みを浮べる。その男にしてみれば、千人もの大群に五人のカモが飛び込んできたようなものだった。

 

「よし、なら野郎はぶっ殺して身包み剥いで、女共は動けねぇ程度に痛めつけて俺のとこに連れて来い!」

「へい!」

 

男の下衆い考えの下、賊も動き出した。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

(やっこ)さんも動き出したな。」

「そりゃ、人数差は歴然だからな。多分負けるなんて思っちゃいないと思うよ。」

「だろうな。だが、人を従えんなら戦力まで量れねぇと痛い目みることになる。」

 

そう言って和輝は突出してきた賊目掛けて一気に間合いを詰めて刀を抜き放つ。途端、空気は冷たくなり、間合いにいた賊達の首が空に舞う。それを皮切りに次々と切り伏せていく。

 

「親分すごいっす。」

 

和輝の居合いを初めて目の当たりにする者は面食らっている。だがそれも無理は無い。元々この時代には存在していないうえに、今の和輝の太刀筋は今まで和輝と他流稽古で手合わせした一刀でも辛うじてでしか視えない程に速かった。

 

(負けてらんない。)

 

そう思い一刀も刀を握り直し、刀を真っ直ぐと上段に構えて目の前に迫る賊に振り下ろす。その一撃を受け止めようと賊は剣を構えるが、一刀は構わず振りぬきその剣ごと両断した。

 

「ぐっ、野郎は後回しだ!先に女をやれ!」

 

一刀達を簡単には倒せないと判断した賊達は今度は太白達に襲い掛かる。

 

「…寄るなし。」

 

迫る賊に白雪が剣を振ると、その刀身は分かれて鞭のように伸びて賊を切り裂き再び元の形に戻る。

 

「ちぇいさー!!」

 

白雪の攻撃で足が止まった賊に今度は白妙が突っ込む。その得物は長い柄に分厚い鉄の板を取り付けたような無骨な大剣…斬馬刀である。それを白妙は全力で横に凪ぐ。ただそれだけで賊は纏めて吹っ飛んでいく。

 

「次は自分っす。」

 

旋昆(トンファー)に氣を纏わせた太白が追い討ちをかけていく。特に派手さは無いがそれでも白妙が討ち洩らした賊を的確に撃破していく。

 

 

 

「なんなんだ。あいつ等は?!」

 

賊の大将は青ざめていた。相手はたかだか五人、にも拘らず誰一人倒せず気がつけば千人も居た大群はおよそ半分にまで減っていたのだ。

 

(逃げるしかない。)

 

そんな考えが頭に浮かんだときだった。まるで心臓を鷲掴みにされるような感覚に陥る。それと同時に、

――チン…。

そんな音が聞こえたかと思うと男を取り巻く部下達の首が飛び辺りに紅い雨を降らせた。

 

「お前が親玉か?」

 

雨の中で掛けられた声に男はびくりと体を震わせる。目の前には血に濡れた死神が立っていた。

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

 

それから先は早いものだった。親玉を失った賊は蜘蛛の子を散らすように逃げてゆき。また、一部の賊は一刀達に降伏して着いて行きたいと残ったりとで、戦闘はとりあえずの終息をむかえた。

 

「どうだ?一刀。」

 

地面に腰を下ろして己の掌を見つめていた一刀の隣に立ち、煙管に火を点けながら和輝が声を掛けてきた。

 

「戦ってる最中は夢中で分からなかったけど、こうして終わってみるとなんとなくだけど和輝の言ってた『覚悟』ってのが分かった気がするよ。…すごく『重い』な。」

 

和輝の方を見ず、掌を今だ見つめたまま一刀は答えた。

 

「そう感じたんなら今はそれで十分だ。」

 

そのままお互いに無言の時間が過ぎていた。そんなとき、不意に馬の駆ける音が響き一刀が顔を上げると、明らかに賊とは違う一団が迫っているのが見えた。その先頭にはサラシに袴姿の女性がいて、なにやら面食らっているようだった。

 

「どれ、ちょいと挨拶してくるか。」

 

そう言い残して和輝はその一団に向かって歩いて行く。一刀も立ち上がると、その背中を追いかけた。

あとがき

 

どうもツナまんです。今回は戦闘らしい戦闘というよりは戦闘スタイルや得物の紹介的な感じで書きました。というわけで一応の補足です

               ↓

一刀:幅広の大太刀(薩摩刀)作者の地元という事もあってあちこち示現流の描写が出てきたりします

和輝:前にもチラリと出ましたが、合口造りの居合い刀でもちろん居合いです。和輝に関しては色々技とか考えていたりしてます。

楓:まだ出てきてませんが一応。和輝の妹で得物は長巻です。ちなみに一刀の後輩で一刀LOVEです

太白:旋昆(トンファー)に加えて氣をつかいます。今回は見せ場を敢えて作りませんでしたが色々考えてるキャラです。

白妙:もうほとんど説明いらない気もしますが某漫画のあれです。白妙の場合は『斬佐』というより『斬さ~』ですかね。一応長物にした理由もありますけどそれはそのうち。

白雪:はい!ロマン武装の蛇腹剣です!普通に片手剣でもよかったですが、結局こっちになりました。色々楽しくなりそうなキャラです。

 

とこんな感じです。次回はいよいよご対面です。

 

では、また次回!!


 
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