3月29日
一刀様と各国王様、月様、詠様で遅くまで会議を持たれていた。
会議を終えて出てこられた詠様に内容を伺うと、
「今年の四月馬鹿についてよ。皆は去年の事があるから絶対やめろって言ってるんだけど、一刀が迷惑は掛けないからどうしてもやりたいって聞かないのよ…何やるか先に言えって言ってもそれじゃつまらないから言いたくないって言うし、しょうがないからこういう事はやっちゃ駄目って列挙例示してよーく言い聞かせてたのよ」
との事だ。年に一度の事ではあるし、普段は真摯にして誠実でいらっしゃる一刀様もたまには羽目を外されたいとお思いであろうから、多少の冗談は宜しいのではないか。
3月30日
今日は文若様、元譲様、稟様、甘寧殿、関羽殿、詠様、馬超殿、華雄殿らで遅くまで会議をされていた。御出席者方に関連性が感じられず、会議を終えた詠様にこれまた聞いてみたところ何とも言えない表情をされ
「その…明後日の午後と夜の予定について協議してたのよ。ま、予想通り桂花と思春が持ってったけどね。他の連中はまあその…ボクも含めて、いざとなれば普段でも一刀がそういう状況を作ってくれればどうにかなるけど、あの恋愛障害者二人にとっちゃ年に一度しかない大嘘を吐く機会だから必死さが違うのよね」
との事だ。
4月1日
昼前に一刀様のお召しを受けてお部屋へ伺うと、お茶に付き合って欲しいと言われ御相伴に預かった。一刀様と月様、詠様と共に暫く談笑していると、一刀様が「仲達さんこれ苦くないの?」と怪訝な顔をされた。
一刀様曰く、先ほど勧めた典韋殿に焼いて頂いた『甘い』焼き菓子だというのが嘘で、非常に苦い薬草を混ぜて焼いていたということであった。しかし頂いた物はほのかな苦味はあるが美味なものと思われたのでそのように答えるとおかしいわねと言われて月様とともに詠様も味見されると顔を顰められ、「いいわ分かった、あんた一刀が白って言えば黒でも白どころじゃなくて苦いもんでも甘くなるのね!あ”ーぺっぺっぺっ、月ボクもお茶頂戴!」と言って追い出されてしまった。
4月2日
詠様に、子丹御嬢様らと共に飲みに誘われた。
昨日の苦い焼き菓子の話題となり話されることには、仕込みでご協力された典韋殿や詠様たち以外のかなり多くの方が仕掛けられ、殆どの方が引っかかったらしい。子丹御嬢様に
「今回は洒落にならないことは絶対やらないようにと一刀様が釘を刺されていたお陰もあって、華琳様でさえも『こんな地味なネタで来るとは思わなかったわ』って引っ掛かったくらいなのよ。ですけれど仲達、平然とポリポリ食べたところまでは同じでも一刀様に『苦くないの?』と聞かれて、普通に甘いですよ?って答えながらちゅうううーってぶちかまして『ね?甘いですよねー』と切り返した風様くらいを目指さなくてはいけませんよ」
と説教されたが、では御嬢様もそのようになされたのでしょうかと伺ったところ大変怒られた。
詠様は「今日の桂花のあの隠しきれないニヤケ顔がイラつくわ、ツンツンするなら貫き通しなさいよね…まあ年に一度の事なんだけど」と愚痴られていた。
4月3日
新入職員向けに一刀様の訓示が行われた。
「良識と節度を持って」という言い回しを何度もお使いになっていたのが印象的であった。
4月4日
軍事演習場を通りがかったところ、凪が張遼殿を引っ張りながら助けを求められた。
凪曰くは新規将校の訓示を張遼殿が行われていたが、途中から雲行きが怪しくなり卑猥な比喩に自分を引き合いに出されたため止めさせようと引っ張ってきたという。一方張遼殿に事情を伺うと「そんな大したことは言ってへんで?将校なれたら一刀とパツイチやれる思っとったら大間違いや、凪くらい腕も立ってかわゆくってそーゆー事も上手ないと入れへんでって言っただけやし」
「『そーゆー事』の中身をあんなに具体的に言う事ないじゃないですか!?」
等とまた口論を始めたので、凪も困っているようなので今少し表現を抑えられてはと申し上げると不承不承頷かれて演習場に戻っていかれた。
4月6日
本日は一刀様の御側に御仕えし始めた記念日だ。
強請る心算は毛頭無いが、御優しい一刀様であるのでひょっとしたら何がしかの御褒美を賜るかもしれないと思うと寝ようにも寝付けずうっかり徹夜してしまった。
多少集中力を欠いてしまっていた所為か、落ち着きが無かったようで公達様に
「いちいちいちいちいちいちいちいち、ちょっと足音聞こえる度に廊下のほう振り向くのうざいのよ!詠の方(総務室)行って仕事してなさいよ!」と追い出されてしまった。
止む無く総務室の方へ魏の書類を持ち込んで仕事をしてみたが、一時間もしないうちに無言で米神に血管を浮かせた詠様に手を引かれて一刀様のお部屋に連れて行かれ、
「…っとに無表情で廊下のほうをチラチラチラチラ、うざすぎんのよ!あんたもこういう手合い焦らすのほんと無駄だからやめてお願いだから!仲達寝てないらしいからとっととあんたの睡眠薬を飲ますなりブチ込むなりして寝かしつけてよね!」
と言われて部屋の中に押し込められて出て行かれてしまった。
…ここで添い寝を申し出て下さった一刀様の御腕で眠った、というだけであれば部下思いな一刀様の御美談であったのだが、蠱惑的な一刀様との密着のあまり持て余してしまった女の性と言うか、淫らがましい劣情までも御面倒を見て頂いてしまったというのは羞恥の………羞恥と、幸福の極みだ。
御腕の中で目を覚ました後に拝領した勤務二周年の御慰労の品は、瀟洒にして煽情的な黒の下着であった。御指示により試着してみたところ過分にお褒め頂いた上に、この姿の私に欲情される、二人きりのときはもっと思いのままにはしたなく振舞ってもよいなどと囁かれては、ああ…仲達は、仲達は、貴方様に狂ってしまいます…
4月7日
執務をしていると一刀様にちょっといいかなと廊下に呼ばれたのでお近くに伺い、羞恥の余りまともに御顔を見れないまま昨日は有難う御座いましたと申し上げた。
するとそれはこちらこそと仰られたあと、真顔になられるや声を潜められ「ところで昨日のアレ(下着)、洗ってね…?」と言われた。
一刀様のものもさることながら自身のものでも多分に汚してしまっていたので、洗わせて頂きましたがと申し上げると「ならいいんだ、ちょっと御家族から心配されてたから。よかったらまた着てね」と仰ってそそくさと去っていかれた。
あらぬ事を吹き込んだ犯人は士季とすぐに判明し、久しぶりに吊るした。しかし下手人の喚く事には
「仲達さま、知ってんですよ夕べそのブツをくんかくんかすーはーすーはーして一人上手に使ってから名残惜しそうに洗濯してたの。一刀様の匂いで大☆興☆奮☆しちゃうのは分かりますけど、うちの部屋の壁後宮ほど厚くは無いんですから、ねえ?まあ一刀様には黙っておいてあげますから、反省したんでもうこの縄ほどいてくれません?あと一刀様に会ったら士季ちゃんにも可愛くてエロくて着せちゃ脱がししてがっつんがっつんしたくなるようなえっちい下着あげる様にお願いして下さいよ。あ、私穴あきとかよりもずらせるような緩めのやつの方が好きだなぁ」
という。
…まあ今日はこの辺で勘弁してやることとした。決して脅されているわけではない。
4月8日
軍部の諸葛誕殿が総務部に見えられ、軍部への異動の打診をされた。
軍や警備部からのお誘いは最近は減っており今までと同じく御遠慮させて頂く旨の回答をしたのだが、
「軍って出張多いからその分夜の配分って優遇されてるのよ?私だったら貴女と上手くやってけるわ、是非来てよ」
と重ねてお誘い頂いたところで公達様が見えられ、
「他人の部下引き抜くならあたしに話通してよね公休。あとあんた仲達の事ちょっと勘違いしてるみたいだけど、この娘犬は犬だけどあたし達とはちょっと違うのよ?」
と言われた。
諸葛誕殿がそうなの?と目を丸くされて聞かれたがどういった意味であるのか掴めずにいると、貴女一刀様に縛って頂いて奴隷プレイとかしてないのと聞かれたので私は端下女には違いありませんがあえてそういった事を一刀様としたことはありませんがと答えた。するとなーんだそうだったのと言われ去って行かれた。
後で公達様が語られる事には、
「あいつ、夜の趣味はさすが『魏はその犬を得た』って言われるだけあってあたしとタメ張る位結構深いとこ攻めてるんだけど、軍の腕の方はまあぼちぼち程度、楓(曹真)の一枚格下ってとこよ。まあ本人も自覚あってあんたが欲しいって言ってきたんでしょうけどね」
との事だ。
それを見ていた張郃と郭淮が、「腐っちゃった竜よりは犬の方がましなのかしらねー」「やっぱ虎が一番よあの人真面目で普通人らしいし」と呟いていたがどういう意味だったのだろうか。
4月9日
張梁殿が過労で体調を崩し、公演を中止されたと聞かれて一刀様が張梁殿の部屋へ一日詰められていた。
あわせて本日の御公務は全て中止された。
4月10日
快癒された張梁殿と入れ替わるように一刀様、張角、張宝殿が風邪をひかれた。
月様と共に看病を手伝っていた張梁殿に事情を伺うと、「まあその…姉さんたちは自業自得ですけど、一刀さんは私の所為というのもありますから…」と言いながら頬を赤く染めて三方の寝室へ引っ込んでいかれた。
Tweet |
|
|
58
|
2
|
追加するフォルダを選択
その後の、とある文官の日記です。
間が空いてしまい申し訳ありません。
ところで皆様既に御存知とは思いますが!またしても飯坂様が仲達を描いて下さいましたので是非見て下さい!
それにつけましても、飯坂様はじめ御覧になって下さる皆様方いつも有難うございます。