No.644338

現象起こしの転生者 第六十七話

notrinkさん

神様と転生した主人公が
めだかで原作に入るお話

※注意※
めだかボックスの二次創作です

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2013-12-11 00:31:03 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1116   閲覧ユーザー数:1089

第七十七話 世界干渉

 

「ぐふっ!?」

 

冥加の掌底による衝撃は、赤ん坊になった古賀と高千穂、

そして宗像を全く無視して寿に貫通した。

そんなことを予想していなかった寿は驚きで目を見開き、

そして、次の瞬間には位にまで届いた衝撃により胃の中をぶちまけた。

 

「押し通ると言ったわ、それに、今回の私は非力じゃない」

 

「う……げほっげほっ……どういうこと?」

 

寿が冥加の言葉の意味を問う。

冥加は自身の思考を遮っていたヘッドホンを外した。

そして、答える。

 

「私はスキル持ちじゃない。

けど、今回の私はスキル持ちってことよ」

 

「!」

 

「『因果の種アカシックセレクト』

全ての現象からから一つの現象を確定させるスキル

今回は、衝撃が赤ん坊を通り抜けてあなたに届くという現象を確定したわ」

 

「そんな……反則」

 

「反則じゃない……戦闘にルールはないはず。

それにね、私を惚れさせた男にすると、こんなものは小細工よ」

 

冥加はそう言ってバスに戻っていった。

結局出番がなかった行橋と都城が残念そうにヘッドホンを外した。

他の無力化された十三組も直ぐに元に戻り都城の方に集まっていく。

 

「で、どうやって零の方に行く?」

 

都城がそう言った。

「簡単」と冥加が言って指を鳴らす。

 

「もしかしたら、今すぐ空から新しいバスが落ちてくるかも」

 

笑顔でそういう彼女に皆が眉を寄せる。

すると、そんな彼等に向けて頭上からバスが落ちてきた。

 

「言ったでしょう? 可能性は大切」

 

冥加が得意そうにそういう。

その場に居るもの全てが、苦笑いになった。

 

    *****

 

安心院は正直今回も大丈夫だろうと予想していた。

前回の神の侵攻の時は零が独りででも食い止められた。

最終的に零は後遺症を患ってしまったが、一対一での話。

四対一の今回の場合、こちらが案外簡単に勝つのではと予想していた。

 

「あ……がはっ」

 

しかし、そんな予想をあざ笑うかのような光景を彼女は見ていた。

 

「倒れないんですね、さっさと倒れないと消えちゃいますよ?」

 

「はっはっは、姫ちゃん守ってねぇのに消えれるかボケ」

 

「兄さん! やめてください、もう無理です、もう無理ですよ!」

 

廻を庇う創は全身を黒く染めて意識を失っており、

庇われたはずの廻るもその場で意識を失っていた。

神姫は手足を鎖のようなもので拘束され、

その前に立つ零は、真っ黒になった体が半透明になり、

その場に黒い液体を流しながらもその場に立っていた。

 

「優姫様、秘策ってアレだけなんですか?

もしかして、アランの時の一件で勘違いしたんじゃないですか?」

 

「………」

 

神姫は秘策を持っていた。

クランが攻めてきた時、一瞬だけ、自らに力が戻ったのだ。

故に、実は今回もそれができるんじゃないかと踏んで、

力を集中あい、向こう側の力を引き出す訓練をしてきた。

そして今回、形勢が不利になった時に、それを発動した。

結果は成功だった。一時的に神姫の能力に不備はなくなり、

零や創、廻も超える神の領域に達した。

 

「確かに力は戻ってます。ただの神の力ですよそれは」

 

「管理世界数……ですよね」

 

「その通りです。私たちの力の強さは世界の管理数に比例する。

アランは零さんがキャパシティを無限にして神の中でも最強たり得たから倒せた。

優姫様の場合は? 力を元の形に戻しただけ、

元々の世界管理のパイプを、あなたは戻してなかったんですよ」

 

「基本的なことですね、ボケたということでしょうか」

 

「そうですね、あなたにしては詰めが甘かったということです」

 

クランは零の前に降り立った。

零は半透明の体を能力で無理やり動かし、彼女を遮る。

 

「行かさない、お前は行かさない」

 

「どきなさい」

 

零は動かなかった。好きな人を守る。

彼の今の目的だ。そして、彼はもうひとつ失いたくないものがあった。

彼は、家族を失いたくなかった。

 

「行かさない」

 

「消すわよ?」

 

親の死を見て、全てに色がなくなった世界を知った彼は、

好きな人であり、同時に妹という家族である神姫を失いたくなかった。

 

「消えない」

 

「消すわ」

 

クランが彼の顔に手を伸ばす。

しかし、その手は途中で弾かれた。

クランは自らの右方を見る。

冥加が、十三組がそこには立っていた。

 

「させない」

 

「あら、誰かと思えば人間じゃない」

 

クランは彼等を見て笑った。

が、自分の腕が地面に力なく落ちたことで表情が変わった。

 

「あなた、本当に人間?」

 

「能力で干渉はしていない、

ただ、世界がそうなるようにしただけ」

 

冥加はそう言って零に近づいていく。

 

「零、大丈夫?」

 

「大丈夫じゃないな。にしても、その能力どうしたんだ? 

前あった時は持ってなかったはずじゃ……」

 

「家の国の大爺の能力だ」

 

都城がそう言った。

 

「以前連れてきた仲間の一人でな、

もう大分年食ってるし、そろそろ飽きたと言って

冥加にその能力をプレゼントしたんだよ」

 

「能力干渉じゃないから零くんにも一応効果がある能力さ」

 

その説明にクランが不思議そうな顔をする。

 

「どういうこと? 私は能力の干渉を受けない、

それに、物理的な攻撃だってほとんどは無効化されるはずよ」

 

「能力で直接干渉してないだけ、

物理攻撃は『ほとんど』無効化されるだけ、

もしかしたら、私の攻撃が、偶然あなたに効いてしまうかもしれない」

 

冥加はニヤリと笑ってそういった。

クランの顔が苦笑いに変わる。

 

「なるほど、能力干渉ではなく、

たまたま絶対的に、私にダメージを与えられたということですね?」

 

「そう」

 

冥加が不敵に笑う。

都城がクランに聞いた。

 

「能力干渉ではなく、世界干渉なら効くと踏んだが……

その通りだったりしたのかな? 見知らぬ神の少女よ」

 

「当たりよ、世界を管理する関係上、

私達の能力には世界干渉に対する対策がついてないわ」

 

「じゃあ、私はあなたに勝てる可能性を持っている」

 

「そのとおりよ」

 

「でも」とクランは続ける。

 

「ただの可能性だわ」

 

そうして、クランは冥加に手を向けた。

クランの周りを風が取り巻く。

そして、その風が一気に冥加に襲いかかった。

が、その風邪は冥加を避けて二つに別れ、駆け抜けていった。

冥加はクランをひと目だけ見ると、直ぐに零の方に目を戻す。

 

「零、守るための力を持ってきた。

大切な友達を、私の特別を、守るための力。

今からこれを、あなたに渡す」

 

零は首を傾げた(実際は動かせていないが)。

渡してくれるのは構わない、しかし、渡す手段はどうするのか。

今の彼には動くことすら難しい、

 

「渡すのは俺と行橋がやる。

時間稼ぎのために連れてきたのが十三組だ」

 

そう言って都城と行橋が零の隣に立ち、

十三組の面々が四人の前にでて、クランを塞いだ。

 

「じゃあ、小細工は頼んだぜ、雲仙!」

 

「まかせて」

 

高千穂が叫び、冥加が返した。

十三組のメンバーがクランに飛びかかっていく。

普通に見れば、零にも負けてしまう集団。

しかし、今回の彼等には一つだけ違うことがある。

 

「はっはっは! 遅い遅い!」

 

「ああ、わかる。君の殺し方が僕には理解できる」

 

「今回はいいとこ見せるもんねー!」

 

「劇薬ダーツゲームはっじまるよー」

 

冥加の小細工で、たまたま偶然、

世界が彼等に味方してしまっているのだ。

 

「皆をなめないで、もしかすると、

たまたま偶然、君の攻撃が当たらなくて、

たまたま偶然、君の干渉が無効化されて、

たまたま偶然、君に攻撃が通じて、

たまたま偶然、時間稼ぎができるかもしれない」

 

クランは苦い顔をした。

もう一度零と戦わないといけなくなるということ、

目の前の人間にも油断すれば負けるかもしれないということ、

そして、次の零との戦闘は勝ち目がないということ、

それを知って、彼女は毒づいた。

 

「世界のボケ野郎、優姫様の馬鹿野郎!」


 
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