No.644311

IS 2体の魔神皇帝

HIBIKIさん

だいぶ早くかけたので投稿します。

2013-12-10 23:35:30 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1374   閲覧ユーザー数:1353

千冬「織斑に篠ノ之?如何した?相川は?」

 

一夏「清香なら姐さんが研究所に連れて行って治療するだろうぜ」

 

箒「それにやる事が無くて・・・手伝います」

 

千冬は箒に何時もの覇気が無いのを感じ取った。

一夏は清香に起こった事を既に受け入れ、其れを糧に精神的にまた少し成長していた。

しかし箒はその事を悔やみ、自信の力の無さが憎くてしょうがないといった顔だ。

 

千冬(今は少しでも気を紛らわせるか・・・)

 

一夏「姉貴は他の仕事もあるだろ?此処は俺達で片付けるから行っていいぜ。

   弾と鈴、セシリアとシャルは怪我人を見てきてくれ。人手が足りないらしい」

 

弾「あ、あぁ・・・(箒は大丈夫なのか?)」

 

一夏「頼んだ(其ればかりは本人次第だろ。立ち直れるように手助けはするつもりだが)」

 

マドカ「箒姉・・・」

 

ラウラ「・・・」

 

一夏がラウラの事を見たのに気が付いた弾はわかっているだろうと思ったが一応言っておく事にした。

 

弾「一夏。ラウラも似たような感じになってるからな」

 

一夏「・・・みたいだな。表に出してないが相当辛そうだ」

 

弾は心配そうに二人を見た後、先に行ったセシリア達を追って走っていった。

ラウラと箒は一心不乱に作業をしていた。マドカは少し手伝い、一夏は何もせず見守っていた。

作業が終ったのは夜7時半頃だった。

 

箒「一夏、終ったぞ・・・」

 

一夏「あぁ。今日はもう部屋で休もう。ラウラ、お前も来い。マドカ、今日は姉貴の所に行ってくれ」

 

マドカ「ん・・・」

 

マドカも箒とラウラの変化を見抜いており、心配していたが自分では力になれないとも感じていた。

 

マドカ「箒姉、ラウラ、清香姉の事、二人悪くない。悪いのはあの虫と虫を操ってたブロッケン」

 

箒「・・・」

 

ラウラ「・・・確かにそうだが」

 

励ますマドカだが箒の心は罪悪感に染まっており、ラウラも清香を護れなかった後悔で一杯だ。

そんな2人の様子を見たマドカは思い切って今思っていることを正直に言った。

 

マドカ「二人ともそんなだと清香姉に笑われる。お兄の隣に立つ資格無い・・・」

 

一夏(ほぅ・・・)

 

マドカ「マドカはそんな軟弱な人間、家族に持った覚えない・・・」

 

マドカの口から意外にも厳しい言葉が出る。2人はその言葉に反応したが何も言い返さない。

 

マドカ「もう行く・・・」

 

3人を残してマドカも其の場を離れて行った。一夏が歩き出すと2人も弱々しく歩き始めた。

部屋に戻り、一夏が布団を敷くと箒とラウラは直ぐに二人一緒に寝てしまった。

しかし、布団は小刻みに震えており、泣き声も聞こえる。一夏は聞こえない振りをして二人の頭を優しく撫でる。

1時間程で落ち着いたらしく、箒とラウラは一夏の膝枕で眠っていた。

 

一夏「少しは成長できたか・・・。これで清香に怒られずに済みそうだ」

 

その夜一夏は寝ずに2人に付き添い続けた。

一方マドカは千冬のいる寮長室でベットに座りそわそわと落ち着けないで居た。

 

千冬「落ち着けマドカ。箒とラウラは大丈夫だ」

 

千冬はマドカの隣に座り、抱き寄せて落ち着かせようとする。

 

マドカ「・・・でもマドカ二人にキツイ事言った。だから心配」

 

千冬「そんなやわな2人じゃないさ。暫くは引きずるかも知れんが必ず立ち直る。

   そして今までより強く逞しくなってくれる」

 

マドカ「ん・・・でもきつい事言ったマドカ嫌われない?」

 

キツイ事を精神が不安定の時に言ったのでその事で嫌われないか心配になってしまうマドカ。

しかし千冬は笑ってマドカの不安を拭い去る。

 

千冬「感謝こそするだろうが嫌ったりしないさ。家族だろう?」

 

マドカ「ん・・・良かった・・・」

 

その言葉を聞いてやっと安心できたのかマドカは千冬の胸に顔を埋めた。

 

マドカ「ん・・・お姉・・・」

 

千冬「なんだ?」

 

マドカ「お姉と一緒に・・・寝ていい?」

 

捨てられた子犬のような上目使いでお願いされて千冬は鼻から愛が出そうになったが、何とか堪えた。

 

千冬「あ、あぁ。いいぞ」

 

マドカ「お姉はマドカの事だっこして寝て・・・ね?(ギュッ)」

 

千冬(ガフッ・・・)

 

千冬は抱きついてきたマドカが可愛すぎて愛が溢れ出しそうになってしまったがまた何とか堪えた。

しかしこの夜、千冬は体からあふれ出そうになる愛を留めるのに必死で眠る事ができなかった。

時間は少し戻り、セシリア達は避難所で怪我人の手当てなどを手伝っていた。

 

弾「坊主、大丈夫か?」

 

「うん・・・大丈夫」

 

弾は怪我をした男の子に絆創膏を張ったり包帯を巻いたりしてやる。

 

弾「よし、これでOKだ。鈴!この子を親御さんの所に」

 

鈴「解ったわ。さ、行きましょ」

 

「ありがと・・・おじちゃん」

 

弾「おじ!?」

 

おじちゃんと言われた事に若干のショックを受ける弾だが子供だから別にいいかと気にしない事にした

 

シャル「ほ~ら。痛いの痛いの飛んでけ~」

 

シャルは傷が痛くて泣いている女の子をあやしている。

 

「ヒック・・・痛いよ~」

 

シャル「大丈夫、絆創膏も張ってるし血もすぐに止まるよ」

 

女の子はシャルに撫でられて少しづつ泣き止んで行った。

 

また別の場所ではセシリアが包帯等の治療用具の数の確認をしていた。

 

セシリア「包帯はもう大丈夫みたいですわね」

 

鷹月「うん。手当ても殆ど終ったし」

 

鷹月や他の一年生メンバーもこの現場を手伝っていた。

 

鷹月「大怪我を負った人が居なくてよかった・・・」

 

セシリア「ぁ・・・」

 

鷹月「ん?如何したの・・・そういえば織斑君と篠ノ之さんにラウラとマドカちゃん

   清香も見ないけど・・・どうかしたの?」

 

セシリア「一夏さん達4人(・・)なら機械獣の後始末をしてますわ」

 

鷹月「そっか・・・え?四人?」

 

セシリア「詳しい事は後で。其れと他言無用でお願いします」

 

鷹月「一年一組のみの話だね?」

 

セシリア「あと一年生の代表候補生達と付け加えますわ」

 

鷹月「・・・」

 

その後、作業を終えた一組一同と一年生の代表候補生が食堂の一角に集まって話を始めた。

 

鷹月「で、さっき5人居なかったのに4人が後始末をしてるって言ってたけど・・・」

 

弾「相川が手足を切断された」

 

本音「きよっちが!?」

 

弾の言葉に皆ショックを受ける。ざわついていた一同を弾は手を上げて静かにした。

 

弾「其れでさっき一夏に確認を取った。今相川は光子力研究所で治療を受けているそうだ」

 

シャル「手足を付けられるかもしれないって事!?」

 

皆光子力研究所で治療を受けている事を聞き、明るくなる。

 

弾「・・・手足は潰されて使い物にならなかったらしいから義手と義足をつける事になる可能性が高い」

 

本音「そんな・・・」

 

明るくなった空気が一気に沈む。

 

弾「言い方が悪いかも知れんが仕方が無いさ。腕や足を生やすような再生治療はまだ出来ない。

  他の人間の手足を移植するのは可能だが拒絶反応が起こる可能性も高い。

  幾ら兜十蔵博士や弓教授などの有名な人達がいても限界はある」

 

セシリア(弾さん・・・こんな事言うなんて・・・お辛いでしょうに)

 

鈴「でも本人がどの様に思っているのか解らないでしょ?」

 

弾「相川は多分・・・」

 

話が終ると各々寮の自室に戻り、寝る事にした。

弾の話(憶測なども入っているが)を聞いたクラスの皆は清香が戻ってきたら

皆で笑顔で迎え入れる事を心に決めていた。

 

弾「団結力が半端じゃないな・・・」

 

本音「其れがこのクラスのいい所~♪」

 

弾「魔神のほほん殿・・・」

 

本音「魔神じゃ無いもん!」

 

何だかんだで立ち直りの早い一年一組とその仲間達だった。

光子力研究所に到着した清香と束は早速十蔵の元へ向った。

 

清香「十蔵さんの久しぶりです」

 

十蔵「お主、その手足は如何した!?」

 

束「Drヘルのせいだよ!」

 

十蔵「で、お主は・・・わし特製の義手と義足を直接・・・」

 

清香「はい・・・」

 

その後、清香は研究所のとある一室に連れて行かれ、義手と義足を取り付けられた。

 

清香「・・・凄い。神経まで通ってる」

 

十蔵「しかし驚いたぞい。神経系等が勝手にくっ付くとは・・・」

 

十蔵たちが清香に超合金ニューZαの義手、義足を取りつけようとした際、接合部が清香の肉体と

勝手に同化してしまったので一騒ぎあった。

 

清香「多分私達一族の血のせいだと思います。でも此処までなんて・・・」

 

十蔵「魔神の巫女・・・か。どうやらジャパニウム鉱石関連の物質に反応し体に取りこめるようじゃな。

   神経は通っておるが機能はそのままになるとはな」

 

束「一種の生機融合体って事?」

 

十蔵「うむ。詳しい事は後で調べてみるぞい。それと勝手なのだがレントゲンを撮ったのじゃ。

   其れでこれがその写真なのじゃが・・・」

 

十蔵はレントゲン写真を二人に見せる。そのレントゲンには7つの球体が写っていた。

 

十蔵「下腹部から喉にかけて7つの球体、そして其れを繋ぐ紐のような物があるじゃろ?」

 

清香「紐って之のことですか?」

 

十蔵「うむ。どうやら魔神パワーのブラックボックスと同じ物の様じゃ」

 

十蔵による説明に一瞬目が点になる束と清香。お互いを見た後十蔵を見るをの数回繰り返し

 

束「ええええええええええええええ!?!?!?!?!?!?」

 

清香「うっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?!?!?」

 

思いっきり叫んだ。

 

一夏「ん?清香と姐さんの声?」

 

箒「一夏・・・?」

 

一夏が何故か清香の叫びに反応し箒は寝ぼけながら一夏の様子を見る。

 

一夏「気のせいか。ほら、寝てろ」

 

箒「清香は大丈夫だろうか・・・」

 

一夏「其ればかりは俺でも解らんが大丈夫だと思うぜ。何故か・・・」

 

箒「そうか・・・」

 

箒はラウラを抱きながらまた眠りに落ちて行った。一夏も膝枕をしながら座ったまま眠った。

後で膝枕を続けた事に後悔するが・・・。

 

清香「ままま魔神パワーのブラックボックスってどどど如何いうことですか!?!?!」

 

十蔵「しかし・・・全くもって不思議じゃな」

 

束「へ?・・・あ、そっか。ブラックボックスって人間の体内にあると体を乗っ取ろうとするから・・・」

 

十蔵「うむ・・・。最近では一夏の中にも出来ているようじゃが・・・全く不思議な物じゃ」

 

束「え?いっくんにも?って事は・・・直に箒ちゃんにも?」

 

十蔵「可能性はあるじゃろうな」

 

清香「でもなんで・・・私は多分血筋のお陰なんでしょうけど・・・」

 

十蔵も首を捻って考えている。束は考えすぎて頭がショートする寸前だ。

清香は考えている内に眠くなったのかうつらうつらと舟を漕ぎ始めた。

 

十蔵「もしやカイザーが関係しているかも知れんな」

 

束「かもね・・・ふぁ~」

 

清香「スー・・・スー・・・」

 

大あくびをする束。清香は数分もしないうちに熟睡してしまった。

 

十蔵「やはり同化の影響もあって疲れたのだろうな」

 

束「みふぁい・・・」

 

十蔵「もう少しだけ起きておれ。この子を布団で寝かせてやるんじゃ」

 

束「はふ~い」

 

束は清香を自分の部屋に運んだ後、一緒に眠るのだった。

そして翌日・・・

 

一夏「箒、ラウラ・・・いい加減・・・おきてくれ・・・」

 

箒「ん・・・一夏、お早う」

 

ラウラ「お早う御座います・・・」

 

箒とラウラは起きてから着換えて朝食に向おうとしたが一夏が立ち上がろうとしない。

気になった二人は声を掛ける。

 

箒「一夏?」

 

一夏「いいから先に行っててくれ・・・」

 

ラウラ「あの・・・どうかしたのですか?」

 

一夏「・・・・・・・」

 

箒、ラウラ「?」

 

少しの間黙っていた一夏だが足が若干震えているのを見て2人は察しがついた。

 

一夏「解ったろ?足が痺れて立てないんだ・・・」

 

箒「あはは・・・悪い・・・」

 

ラウラ「すみません・・・」

 

一夏「いい・・・後2,3分もすれば動けそうだ」

 

箒「わ、解った。じゃぁ先に行ってるからな・・・」

 

まさか自分達の頭を乗せていたので足に血が回らず痺れてしまったとは思いもしなかった箒とラウラだった。

食堂に行くと弾達も既に居た。

 

弾「二人共、もう大丈夫みたいだな」

 

箒「まだ少し引きずっているがな・・・」

 

ラウラ「私も・・・」

 

鈴「一夏は?」

 

箒は先程の事を話すと弾は苦笑いし、鈴とシャルは大爆笑、セシリアは少し心配そうな顔をする。

セシリアは一夏の正確を悪友ともいえる弾と同じくらい理解でき始めていた。

 

セシリア「あのお二人とも・・・笑ったことを一夏さんが知ったら・・・」

 

鈴「あ・・・」

 

シャル「やっちゃった?」

 

箒「今回は3割の確立で大丈夫だろう」

 

ラウラ「特訓の時にどうなるかはわかりませんね」

 

箒「あぁ」

 

鈴とシャルは思いっきり厳しくなるだろうと覚悟した。

 

箒「知られたら、の話だがな」

 

ラウラ「今回は目を瞑る」

 

2人は黙っていてくれるようだ。

 

シャル、鈴「ホッ・・・」

 

安心してほっと一息つけた2人・・・。

 

一夏「だがそう簡単にばれないとでも思ったか?」

 

鈴「ゲッ・・・」

 

シャル「まさか・・・」

 

一夏「今日の放課後覚悟しろよ。普段より2割増で厳しくしてやる」

 

シャル(良かったまだ2割増で済んだ・・・)

 

鈴(死なない程度だから良かったわ・・・)

 

一夏「密度は8割増しだがな」

 

弾「ご愁傷様」

 

この日の放課後、アリーナでは猫と子悪魔の悲鳴が響き続けた。

一方研究所では清香が義手と義足になれるための訓練が行われていた。

訓練と言ってもまだ立ったりも出来ないので動けるようになるための訓練から始まった。

 

束「清ちゃん・・・」

 

十蔵「束、手を出してはならぬぞ」

 

十蔵は途中まで見守っていたが仕事に戻って行った。

現在、清香は離れた場所になる食料を食べに行く訓練をしている。

神経が通っていてもまだまだ上手く動かせずに這って移動したりしている。

その他にも完全に馴染んでいないのか時折痛みが走るようだ。

 

束「厳しすぎるよ・・・」

 

清香「・・・負けない」

 

束「・・・」

 

しかし清香の生きようとする意志は途轍もなく強く、一日で這う動作から杖を使って歩けるくらいにはなった。

途中倒れたりして束が起きるのを手伝おうとすると其れを拒絶したりした。

 

束「でも・・・」

 

清香「こんなんじゃ・・・一夏達に笑われちゃいますよ。

   それに束さんが手伝ったって一夏が聞いたら如何いう反応すると思います?」

 

束「・・・・・・殺しに掛かってきてるのかって位激怒するね。いっくんなら」

 

束は昔の一夏の事を思い出した。一夏も昔手足の自由が利かず立つ事が出来なかった時期があった。

今清香が行なっている訓練はその時一夏がやっていた事と同じである。

 

束「いっくんと同じ訓練か・・・お爺ちゃんも意地悪だよね」

 

一週間もすると以前の手足と同じ様に自由自在に義手義足を動かせるようになり清香は学園に戻れる事になった。

束曰く訓練をしている清香の根性は一夏、箒、千冬に自分が束になっても敵わないだろうとか・・・。


 
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