No.64408

Over there 2

砂夜さん

読んでくれたら嬉しいですゃ。

2009-03-20 23:10:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:317   閲覧ユーザー数:300

暑い。誰か地球温暖化止めろよ。

だがそれも帰ればクーラーという名の天使が俺を救ってくれるはずだ。

 

「今日は楽しかったか?」

「えっとねぇ・・・・まあまあかなぁ。」

いつも通りの質問と、いつも通りの答え。学校で嫌な事がないらしい事は喜ぶべき事だろうが、しかし楽しいことがないということになると、それは結構ヤバイかもしれん。即座に俺の脳は、教室の隅っこの清掃用具入れの隣で、体育座りをしている晴の姿を想像しやがった。縁起の悪いことを想像しちまったこの脳みそから俺はその記憶をたたき出すかのように、俺は、頭をフルフルっと振った。何かお父さんみたいな思考回路だな。

 

「何してんの?詩。」

「いや~。俺ってお父さんだなって。」

空からの質問を、俺はしっかり答えたつもりでいたけど、どうやら的外れだったらしい。

「は?」

文字通り唖然としていた。というか文字通りなら、は然としていた。そして、目を細めて俺の顔をまじまじと見た後、「フッ」と鼻で笑った。

何だコイツ。と思ったが、そこはスルーしておこう。

 

 

その後も何かくだらない会話をしつつ、やっと家に着いた。

俺は空、晴と家の前で別れて玄関の扉を開けようとした。

が、開かなかった。そう。鍵が閉まっていたのだ。それは当たり前だろう。なんせ俺は小学校一年生の頃から筋金入りの鍵っ子なんだからな。自慢する事じゃないけど。

「何かいっつも解かっているけどやっちまうんだよな・・・・」

独り言をもらしつつ、カバンから取り出した鍵を鍵穴に差込み、ひねる。そして開く。

今度こそ玄関を開ける。

「詩さんがログインしました!」

今のは、ただいまの変わりだ。何となくだぞ。何となく。

 

「暑いな・・・・」

 

もちろん、家には俺しかいないわけだから勝手にクーラーがついているわけもない。乾燥したサウナのような状態だった。俺はすぐさま天使を呼び出した。クーラーのリモコンという名の文明の利器を使って。すぐに、俺の元に天使ちゃんが降りてきたようだ。その天使ちゃんが、部屋全体を涼しくした。俺はリビングの、一番冷気が当たるソファーに移動してそこに寝転がった。

そのまますぐさまブラックアウト。俺は吸い込まれるようにして眠りに落ちた。

 

 

 

 

go to Kaito

 

 

 

 

「おぉ?いいところに。いっしょに帰ろうぜ成瀬!」

 

部活を終えていつの間にか赤くなった太陽の光が教室の窓から斜めに差し込んできて、教室をキレイに彩っていて、それが神秘的だったのでカメラを取り出して写真を撮ろうとした時、教室の入り口付近から、僕は同じクラスの梶にそう話しかけられた。

 

「ありがと。だけど今日は優菜と約束があるから一緒に帰れそうにないよ。」

「そうか・・・・それじゃあまた明日な!」

「うん。また明日。」

 

そういって梶が廊下を駆けていったいった。

 

言い忘れていたけど、僕は成瀬快斗(なるせかいと)。蒼島高校の3年1組。好きな事は写真撮影。写真部所属。

 

で、さっきのやつは坂口謙介(さかぐちえんすけ)。同じく蒼島高校の3年1組。一人暮らしをしていて料理が得意なんだって。ちなみにサッカー部所属。

 

僕は手早く荷物をカバンに入れて教室から出る。そして早足で下駄箱まで向かい、靴を履いて外へ出た。正確には出ようとした。そのとき物陰の死角になっていたところから急に足が出てきた。僕はその足につまづいて転んでしまった。

 

「遅い!」

 

そう声がした方向に振り向くと、僕の良く知っている少女がいた。

 

「いくらなんでも、足をかけるのはひどすぎないか?と言うか僕は時間通りのはずだけど。」

「1分半も遅いわ。これが電車だったらとっくに電車は発車してしまっているのよ?」

「・・・・・だけど優菜は電車じゃないしゃないか・・・・・」

 

そうぼそっとつぶやくと、なんですって?と詰め寄られたのではぐらかした。

 

彼女は、有川優菜(ありかわゆうな)蒼島高校3年5組所属。男っぽい性格で、髪型は動きやすいショート。陸上部のキャプテンとして、日々練習を重ねている。どちらかといえば小柄なのだが、足がとてつもなく速い。機械類が苦手。

 

優菜とは、同じ駅の同じ時間の電車に乗って同じ駅で降りていて、いつもよく見かけたし、たまに目が合ったりしていたから、僕が試しに話しかけてみたのが、1年の時の冬だった。同じ中学だったらしいが、それに気づいたのは出会ってからしばらくしてからの事だった。

 

ちなみにさっき僕が言った約束と言うのは、買い物があるから付き合って欲しいとの事だった。

転んで軽く打った肩をさすりながら、既に歩き出している優菜の背中を追った。


 
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