No.644030

一刀の晋王転生録 最終章十五話

k3さん

翠は黄蓋の望みに薄々気付いた。果たして黄蓋の望みとは。

2013-12-09 21:25:01 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2136   閲覧ユーザー数:1904

 姓:司馬 名:昭  性別:男

 

 字:子上

 

 真名:一刀(カズト)

 

 北郷一刀が転生した者。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:懿  性別:女

 

 字:仲達 

 

 真名:理鎖(リサ)

 

 一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:師  性別:女

 

 字:子元

 

 真名:瑠理(ルリ)

 

 母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。

 

 

 

 

 姓:張  名:春華 性別:男

 

 真名:解刀(カイト)

 

 一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。

 

 

 

 

 姓:王  名:元姫 性別:女

 

 真名:美華(ミカ)

 

 一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。

 

 

 

 

 姓:鄧  名:艾  性別:女

 

 字:士載

 

 真名:江里香(エリカ)

 

 後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。

 

 

 

 

 姓:賈  名:充  性別:女

 

 字:公閭

 

 真名:闇那(アンナ)

 

 司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。

 

 

 

 

 姓:王  名:濬  性別:女

 

 字:士治

 

 真名:澪羅(レイラ)

 

 後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:望  性別:女

 

 字:子初

 

 真名:理奈(リナ)

 

 一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。

 

 

 

 

 

 

 姓:杜  名:預   性別:女

 

 字:元凱

 

 真名:綺羅(キラ)

 

 一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。  

  第十五話

   「黄蓋の望み」

 

 

 自分と同じ事を望んだ人物。その事に黄蓋は興味を持つ。

 

「ほう? それは興味深いな馬超よ。聞かせてくれぬか? 誰と同じなのじゃ?」

 

「アタシの母様……馬騰だよ」

 

「何と……馬騰殿がのう」

 

「あんたは自分のしている事が孫尚香の不利になるような事が分からない訳じゃない。それはこの反乱が発覚した時からアタシは何と

 

なく感じていた。そしてさっきの孫権とのやり取りでそれは確信に変わった。アンタは間違いを犯している事に気付いていながら晋に

 

抵抗している。たぶん、呉の国の復活を望んで。それが、その姿がアタシの母様にそっくりなんだ。間違っているって分かって最後ま

 

で司馬家と戦って、最後まで漢の将で在り続けようと自害までした母様に」

 

 黄蓋は黙って馬超の話を聞いている。まるでこれから言われる事を予測しているように。

 

「アンタ、生きるにしても死ぬにしても最後まで呉の将として在りたいんだろ? それ以外の生き方が出来ないだろ? そしてそれが

 

分かっていたからこそ、晋との決戦の時に死のうとしたんだ。自分が生きていると今している事をやりかねないと予感していたから」

 

「……そのとおりじゃ」

 

 黄蓋は肯定した。

 

 だが、少し違う。実はあの戦いの後、生き残った黄蓋は迷っていた。最後まで呉の存続を望むのか、それともいっそこのまま自害す

 

るかを。

 

 そこに鐘会が現れる。

 

 彼女の願望を理解した彼は呉の存続という願望を増幅させ暴走させたのだ。

 

「祭、貴女……」

 

「申し訳なんだ、権殿。貴女が悪う訳ではございません。これは、完全にわしの我侭で、間違っておるのは分かっております。しかし、

 

それでも、呉の将として、呉の武人として、止めることが出来ませなんだ」

 

 黄蓋の意思を心を理解した孫権は分かってしまった。どうあっても彼女を止めるのは不可能だと。

 

 孫権は悲痛な覚悟を決め、剣を構えようとする。

 

「待ってくれ、孫権」

 

「馬超?」

 

「アンタがやっちゃいけない。それじゃあ、黄蓋は呉の将として死ねなくなるかもしれない」

 

 呉の王の血筋である孫権が黄蓋を討てば、呉を望む反逆者では無く、下手をすれば呉に反発した反逆者として歴史に名を残してしま

 

う可能性が高い。

 

「だから……アタシがやる。孫権は黄蓋を見届けてくれ」

 

「馬超……」

 

 馬超は手に持つ槍に力を込め、前に出る。

 

「それで良いんだろう? 黄蓋」

 

「……感謝するぞ、馬超よ……最後の相手がおぬしで良かった」

 

 黄蓋は悟っていた。目の前の猛将には勝てないだろうと。だが、それで良いのだ。

 

(ようやく、呉の将として死ねそうじゃ)

 

 この時、黄蓋に掛けられていた術が解けていた。だがそれでも戦いは止まらない。この瞬間こそ、彼女の望みなのだから。

 

 黄蓋も前に出る。そして二人がある程度距離を縮めると一騎打ちが始まった。

 

 黄蓋は馬超に対し、何度も矢を放った。馬超はこれらを何度かかすりはしたがかわし続ける。そして黄蓋に接近する。黄蓋はバック

 

ステップで距離を整えようとする。だが、馬超はそれすらも追いつき距離を縮めた。先ほどよりも早く。

 

 反応が遅れた黄蓋は矢を放つことも出来ず、馬超に斬られた。

 

「見事……」

 

 黄蓋が崩れ落ちる。

 

 孫権は急いで黄蓋のもとに辿り着く。

 

「祭!」

 

「権殿……」

 

「最後にこれだけは言わせて……ありがとう、最後まで呉を思ってくれて」

 

 その言葉を言うのはいささか不謹慎のような気はしていた。しかし、それでも孫権は嬉しかったのだ。苦しみながらも守っていた呉

 

の国をこれほどまでに愛してくれていた事に。

 

「まだ……わしにそのような言葉を掛けてくださるのか……わしは……本当に……果報者ですな……」

 

 黄蓋は満足してこの世を去った。

 

「孫権、大丈夫か?」

 

「ええ、もう大丈夫」

 

 黄蓋の想いは、孫権の一度折れかけた心を再び燃え上がらせた。

 

(祭、私はこれからも私なりのやり方でこの大陸を支えるわ。もう、貴女のような人を作らない為にも)


 
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