卑弥呼殿に頼まれた私は北郷が目覚めるまで響窃から死守しながら待っていた……
そして遂に………
その時がやって来た!!!
六節 〜『天の御遣い』の名など〜
冥琳「北郷!!」
朱里「ご主人しゃま!!」
私達は目を覚ました北郷の元に集結した
一刀「うぅ………此処は………?」
冥琳「成都のはずれだ、大丈夫か?」
一刀「何か………頭が……締め付けられるように痛い………」
稟「一刀殿は大丈夫なのでしょうか?
その頭痛は何かの障害でしょうか?」
冥琳「分からん………」
だが、響窃が北郷の身体をあれだけ使って、あれだけの傷を負っていたのにかすり傷程度しかないとは……
っと、そこへ………
愛紗「はあぁぁっ!!」
響窃「甘いわ!」
ザシュ!!
愛紗「ぐっ!?」
愛紗が響窃の『死の剣』により斬り飛ばされてきた
愛紗「くっ………!」
朱里「あ、愛紗さん!」
愛紗「大丈夫だ!朱里達は下がっていろ!」
響窃「大丈夫には見えぬがな……」
一刀「ん?…………愛紗……と…戦っているのは………っ!!ぐっ!!?」
愛紗「ん?………っ!!ご主人様!!?
目を覚まされ………っ!!?どうしたのですか!!?」
響窃「なっ……………北郷一刀!?
なぜ貴様が………!?」
一刀「あぁぁっ!!……ぐうっ!!……」
冥琳「北郷!!?どうしたのだ!?」
突然、北郷が頭を抱え苦しみ始めた
貂蝉「これは…………お師匠様ん、もしかしてん!」
卑弥呼「あぁ、恐らくご主人様は今までの戦いの記憶を思い出そうとしている!」
戦っていた者達が全員北郷に目をむけた
華琳「記憶を………?
一刀は何も覚えていないの?」
于吉「響窃に身体を奪われていて、更には途中から精神も乗っ取られてしまったのでしょう?
つまり、響窃に奪われた時から北郷さんは眠ったような状態だったのかもしれません
だから今、今までの全ての記憶を思い出そうとしている為、北郷さんの身体が異常反応しているのです」
一刀「ぐっ………!!?」
冥琳「北郷!!?」
北郷はその場に倒れてしまった……
……………ここから一刀視点……………
ここは何処だ…………?
?…………何だろう……
見た事のある景色が見える………
響窃『我が名は………響窃……』
響窃……………
星『よくも白蓮殿の左腕を!!』
星……?どういう事だ……?白蓮の左腕がどうしたんだ…………?
響窃『消えろ………弱き戦闘種族達よ………』
響窃……お前は何を………
翠『蒲公英ーーーっ!!!』
翠…………?蒲公英がどうしたんだ………?
響窃『人間如きがこの魔人・響窃に勝てるとでも…………?』
『魔人』………って……響窃…………お前が………?
真桜『凪………うわあぁぁぁっ!!』
っ!!凪……何があったんだ!?真桜、その血は一体…………
響窃『しつこいのも………弱いのも………吐く程嫌いだ!!』
すると、白い光と共に突然俺の目の前に華佗が現れた
華佗『やぁ、御遣い殿………久しぶりだな』
一刀「(華佗………そうか……君は……響窃に…………
っ!!そうだ……華佗、此処は何処なんだ?)」
華佗『此処は御遣い殿、君の頭の中の【記憶の中】だ』
一刀「(そうか………だから見た事の風景だったり、場面だったんだ……)」
華佗『御遣い殿………君に全てを託した………
俺達三人分の仇を…………頼んだぞ……』
一刀「(………あぁ、分かったよ………華佗……
男と男の約束だ………)」
蒲公英『ねぇ、ご主人様!
華佗とだけ約束するの〜!?』
一刀「(蒲公英………凪………)」
後に振り向くと頬を少し膨らませた蒲公英と、顔をほんのり朱色にした凪が立っていた
蒲公英『蒲公英達だってご主人様の為に頑張ったんだよ!』
凪『隊長………その……自分も頑張りました!』
一刀「(あぁ、わかってるさ………ありがとう、二人共……)」
俺は二人を抱き寄せた
蒲公英『わ〜い♪』
凪『あっ…………ふふっ♪』
二人共嬉しそうに身体を俺に擦り寄せた
華佗『しかし、御遣い殿…………』
一刀「(何だ?華佗)」
華佗は顔を険しくして
華佗『勝算はあるのか?』
凪『確かに……そうですね』
凪と蒲公英は俺から離れて考え出した
蒲公英『相手は蒲公英達を殺した魔人・響窃だよ?
ご主人様戦えない事はないけど、そこまで強くないじゃん』
蒲公英の言うことは心にグッサリ刺さったが最もだ
俺は武芸には全くではないがあまり長けていない
沙和や真桜にすら勝てない俺が、響窃に勝てるはずがない
でも俺は…………
一刀「(何故だろうな………
よく分からないけど、戦えそうな気がするんだ………
自分でも何故か分からないけどね)」
蒲公英『ふーん………あっ』
一刀「(どうした蒲公英……っ!!)」
ふと見ると蒲公英達の身体が少しずつ足元から消え掛かっていた
華佗『………時間が来てしまったようだな』
凪『名残惜しいですが、致し方ないです』
蒲公英『ご主人様!約束だよ!
絶・・対に響窃を倒してね!!』
一刀「(あぁ!勿論だ!)」
華佗『では…………御遣い殿
後は任せたぞ!』
華佗がそう言うと眩しい光が俺を包み込んだ
一刀「う…………」
冥琳「北郷!!」
愛紗「ご主人様!!」
華琳「一刀!!」
一刀「ん………?皆………」
俺は冥琳の膝枕から頭を上げ、ゆっくりと立ち上がった
蓮華「一刀!駄目よ!!貴方は………っ!」
俺は蓮華の口に人差し指を立てた
一刀「大丈夫………大丈夫だから」
蓮華「一刀…………」
一刀「さて…………」
俺はゆっくりと異様な気を発している男の方を振り向いた
一刀「お前が響窃……で良いのかな?」
響窃「そう言えばこの姿で会うのは初めてか………
そうだ……私が魔人・響窃だ………
今までの記憶はあるのか……北郷一刀……」
一刀「あぁ、華佗のお陰でね
全部覚えてる」
響窃「やはり……あの時、呀猟の鍼は……」
卑弥呼「当たっていたのだよ、響窃」
卑弥呼が俺の隣に並び話しはじめた
卑弥呼「ダーリンが最後に言ってくれたのだ
『御遣い殿に鍼を当てた、後は目を覚ますのを待つだけだ』とな」
響窃「………余計なことをしてくれたものだ……」
一刀「響窃」
響窃「なんだ………?」
一刀「何故俺の身体を使って復讐をしようと考えたんだ?」
響窃「単純な理由だ…………
貴様が『天の御遣い』であったからだ……」
一刀「そんな理由で………蒲公英を……凪を……………華佗を!」
響窃「光栄に思え………
たかが『天の御遣い』という看板だけでこの響窃に身体を扱われたことをな…………」
一刀「看板……だと………!?
そんな事で大切な仲間が殺されるのなら………
『天の御遣い』の名などクソ食らえだ!!!」
ゴオッッ!!
卑弥呼「ぬおっ!!?」
響窃「むっ!!?」
愛紗「くっ!!」
霞「一刀が叫んだだけで、ウチの身体に何か通り抜けたで!」
雪蓮「私もよ………
一刀………何があったの………?」
響窃「ふっ…………言いだろう
そこまで死にたいなら………相手をしてやろう!」
一刀「死ぬのは………お前だ!!!!」
ドクンッ!!
その瞬間、俺の中で何かが流れた……
何かが共鳴した………
……終……
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遂に『天の御遣い』・北郷一刀が目を覚ました!!
しかし、一刀は今までの戦いでの記憶全てがなかったのだ………
一刀は果たして記憶を戻せるのか?
そして……響窃と一刀が戦う!?