No.641760

ALO~妖精郷の黄昏~ 第0話 プロローグ

本郷 刃さん

どうも、お久しぶりでございます。
本日より、SAOの二次創作である『黒戦』シリーズの新編を投稿させていただきたいと思います。

お楽しみいただければ幸いです、どうぞ・・・。

2013-12-01 11:18:37 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:13524   閲覧ユーザー数:12625

 

 

 

 

第0話 プロローグ

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

【絶剣】の異名を持つ闇妖精族(インプ)の少女の紺野木綿季(ユウキ)が次の世界へと旅立ち、

ほんの少しばかりの時間が流れた現実世界とアルヴヘイム・オンライン…。

 

しかし、双方の世界において暗き影が蠢き始めている…。

 

 

 

――現実世界

 

薄暗い路地裏の奥にその身を隠す1人の青年がいた。

まだらにメッシュの入った長髪、頬のこけた輪郭線は無精髭に覆われ、耳には銀のピアス、首元には太い銀の鎖、

黒のTシャツと黒い革パンツ、腰からは金属チェーンが下がっている。

 

「まったく、アイツらしつこ過ぎるっての…。ザザのやつは捕まっちまったし、ヘッドは何処に行ったのかも分かんねぇしよ~」

 

彼は逃げているのだ。警察、防衛省の役人、果ては何処かの組織と思われる黒服の追跡者たちから。

何故彼が逃げているのか、それは彼が人を殺した犯罪者であるからだ。

けれど、それだけの人数に追われているにも関わらずに逃げ続けることが出来ているのは、

ひとえに悪運の良さと隠れることに関する忍耐強さと言える。

 

「まぁでもここいらにあるのは分かったし、あとは店の場所を突き止めるだけっと…。

 SAOじゃブッ殺せなかったんだ、今度こそオレがブッ殺してやるから待っててくれよ~……キリト…」

 

明らかな殺意を滲ませながら呟く青年。

 

彼の名は金本敦…かつてSAOにおいてジョニー・ブラックの名を名乗り、

殺人(レッド)ギルド『笑う棺桶(ラフィン・コフィン)』に所属し、幹部の1人として悪名を馳せた男であった…。

 

 

 

――アルヴヘイム・オンライン 新エリア・天空世界『??????』

 

空中に浮かびながら聳える山々、その上に建ちし幾つもの宮殿。

その最高峰にして最奥にある一際大きく銀に輝く宮殿がり、その宮殿の奥の高座に座する1人の男性が居た。

男性の右眼は無いために眼帯を付け、鎧を身に纏い、

長い髭を蓄えながらも何処か若々しい雰囲気を残し、

右手には光を纏う白銀の槍を携えている。

 

「……時が、来たか…」

 

短く小さく呟いた男性。

彼の座る高座の左右にある止まり木には2羽のワタリガラス、足元には2匹の狼、

高座の下には8本脚を持つ1頭の馬が控えており、それぞれが何処か不安げな表情で彼を見つめていた。

そんな彼らの表情に気付いているのか、男性は苦笑してから言葉を紡ぐ。

 

「これもまた運命(さだめ)なのだ……ならば、我々は我々の為に戦えば良い。

 妖精たちには申し訳ないが、私の掌の上で踊ってもらうしかあるまい」

 

彼が玉座から立ち上がると、2羽のワタリガラスは飛び立ち、2匹の狼も立ち上がり、馬は待ちわびていたかのように鼻息を鳴らした。

そして宮殿内に明かりが灯り、高座の前に居並ぶ者たちが姿を現した。

 

「同志たちよ、世界の黄昏の時だ!」

 

そう宣言する男性に異を唱える者は居らず、居並ぶ面々は深く頷いた。

 

彼の名はオーディン…北欧神話の主神にして戦神であり、居並ぶは神々とそれに仕える者たち。

神々は創られし存在でありながら、この世界で何を為すのか…。

 

 

 

――アルヴヘイム・オンライン 新エリア・地下世界『??????』

 

辺り一帯に吹雪く雪、世界そのものが厚い氷に閉ざされた世界。

あらゆるものが凍りつき、それはヨツンヘイムとは比べものにならないほどである。

そんな氷の世界の最奥には巨大な城があり、内部では2つの声が通っていた。

 

「スリュムが死んだか……まぁ当然だな」

 

声の主は若い男性であり、浮かんだ笑みは予想済みとでも言うかのものだ。

彼の顔は非常に美しく女性のようにも見え、流れるような金髪が映えている。

そんな彼の右隣には巨大な狼がその身を伏せており、背後には幾重にも蜷局を巻いている大蛇が居座り、

左隣には上半身は美しくありながら、下半身が緑がかった黒に腐敗している女性が立っている。

 

「然り。奴は自惚れが過ぎるが故」

 

男性の言葉に同意するように言葉を発したのは空気に震撼させるような重い声を発する巨大な人影。

かのスリュムをも超える巨体、まさに巨人というべきである。

 

「相手はトールと妖精。差し詰め妖精を侮った結果だろう……お前のように協力を仰がなかったのも敗因かもしれないな」

 

「我は騙したにすぎんが、それも泉の女神たちには見抜かれていた。

 されど、スリュムは慢心の塊のようなもの故、仕方がないかと」

 

まるで彼の巨人が敗北したのが当然のような会話であるが、これもまた彼らにとってはどうでもよいことなのかもしれない。

 

「ともあれ、オーディンたちが動く時が来た……僕たちも動かないと…」

 

「黄昏にて次代へと繋ぐために…」

 

互いに意を確認し、彼らはその姿を消した。

 

金髪の男性の名はロキ…北欧神話の悪神にして『神々の黄昏(ラグナロク)』の発端者。

巨大な狼は彼の息子のフェンリル、大蛇は同じく息子のヨルムンガンド、腐敗した肉体を持つ女性は娘のヘル、

そして会話の相手は巨人である大公スィアチ。

 

悪神と巨人と怪物、元来嫌われる者たちである彼らが望む次代とは一体なんであるのか…。

 

 

 

――アルヴヘイム・オンライン ヨツンヘイム『ウルズの泉』

 

氷と闇から解放された地下世界のヨツンヘイム。

この地に伸びる世界樹イグドラシルの根が下ろしている泉。

その泉にて3人の女性の姿があった……ノルン三姉妹の女神たちである。

 

「ウルズ姉さま、ベルザンディ姉さま…」

 

「ええ、スクルド…」

 

「分かっているわ…」

 

真剣な声音で2人の姉の名を呼んだスクルド、それに優しく頷くベルザンディ、ウルズは瞳を閉じたまま応じる。

 

「神々とそれに仕える者たち、巨人とそれに仕える者たち……彼らの戦争が始まる。

 この戦争の鍵を握るのは間違いなく妖精たちのはず」

 

「「はい」」

 

ゆっくりと瞳を開いたウルズは静かに語り、2人の妹は同意して応える。

 

「神々の黄昏は古の過去より定められし運命…」

 

「現在においても逃れられぬこと…」

 

「されど未来は如何様にでも変えることができる…」

 

過去を司るウルズ、現在を司るベルザンディ、未来を司るスクルド…彼女らは何を思い言葉にしているのか。

 

「狩りし者を狩る者、『嘆きの狩人』の【狩人の剣士(セイバー)】キリト…。

 彼こそが『神々の黄昏(ラグナロク)』において最も重要な鍵を握っているのかもしれない…。

 そうですね、マスター(・・・・)?」

 

ウルズの言葉は最後に何者かに投げかけるものだったが、それに答える者は居らず、

しかし誰かがその言葉に笑みを浮かべたのは確かである…。

 

 

 

――現実世界

 

「新エリアと新クエストのアップデートか……楽しみだな」

 

3つあるパソコンの画面の内、作業をしている左右の2つの画面を除き、中央にある1つの画面を眺める少年、桐ヶ谷和人。

彼が見ているのはつい先程更新されたMMOトゥモローの記事である。

だが、突如として和人の表情に翳りが現れ、瞳からは楽しげなものが消えた。

 

「なんだ、いまの感覚は…?」

 

彼は何かを感じ取ったようで、その表情はその何かの感覚を訝しんだままである。

するとそこで携帯端末にメールが届き、確認したことで表情が綻んだ。

 

「少なくとも、今すぐ何かがあるわけじゃないか……いまは、明日奈との逢瀬が大事だし」

 

思考の片隅に感じ取ったものを追いやり、後々で考えることにした和人。

そして彼は恋人である明日奈へのメールの返信を行った。

 

 

 

現実と仮想、2つの世界に蠢く影は和人に何を齎し、巻き込んでいくのか…。

 

No Side Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

はい、というわけでSAO二次創作である『黒戦』シリーズの新編を開始しました。

 

今回はALOを中心としたゲーム世界でありながらもファンタジー色がかなり濃いものにしました。

 

まぁ折角のファンタジー系のゲームなのに少ないというのもアレなのでw

 

コメディあり、シリアスあり、イチャラブありの何時も通りでいきたいとは思っていますが・・・w

 

なお、アリシゼーション編無しのオリジナルストーリーとなりますので、ご理解ください。

 

それと本作の更新は最低でも週に1話で行こうと思っております、偶に早く更新するかもしれませんが。

 

さすがにオリジナルストーリーですので毎日の更新は無理という・・・(苦笑)

 

それでは、次回の更新をお楽しみに・・・ではでは~w

 

 

 


 
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