【 漢女が語る事実の件 その弐 】
光秀「あなたの…せいですか…?」
光秀は、首を傾げる。 俺も全体の話を聞かないと判断が出来ないため、貂蝉に話を進めさせた。
貂蝉「そうね…。 まずは『 幽霊市 』の件を話さないといけないわよね。 そもそも、あの街は………って、二人とも戻ってきたようだわん! 」
貂蝉がそういうと、三太夫と小太郎が、音も立てずに俺の傍に現れた。
三太夫「 天城の旦那!! ここは『幽霊市』と多分同じ場所だ! 」
小太郎「 ……ハァ、ハァ、ハァ~。報告を先に越されてしまいました……」
颯馬「待て、待て! お前達の主は義輝様だ。俺より義輝様にまず報告…」
義輝「いや、わらわが命じたのじゃ。まず、新たな情報入れば、軍師に知らせその後にわらわに報告せよ、と。軍師は早急に策を練らなけばなるまいのに、わらわに報告した後では、情報の鮮度が落ちてしまうからの」
成る程、策を考える時間を貰えると言う事かと、一人納得する。
その間、三太夫が義輝様に報告しているが、何故か小太郎が昌景を除く姫武将達に報告している。
小太郎「 ……で、本屋にあったんです! あの古き名書が!! 」
信長「 なに! あの絶版の八………が?! 日の本にも一冊しか無い… 」
光秀「 後で、その本屋を教えて……… !! 」
鹿介「 で、臥竜や鳳雛の合作…百一は、どうでした?! 」
小太郎「 いえ、どこにも! あの水鏡作があるのですから、必ず…… 」
昌景「 …おいおい、お主等、声を潜めよ。 なんの本だが丸分かりだぞ 」
姫武将達 「「「「 ヒィッ! 」」」」
俺も気に掛かるが、ここから遠くて断片的にしか聞こえない。後で聞くか。
義輝「 ……報告だと、外観はこの『 天水 』の街並みと同じ、売っている商品も『 幽霊市 』で買った物と同じ物が多数。…すると、『 幽霊市 』の正体は、この時代の『 天水 』だという事か? 」
俺は、三太夫を呼んで聞いてみる。
颯馬( この『天水』に『幽霊市』と同じ物が売っていたって、本当か? )
三太夫( ああ、間違いない。俺が確認した物ばかりだ )
颯馬( その中に『冥土服』、『くっきー』、『日本酒』は、あったか? )
三太夫( ……旦那、なんで、解ったんだ? )
そうか。大分信じられないが、今までの情報を集めると、あの『幽霊市』は。
貂蝉「惜しいけど、少し違うわ。『 幽霊市 』は……」
颯馬「 『 御使いが降りた後の天水 』だって事か? 」
貂蝉は、不思議そうな顔をしてこちらを見ている。
義輝様達、董卓様達も、興味深く、こちらを注視している。
理由はいくつかある。
報告の際、昌景殿が一人で居た事。 前の幽霊市で『日本酒』に食いついた御仁が反応せずに、逆に冷静な対応をしていた。
董卓様の命で動いた侍女が、冥土服とやらを着ていなかった。
服の様子は、三太夫より大まかに聞いたのでわかる。念のため、周りを見たが俺の居た所より、変わっている意匠は少なかった。
…別に興味が合ったから見ていた訳ではない! と心の中で弁護しておく。
くっきーは感だったが、三太夫の証言により確証が出来た。
では、こことよく似ていて、こんな変わった物があると言うと、『誰か』の入れ智恵が入っている。しかも、この世界の常識を覆す苛烈さを持つ程の…。
そうすると、貂蝉の可能性があるが、この天水にその品物が無いため、関与はしていないと見るべきだろう。
しかも、貂蝉は、『御遣いが来る後漢時代』と融合したと言っていた。
即ち、御使いが既に来た世界が別にあっても、可笑しくないしな。
貂蝉は、その通りと言うと、ご褒美の接吻と近づいて来やがりやがった!
無論、義輝様達が阻止してくれたお陰で無事済んだ……………。
貂蝉「 ……さて、お遊びはここまでにして、本題に戻すわよ! 」
お遊びでこんな危険な目に合わすのか、お前は!!!
怒髪天を突く俺を尻目に、貂蝉は説明する。
貂蝉「まずは、月ちゃん、ごめんなさいね。この出来事の発端を作ってしまったのは、私が原因みたいなの……」
貂蝉の説明によると、貂蝉はこの世界の住人では無く、世界その物を管理する『 管理者 』だという。その管理者が管理する世界は膨大にあり、この世界もその一つだと言うことだ。
貂蝉が、いつものように管理していると、俺達の世界の『 天水 』に他の外史( 真・恋姫の世界 )が入り込んでいるのを確認。
普通、外史が別の外史に介入する事が無いため、何か媒介する物があるのではと調査に赴いたそうだ。『 自分で言うのもなんだけど、結構凄いのよん! 』と喋るのがむかつくが、こいつの行動をみれば、多分事実何だろう。
すると、前の別の外史(無印恋姫)で使った物と同質の銅鏡を、その場所
(『 幽霊市 』であり『 真・恋姫の天水 』)で発見したが、回収する前に盗まれてしまった。
後で、その賊を追いかけ( 天水の賊退治は、そのついで )壊滅後に奪還。
回収は出来たが、急に他の外史との接続が強まり、別世界の天水地域を短い時間ながら出現させてしまった。
因みに、この現象が天水の各地で散発的に起こっていたのも、貂蝉の責任。
そのまま回収して帰還するはずが、多数の救援要請を受付て、銅鏡を持ったまま他の外史を渡りまくった。 おかげで時空がズレて、街が出現するたびに数年から数十年の誤差と出現場所が定まらなくなったようらしい。
で、ここからが、義輝様や俺達に関係する話になる。
銅鏡の力で幽霊市として現れる別世界。今の銅鏡は均衡を保っているため、幻に近い現実で現れるが、これが進行すると、別世界が現実化を始め、俺達の世界と混ぜ合わさり、とんでもない世界が出来るらしい…。
そこで、この外史を双方引き離すには、核となる銅鏡の導く戦乱を治めれば、解決するという。
元々銅鏡は、世界が戦乱で乱れると、治めてくれる英雄を引き込み、世界の秩序を守る弁みたいな役目がある。そのため、導く戦乱を治めれば、銅鏡は力を失い、世界は戻るだろうと。
貂蝉「ここまでは、いいかしらん?」
と、言いながら両手を曲げ、拳で口元を隠し、膝を曲げて、腰をくねくねと。
張遼「え・え・加・減・やめーーーいぃぃぃ!!!」
バシィィィィィィンンンン!!!
部屋の片隅に何故か置いてあった約八寸(約24㌢)のハリセンで貂蝉を叩く!
貂蝉「もう、人が緊張した空気を和やかそうとしたのに、何するのよ~!」
張遼「 アホンダラ! 聞き手を余計疲れさせて、どないすんねん!! 」
張遼殿の鋭いツッコミがハリセンと共に貂蝉を襲う!
光秀「 あの、貂蝉殿? お聞きしたい事がありますが、よろしいです? 」
貂蝉「 いやねぇ~、他人行儀はやめて頂戴! 貂蝉でいいわよん! 」
光秀「 で、では貂蝉、お聞きします。 あなたは、幽霊市出現の理由を自分の持っている銅鏡と董卓様がお持ちの銅鏡が原因と言われました。 ですが、先程の説明では、あなたの持っている銅鏡だけで幽霊市が現れた言い方をされています。 この矛盾は、どう説明をしていただきますか? 」
貂蝉「 確かにね…。 簡単に言えば、同じ物。 説明は後で話す事でわかってもらえると思うけど、良いかしらん? 」
光秀「 同じ物、ですか。 …いささか信じられませんが、その話を聞いてからですね。 納得いく答えでなければ、何度も問わせてもらいますよ? 」
貂蝉「 それは勿論よ。 ただ言葉で伝えきれるかわからないんだけど… 」
鹿介「 ………ここまでくると、某の頭では考えが及びません! 」
昌景「 それは儂とて同じ。このような経験、長生きだけで迎える事などないからな。 まさか、『 三国志 』の世界に迷い込むとは… 」
信長「 だが、それが面白い! どうやらここは、私達の知識とは大分違っているようではないか! 先が分かってただ進むより、困難を乗り越えて物事を成した方が、生きている実感がわくというものだ! 」
三太夫「 オォ!! 忍びとして、かっこいい活躍が出来るぜ! 」
小太郎「 噂で聞いた颯馬様の活躍が拝見できるのが、楽しみです! 」
義輝「 うむ、颯馬は自分の事に関して評価が低いが、わらわの天下平定にはかかせない人材じゃ。 かの甲斐の虎や越後の竜も討ち破れたのは、颯馬の策と人柄のおかげ。 今回もわらわ達のために、策を献じてくれようぞ! 」
そんな事を義輝様達が喋っていると、董卓様がこちらに来られる。
董卓「 おば様…。 もしかして、急に銅鏡の力が強くなったというのは、
私の祈りの…! 」
貂蝉は、優しく月様の口を塞ぐ。
貂蝉「 月ちゃん…その話は、私の話が終わった後で、尋ねていいかしらん? それに、これは月ちゃんの所為じゃないわよ いいわねん? 」
董卓「 …………わかりました 」
貂蝉は、真剣な顔で話を始めた。 今までの話が雑談のようなものだと言わんばかりに………。
貂蝉「 義輝ちゃん達は知っているはずだと思うけど…向こうの幽霊市が途中で消えた事…覚えている? 」
それは、当然! 危うく張遼殿に殺されそうになったからな!
貂蝉は、以下このように語る。
◇◆◇
【 貂蝉の悲しき独白の件 】
幽霊市の正体に気づき銅鏡を得た後に、あなた達の噂を聞いたの。東の国を統一し、更にこの大陸をも平和にするため動く、志高い英雄達。
遠くから観察して、その噂に間違いない事を認め、あなた達に接触したの。
あなた達なら、あの乱世を統一してくれるのではないかと思いながらね。
本当は、ちゃんと説明してからにしたかったのだけど、所持していた銅鏡の力が急に強くなって、この世界の入り口が開いてしまったの。
私も流石に焦って、なんとか銅鏡の力で、幽霊市を義輝ちゃんの近くまで移動し、入り口を固定させ、あなた達をこの世界に送らせてもらったの。
だけど、あなた達を送った後、私もついて行くつもりが、入り口が閉まり街が消滅しちゃて。しかも、消滅に巻き込まれ、見知らぬ場所に飛ばされて大怪我を負い、倒れてしまったのよ。
貂蝉視点
??『 ……じょ…ぶ…すか?! 』
貂蝉『 う、うーん 』
??『 大丈夫ですか?! 』
貂蝉『 うーん、ご主人様、起こすのなら目覚めのキスを… 』
??『 えーい!!! 』 バコン!!
貂蝉『 ちょっ、痛~~! あらん? ここは…? 』
??『 良かった、何だかうなされていたみたいだったので、気付け薬を処方してみました~ 』
貂蝉『 気付け薬って、あなたが後ろに隠しているお盆みたいのがそう? 』
??『 えぇ、特に変質者相手には、特効薬です! 』
貂蝉『 それは、この私が全世界の妖怪と比べて可愛いとか美人とか普通と言われる程の変態とでも言いたいのねぇぇぇ?! 』
??『 誰もそれ以下だと、言ってません!! 』
貂蝉、??『 …………………………………………… 』
護衛兵達『 ??様 先程お連れした客人は、大丈夫ですか? 』×10
??『 えぇ、気づかれたわ! 皆さん、ご苦労様!! 』
護衛兵達『 はっ! では、何かあればお呼びください! 』×10
??『 わかりました~~! 』
貂蝉『 …………… 』
それが、月ちゃんの乳母にして、私の命の恩人、そして親友になる………
『 李儒 』との出会いだったの。
その頃、涼州の豪族の一人であった月ちゃんのお父様とお母様は、賊討伐や他の敵勢力の進行のため、防衛で城に夫妻で残り、月ちゃんを李儒に預けて、安全な地へ避難していたのよねん。
最初は、私を警戒していた李儒だけど、私の美しさや気品溢れんばかりの礼儀に感服したらしくて、仲良くなったわよん。
李儒も、『 貂蝉がいてくれれば、その容姿で賊も恐れ多くて近づけないでしょう 』、『 頼もしいですよ! 貂蝉 』、『 その美は、すでに人外を超えています 』って、賞賛してくれたの。
それに、私の事を『 お・ば・さ・ま 』と呼ぶように皆に頼んでくれたのも
李儒なの。……でも、呼んでくれるのは、月ちゃんだけなんて悲しい~~!
……そんな李儒だけど、満月の晩になるとね、そっと一人で泣いて、偶に天へ向かい『 戦なんて、早く無くなってしまえ! 』っと、叫んでいたわ。
頭が良く、政治や軍略に秀でていた軍師だったんだけどね。
守るべき家族達を戦で失い、『 こんな私が軍師を拝命する事はできない 』と言い張り、月ちゃんの乳母になったって、護衛兵より聞いたわよん…。
戦乱で、親兄弟、夫、子供を失い、李儒は孤独だったの。
だけど、月様と一緒に成られてから、笑顔が増えたとも言っていたわ。
その時の月ちゃんが、まだ赤ちゃんで、凄く可愛かったのよ!! 勿論、今も
可愛いけど、あの頃は…。 あらあら! お顔が真っ赤になちゃって!!!
……え? 私の歳? 漢女に歳なんて聞くものじゃないわよ!
あの後、李儒の屋敷に十数年お世話になったのよねん………。
詠ちゃんが月ちゃんと知り合ったのも、私が月ちゃんの友達を見つけに連れて行ったときに出会ったのよね。 …あの頃、何故か私の顔見て、詠ちゃんが泣き出しては、月ちゃんの後ろに隠れるのよ!
え! 鏡を見ろって? ……いくら見ても、絶世の美女しか映らないわよ?
後、近くの街に行った時に、幼い霞ちゃんと恋ちゃんに勝負挑まれたわね。
私が勝ったら、言うことを聞く条件で勝負して、李儒の屋敷に招待したわ。
負けたら、どうするかって? 負ける可能性なんてないけど、もし負けたら私を食べてって差し出すつもりよ。 …ちょっと、二人とも別の条件にしてくれって。 あくまで私に勝てたら、考えてあげるわよん!
だって、あの後も再戦、再々戦と挑まれて、何万回勝ったのかしらん? まだ、私は負けてはいないわよね? 挑戦は何時でも受けるけど、今はダメよ?
あ・と・で、相手してあげるわよん。 また、勝ち越しだと思うけどね。
華雄ちゃんは放浪途中に、ねねちゃんは街で知り合い、私が李儒の屋敷に誘ったのよ。 二人とも、行くアテが無かったようだから。
…静かな屋敷が、少しずつ、笑い声や泣き声、文句言う声と賑やかになって、華が咲いたように艶やかな屋敷になっていったわ。
それなのに、どんな子達を連れて来ても、李儒は穏やかに笑いながら、私に決まって文句をいうのよ!!
李儒『……全く。貂蝉は、また、この屋敷を楽しくさせてくれるのですか?』
そんな、楽しい夢のような日々が過ぎて、私の力が完全に戻ったの…………。
体力は既に戻っていたけど、外史を往復する力がなかなか戻らなくて。
私は、李儒にこの地を去る事を伝えて、持っていた銅鏡を渡したの。
賊から見つけて取り返し、肌身離さず持っていたのに、何故か錆びてボロボロだった銅鏡が、新品同様になっていたのよね…。
…………どこに入れていたって?
それは、漢女のひ・み・つ! って、何よ! その嫌そうな顔は!!
まぁ、話が進まないから、続けるわよ。
その時は理由は分からなかったけど、義輝ちゃん達がこの世界に来た時点で、銅鏡が既に変化していたようだから…。多分、月ちゃんの持っている銅鏡に半分吸収されたみたいなの。銅鏡を渡された時に見て、確信したんだけどね。
李儒には、私の持っている大事な物を渡したかったんだけど、流石に下着やリボンを渡すのは、漢女の嗜みに関わるから……渡しても喜ばないから、止めて正解ですってぇぇぇーー?! 失礼しちゃう!!!
……で、銅鏡は、外史を開く程の力は無いけど、それなりに力は残っているから、李儒の幸せのため、御守りで置いてもらいたかったのよ。
李儒は、私の最後の別れの言葉を聞くと、寂しげに言ったわ…。
李儒『 私の静かな余生を、私の後悔と憤怒と悲しみの歳月を、賑やかで穏やかな日々に変えてくれた、掛け替えのない親友に、私の真名『 華水 』を預けます。……お互い無事なら、また、会いましょう! 』
その後、あなた達がこの世界にくる前に、一仕事終わらせて様子を見に寄ったのよ……………。
たった…数年、会えなかっただけなのに、李儒は、『 華水 』は、病を得て亡くなった……と月ちゃんより聞いたわ。
あの屋敷で、月ちゃんに手を取られ、詠ちゃん、霞ちゃん、恋ちゃん、ねねちゃん、あの時の護衛兵達に見守られて、笑顔で逝った…そうよ………。
私に『 お嬢様をお願い 』と伝えて欲しいと言って…。
◆◇◆
【 『 天水の御使い? 』誕生の件 】
貂蝉の話が終わり、辺りは静まり返る。
あの貂蝉が、珍しく寂しいそうな笑顔で、こちらに振り向く。
貂蝉「……これがこの出来事の発端なの。私が情に動かず管理者としての役目を果たせば、この世界が繋がらず、それぞれの暮らしができたはずなのよん」
董卓達「 ………………………… 」
貂蝉「 …それに、義輝ちゃん達には、結局、嘘を言ってしまったわ……。 確かに今は危害は無いけど、戦乱を治めるためには、命のやり取りがつきものよ。…もしかということが、あるかもしれない 」
義輝一行「 ……………………… 」
貂蝉「 ……私が出来る事は、謝罪とこの命をあげるだけ。 みんな、迷惑
掛けて本当にごめんなさい! …後は好きなようにして頂戴!!! 」
パァァァカァァァァァァァァァンンン!!!!!!
貂蝉「 いっっったぁぁぁぁいぃぃぃぃ!!! か、顔、顔が!!! 」
張遼「 このドアホ!! 何を一人で悲劇の主人公ぶってるかい!! 」
ねね「 そうなのです! まだ馬鹿な事言うのなら、真空陳宮きっくと恋殿のツッコミをくらわせてやります! 恋殿、その武器の再準備を! 」
恋「 コク! コク! 」
………よく考えたら、ハリセンてこの時代にあったのか?
特に貂蝉に使用したハリセンはなんだ? 張遼殿の物より十倍以上も大きいのに、恋殿の高速ツッコミが入ったが! 痛いってもんじゃないだろう?!
張遼「 このデカ物は貂蝉へのツッコミ専用の神器や! ウチのツッコミじゃきかんとほざきよるさかい、東から流れてきたツッコミ用( 手に持っている物と恋殿が持っている物 )の神器をこうてな。 いやー、これ持ってツッコミ入れると、切れが凄くてついついクセになるんよ ! 」
と、先に使用した八寸のハリセンで、バン! バン! と貂蝉を叩いている。
華雄「 私を引き込みときにも、お前に負けたら付いて行く条件だったから、ここまできたのだ! それが勝ち逃げで逃げようなど許さん! 」
賈駆「 …言っとくけど、そんな情を無くしたあんたなんて、私達からお払い箱にしてあげるわ! だけど、あんたは月と李儒、霞達と引き合わせてくれた恩人だから、引き止めてあげるのよ! 」
董卓「 おば様、私はあなたの行いが何一つ間違ってないと思えます。あなたは、華水、いえ『 お母さま 』を救い、私達を救い、今度はこの世界を救おうと動いてくれているではないですか! 」
董卓様達は、必死に貂蝉を『 ここに居て欲しい! 』と引き止める…。
で、俺達の様子は、と横を見れば……………。
光秀「 ………グス、グス 」
小太郎「 李儒さんが、 李儒さんが……ウワーン! 」
二人揃って泣いていた。
信長「 ……………………グスン 」
そっぽを向いて泣くなよ、信長。 バレバレだ。
三太夫「 ……忍びが泣くな! …忍びは耐える者だ! ……くぅぅぅぅ 」
まぁ、気持ちは分かる。うん。
鹿介「 ……確かに悲しい話ですが、それだけではいけません! 」
昌景「 うむ、これ以上悲しい思いをされないよう、我らが動くべき! 」
義輝「 そうじゃの、『 上善如水 』の心意気と戦略、この世界で見せつけようではないか!!! 」
義輝様が気勢を挙げる! 泣いていた将も動き出し、この世界に来た理由がこれなんだと決意を新たにした!
俺も実は泣いていた身だが、軍師は常にに冷静にとの事で、こうして対応が出来た。 島津歳久殿のおかげだと、心の中で感謝した。
そんな中、薫卓様が俺に近づいて来られる。
董卓「……華水お母さまは、最後までこの乱世を憎んでいました。こんな世だから家族を失い、また新しくできた家族を奪うのかと………… 」
董卓様は、俺の手を取り、ご自分の額に付けて、祈るように話す。
董卓「私は、お母さまから預かった銅鏡に願いを込めて祈りました……。
どうか、この乱世を治めて平和にしていただきたいと。 そして、私は見たのです、天城様が光に照らされ、この地へ来られたのを……」
俺は、ただ唖然として、その行いを見守るしかなかった。
董卓「 …それに、聡明な天城様は、お気付きでしょう。 おば様の持つ銅鏡が、急に力が強くなる訳を……。これは、私の祈りが、銅鏡に反応して強くなったのでないかと。 もし、これが事実であれば、天城様達を呼び寄せてしまった私も、その責任を取り、乱世を治めなければなりません! 」
語り終えた董卓様は、手を胸の前まで下げ、俺の顔を見つめている!
董卓「 私は、あなたこそが、天の御使いだと信じています! それに、あなたの姓は『 天 』城と、皇帝陛下と同じ『 天 』に通じる方です。 どうか、お願いします! 私達を平和へと導いて下さい!! 」
颯馬「 ちょっ、お待ち下さい! 董卓様の意見だけでは…! 」
いくら何でも、早急過ぎる要件だぞ! こんな意見、張遼殿達が認め…
張遼「 ウチは賛成や、実際この目で見たし、その性根も好ましいやん! 」
賈駆「 うっ、この変態軍師が月をさしおいて 「 詠ちゃん!! 」 うぅっ、わかったわよ! 認めるから、そんなに睨まないでよ、月~~」
恋「 ……恋もいい。何だか、お日様みたいに、暖かいから… 」
ねね「……不満はありますが、恋殿が賛成するなら、ねねも賛成なのです!」
華雄「 私は、こいつの事をよく知らない。だから保留だ 」
…られた?! 董卓様側はほぼ賛成。 しかし、俺は、普通の人間だ!
貂蝉「 あ~ら、義輝ちゃん一行は、全員『 天の御遣い 』よ! 」
あれほどの攻撃を受けながら、何もなかったかのように現れた貂蝉。
義輝「 貂蝉! どういうことだ?! 」
貂蝉「 ごめんなさい、これも説明する時間がなくて……、あらっ? 丁度お
仲間が来てくれたようね! 」
義輝「 仲間? わらわ達は、これで全員だが…………? 」
タッタッタッタッタッタッ バタン!!
門番「 御報告致します! 」
張遼「 なんや、どうしたん? 」
門番「 ハッ! 城門にて『 足利義輝様と天城颯馬が居れば、会わせてもらいたい! 』という者が数人集まっています。如何いたしましょうか? 」
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あとがき
今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
李儒の設定は、実はまだ決まっていません。
あえて、決めない方がいいのでは、と思いまして。
読んだ方々の想像で、思い浮かべていただければ幸いです。
銅鏡の設定は、思っていたものより違った展開になりました。この設定がうまく説明ができたか心配です……。 いろいろ手直しをして辻褄合わせたつもりですが…………。
今度の更新は、遅くなるか早くなるか全くわかりませんが、なるべく長く続けるよう頑張りたいと思います。
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義輝記の続編です。
オリキャラが出ますが、一応一回限りの予定です。
また、良ければ読んでみて下さい。