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真・恋姫†無双 ~孫呉千年の大計~ 第2章 拠点ー思春編・思春視点

雪月さん

常連の皆様&お初の方もこんばんは いつもお世話になっております

この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
※猶、一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を! ※オリキャラ紹介は本文下記参照のこと

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2013-11-27 18:58:14 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3358   閲覧ユーザー数:2730

第2章 拠点ー思春編・思春視点 『 負けられぬ相手 』

 

 

 

 

アイツ(瑠璃)の父親である男の強さの記憶なんて残っていなかった・・・ 

倒すべき敵の内の1人だったというだけ・・・

 

記憶を辿っても残っていたのは、音に魅かれた鈴の所有者だったという点だけ 

 

思春にとって男との戦いは単なる通過点に過ぎず、全ては遠い記憶の彼方・・・の筈であった

しかし不思議なモノだ 鈴との縁が男の娘という瑠璃との縁を繋いだのだから・・・

 

かくして、運命の歯車は新たな軌跡を描き、やがては孫呉の中核を成していく者達へと成長を遂げていく・・・

 

 

この物語が紡がれている時点では、鈴という縁が描いた軌跡が昇華する刻を得るには、残念ながら至ってはいない

2人の因果は無情にも静かに時を刻み、時に翻弄され続けるのであった・・・

 

                ・

                ・

                ・

 

「ほう? 口だけではなく、腕も随分と達者になったではないか!」

「ふん! 褒めても何もあげないし・・・」

 

「はん 世辞に決まっているだろう だが北郷の駄犬がいうようになった・・・」

「ふんだ! 蓮華さまの太鼓持ちが偉そうに・・・」

 

「「いつまでも調子に乗るな!」」

 

思春と瑠璃のこうした会話や戦闘が、この広場で繰り広げられて、もう何度目となるのであろうか?

 

最初は瑠璃による敵討ち、怨讐といった類の想いを、思春へと一方的に不満をぶつける戦いであった

がしかし、建業郊外の広場で思春と瑠璃の2人が戦うとなると・・・

多くの見物人や臨時の出店が周囲に出て商魂逞しい様などがみてとれる、興行・イベント的な戦いへと様相が様変わりしている

 

これには、2人の主人である一刀や蓮華が、2人を思って色々と配慮、苦慮していたのである

 

ちなみに臨時の出店などからは、得た利益の数%が国へと収められることになっていて

その利益の使い道はというと、2人が広場を壊した時の維持管理費、戦争被害者や孤児達の施設への寄付へと当てられている

 

当初、思春はこの提案(出店案)に関して、かなりの難色を示していた 

一方の瑠璃はというと、晴らす相手の思春と戦えれば良しで、周りなどお構いなしといったスタンスであった

 

2人の主である一刀と蓮華の思惑としては、瑠璃の敵討ち色を少なくしたいが為

また見物人や臨時の出店等が後を絶たない為、許可制にするという苦肉の処置であったのだ

 

ここで得た利益の使い道に関して、一刀と蓮華から2人へと提示された事もあって

難色を示していた思春も軟化し、最後には折れて、思春、瑠璃共に了承を得た格好である

 

「ふん! さっさと来い! その達者な腕と口黙らせてやる!」

 

思春が不敵な笑みを浮かべ、発した不快な言葉を黙らせるべく、思春へと突進を開始した瑠璃でありました

 

今ではこうして互いの主への忠誠を胸に秘め、負けられない、負ける訳にはいかないという強い意志の元

良き競争相手という間柄に落ち着いているようであるが・・・

 

2人の間柄がここまで来るのに、決して楽な道程ではなかった・・・

 

 

 

 

この戦いの元となる思春と瑠璃との因縁が始った日

 

 

・・・この因縁めいた騒動の発端は、まだ袁術の影響下にあった寿春にいた頃まで、大きく遡ることとなる

 

 

思春は劉表との争い時に離脱し合流してからは、韓当と互角に戦った腕を見込まれ、この当時、雪蓮付きの将として働いていたのだが・・・

周りからの嫉妬も酷く、『裏切り者』とまで陰で揶揄されていた                      ※外伝『砂上の楼閣』参照

 

しかし、思春はというと何処吹く風、淡々と役目をこなし着実に功を重ね、雪蓮や冥琳といった首脳陣に信任されてていく姿が

陰口を叩く者達をより一層苛立たせたのだった・・・ 瑠璃も当時その1人であったのである

 

その者達は、貧乏でみすぼらしく没落していた瑠璃を捨て駒にし、思春を襲うよう(そそのか)し炊き付けていたのであった

護衛の任を真っ当出来ない、小生意気な思春を追い落とそうと密かに謀っていたのだ

 

炊き付けられ襲うように操作された瑠璃であったが・・・

当然の事ながら、身内であっても思春の『 鈴の甘寧 』としての通り名が、轟いていない時期でもあった為、

この当時、思春が仇などとは・・・全く予期してもいなかった瑠璃なのである

 

単に首脳陣に覚えめでたい思春を妬んで、血気盛んな者達が犯した犯行だった筈なのであるが・・・

瑠璃が思春を襲ったことで、運命の歯車が噛み合って、勢い良く2人を乗せて廻り始めたのでありました・・・

 

覆面をした瑠璃は、思春を失脚させるべく決行した

大胆にも雪蓮を警護していた思春の隙を見計らって、民衆の合間から抜け出して襲うという大胆な犯行・・・

 

大胆と表現したが、事前に発覚しなかっただけマシ、計画は杜撰を極めていたのだった

 

本来は雪蓮を狙うモノなのだが・・・この者達の目的はあくまでも思春の失脚にあった為、

小刀を手に持ち、思春を陰から襲った瑠璃であったのだが、案の定、寸での所で見切られ避けられてしまう・・・

 

「何奴だ!?」

 

「くそっ!・・・ 避けられた! 運のいい奴め! 

 ん? ちょっとお前・・・ 何故その鈴をお前が持っている! お前が腰につけているその鈴何処で手に入れた? 答えろ!」

 

思春を襲った少女の表情が、苦々しく睨んでいた表情が驚愕に彩られたのだった・・・

 

「怪しいお前の問いかけに答える義理や義務などないのだがな?」

 

眉を顰めつつ首を傾けつつも、相手の問いには答えずにこちらの問いを先にぶつけてみる

猶も怪訝な表情で、こちらに文句を言ってきている少女をジッとみつめ動向を探っていた思春であったが・・・

 

「茶化すな! 何処で手に入れたと聞いている! こちらの問いに答えろ!」

 

猶も激昂し思春へと追求の手を弛めない少女に対し・・・

 

「茶化す? 馬鹿を言え それにしてもうるさいチビだな この鈴は以前戦った者がつけていた代物だ」

 

この手の吹っ掛けを、相手するのも億劫だった事もあり、適当に答え牢屋にでもブチ込んでおこうと思っていた思春であったが

相手が少女だった事もあり、少し気が変わったのか真実を織り交ぜてみせたのだった

 

「その鈴をつけていた者を・・・ 殺したのはお前なのだな?」

 

「ああ ・・・そうだな 私が殺した・・・だとしたら何だというのだ?」

 

首を捻りながら瑠璃へと答える思春 売り言葉に買い言葉 まさに口喧嘩の応酬であった

 

「・・・オマエ コロス」

 

思春の任務はあくまでも主である雪蓮と重要人物である天の御遣いである北郷の護衛だ

この少女の目的は何なのか分らないが、標的が自分に向いている事は都合がいいと思っていた思春であった

 

「ほう? この鈴の以前の所有者だった者の知り合いなのか?」

 

この鈴の事を聞いただけで殺気を放ったぐらいだ さらにこの少女の冷静さを失わせるように誘導していく

 

「ああ・・・ 私の父さまだ! 殺!!」

 

そうか・・・ いつかは恨みで襲われることもあるだろうと思っていたが

今まで無かった事もあって無用心となっていたようだ 今まで無かったのが不思議なくらいであった

 

この少女の動きは直線的すぎた 素人に毛が生えた程度か

最初の気配を消して群衆より飛び出して来た時の方が一撃は鋭かった

 

その程度の腕で私を殺そうなどと笑止と思春は苦笑を浮かべながら

切り捨ててもいいのだろうが、殺気を放つ少女の腕をとり捻りつつ、地面へと押さえつけた

 

「殺す前に聞いておく事がある! お前の目的は、あの馬車にいる人物か? それとも私かどちらだ?

 

 私はあの戦いにおいて、お前の父や韓当殿を死に追いやった自身の行動に何も悔いる処はない

 私は私の信念のもとに、自身の為、部下達の栄華と安寧の為に戦っていたまでだ

 亡くなったおまえの父親や韓当殿が抱いていた信念の強さに、私は未だに敬意を表してはいるが・・・

 

 ただ、悔いる点があるとするならば・・・劉表みたいな下種の下で働いていたことが、私の人生最大の汚点だろうがな」

 

思春は自身の根底に据えている言葉を瑠璃へと吐いた

自身が戦争に身を投じている以上、いずれ呪詛の視線や言葉に晒される覚悟を持っていた

 

その時が来ただけに過ぎない 相手が少女であろうと男であろうと関係ない

邪魔をするのなら、目的を聞いた後は粛々と排除するだけである

 

少女を地面に押さえつけていた思春は、腰から鈴音ではなく短めの短刀を引き抜こうとするものの・・・

思春のその手を押さえる者がいた・・・

 

手を押さえられている方向へと視線だけを向けると、そこには馬車に乗っていた筈の一刀がいたのだった 

 

何時の間に・・・ コイツ・・・私に気付かれる事無く後ろを取っただと!?

斥候でも生業にしている思春である 思春が相手の後ろを取る事は容易い事であるが

これまで後ろを取られる事などなかった 

 

・・・なんてやつだ 先日の雪蓮様や祭殿との闘いで腕前を見ていたものの・・・この男の存在は実に心臓に悪い

自身に気配を悟らせない一刀の存在が、不気味で恐怖に感じた

 

自身に後ろを取られた者達の気持ちを、こんな処で味わう羽目になるとは・・・

少女を押さえつけながらも、緊張の余り思春の額から汗が流れ頬を伝う程であった

 

そんな思春の緊張をよそに、一刀はしゃがみ込み取り押さえている少女を見つめている

自身の後ろを悟られずに取る程の男だ 万が一なんて起こる筈もないだろうが・・・

 

未だに犯人である少女の目的も分っていないのだ 警備をしている思春の本音はというと

ここから一刻も早く馬車の中に戻るなり離れていてもらいたかった

 

「この娘どうするの思春?」

 

「北郷・・・口出しするな! お前に関係なかろう? まず処刑で間違いなかろうな」

 

「君さ? このまま処刑されるのと、俺に従って死ぬような想いをして生きるのとどちらがいい?」

 

な!? お前は何を言っている! 馬鹿か貴様!!! そう言おうとしたのだが

それを主である雪蓮に肩を押さえられ、振り向くと首を左右へと素早く振ったのである

 

・・・北郷の邪魔をするなということか!? 

 

信じられないという表情を思春は浮かべつつも、主である雪蓮の意に逆らうわけにもいかず・・・

 

屈んだ一刀にそう問われ、思春に押さえつけられ暴れていた瑠璃であったが、動きがピタリと止まったのだ

そして少女は何処を見るとも無く遠くを見つめたまま・・・ 暫しの間動く事はなかった

 

名も知らぬその少女の様子を見つめていた一刀は

少女が答えない、反応しないのを気にした様子もなく言葉を続けていく

 

「仇を討つ・・・憎しみに囚われるな! なんて格好の良い事をいう積りはこれっぽっちもないよ

 だけどね 君の思い出の中に生きるお父さんだった人がだよ? 仇を討って欲しいなんて本当に思っているのかな?

 

 君と同じように、おれも小さい頃に本当の両親を殺されて亡くしているんだ 

 

 だけど死んだ両親が仇を討って欲しいなんて思ったとは思えないんだよ 俺はね・・・、

 爺ちゃんや母さんが言うには穏やかな死に顔だったって聞いてるしね・・・

 

 だったら・・・君やお母さんが共に幸せに暮して欲しい!、掴んで欲しい!

 ・・・そう思っているんじゃないのかな?って俺はそう思っている

 

 俺と境遇が似ている君が、こんな所で大切な命を捨てていいような・・・ 粗末に扱う娘であってはいけない!

 

 けれど処刑される事が決まっていて、今更そんな事言われたって・・・と思っている事だろう?

 なればだ、時に死ぬような想いをする事もあるだろうが・・・ 俺と共に生きてこの時代を思いっきり駆けてみないか?」

 

そう押さえつけている少女へ問いかけていた

 

甘いな 北郷 貴様の偽善には反吐が出そうだ いずれこの飼い犬に手を噛まれる事になるだろう

その時に自分の甘さを悔い思い知るがいい・・・ 一刀の言葉を聞いてそう感じていた思春であった 

 

すると一刀は笑顔を浮かべながら、この少女へと手を差し伸べたのであった

 

コイツは北郷の手を取るだろうか? 少女の行動にも興味が湧いた思春は縛めを弛めてやる

すると少女は思春に取られていない反対側の手を伸ばし、涙を流しながら北郷の手を握っていた

 

その2人の光景・・・を呆然と見詰めていた思春 この光景はあの時の・・・                ※外伝『砂上の楼閣参照』

 

「ありがとう 甘寧 貴方のおかげで姉様達も私達も救われたわ

 私の姓は『孫』 名は『権』 字は『仲謀』 真名は『蓮華』よ これからも私に・・・私達に力を貸して」

 

血で汚れた思春の手を気にする様子も見せず、思春の手を両手で包み込み、甘寧を見つめる蓮華の眼差しは慈愛に満ち溢れていた

私はあの時誓ったのだったな 私へと微笑みかけてくださった蓮華様を終生お護り続けると・・・

 

そう思い起こした思春は、少女の手を取り押さえつけてた縛めを解いてしまうのでありました

 

一刀に引き取られる事に決まった少女は凌統と名乗った 思春以外の一刀と雪蓮には瑠璃という真名を預けた 

父は凌操 緋蓮の親衛隊副隊長のをも務めていた程の人物の娘である事もわかった

 

そして瑠璃は今回襲撃した全容をぽつりぽつりと一刀へと語り出す・・・

 

敵であった筈の思春の功績と出世に嫉妬する者達の事を・・・

そのことは思春も知っていた 単なる妬み、見苦しいとそんな奴に何が出来ると高を括って、鼻で笑っていた思春である

 

それがまさか・・・自身が原因で・・・

もしかしたら主である雪蓮や天の御遣いである北郷に危害が加えられたとしたら・・・

いつかは蓮華様にも及べば、後悔してもし足りない・・・

自身の考えが甘く間違っていたと失態を悟った思春であった

 

その場で思春は主である雪蓮に付きから地位を返上する事を決意した

そのまま軍を辞める事も考えた思春であったが、それは雪蓮や冥琳にも受理されず拒否された

 

それならば蓮華に付けるのが一番だと冥琳が判断した 蓮華をいずれ孫呉の王にさせる予定であったのだ

それまでは蓮華の補佐でいれば、反対派の周囲の者達には降格と映るだろう事も都合が良かった

 

思春としても蓮華付きにという処置には文句もなかった いや有り難いくらいだった

 

発表は思春の第2軍への移籍、出世路線からの離脱・降格を言い渡され

犯行に及んだ少女は、斬首に処せられたと発表されたのである

 

その素早い一連の処分を聞いて、思春に嫉妬して瑠璃をそそのかした者達は大いに喜んだ

しかしこの者達は知らない・・・斬首に処せられたと発表されていた瑠璃が生きているなどとは・・・

 

瑠璃をそそのかした者達全員を冥琳、王林、紅の連名で一斉に軍から一掃、永久追放した

 

驚いたのは、瑠璃をそそのかした者達とその親達であった・・・

その中には緋蓮の時に重臣だった者達も混ざっており、冤罪だと捲くし立て冥琳、王林、紅に詰め寄る場面も見受けられたものの・・・

 

「証人を斬首? 馬鹿馬鹿しい さぁ入られい 凌統」

 

「はい 失礼しましゅ・・・」

 

そうして参謀室へと入ってきた瑠璃を見て、冤罪だと捲くし立てていた者達の子弟は凍りついた

斬首されたんじゃ・・・ そう瑠璃を指差し口をぱくぱくとした時にはすでに遅し

 

瑠璃という証人と緋蓮からの追放状を冥琳から目の前に突き出された者達は、部屋から一目散に退散するしかなかった・・・

この時追放された者達の多くは、袁術軍へ身を寄せる事になるが・・・にこやかに笑顔を浮かべている七乃に隙がある筈もなく

 

ある者は反董卓時の恋の突進時に巻き込まれたりと、その時々に良い様に利用され、使い捨てされたようである

 

そして瑠璃はというと・・・思春襲撃事件を全て正直に話した事で刑は減刑となり一刀預かりとなった

それからの瑠璃はご存知の通り、時には騎馬弩兵部隊を率いる隊長として、時には斥候として活躍した事により

猶予されていた減刑すらも相殺する功を立てるほどの成長を見せるのであった

 

これが瑠璃によって引き起こされた『思春襲撃事件』の全ての記録である

 

 

 

 

『思春襲撃事件』以来、思春と瑠璃の関係が良くなる筈もなく・・・

 

2人が街で出会い、しばしば衝突を繰り返し、店や物を壊したりとの報告があがっており

その度に思春と瑠璃の2人は、一刀と蓮華に連れられ頭を下げに方々を駆けずり回ることとなった

 

怒りや恨みを溜めて置くのも良くないからと、広場での戦いは苦肉の末に一刀と蓮華によって考えれらた

一時的な処置なのであったが、これが意外にも良かったようで・・・

 

諍いを起こせば『広場で決着をつけてやる!』が合言葉となってしまったのであるが・・・

初期の頃の殺伐とした広場での戦いに比べれば、徐々に殺伐さは抜けてきてはいるのだが・・・

一刀の感想では”まだまだだな”との事である

 

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                ・

                ・

 

「突進してくるのはいいが、動きが単調で読みやすい」

 

この時の思春はまだまだ余裕があった・・・ いつもより少し手応えがなく物足りないくらいであった

 

「オマエの強さなんて・・・一刀しゃま以下なんだ 例え時間が掛かったとしても、きっとオマエを超えてみしぇる!」

 

思春に人差し指をびしっと差している あのちんちくりん ムカつく・・・そう眉間に皺を作り目を猫のように細める思春

 

「まだ戦う気力があったのか・・・ 北郷だと!? フン! いずれアヤツなんぞ越えてみせる

 相変わらずの減らず口は、到底褒められたものではないがな 戦う意思を持ち合わせていた事だけは褒めてやろう・・・」

 

瑠璃は思春に向かって不撓不屈を構えると向かってくる!と思いきや・・・

反対方向へと一目散に駆けていったので、思春はあっけに取られ気でも狂ったのか?そう思ったのであるが・・・

 

次の瞬間、恐るべき速さで思春へと向かって迫ってきたのである

 

なっなんだと!? ぐぅぅーーー 一体何が起こっている!?

なんとか瑠璃の一撃を鈴音で防いだものの・・・一撃で手に痺れがきた程の衝撃だったのだ

 

何度か見遣る内になんとか詳細を把握した思春であった

なんと瑠璃は、公園の周囲を囲っている柵や生えている木々を利用して飛び跳ねていたのだ

 

”第2章18話”で見せた部屋を飛び回り襲撃する原型技を、思春相手に初めてやってのけていたのだった

 

ただあの時は石造りの部屋で、瑠璃がどんなに飛び跳ねようとも壊れる心配はなく

逆に瑠璃の身体が衝撃を吸収しきれず壊す元ともなってしまった訳で、この時と条件が異なっている点があるが・・・

 

瑠璃がいかに小さな身体であっても、木の枝や柵にかかる反動はすさまじく、

次々と壊れたり折れたりする枝や柵の破片が見物人や出店へと飛び散って、周囲が大惨事となってしまっている訳なのだが・・・

 

戦っている瑠璃や思春の2人に、周りを気遣う余裕など全くなかった

 

ん!? あれは屋根に明命と軒先に桜が見物だと!? どういう風の吹き回しだ!?

 

いつもと違ったアイツの戦法・・・ もしかして・・・思春の頭に突然閃くモノがあった

 

どちらか・・・いや2人ともが助言でもしたか!? 

そう考えながら瑠璃が飛び込んでくる一撃を必死に見切り避ける

 

・・・というのも、このまま避けて逃げていれば、勝手に自滅しそうな技とはなんとなく理解はしていたものの・・・

余りの速さで飛び込んできて、一撃を放ち離脱する瑠璃を思春は完全には捉えきれておらず・・・

 

何度も瑠璃の一撃を受けに回れば、それこそ痺れて鈴音を手にすることすら出来なくなる事が予見できた

 

一方の瑠璃といえども・・・決して楽観視できる状況ではなく

破片が飛び散っている事から察する事も出来るであろうが・・・

 

跳ねる足場が刻一刻と無くなって来ているのも事実で、跳ね飛ぶ足場が少なくなればなるほど

飛んでくる角度を見切られてしまう恐れもある、欠点のある技だったりするのだ

 

第2章18話では、足場がなくなる欠点は解消されていた訳なのだが骨折に至りと・・・

強力なのだが、中々使い所の難しい技だったりする

 

お互い決定打に欠けるものとなっていたが・・・

それだけに瑠璃としても思春としても、互いに勝負を急がねばならない理由があったのである

 

 

 

 

「貴様の技とてそう長く続けてはおれんだろう?」

 

「ふんっ! 強がっていられるのも今のうち・・・」

 

「減らず口を!」

 

思春がいい終ったのを合図に、思春は『鈴音』を瑠璃へ、瑠璃は『不撓不屈』を思春へと繰り出す

 

両者の刀が想いが形となって絡み合い、時に激しく火花を散らして交錯する

 

見物人達からも2人の鬼気迫る戦いに拳を強く握りこみ、唾を飲み込む事も忘れ声援とも怒号ともとれる喚声をあげる

軒先で見つめていた桜も、屋根から戦況を見つめていた明命もまた、思春、瑠璃の2人の闘気に当てられ目が離せなかった

 

しかし、徐々に跳ね飛び込んでくる瑠璃の速度が鈍っている事、初期の意表をついた動揺も収まった事

そして瑠璃の飛び込んでくる速度に、漸く目が慣れてきた思春であった

 

「そう何度も同じ手がこの甘興覇に通用すると思うなっ!! この糞ガキ!!!」

 

思春の『鈴音』が瑠璃の前髪を払い散らしていく

 

「ちぃ!」

「くっ! まだまだぁーーーーーーー!!!」

 

柵も木々の枝といった所もすでにボロボロなのにも関らず、瑠璃は迷う事無く思春へと背を向け木へと突進していく

思春は決着をつけるべく、背を向け見えていない瑠璃へと神速を使い距離を詰めていた

 

「馬鹿の1つ覚えがぁ!!! これでお前のまk・・・」

 

お前の負けだ! そう発しようとしたのだろうが、その言葉が最後まで紡ぎ出される事はなかった

 

「木々や柵だけが全てじゃない! ”不動”の物 全てが私の! 瑠璃の味方となるっ!」

 

瑠璃は木々や柵を”以前と同様”に蹴り跳ねたかと思うと、跳躍した距離が先程までより短かった・・・

今度は地面へと蹴りこみ身体を沈ませると、角度をさらに低く這う様に跳ね飛んできた

 

それからの瑠璃の攻撃は、地面へと1クッション又は2~3クッションを入れての攻撃と変化に富んで来た

 

木々や柵を使った時と違い、確かに速度は落ちているがしかし・・・

 

木々や柵から瑠璃が思春へと飛び込んでくるには距離があった事

直線的に飛んだり跳ねて来た事も予測しやすかった

 

以上の理由もあり、今まで思春がなんとか致命傷を受けず避けれた要因でもあった

 

しかし、地面を跳ね飛ぶ瑠璃は速度が落ちると木々や柵を使い飛び跳ねる

地面を跳ねたら最後、攻撃パターンが予測できない 

 

単純な三次元から複雑な三次元攻撃へと・・・変化を遂げたのだった

 

思春の読み・戦闘経験・勘を徐々に瑠璃の多彩な攻撃が圧倒していく・・・

 

「これで終わりぃーーーーーーーー!」

 

「くっ! まだ終わらせるものかぁーーーーーー!!」

 

瑠璃の『不撓不屈』の一撃を『鈴音』で弾こうとした刹那、思春の身体が流れてしまう

 

そう瑠璃は『不撓不屈』を思春へと一撃を見舞ったのではなく

地面へと突き刺し、『不撓不屈』の柄と鍔へと足をかけ跳ね飛んだのだった

 

跳ね飛ぶ際に腰から小刀を抜き放ち、思春へと止めの一撃を見舞う瑠璃でありました

 

このまま負ける!? この私が!? ふざけるな!!

 

思春が『鈴音』では防ぎ切れない事を瞬時に悟ったのであろう

 

『鈴音』から手を離し、より短い『鎌』を手にし小刀を受けた・・・

 

しかしそれが決定打となった 

 

瑠璃は『鎌』で受けられた小刀を火花を散らしながら”滑らせ”思春の首筋へと潜り込ませた・・・

 

「むふふっ」

 

「っ・・・まっ参った」

 

思春の参ったという降参の声が、重苦しく静まった広場の緊張を解く切欠となった

 

瑠璃は思春の前で喜んだり、罵倒したりするモノだと思っていた思春であったが

思春へと突きつけていた小刀を顔の前まであげ、じっと見つめたまま動かなかった・・・

 

コイツが今何を思っているのかは分らんが・・・

私は・・・あの頃より弱くなってしまったのだろうか? 否それはない・・・

 

北郷・・・アイツと関ると皆馬鹿みたいに強くなりやがる

コイツもその1人なのだろう 恐るべき成長速度で私に追いつき・・・今追い越されたと見るべきなのだろう

 

私とて鍛錬に励んでいたというのに・・・ 私はこの先も蓮華様を護り抜かねばならんのだ

コイツに負けたことを教訓に、さらに日々の鍛錬に励む事にしよう

 

そして先ず手始めに、コイツに対する私自身の意識改革も必要だろう ・・・そう感じた思春であった

 

見物人達の、出店を出す店主達からも賞賛する声や拍手が

思春と瑠璃の2人の健闘を讃えるべく次々に途切れる事無く贈られたのである

 

「私を殺せたのによかったのか? こんな機会はそうそうないと思うぞ?」

 

そう思春が問いかけたのを、瑠璃は瞬きを数度繰り返し、瞳を大きく見開き聞いていた・・・

しかし反応は今ひとつで溜息を1つついた後に

 

「殺す? もういい・・・ 一刀しゃまがこう助言してくれた

 簡単に殺して楽にさせるより、生き恥を晒させた方が効果的だって教えてくれた」

 

ムカッ 北郷め・・・ このちんちくりんにいらん事を吹き込みおってからに・・・

いつかこの怨み晴らしてやるからな・・・

 

「そうか・・・ 負けたのだ 甘んじて貴様のいう”生き恥”とやらを晒すとするさ

 次があるのならば・・・今度は負けんからな? 凌統(・ ・)

 

一言そう言い残した思春は、瑠璃の『不撓不屈』を瑠璃へと渡し

『鈴音』を拾い上げ鞘へと仕舞うと、瑠璃へと静かに背を向け遠ざかっていく

 

・・・2人の健闘を称えただろうか 

 

広場に一陣の優しい風がサァーーーーっと吹き抜け熱冷めやらぬ2人を癒すのであった

まるで優しき風が運んできたとでもいうのだろうか? 

思春、瑠璃、2人の関係も少し変化が訪れ、新たな関係へと和らぎ落ち着いていくのだろう

 

                ・

                ・

                ・

 

「いい”対戦 ”でした」

「でござるな」

 

何時の間にか屋根と軒先から移動していたのか 明命と桜が思春へと近寄ってきたが

さっきから戦った訳でない明命もだが桜もニヤニヤと笑みを浮かべ気持ち悪いと感じた思春

 

そういえば・・・アイツがいつもの対戦と違った2つの事

この2人のニヤニヤはそういう事か・・・

 

1つ深く溜息をついた思春は珍しく、恨みがましい愚痴を2人へと吐く

 

「桜 お前笑っているという事は、アイツがやってみせた・・・

 私が『鎌』で受けてから”滑らした”アレ・・・ お前が授けたのであろう?」

 

「ふふふ 気付いていたでござるか・・・」

 

「お前・・・アイツと接点があったのか? 初耳だな

 それにしても・・・ ふん! 実に不快極まる・・・悪趣味だな」

 

「一刀の薦めで瑠璃の隣に引っ越したんでござるよ それでな?

 

 あっはっは! 悪趣味とはこれはまた・・・世に謳われし『 鈴の甘寧 』ともあろうお方が

 何も真っ当に打ち合うだけが試合でござらん そうであろう? 最終的に生き残るのが全てでござる

 日々の鍛錬はその為でござるしな それに”ちゃんと届いていた”でござろう?」

 

「ああ 合理的でかつ下品で面白みの欠片もないがな・・・ 実に有効(・ ・)であったよ」

 

「その言葉を聞けて安心したでござる 

 瑠璃へと告げて、天狗になられても困るので言わないでござるが・・・ 

 授けた師としては、結果が気になって仕方なかったでござる」

 

「嘘をつけ! ちゃんと知っていただろうが! 結果を聞いたのならさっさと去れ! 目障りだ!」

 

苛立ち紛れにそう語り、手をひらひらと振る仕草を桜にする思春

桜は苦笑しつつやれやれと溜息をつきつつ、明命と思春へ手を上げて瑠璃の元へと去っていった 

 

桜の追求で更に居心地が悪くなった思春は、もう用は済んだだろうと広場から遠ざかるのでありましたが・・・

 

「明命・・・貴様 どこまで着いて来る気だ?」

 

「帰る方向一緒ですし、最後までご一緒します!」

 

「・・・まぁ いい 明命お前にひとつ聞いておきたい事がある

 アイツが跳ね飛んだ戦法 ・・・お前が助言したな?」

 

「あっ! わかりました? さすが思春殿です!

 ですが瑠璃ちゃんが柵や木を使ったのは意外でした」

 

「はん? 明命それではアイツに一体なんと助言したのだ?」

 

「ただ思春殿の意表をつくべきですとだけ・・・てへへ」

 

「ふぅーーーーー なるほどな」

 

明命らしいというか・・・少し呆れながら、試合をしていた広場から並んで歩きながら遠ざかり

1つ目の角を曲がった思春の目に飛び込んできたのは・・・ 主である蓮華がそこに佇んでいたのであった

 

「れっ蓮華様・・・なにゆえ・・・このような所に?」

 

思春は驚きのあまり・・・そう蓮華に呟かなければいられなかったのだ

驚いて呆然と立ち尽くしている思春へと近寄った蓮華は、思春の手を取り包みを手渡す

 

「思春 ご苦労様・・・ いつも兄様に作っているついでで申し訳ないのだけれど・・・

 はい これ・・・思春の分」

 

唾をゴクリと飲み込みつつ素早く思春が包みを開くと

この度の戦闘で傷ついたのと同じ蓮華の手作りのマフラーが包まれていたのであった

 

思春のこの度ボロボロになってしまったマフラーは

外伝『砂上の楼閣』の時に、護ってもらった思春への感謝の意を込め

不器用ながら侍従長である咲に教えてもらいながら、苦心して蓮華が思春の為にと編んだものであった

 

蓮華から戴いた新たなマフラーを、思春はジッと凝視しつつ、蓮華へと少しづつ言葉を紡ぎ出すのだった

 

「見てらしたのですか・・・ この度は不甲斐ない姿を晒しまして、お恥かしい限りです・・・

 れっ蓮華様・・・ そっそんな事は一向に、私などには勿体無い・・・ あっありがたき幸せにございます・・・」

 

「それとこちらに連いてらっしゃい 首元の傷、ちゃんと手当てもしておかないとね?」

 

こんな傷などどうということはありません!と胸を張って言いたい思春ではあったのだが

そんな思春を見抜いているのか、蓮華は有無を言わせぬように、思春の手をそっと握り手を繋いで共に歩いていく

 

「・・・私には思春が必要なの それだけは忘れないで」

 

「ハッ 恐れ入ります・・・」

 

そんな恐縮する思春を、蓮華と明命がクスッと笑いながら、治療すべく城への帰途を急ぐのでありました

 

暖かい蓮華の笑顔と手に導かれた思春は、”負けられぬ相手”、腕を競い合える相手・・・か

絶対に不甲斐ない姿を主である蓮華には見せまいと、互いの主への誠を貫くべく決意も新たにしていたのだった・・・

 

 

 

 

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●『真・恋姫†無双 - 真月譚・魏志倭人伝 -』を執筆中

 

※本作品は【お気に入り登録者様限定】【きまぐれ更新】となっておりますので、ご注意を

人物設定などのサンプル、詳細を http://www.tinami.com/view/604916 にて用意致しております

 

上記を御参照になられ御納得された上で、右上部にありますお気に入り追加ボタンを押し、御登録のお手続きを完了してくださいませ

お手数をおかけ致しまして申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします<(_ _)>

 

■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 ○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン) 

 

  春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し

  『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた

  優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた

 

  容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である

  祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか

 

 ○張紘 子綱 真名は紅(コウ) 

 

  呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる

  張昭と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  ※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。 

   呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です

 

  容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである

  髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが

  その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである

  服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている

 

 ○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)

 

  普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う

  発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する

  このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される

 

  ※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです

 

  容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている

  背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている

 

 ○張昭 子布 真名は王林(オウリン) 

 

  呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる

  張紘と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか

 

  容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである

  眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から

  姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている

 

 ○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)

 

  緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名

  祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする

  部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている

 

  真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・

 

  容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている

  均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである

 

 ○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ) 

 

  荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると

  知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる

  以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま

  呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている

 

  容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女

 (背丈は朱里や雛里と同じくらい) 真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます

 

  ○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)

 

  『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族

  槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす

 

  容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ  

  胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている  

 

  ○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)

 

  弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが、一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で

  徐々に頭角を現し、後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる 

 

  容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである 

  二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える 

 

  ○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)

 

  朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される

  その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される

 

  天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為、未熟であった一刀の補佐に転属させられる 

  初期には転属させられた事に不満であったが

  一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に(わだかま)りも消え、一刀に絶大な信頼を寄せるようになる

  後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している

 

  容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである

  服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・

  と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)  

 

  ○太史慈 子義 真名を桜

 

  能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者  桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し

  騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)

  本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という

  両者の良い処をとった万能型である

 

  武器:弓 不惜身命

  特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く

  隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった

   

  容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子

  眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める

  一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる

 

 ○高順

 

  「陥陣営」の異名をもつ無口で実直、百戦錬磨の青年 

  以前は恋の副将であったのだが、恋の虎牢関撤退の折、霞との友誼、命を慮って副将の高順を霞に付けた

  高順は恋の言いつけを堅く守り続け、以後昇進の話も全て断り、その生涯を通し霞の副将格に拘り続けた

 

 ○馬騰 寿成 真名を翡翠(ヒスイ)

 

  緋蓮と因縁浅からぬ仲 それもその筈で過去に韓遂の乱で応援に駆けつけた呉公に一目惚れし

  緋蓮から奪おうと迫り殺りあった経緯がある

 

  この時、緋蓮は韓遂の傭兵だった華雄にも、何度と絡まれる因縁もオマケで洩れなくついて回ることとなるのだが・・・  

  正直な処、緋蓮としては馬騰との事が気がかりで、ムシャクシャした気持ちを華雄を散々に打ちのめして

  気分を晴らしていた経緯もあったのだが・・・当の本人は、当時の気持ちをすっかり忘れてしまっているが

 

  この事情を孫呉の皆が仮に知っていたのならば、きっと華雄に絡まれる緋蓮の事を自業自得と言いきったことだろう・・・

 

 ○孫紹 伯畿 真名を偲蓮(しれん

 

  一刀と雪蓮の間に生まれた長女で、真名の由来は、心を強く持つ=折れない心という意味あいを持つ『偲』

  ”人”を”思”いやる心を常に持ち続けて欲しい、持つ大人へと成長して欲しいと2人が強く願い名付けられた

  また、偲という漢字には、1に倦まず休まず努力すること、2に賢い、思慮深い、才知があるという意味もある

 

  緋蓮、珊瑚、狼をお供に従え?呉中を旅した各地で、大陸版・水戸黄門ならぬ

  ”偲”が変じて”江東の獅子姫様”と呼ばれる

 

 ○青(アオ)

  白蓮から譲り受けた青鹿毛の牝馬の名前 

 

  白蓮から譲られる前から非常に気位が高いので、一刀以外の騎乗を誰1人として認めない 

  他人が乗ろうとしたりすれば、容赦なく暴れ振り落とすし蹴飛ばす、手綱を引っ張ろうとも梃子でも動かない

  食事ですら・・・一刀が用意したモノでないと、いつまで経っても食事をしようとすらしないほどの一刀好き

 

  雪蓮とは馬と人という種族を超え、一刀を巡るライバル同士の関係にある模様

 

 ○狼(ラン)

  珊瑚の相棒の狼 銀色の毛並みと狼と思えぬ大きな体躯であるが

  子供が大好きでお腹を見せたり乗せたりする狼犬と化す

 

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【あとがき】

 

 

常連の読者の皆様、お初の皆様 こんばんは 雪月でございます

いつも大変お世話になっております

 

今回は新たな試みを久々に試しております

お気付きになられた皆様もいらっしゃいますかもしれませんが、『思春視点』『瑠璃視点』と2話に分けてお送りする次第です

 

2話と分けた理由は、瑠璃視点にカキコしておりますので、理由は省略させていただきますが

最初にカキコしました通り、基本的に思春視点、瑠璃視点のどちらから読んでも、話の根幹となるストーリーの流れは同じです

 

ですので、お好きな方から読んでもらっても構わない訳なのです 

 

思春と瑠璃の視点の違い、思いの違いをそれぞれで楽しんで戴けたらなぁという試みだったりします

1つに纏めるのも試みとしては有りとは思うのですが、そこはまた何処かでって感じではあります

 

この度の思春拠点ではありますが、文章に起こしてみても色気の欠片もありません!

 

ですので、瑠璃にボロボロにされた思春さんからチラリとのぞく褌姿、思春に服を裂かれて瑠璃の下着ががが・・・など

皆様の頭の中にて、自由自在にお楽しみくださいませ(ぉぃ・・・・

 

褌愛好家・・・フリークの皆様、文字にふ・ん・ど・しの文字はないかもしれませんが・・・

戦闘中チラリズム全開で見えておりますよ? 脳内変換でお・も・て・な・し!の雪月であります<(_ _)>

 

思春さんの副装備を鎌にした事、瑠璃による襲撃事件、思春の巻いているマフラーの設定などは

雪月独自の設定で付け加えてみました 賛否両論あるとは思いますけれどね~~

 

最後に来週以降の日程ですが・・・これも瑠璃視点の【あとがき】にて明記しておりますので

そちらをみていただけると嬉しく存じます

 

これからも皆様の忌憚のない御意見・御感想を、制作の糧にすべくコメント等でお聞かせ下さいませ

ではでは瑠璃視点更新まで(*´∇`)ノシ マタネ~♪


 
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