if〜もしも孫堅との邂逅シーンで周瑜が謀ったら〜
「……陸遜が優雅に馬に乗って帰還してきたわ。あなたの仕業よね?」
背後の、それほど離れていない距離から声が聞こえた。
だが俺の注意はさきほどまで挙動を監視していた兵士に注がれていた。
声がかけられる直前、他の兵士がやってきて何事かを伝える様子を確認した。その瞬間、改めて周囲に気配を巡らす。
背後の声の主のさらに後方にはおそらく三人、左右の天幕の上に二人ずつ、前方は女性二人が増員。
完全に囲まれていた。
「
振り向かずにそのまま伝えた。
その声で孫堅もようやく周囲の気配に気付いたのか、かなり動揺しているようだ。
「それは私が説明しよう」
前方にいた眼鏡をかけた女性が近付きながら話してきた。もう一人はその女性を守るように一歩前に出て武器を構えている。
「だがその前にこちらへ来てもらおう」
有無を言わさない力強さ、瞳の奥に潜む冷徹さ。おそらくこいつが呉の大都督、周公瑾か。
周瑜の言葉に反応する前に孫堅が叫んだ。
「冥琳! これはどういうことだ!?」
「蓮根様、これ以上の独断は見過ごせません。ここから先は私が引き受けますので、しばしご休息を……。黒繞殿も来てくれるな?」
王が独断で敵と、それも一対一で密会など普通ならばありえない。
それは俺もよくわかっていた。ただ、蓮根の行為に甘えていただけなのかもしれない。
これ以上甘えるわけにはいかない。俺のわがままに付き合ってくれた蓮根の為にも。
どうなるかは分からないが……。
「分かった、従おう」
「し、黒繞!!」
周瑜の前にいたツリ目に
その行動に少し驚いた様子の少女だったが、すぐにポーカーフェイスを保ち武器を受け取った。
蓮根に一度振り返り、これでいいんだと数秒目を見つめてから、周瑜の指示に従いとある天幕へと付いていった。
深が冥琳に連れられてから一刻ほどが経った。
その間、天幕に近付こうとすれば祭に止められ、雪蓮に止められ、それでも強行突破しようとすれば思春と明命を含む四人に止められ……。
いまはどうすることもできず、ただ座して待つだけだった。落ち着かなくなって歩き回っているのが現状だけど。
冥琳は天幕に入る前に一言、私に伝えた。
『あなた様は呉の王なのです。それをお忘れなきように、お願いします』
……友を一人見捨てることが王だというのか。
私が目指した王はそのような非道の王であったのか……。
それは
思い立ったら即行動。
やっぱり理性的には動けないわね……。
まずは雪蓮をここに呼ぶ。
そして腰に差していたアレを渡す。
「雪蓮、今日からこれはあなたが持ちなさい。いいわね?」
「……え。お母様、ちょっと言ってる意味が分からないんだけど……」
戸惑う我が娘を置き去りにして、強引に南海覇王を持たせる。
代わりに雪蓮の持っていた剣を一振り拝借して、ああ……あと一つ言い忘れていたことが。
「あなたが目指す、あなたの王になりなさい。他の誰でもない、あなたの……ね」
いまだにポカンとしている娘を置いて、目指すは深のいる天幕。
天幕の前には思春がいた。傍らには深から預かった短刀も。好都合ね。
【あとがき】
こんばんわ、九条です
コメントにおまけっぽいのも載せるーみたいなことを書いていたのに
投稿するのを忘れていました! ごめんなさい!
もしも恋姫に選択肢があったら~という感じにしてみました
……選択肢は表示してませんけどね
今回は
『蓮根の行動に疑惑を抱いた周瑜はこう動くのでは?』
というイメージで
途中まで書いてボツにしたものにちょっとだけ加筆したものになります
というのは建前で、実際は
あれ?ボツネタのデータない!?あれ?ファー!!
ってなって1時間ほどかけて書いたのがこれだったり……
この√のこの後の展開としては
↓
天幕突入。冥琳を感情で押し退け脱走
↓
祭を力ずくで捻じ伏せ虎牢関へ
↓
虎牢関にて曹操vs孫堅、劉備vs深、孫策vs恋
という予定だった
日々色々なルートができていきますね……
あ、ボツ理由は
・王様が仲間に手をあげるのか……
・蓮根さんってどのぐらいの実力があるのだろう、祭には勝てない設定とか考えなければよかった!
・いなくなったあとの孫策の描写が軽すぎ
etc
オハナシツクルノッテムズカシイネー
とりあえずこれだけ!
次回は本編を投稿予定だよー! あくまでも予定だよー(ぼそ
ではでは あでぃおす!
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#33のボツルート
他のゲームのように選択肢があって、違うほうを選んだらこうなった