No.63882

クロノとアキ2話

成り行きで少女を助けてしまった外見の女っぽい主人公クロノと、成り行きで助けられたおっとり少女アキが送る出会いと冒険と旅の話。

オリジナルファンタジー「クロノとアキ」の第2話です。第2話のリンク→http://www.tinami.com/view/53647

誤字脱字を発見したら知らせてください。

2009-03-17 23:35:34 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:550   閲覧ユーザー数:525

クロノとアキ2話   私と小鳥と狼と

 

 あの騒々しい事件から2日後、クロノとアキは近くの町に向けて歩いていた。

 

 

クロノは迷っていた。今更迷っていた。どうしてこんな女を連れてきてしまったのかっと。金銭面のことを何も自分は考えていなかったのだと。

 「ね~クロノ、私・・・お腹すいた」

 「そう言っても仕方ないだろ!」

 クロノはもうこれで6度目になるアキの言葉に言い聞かせる。

 「お前が食べる分の食糧なんて持ってなかったんだから・・・それでも付いてくるって昨日言ってたじゃないか。」

そんなことを言ってもないものは無く、空腹も積もり、二人の士気も激減し、このような口ゲンカが勃発しているのだ。

 「次の町までまだ結構あるし、もう少ししたら森があるからそこで今日は野宿しよう。」

 そう言うと少し元気を出したような声で、アキが聞き返す。

 「ねえねえそこで何かとって食べるの?」

 「ああ・・・ウサギやネズミがいればいいんだが、下手すればトカゲやカブトムシだ」

 そう言った瞬間アキの元気は吹き飛び、青い顔をしてぶつぶつ言うとその場にへたり込んだ。何時間も歩きっぱなしというのは、今まで村でゆっくり暮らしてきたアキにとっては少しきつかったようにも思える。

 「もうダメ歩けない…」

 「そう言ってもそこに座ってるだけじゃあ餓死するだけだぞ」

冷静で残酷なクロノの意見など聞きもせずアキはダダをこねる。それに今日はなんだかブルーなのだ。

 「今すぐごはん食べないともう私動けない。それになんだかえんなにおいする・・・」

最初は何となくだった匂いが、だんだん強くなっている。なぜか止まっている最中なのに、どんどん迫ってきている。厳密にはすぐそこの林の方から。

 「これって・・・」

アキが言いかけた時、クロノが叫ぶ。

 「もしかしたら今すぐ昼飯が飛んでくるかもな。」

 「ほんと!やったー」

 「でも相手が5匹以上だったら、俺達が晩飯だ」

そう言うとクロノは銃を抜いた。しかし普段なら入るいっぱいまで(7発)入れるはずなのに今日は5発しか入っていない。

というのもこの前の戦いでクロノは球をすべて使いはたし、残っているのはその時村長から取った銃に入っていた弾だけだった。

 「さーてッ!今夜は御馳走だ」

そう言うとまずクロノは一発林の中に銃を放った。

 「キャイン!!」 

そして動物の断末魔とともに10匹以上の狼の群れが襲いかかってきた。

 「パン!パン!」

一番初めに襲いかかって来た狼にクロノは銃弾を放つ。しかし見事命中するも狼たちの勢いは弱まるばかりかさらに激しく、恨みを持つように襲いかかって来た。

3頭目の牙を寸前で避けたクロノは狼に手刃を入れた後、四匹目の腹に鋭いけりを入れて4発目の弾を次の狼に超至近距離でぶっ放した。

 「きりがねえー!」

そうクロノが叫んだ時に中でも一番大きい狼がアキへとターゲットを変えると、その鋭い牙をアキに向けて思いきりかぶりつこうとした。

 「キャアー!」

しかしその叫びはクロノの耳に聞こえる前に一発の銃声でかき消された。もちろんこれはクロノが撃ったものではなく、もっと大口径の遠距離の敵を打つスナイパーライフルのようなものだった。

 「アキ大丈夫か?!」

 「うん。でもなんで?」

すると間髪入れずに次々と銃声が鳴り響き、あっという間に狼たちは、クロノ達の晩御飯へとなり変った。

 「大丈夫君たち?」

周りよりも暗い林からそんな言葉とともに一人の人間がこっちへ向かってくる。それにその姿は一人ではなく、何人も何十人もいた。みな思い甲冑を着け、手には銃や剣や弓を持っている。なぜ銃があるのに弓を持っているのかというと、このような部隊で戦う場合は、このような目的以外の戦いで銃弾を無駄に消費することは目的や、敵との戦闘の時に死に直結するからだ。

 「それにしても女の二人旅とはあまりかんしんしないな」

一番先頭に立った甲冑はそう言うと二人の方を覗きこむ。

 「あっありがとうございます」

 「いいえレディを助けるのは棋士として当然のことですから」

このやり取りを見た瞬間クロノはこいつは自分が苦手なタイプなのだと直感的に思う。こういうキザッたらしいやつは大っきらいなのだ。

 「まあ・・・ありがとう」

 「そっちのぶっきらぼうなレディの方もどういたしまして」

レディという言葉に反応したのはクロノではなくアキですぐさまそれを訂正しようとしたところをアキに止められていまう。 

 「まて。この場合女でいた方がなにかと都合がいい」

 「でもまた勘違いされたら後でややこしいことになるよ?」

 「でも俺達食糧ないだろ?」

 「あ・・・」

そんなコショコショバナシをしていると、さっきの甲冑が話しかけてくる。

 「お嬢さんたち、こんな危ない旅をしていては命がいくつあっても足りませんよ。よかったら私どもと一緒に近くの村までどうですか?」

その言葉にクロノは早速付け入り。

 「はい。私どもも食糧が付きどうにも困っていたところなんです。有難うございます。やさしい騎士さん。」

と声色をかえて流し目を送っていた。正直アキよりも魅力的な。

 「ええ大歓迎ですとも、今夜はここでキャンプを張って野宿するつもりだったので、ご一緒に今から夕食を食べましょう。」

 「ええよろこんで」

 アキはそう言うとぐいっとアキの手を引っ張るとたくさんの兵士たちの中へ埋もれて行った。

 

 

 

 

 「さあクロノさん、シチューです」

 「ありがとう騎士さん」

それからというものクロノは女で続け、二人ともちやほやされた。男ばかりの騎士団では久しぶりの女なので、それはもう蝶や花やとおおさわぎである。

 そして楽しい晩御飯も過ぎみんなが寝静まるころ、まっさきに眠りに落ちたアキを自分たちのテント(今使っているものはどれも男臭いからと、騎士団長がわざわざ予備の物を作らせた。)に置いててくるとなぜかというかやはりというかクロノは騎士団長のテントへ呼ばれた。勿論それは不純な目的のためである。

 「やぱりこうなるか」

クロノはそう呟くと、テントの中へ入った。

 「やあクロノさん。待ってましたよさあこっちへいらっしゃい」

薄暗いのでよく見えないが多分いやらしい手つきをしているのだろう。そう思いながらクロノは恐る恐る手を伸ばすと、その先には厚い胸板ではなくもっと柔らかくておっきいものが当たった。ぷにゅっと。

 「きききキシサン?!」

 「どうぞイレーネと呼んでちょうだい」

声の主がそう言うとテントの中に薄い明かりがともる。

とそこにはムキムキの男ではなく、長い金色の髪の結構なスタイルの美しいお姉さんが全裸で立っていた。イレーネはクロノが硬直して動かないことをいいことに、手を胸に押しつける。

 「結構積極的なのね」

 「え・・・おおお女?」

ウフフッと笑うとイレーネはクロノの耳元で息を吹きかけるようにこう呟く。

 「女だといけないかしら?おっさんに体ベタベタ触られるよりはましでしょ」

 「え・・・でも」

 「こういうこと初めてでもだいしょうぶ。お姉さんが全部お し え て あ げ る」

そう言うとイレーネはクロノの唇を奪った。しかも高速で、ディープな感じ。人と売り満足すると今度はクロノの服に手をかけてくる。

 「う・・・・ちょっとまてえええ」

 「ウフフ緊張しないで、すぐに気持ち良くなるから」

そんなことお言ってもクロノは男だ。これは彼女が思っている百合百合レズレズな世界ではなく、もっと普通の感じなのだ。そう男と女の。

 「さーてあなたもうまれたままのすがたに・・・」

そう言ってクロノのズボンに徹をかけたイレーネは、そのままパンツごとずらした。しかしそこにあるのは彼女が予想していたものとは違うものである。そしてそれを凝視した瞬間、今度はの彼女が凍りついた。まるで魔法をかけられたように。

 「・・・・・・・・・イ」

その次の言葉が出る前にクロノはポケットからあらかじめ使う予定であった即効性の睡眠薬を彼女に吹き付けた。

 「イ・・・イヤ~・・・」

間の抜けた声とともにイレーネは深い眠りへと落ちていった。

 「さあこうなったからにはもうここにはいられねえ」

そう言うとクロノはイレーネの服から銃と剣と食糧を拝借し、アキをおぶってそそくさとキャンプを出て行った。

 翌日、アキは自分が寝ているのが土よりは柔らかい布団ではなく、木を背にしてることに気がつくと、早速疑問を並べたが、クロノが拝借した朝ご飯を見ると納得してむしゃぶりついた。そしてクロノはこう思う。今度からは気をつけようと。相手が女の時もあるのだと。そして何より世界にはまだまだじぶんのしらないところがあるのだと。

                   続く


 
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