壱之一 『 虎に威を貸す狐 Ⅰ 』
「なんで?どうして此処にいるの?いつ戻って来たの?今まで何してたの?」
「ついさっき、雪蓮を捜して、最近までは大陸の外にいた。」
質問に答えながら狐燐は雪蓮に剣を納めてくれる様に促す。
促されるままに雪蓮は剣を納めても、頭の中は混乱したままだった。また会うと約束は交わした、だが子供同士の約束だったし、忘れられているかもしれないとも考えていた。しかし、実際にはこうして会いに来てくれた。それだけは理解できた。
「お~い、雪蓮?どうかした?」
「なんでもない。ただ、いきなりだったからびっくりしただけ。」
そう言っても結局お互いに何も言えずにいた。
どのくらいそうしていたか分からないが、突然狐燐の手をとって雪蓮が駆け出す。引きずられるような形でついていく狐燐は訳が分からず、そんな彼に雪蓮は、
「一緒に来て!」
と告げるだけだった。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
江都の城門前、そこには警備の兵の他に二人の女性が立っていた。
黒い髪で怒気を発しているのは、周瑜。その隣で半ば呆れ顔で佇んでいるのは黄蓋である。
「公謹よ、もう少し抑えたらどうじゃ。」
「抑えるとは一体何のことですか?私はいつも通りですが?」
などと言っているが
そんなやり取りを何度か繰り返した頃、黄蓋が遠くに人影を見つけた。
「やれやれ、ようやく戻って来たようじゃのう。」
それを聞いた周瑜が黄蓋と同じ方を向くと確かに、見慣れた
「雪蓮!!今まで何処に行っていたのだ!!」
「うぅっ。ごめんなさい。」
開口一番に発した周瑜の怒鳴り声に、雪蓮は縮こまりながら反射的に謝り、半ば強引に連れてこられた狐燐は唖然としながらその光景を眺めている。
「それで、お主は一体何者じゃ?」
「僕は・・・」「?」
一瞬の間。そして・・・
「雪蓮の婚約者です。」
「「「ぶっ。」」」
「嘘です。」
全員が完全に虚を突かれ雪蓮などは咳き込んでいる。
「ちょっと狐燐いきなり何を言い出すわけ!?」
「ちょっとした冗談だよ。」
「それで、改めて訊くが何者なのだ?策殿と随分と仲がいい様じゃが?」
「雪蓮の友達ですよ。」
とだけ答える。
「それでね、
「大体察しは付くが、なんだ?」
「狐燐を城に招きたいんだけど。だめ?」
「・・・ふぅ、此処まで連れて来ておいて帰れ等と言えんだろう。」
「やった!冥琳のそういう所好きよ。」
はしゃぐ雪蓮を脇目に周瑜は狐燐に向き直る。
「それで、一応名前くらいは訊いておこうか、狐燐というのも真名だろう?」
「あっうん。姓は
「分かった。では蘇業、付いて来い。
(雪)「え~。」(祭)「心得た。」
周瑜の指示が飛び、まったく違う二人の返事と共に、雪蓮との再会を果たしたこの日。狐燐は雪蓮の居城へと招かれることとなった
。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「あれ?そういえば私が名前聞いたとき確か真名しか名乗らなかったわよね。」
「あぁ、うん。色々あってね、あの後暫くしてから
「ふ~ん、まぁ細かいことはいっか。これからまたよろしくね。」
「うん、こちらこそ。」
あとがき
祭さんとか冥琳さんとかこんな口調だったっけ?と考えつつ執筆しておりました。
さてここにきてようやく狐燐のフルネームを出しました。この時点で狐燐の立ち位置に検討がついている方がいればそれは恐らく筆者が隠すのが下手なだけですorz
そんな方は恐らく『アレ』が出ると思っているかもしれませんが。
ま、すでに若干でてますがね(笑)
では、また次回。
Tweet |
|
|
4
|
0
|
追加するフォルダを選択
ここから本編です
注:オリ主です。一部オマージュもあります。