No.63740

真・恋姫†無双 魏END 外伝 ~愛、千里~ 中編

南風さん

すいませんでした。PCの調子が悪くてこんな時間に上げました。申し訳ありません。いつもどおり感想をお待ちしております・・・・・というかまだ中編です!!w

2009-03-17 03:46:30 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:16005   閲覧ユーザー数:11358

真・恋姫†無双 魏END 外伝

~愛、千里~ 中編

 

ドサッ・・・・・

(あかん・・・・・力、はいらへん・・・・・・・・・・)

真桜は倒れこむ、あまりにも重い一撃、あまりにも鋭い一撃。

壁はへこみ所々が崩れ、ヒビが入っている。

その惨状が威力を物語っていた。

 

「これで、うちの勝ちや。」

霞が真桜に向けて宣言する。

その姿は正に勝者。

 

「・・・・・・まだ・・・・・負けてへんよ・・・・・・・・・・・。」

わずかに声を発し、その事実を否定する。

そして、武器を支えとして立ち上がり、足を引きずりながらも霞に向かって歩き出す。

その足取りはフラフラしている。

 

「なんで、そんなボロボロになってまで頑張るんや。」

 

「・・・・・そんなん・・・・・姐さんなら・・・・・・・・・わかるやろ?」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「うちかて、女の子や。・・・・・一番に、なりたいんや。」

 

「それが本音か?」

 

「うちは、初めてやってん。・・・・・男を好きになるんも、何もかも・・・・・・うちは、変わり者や。カラクリいじってる変な奴や・・・・・・・・・・胸は確かに他の女の子らよりも少しあるかもしれん・・・・・でも、それだけや・・・・・・・・・・そんでも・・・・そんでもな・・・・隊長はうちを必要としてくれた・・・・・・・・・・・・・・・うちの全てを受け入れてくれた・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「それだけあれば頑張れる・・・・・・・・。」

 

「おっと。」

必死に立ち上がり、なおかつ自分に向かってきた真桜が倒れそうになり受け止める。

 

「うちら、似たもの同士やな。」

 

「嘘や。姐さん綺麗やもん・・・・・。」

 

「アホいうなや。うちは男勝りで、喧嘩好きで・・・・・誰が好き好んで寄ってくると思う?」

 

「・・・・・・・・・・ハハッ。」

 

「せやろ。・・・・・・一刀がうちに全て教えてくれた。」

 

「だから、姐さんも頑張るんですか?」

 

「せや。」

 

「・・・・・うち、姐さんに感謝してます。」

 

「何を?」

 

「・・・・・色々と・・・・・。」

 

「ありがと。」

 

「でも、今回とは話は別です。」

 

「・・・・・何するつもりや?」

真桜は何かをしようとしている。

それに気付いてはいる。・・・・・・が、霞は真桜を離そうとしなかった。

 

「うちと、つきおうてください。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「地竜螺旋撃ッ!!」

最後の力を振り絞り、真桜は螺旋槍を地面に突き刺す。

この時、真桜が何かを口にした。

でも、それは本人以外誰も知らない。

 

その瞬間、

 

ドゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・

 

地響きとともに地面が抜け落ち、

 

ドォォォン

 

土ぼこりが舞い上がった。

 

「いったー、っぺっぺ・・・・・けったいな落とし穴やなー。」

 

「うち、頑張ったんですよ。・・・・・いくら姐さんでも抜けられへんやろ?」

 

「さすがにこの高さは、きついなぁ。」

大きさは各武将の部屋なみ、深さは城壁の高さとさほど変わらない。

 

「勝負は・・・・・・・・・・・。」

力を使い果たし、真桜は霞に抱かれたまま意識を手放した。

(ごめんな・・・・・沙和・・・・・・・・・・凪・・・・・・。)

 

「あぁ、それでええよ・・・・・。」

霞は真桜の頭を撫でる。

その顔はとても穏やかであった。

「泣いたんが、馬鹿みたいやな・・・・・・。」

 

一つの戦いの幕が今下りた。

 

 

 

一方、凪と秋蘭の戦いも雌雄を決しようとしていた。

戦いは大通りに移っていた。

一進一退の攻防。

凪が間をつめようとすると秋蘭はそれをさせない。

秋蘭は弓で戦う上で最高の間合いを保っているのである。

 

「っは!」

 

「っく!」

 

先程から秋蘭の優勢。

武人としての実力・経験の差が徐々にでてきて、なおかつ凪は右腕を負傷していた。

秋蘭の放つ矢は城壁にすら簡単に突き刺さる威力がある。

手甲の上からとはいえ凪の右腕の手甲に矢が直撃。

その一撃は気を充実させた腕ですら再起不能にさせた。

 

(右腕が動けば・・・・・・いや、そんなことを考えるな!まだ勝機ならある!)

 

(ふむ・・・・・・さすが凪。まだ眼に曇りが無い。だが・・・・・・!!)

 

「その体で私に勝てると思うな!!」

 

「・・・・・っく!・・・・・・・・・・でぇい!!」

凪は矢を紙一重で避け、その動きのまま足を振り上げ気を飛ばす。

 

「よくその体勢で・・・・・・だが!!」

 

ヒュッ!

 

一瞬の隙。

気を飛ばす、その動作の中の隙。

足が上がり、地面に着く前のわずかな片足の時間。

 

「っ!!」

頭目掛けて飛ばされた矢を避けるために、凪は地面を蹴った。

だが、

次の刹那、

凪の目に映るのは秋蘭の不敵な笑み。

 

「悪いが、私の勝ちだ。」

ヒュッ!!

空中で身動きとれない凪に矢が放たれる。

 

「・・・・・まだだぁ!!」

動く左腕で凪は矢を弾いた・・・・・・・・・・が、

「何!?」

矢は弾いた、確かに弾いた。

だが矢の後ろと言ったほうがいいのか、

同じ軌道上、

そう矢を弾いたが、もう一つ凪に迫る矢があった。

 

ガン!!

 

鈍い音が響く。

左腕を上げたことにより隙ができた胸甲に矢が命中した。

 

「ガハッ!!」

 

・・・・・・・・・・・ドサッ

 

矢は胸甲によって弾かれ、刺さりはしなかった。

だが、凪が意識を手放すのには充分な一撃だった。

 

倒れた凪のもとに秋蘭が近寄る。

 

「凪・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「凪よ・・・・・・・その思い私が引き継ごう・・・・・。」

 

二人の間に一陣の風が通る。

 

その風が凪の答えであるかのよう。

 

秋蘭は凪を介抱しようとかかえあげる。

 

「逃がさないわよ!!」

 

「ん?」

 

「ごめんなさい。でも次のあなたの相手は私達よ。」

 

「もう~待ちわびちゃったよ~。」

 

秋蘭は驚いた。

顔を黄色に布で隠しているが、

今度はあの三人組が秋蘭の前に立ちはだかったのだ。

 

 

 

――同時刻、中庭――

「はぁはぁ・・・・・はぁ~・・・・・・・・・・。」

 

沙和は考えていた。

中庭はこんなにも広かっただろうか。

朝日が昇り中庭に入ったからどのくらいの時がたっただろうか。

城内の中庭。

それは、華琳が草木の一本一本を選出し植えていった庭。

日当たり、植えた場所、全てが管理されている。

だが、逆に言えば華琳と園芸をする一部の人間以外全貌を知る者はいないということだ。

そしてその中庭は、

今地獄と化していた。

 

「風ちゃんはどこ・・・・・?」

 

風を探して触れる。

それで勝負はつく・・・・・ただそれだけのはずだった。

だが、入って待っていたのは罠の数々。

下に落とし穴、上からは矢が降り、横からは丸太が飛んでくる。

沙和は動けない状況にいた。

動かない、そうしておけば罠にはかからない。

だがそれは勝負もつかないということ。

 

「さすが、風ちゃん・・・・・。」

完全においつめられている。

沙和は感覚を研ぎ澄まし、考えた。

 

(もともと、この勝負は風が提案したものなの。)

 

(風ちゃんの負けは触られること・・・・・けど、風ちゃんが勝ちになるには?)

 

(そのための罠?体力をけずり自滅させること。)

 

(違う気がする・・・・・)

 

「うぅ~、頭がおかしくなるの~。」

 

・・・・・・・・・・カサ

 

明らかに風がならす草木の音ではない何か。

沙和は音のなったほうに目をこらす。

一瞬だが、何か緑っぽい何かが揺れる。

その瞬間、沙和は走り出した。

何か考えたわけではない。

何も考えず走り出したのだ。

しかし、この判断が思わぬ幸運を呼び起こす。

風を目で捉える事ができたのだ。

 

「おやおや~。」

 

「待つの~!!」

 

「鬼さんこちら~なのですよ~。」

 

足は沙和の方が速い、だが草木が邪魔をする。

 

「もう・・・・・・少し!!」

 

「危ないのです~。」

わずかに手が服をかする。

 

そして沙和は気付く、さきほどから罠がない。

あれほどまでに沙和を邪魔していた罠が。

風が通る道は安全。

その考えに行き着いたとき、広場へ出た。

 

「中庭にこんなとこがあったんだ。」

 

「風のお気に入りのお昼ね場所なのです。」

風は逃げるのをやめ沙和と向かい合う。

 

「風ちゃん、もう観念するの。」

 

「む~~~~。」

風は袖から何かを出そうとする。

 

そのしぐさに先程の出来事が脳裏をよぎる。

「させないの!!」

地面を蹴り、風に飛びかかる。

 

「お知らせがあります。」

 

「!?」

 

「風がいたこの場所が、一番危険なのです。」

風がわずかに後ろに下がる。

 

 

 

 

覚えているのは地面を蹴ったってことなの。

そして風ちゃんに飛びかかった。

なのに、

なのに、

風ちゃんがどんどん遠くなっていって、

沙和は地面に倒れてるの。

 

「落とし穴・・・・・・。」

「ある一定の重さがかかると崩れる仕組みなのですよ。」

穴の上から風が顔を出す。

「今までのは全てこのために?」

「そうなのです。」

「・・・・・やられちゃったの。」

「・・・・・・・・・・。」

 

「でも諦めない・・・・・・。」

土を握り締め、

 

「私が一番なの・・・・・・。」

腕と足に力を入れ、

 

「誰にも譲らない!!」

立ち上がった。

 

「・・・・・・・・・・仕方が無いのです。」

「今度は何なの?」

「真桜ちゃん特性の煙玉なのです。」

「そう・・・・・・なの・・・・・。」

「おやすみなさい。」

 

ボォン!!

 

「ごほっごほっ!!」

「この煙は眠り薬が含まれているのです。」

「・・・・・・・・・・。」

 

ドサ

 

「良い夢を・・・・・・・・・・。」

日は高く昇り、中庭に光がさす。

日の暖かさと鳥の鳴き声が耳に心地よい。

風は未だに穴の底で横たわる沙和を見つめていた。

「風は戦に勝ったら喜ばしいと思っていたのです。・・・・・・・・・いたのですが、勝つというのは・・・・・・・戦いとは、こんなに悲しいものなのですね・・・・・。」

 

 

 

 

「そんなことじゃこれから勝てないわよ。」

聞きなれた声が聞こえ、声の方を見る。

「おやおや、覗き見ですか?趣味が悪いですよ・・・・・・・・稟ちゃん。」

「風に言われたくないわ。」

「それにしても罠をぬけてきたのですか?」

「私を誰だと思っているの?」

「失礼しました~。」

「じゃあ早速だけど、勝負といきましょ。」

「内容はなんですか?」

「これよ。」

稟が持っているのは遊戯をするあめの板版。

この遊戯のルールは簡単。

相手の駒(兵)を排除し、陣を形成し、相手の本陣を落とすまたは大将(親駒)を倒せたら勝ちである。

しかし、駒の進め方・陣の形をあわせると何千通り、また次々と新しい一手が生まれることから奥が深い遊戯である。

「勝負は簡単よ。一度の勝負で勝ったほうが勝ち。」

「いいですよ。」

二人が板盤を挟み向かいあう。

 

「あら、そういうことなら私も混ぜてもらおうかしら?」

木の陰から顔を出したのは猫耳頭巾が特徴的な人物。

そう、この戦いでもっとも意外な参加者。

荀文若である。

 

 

 

――玉座の間――

朝日が昇り、今の今まで玉座の間に響く金属同士がぶつかる鈍い音。

二人はずっと何百合と打ち合っていた。

ガキン!!

キィン!!

一騎打ちとは武人が互いに己の武を競い合う。

己が今まで磨き上げた武で全身全霊をもって戦う。

 

だが、今回は違う。

女の意地と誇りをかけたいわゆるガチンコ勝負。

だから、華琳も春蘭も避けない。

武器が振るわれたら互いに真っ向から受け止める。

それは、他から見たら素人が武器を振るっているも同様。

 

しかし、なぜだろうか・・・・・

 

どうしてだろうか・・・・・

 

その姿がとても美しく・・・・・

 

そしてたまらなく寂しい・・・・・

 

「はぁはぁ・・・・・・・・・。」

「もう息切れですか、華琳さま?」

「っふ・・・・・まさかあなたに挑発される日がくるなんてね。そう言うあなたこそ汗だくではないの。」

「そんなことはありません!!」

 

ブゥン!!

 

「甘いわよ!!」

 

ガン!!

 

春蘭の大剣を真正面から受け止める。

「春蘭、私をなめているのかしら?」

「違います。華琳さまがお強くなられたのですよ。」

「嬉しくないわね・・・・・・そんな妄言!!」

 

シュッ!!

 

「まだまだぁ!!」

 

キィィィン!!

 

「勝負はこれからです、華琳さま!!」

「ええ、その通りよ。」

 

鎌という独特の形で速さを駆使して勝負をする華琳。

 

大剣を用いて力で勝負する春蘭。

 

二人の戦いは始まったばかりである。

 

 

 

 

――鍛錬場――

鍛錬場、そこは兵士達が大勢で武技の鍛錬そして軍としての鍛錬をする場所。

普段は、綺麗に整えられている場所も今は、地面には無数の穴とヒビが所々にある。

まるで戦場であるかのように。

そして、そんな鍛錬場に切なく響く何か。

声としては聞き取りにくく、音としてはおかしい何か。

 

それを発しているのは一人の少女。

 

その少女の隣には別の少女が横たわっている。

 

答えは単純だった。

 

音の正体、

 

それは、

 

泣き声だった。

 

「ごめん、ごめんね・・・・・。」

少女の声はかすれている。

 

そんな泣いている少女は琉々だった。

 

 

 

~愛、千里~ 中編 完

 

残りあと10人。

 

 

 

~おまけ~

「ちょっと私達の出番ってこれだけ!?」

「いいじゃない。無いよりはましよ。」

「あれ?姉さんは?」

「暇だって言ってどこかへ消えた。」

「もう!!じゃあ今回は予告じゃなくて単純なおまけよ!!」

 

 

 

とある場所。大勢の人が休んでいる。

「・・・・・もうすぐで着きます。」

「悪いな。迷惑かけちゃって。」

「いえいえ、これも・・・・・の頼みですので。それに・・・・・も喜ぶかと。」

「ならいいけどな。」

「では自分はこれで。」

「ありがと。」

二人の男の片方が頭を下げる。

もう一人は横になり空を見上げた。

 

「かなり早くなちゃったけど、喜んでくれるかなぁ。」

手を天に掲げて、顔は笑っている。

 

 

 

「ちょっと何よこれ!?」

「さぁ?」

「手抜きもいい加減にしなさいよ!!」

「ただいま~」

「ちょっと姉さん、どこいってたのよ?」

「ん~?ひ・み・つだよ~。」

「はぁ!?」

「はぁ~。」

 

次回に乞うご期待。

 


 
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