「うぉらああああああああああーーーーーー!!!」
正直に言うと、今の俺は自棄糞になっていた。左手には剣、右手にはFMG-9を携えて、獣の様な雄叫びを上げながら<奴ら>を薙ぎ倒して行く。傭兵時代に何度も逆境に立たされ、死にかけたが、俺は生き残り、それに打ち勝って来た。だが、今回ばかりは悔しいがヤバい。例えるならば、第二次世界大戦のウェーク島の戦い(アメリカ側)だな。いや、それよりも酷いか。FMGのマガジン内の弾が切れるが、やはり<奴ら>が減る兆しは無い。
「しゃーねー。とっておき使うか。孝!ジープの後ろにグレネードランチャーとグレネード弾がある!持てるだけ持って来い、ショットガンもだ!」
孝は走ってジープのトランクを開けると、ダネルMGLと予備のグレネード弾六発、そしてイサカM-37を持って来た。
「よし、実戦だ。撃ちたきゃ撃て。だが、無駄弾は撃つな。撃った分だけ仕留めろ。俺が言った事、覚えてるな?」
「「フォアエンドを一往復、胸を狙い、脇を締め、突き出す様に構えて、撃つ!」」
俺と同じ言葉を復唱した。ほう、全部頭に入り切っていなかったとばかり思ってたのに。これは認識を改める必要があるな。そう思いながら、ジープの上に登ると、<奴ら>をグレネードランチャーで吹き飛ばし始めた。当然、麗や冴子がいる所は避けた。
「はぁっ!!」
「セイッ!!」
気合いの籠ったかけ声で突き、殴り、薙ぐ。改めて間近で見ると、つええな、コイツら。
ちらりと非戦闘員三人組の静香、ありす、沙耶の順で向こう側に荷物を殆ど運び終わり、ワイヤーの向こう側に渡り始めたのを見た。だが、<奴ら>が一匹、俺達の包囲網を突破してしまい、最後尾の沙耶の足を掴んで引っ張り始める。
「は、離しなさいよ、この!!」
暴れた所でどうにもならず、力任せに引き摺り下ろされた。この時背中を車体に強かに打ち付けてしまう。俺じゃ間に合わねえ!
「孝!」
顎で沙耶の方を指し示した。
「やばい・・・沙耶!」
沙耶の足に今にも噛み付かんとする<奴>の頭に銃口を向けて頭の上半分を吹っ飛ばした。彼女を助け起こすと、向こう側に渡らせた。ん?名前で呼んだの初めてだな。
「大丈夫か?背中は?」
「だ、大丈夫よ!ほら、来てるからさっさと戦いなさい!」
残るは俺を含めた戦闘員五人か。
「やっぱり高台じゃなきゃこいつは使えないか。つーか、もう少し密集しろよ、使う意味が無くなっちまうだろうが。」
俺はそう愚痴りながら六発撃ち尽くすと薬莢を排出して新たにグレネードを入れ直した。
「圭吾!荷物、全部運んだよ!」
俺の以外はな。ここで死ぬ気は無いが、殿は年長者・経験者の意地としてやるしかねーか。
「コータ、冴子、麗、孝!お前らも早くワイヤーの向こう側に渡れ!」
「ラジャー!」
「はい!」
「承知しました!」
「良いですけど、でも、滝沢さんは?」
「年長者の意地って奴さ。行くまで俺が持ち堪えてやる。さっさとしろ、でなきゃお前を撃つぞ?」
車の上から飛び降りると、グレネードランチャーの薬室の残弾を撃ち尽くし、薬莢を排出した。ワイヤーの隙間にそれを滑り込ませて、バッグもワイヤーの向こう側に投げ込む。残りは百数十体前後か。死ななきゃ良いな、俺。
「圭吾!早くこっち側に来て!」
声が聞こえるが、度重なる撃発音と心臓がバクバク言う音でで上手く聞き取れない。FMG-9とマシンピストルの2丁撃ちで迫り来る奴らを撃ち殺して行く。俺とワイヤーの距離はどんどん縮まって来た。目測で言えば四、五メートル。俺の体力もそろそろ限界だ、大声張り上げながら剣を振り回すんじゃなかったぜ。FMGのマガジンも今入ってる奴を加えて残す所後二つ。隠し持つにはうってつけだが、取り回しが微妙だな。
「一旦しまうか。」
FMGを畳んでジャケットの中に押し込むと、マシンピストルを剣に変形させて両手で構えた。と言っても、反動で右手が痺れてるから力が入らないし、腕が殆ど上がらない。享年は以前と同じかよ。
「皆!その場で伏せなさい!」
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とある民間軍事会社に勤めていた傭兵は、僅か二十六でその生涯に幕を閉じたが、次に目を開けた時には、赤ん坊として生まれ変わっていた!
チートな特撮の武器も『神の介入』と言う事で出します。