第2章 拠点ー緋蓮編 『 可愛い子には旅をさせよ? 』
このお話の切欠となる出来事は、2章最後の頃より後の話となり
この度の話の中心となる時は、第3章と重複するそんな時に巻き起こった物語であります
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雪蓮と一刀が電撃結婚をしてから早2年、蓮華と結婚して1年半という月日が経とうとしていた春先の頃のお話である
一刀と雪蓮の間に待望の第1子となる女の子が誕生したのである
雪蓮の娘の名は紹 字は伯畿 真名を偲蓮(しれん)と、一刀と雪蓮の2人によってそう名付けられたのである
「偲」を「顎鬚(あごひげ)を蓄えているさま」とする説もある
古代中国においては、顎鬚(あごひげ)を蓄えることが、強さをアピールする意味を持っていたから
関羽の事を「美髯公」と呼んだ例もあるように、「顎鬚(あごひげ)」=「偲」という構図ができたのであろうが
一刀と雪蓮の2人は、そういう意味で付けたのでははなく
心を強く持つ=折れない心という意味あいを持つ『偲』、”人”を”思”いやる心を常に持ち続けて欲しい、持つ大人へと成長して欲しい
そう強く願って・・・何度も話し合った末に名付けた真名であった
雪蓮と蓮華には厳しく育成してきた反動からか? 雪蓮と蓮華に言わせるとシャオには激甘だったらしい
直後に呉公が他界したこと、孫呉が崩壊しかけ気弱となっていた事も原因の1つであったのだろうが・・・
この時代の大きな勢力ともなると通常、乳母や周囲の守役となる者に任せっきりとなる事も多い 袁家の麗羽、美羽などが良い例であろう
雪蓮や蓮華も例に漏れず、当時の侍従長だった咲の母に幼少の頃は養育されたのである
そうした例を見てもわかる通り
この度偲蓮が生まれる前より既に、守役と幼少時の養育係として盟友の冥琳と侍従長の咲に頼み込み了承をすでに得ていたのだ
雪蓮がそう決めたと聞いた時にも、40を前にお婆ちゃんになる事に気持ちが沈んでいた緋蓮は、何の反応も関心も示しはしなかったのだ
しかし ・・・こうして事前に取り決められていた事が、塞ぎこんでいた緋蓮の手によって、完全に覆される事態となろうとは・・・
緋蓮がほっぺたを人差し指でつんつんと感触を楽しんでいた処に、偲蓮の幼き手に偶然だったのか必然であったのか
緋蓮によれば偲蓮にそっと握られたというのだ
雪蓮が侍従長である咲に、偲蓮を渡そうとした時には、緋蓮の人差し指を強く掴んだまま離そうともせず
引き離そうとすれば泣き出す偲蓮に、母である雪蓮も咲も困り果てているようであった
その時に緋蓮は偲蓮に心を奪われたのであろうか? また強く心が惹かれあったのであろうか?
緋蓮が雪蓮から偲蓮をを奪い取り、そのまま抱きしめ頬擦りしながら、急に私が養育しだすと言い出したからさぁ大変
この後、孫呉の宮廷を震撼せしめる、一大騒動にまで発展してしまったのである
一刀や蓮華を始めとした将達は、荊州南部の前線にいながら、国許の雪蓮と緋蓮から別々に次々と書簡が舞い込む始末に
最初は何事が建業で起こっているのかと心配し、急いで書簡に眼を通していたのだが・・・
途中からはこの母娘は・・・と頭を抱える始末で
偲蓮の父親としての一刀は、緋蓮であっても冥琳や咲であっても、どちらでも構わないと最初に送ったのだが・・・
両者からどちらかに決めろとの一点張りで・・・ 仕方なく蓮華に手伝ってもらい、連名で冥琳と咲にしたのがマズかったのだろうか
緋蓮は孫となる偲蓮を抱き、自身の寝室へと篭城し、引き篭もってしまったのだ・・・
そうなってしまった以上、一刀としても無理に引き裂くのは得策ではないと判断、蓮華も一刀に意見に同意を示し
以前の意見を覆し、緋蓮に偲蓮を預ける事に急遽決定したのである
そうした経緯もあった為であろうか
緋蓮の孫となる偲蓮の守役兼養育係となった事で、今まで見た事もなかった母である緋蓮の様子に
シャオが困惑の度をみせる程の激甘っぷりの親密度だったようで・・・
母である雪蓮の心配を余所に、日参を欠かす事なく偲蓮へ足繁く通い、一日中傍に付き添ったり共に就寝する事もことも多かったという
この後、一刀の妻となる蓮華達にも子供が出来て、緋蓮の孫達が生まれてくる事となるが
偲蓮のように駄々をこねて、守役や養育係を奪うような出来事は皆無であった・・・
こうした緋蓮の一連の行動に、戸惑いをみせる娘の雪蓮や蓮華であったのだ
一刀と偲蓮だけにこのように執心する反応を示したともいえよう
雪蓮と冥琳が”断金の契り ”と表現された固い絆で結ばれていたように・・・
偲蓮と緋蓮の仲も”断金の契り ”と呼ばれる固い絆で結ばれていたといえるのかもしれない
最初でそのような事件を起こした偲蓮と緋蓮の2人なのである もちろんそれからも後々数々の伝説となる出来事をやらかしている
その伝説の1つとなる出来事を、後々詳細に記す事となるが、天も天衣無縫な2人の生き方を愛したのだろうか?
彼女達2人の行く手を遮る者全てが、気紛れという名の餌食となり・・・屍を累々と晒してゆく事となる
この時に起こった事件も・・・そうした突発的な嵐と共に、母である雪蓮に降って沸いたような突発的事故ともいえる出来事であった
荊州攻略で掛かりっきりで、夫である一刀が建業にいない事もあり、雪蓮が食事を作る必要もないので、基本手を抜くのが恒例となっている
いつも通り、月と詠に支度を手伝ってもらい、寝室から食堂へと至り朝食を摂っていた
普段通りならば、幼い偲蓮と緋蓮には食堂で会う筈なのだが・・・その姿が一向に見えない事に、自身の勘が何かを告げたのだろうか?
朝からしきりに2人の行方を追いかけ、途中、月と詠も加わって、周囲の者達に次々に声をかけて回り
建業城内を隈なく探し回っていたのだ
しかし、どうしても偲蓮と緋蓮の2人を見つけられず・・・
これ以上時間を無駄にするのもどうかと考えた雪蓮は、仕方なく自身の仕事をかたす為に執務室へと帰った机の上に
1通の書簡がぽつんと置かれていたのである
嫌な予感しかしなかった雪蓮ではあったが、しょうがなくその一通の書簡を手に取り眼を通す雪蓮・・・
読み終えた雪蓮の形相は、それはもう・・・世にも恐ろしい大変な形相であったと・・・
後々詠に事情を語って聞かせた月が、自然とぷるぷると震えるほどの激怒っぷりだったらしい
読み終えた雪蓮は、芸術の域に到達しそうな程、机にうず高く積まれていた竹簡に向かって
読み終えた竹簡を勢い良く投げつけたかと思うと、荒い息を吐いて不気味な笑いを発していたのであった・・・
緋蓮が机に置いておいあった竹簡には、こう書かれてあったらしい・・・
『可愛い子には旅をさせよという言葉を一刀から聞いた
・・・なので早速旅に出てきます 当分の間探さないでください 緋蓮のサイン、偲蓮の手形』
・・・という、なんとも雪蓮の母だけある無鉄砲さで、雪蓮の親が緋蓮であった事をこれほど後悔した事はなかったという
雪蓮のこの時の怒りは、後々南荊州を平定し帰ってきた一刀が
雪蓮に再会した際に避ける事は出来たのだが、雪蓮の余りの怒りの形相に一刀の身体が硬直
出会い頭に首が圧し折れるかと思う程の”きっつ~いビンタ”を一発、豪快にお見舞いされている様子からも
その怒りの程が窺い知れるのである
仮に『獅子は我が子を千尋の谷に落とす』と緋蓮が聞いていたなら・・・本当に落としてしまいそうな勢いすら感じであり
・・・あの馬鹿親である緋蓮ならやりかねないと、ゾッとし恐怖に駆られた雪蓮でありました
そんな雪蓮の心配をよそに、旅にでた偲蓮と緋蓮さん
一足先に南荊州の状況報告をするべく、建業へと舞い戻ってきていた珊瑚と相棒の 狼ランを
今回の旅に際して、旅のお供にと勝手に連れ出してきていたのだった・・・
普段つるんでいる祭と楓の両宿将は、今や荊州南部・袁術軍の動きの牽制と攻略の最前線におり、建業を長期に渡り留守にしていたのだ
雪蓮が出産を控えていた為、荊州南部攻略の総大将は、代わりに一刀と蓮華の2人が勤めており
留守居に3人の出産経験もある緋蓮をと、万全のサポート体制で雪蓮の初の出産に臨んでいたのであった
この事が功を奏したのだろうか 出産してからも母子共に健康との書簡を、一刀は戦場で受け取り喜びつつまた安堵していた
雪蓮としては、出産してからの産後の肥立ちも良いと、華陀から診察を受けた事もあり
今まで迷惑をかけた分、自身が南荊州攻略の前線へと駆けつけ、兵達の士気を鼓舞しようと画策していたのだが・・・
そうなると幼い偲蓮を置いていくこととなり、また東方の守備が不安定となる事を懸念した緋蓮にその点を指摘され
やむなく想いを内に秘めるしかなかったのである
雪蓮としては、生まれたばかりの小蓮を置いて、荊州へと攻めに入った母である緋蓮にだけは言われなくはなかったが
この度の愚痴を一刀に送った際に、一刀と蓮華の連名で口酸っぱく自重するように諭された為、不貞腐れる雪蓮でもありました
そんな不貞腐れる雪蓮ではあったものの・・・ 偲蓮が生まれてからというもの機嫌は頗る良かったのである
一刀が帰ってきて、家族3人で時間を共有したいと思い描いていた故であろう
だが荊州を南北真っ2つに割いたものの・・・それからも予断の許さぬ展開となり
一刀としても一刻も早く雪蓮や娘の待つ建業にと帰りたかったのだろうが、簡単にはそうはいかない事情が次々と起こったのである
その模様は、第3章にて詳細にて明らかにされるのであるが・・・
簡単に要約すると、南荊州を巡る攻防戦が苛烈かつ熾烈を極めると、当然の事ながら多く将兵がそちらへ人員を割かれることとなる
建業に居座り睨みを利かせている状況が続くと、建業を守る雪蓮が暇となるという図式が展開されることになるのでありました
暇なので何処かに出かけたい雪蓮ではあったものの・・・建業を留守にできる筈もなく・・・
結果、娘の偲蓮と母・緋蓮と一緒の時間を過ごす日々が、多く作れた事は結果オーライと言える出来事といえた
偲蓮が1歳を過ぎる頃には、荊州南部もなんとか落ち着く様子を見せ始め、交代で建業に帰還するという緩和の動きが見られ始めた
漸く偲蓮にも会う事が適った一刀ではあるが、雪蓮の理想とは異なり、3人でゆっくり過ごす時間は限られてしまっていたのである
そうした中で起きた今回の騒動は、依存度が増していた”家族という関係”を見直す良い切欠となったのであるが
怒髪天を衝いている状況の雪蓮は、全く良い切欠とは微塵も思っていない訳ではあるが・・・
母となりし雪蓮の事情を何にも知らない一行は、当てはないけれど・・・
建業から東へと向かって取りあえず走っていたのでありました
子供をあやす大人は、狼を怖がり基本近づいてこないのだが、雪蓮や緋蓮は狼をすでに珊瑚共々家族として認識していた為
幼かった偲蓮に狼が近づいていっても遮るというような事もしなかった
また偲蓮のつぶらな瞳に映った狼が怖くはなかったのか
それからというもの・・・笑顔いっぱいで幼き小さな手を伸ばして狼を触ったり撫でたりしていたのだ
この頃すでに偲蓮に篭絡されていたのか? はたまた珊瑚の教育の賜物だったのか? それとも狼が大の子供好きだった為?だろうか
何れか理由は定かではないが、幼い偲蓮が不用意に狼のヒゲを掴んだり背に乗ったりしても
一切嫌がったり唸ったり吠えたりしなかったのである
それ所か、偲蓮の隣で仲良く一緒に寝たり、番をしてくれていた事もあった為
今回の旅のお供にと、緋蓮が望み連れてきた理由の1つでもある
そろそろお昼を過ぎていた事もあり、食事を摂ろうと近隣都市でもあった呉へと立ち寄るべく走った一行は、呉へと到着したのであった
そこで一軒の食事処を見つけた緋蓮は、狼や馬がいることもあり、店の軒先で食事をすると決め
椅子や机に次々と荷物を降ろしたかと思うと、珊瑚にここへ座るように促しておき
自身は注文と偲蓮のご飯でもあるミルクを作りに、店の奥へと入っていったのである
「ご注文お決まりでしたか?」
店主は、客である緋蓮が厨房へと突然入ってきた事に驚き、気を利かせ先回りをするのだったが
どうやら店主の気配りは空振りに終ったようで・・・
「いや そうではなく・・・だな 御亭主 済まないがお湯と水を少々戴けないだろうか?」
店主の気配りに困った表情を浮かべつつ、訳を話し出す緋蓮
「お湯?と水?でございますか? へい どうぞ~ そこにあるので好きなだけ持っていってくだせい!
あとお決まりになりましたならお呼びくだせい」
訳を緋蓮から聞いた店主は、迷惑をかけていなかった事に安堵すると
忙しくて手は離せませんが、と前置きしつつ・・・笑顔で気前良く緋蓮の願いを聞き入れていた
「感謝する ありがとう」
どう説明しようか迷っていた緋蓮は、詳細な事情を聞かずとも、お湯と水を分けてくれた主人に感謝をし
そんな遣り取りを店の主人と交わした緋蓮は、お湯と水、人数分の水を戴き席へと戻る
生まれて間もない時から偲蓮を養育していた事もあり、作る手際の良さは他の者が追随できる筈もなく
緋蓮は熱いお湯に水を少量ずつ注ぎながら、50度前後までいつもの調子で温度調節したかと思うと
粉ミルクをそのお湯で溶いて、偲蓮の飲む用のミルクを手馴れた手つきで作っていく
今ではこの一連の作業を、短時間で一定の温度にと調節出来る緋蓮なのだ
親である一刀や雪蓮も作りはするが、緋蓮の鮮やかな手つきと速度には脱帽である
そうこうしている内にも、無駄なく緋蓮は次の作業へと取り掛かっていた
「狼にも出来たぞ~」
「ヴォン! ヴォン!」
緋蓮の言葉に即反応を見せる狼 ちなみに狼も、水で溶いた粉ミルクのご相伴に預かるようで・・・
シベリアン・ハスキーの1回り以上も大きい体躯をしておりながら、人懐っこく尻尾を激しく振り振りして近づいてくると
緋蓮から与えられたミルクをぴちゃぴちゃと勢い良く舐め出している
「緋蓮様 貴重なミルクを狼にも戴いちゃって・・・ どうもすみません」
「なに構わん 狼も美味しそうに飲んでおるし、家族なのに遠慮など無用さ」
「緋蓮様・・・ ありがとうございます」
珊瑚のいうように、この時代で粉ミルクの存在はかなり貴重品であり、巷に流せばきっと高額で取り引きされる事となるであろう品である
今はまだ試験的・実験的側面もあって、娘の偲蓮を使って効果などを検証していたところなのであった
緋蓮としては、品が貴重であるか?そうでないか?などという事はどうでもよく
すでに家族である狼が、貴重であろうとミルクを飲むのは、当然の権利であるという考えなのである
さすがに最先端の物が多い呉であっても、哺乳瓶などという育児製品などある筈もなく
また珍しい時代の為、珊瑚が躊躇するのは無理からぬ事であろう
それから少しの間を経過してから、お腹が空いていたであろう偲蓮にミルクあげる緋蓮でありました
偲蓮にミルクをあげている際に、もの珍しさからか呉にいるご婦人方から、それは何でしょうか?と緋蓮や珊瑚は問いかけられる事となる
その度に2人は笑いながら、母乳の代わりなんですよ?と解りやすいよう説明に入る事となるのだが・・・
この後立ち寄る街や村で何度となく聞かれる事に、酷く疲れた緋蓮と珊瑚の2人は・・・さすがに懲りたのだろうか
店や人通りの多い場所では、哺乳瓶を見せる事をしなくなったようである・・・
この育児用品である哺乳瓶の先は、未来では通常ゴムとシリコンを使った物が主流なのだが
さすがにこの時代にシリコンが入手不可能であった為、山越より南方から採取されるバナナと共にゴムを輸入し
琥珀の手によって改良されたゴム製となっている
偲蓮が口にしているゴム部分を、良くかみかみする癖があるので、ゴムがすぐダメになったり、頻繁に交換が必要と迫られるので
この度の旅に際し、緋蓮もかなりの数量を持参してきている
粉ミルクに関しては、これは大陸の紅茶の聖地でもあった英徳より伝わりし、ミルクティーの技法を応用している
ただ紅茶などに使用される全粉乳ではなく、長期間保存可能な脱脂粉乳を使用している点においても
この時代において、最先端の技術といえるであろう
粉ミルクを使っているので、雪蓮の乳の出が悪いのかというとそうではなく
偲蓮を囲んで夫婦の時間を共有している時に、未来ではこんな物があってさ・・・という話から
後日その話を雪蓮と琥珀が話していた所に、隣から何故か紅が突然現れ、興味・関心を示しだし
紅が多額の私財を投じて、困惑の色を見せる琥珀を煽りに煽って、哺乳瓶試作第1号瓶を完成させたという経緯がある一品なのだが・・・
紅がこの後、この哺乳瓶試作1号瓶をどうしたのか・・・ 以降の記述や口述など残っておらず定かとなっていない・・・
雪蓮の勘が哺乳瓶の行方は何故か・・・ 一刀と紅の2人が知っていると感じた事もあり
一刀と紅に時折口に乗せ、なんとかありかを聞き出そうと問いただしてみるものの・・・
話をした時に2人ともピクリと反応を示しはするものの・・・
知らぬ・存ぜぬの一点張りで、視線を明後日の方向へと向け、誤魔化し続けたという・・・
ちなみに偲蓮に使用されている哺乳瓶は試作2号瓶、3号瓶で1号瓶より軽量化している改良型であり
それと同時期に、木製の乳母車も琥珀の手により見事に再現されている
少々脱線しすぎてしまったが、この度の話へと戻す事にして・・・
お腹が空いていたのだろう、偲蓮が勢い良くミルクを飲んでいくのを、緋蓮と珊瑚が優しく穏やかな眼差し向け過ごしている所へ
「おやじ! 酒だ 白酒5本にエール酒5本を至急出してくれ!」
大声を出して注文をし、場違いともいえる身形をした者達が、どんどん店の奥座敷があるのであろう 部屋へと消えてゆく姿を
先ほどまでの表情とは一転して、緋蓮と珊瑚は苦々しい表情で見送るのでありました・・・
この時の緋蓮はまだこの事件となる出来事に首を突っ込むつもりなど更々なく
場違いともいえる身形をした者達に、穏やかな時間を壊された事により、眉を顰め嫌悪感を露にするだけであったのだが・・・
そんな気持ちとは裏腹に事態は急変し、緋蓮達が巻き込まれてしまう運命となってしまうのであった・・・
酒を飲んで上機嫌となったのだろう 次第に男達の声は大きくなり、会話は緋蓮達が食事をしていた席にまで聞こえる程となっていた
聞こえてくる愚痴はというと、以下のような事情が絡んでいるようであった
1:一刀の楽市楽座の政策のせいで、露店で店を出す店主らからの収入が激減してしまった事
2:話している者共の対抗勢力である処と少ないシノギを巡って抗争が激化したとの事
3:用心棒として稼いでいた者達もいたが、一刀が提案した保険商品の派生で、
民間警備保障という新たな枠組みの派遣会社が出来た為、追い出されて仕事を失った事
全ては一刀が提案し施策した事によって、職を失ったあぶれ者達といえるのであるが
用心棒と聞こえは良いが、その時代に暮す普通の者達からみれば、腕っ節の強くガラが悪い集団という認識で一致していた
雇われていても、相手が強ければ逃散、時には荷駄ごと奪ってから逃げる者達の集まりでもあったのだ
全員が全員そうという訳ではないが・・・基本腕っ節に自信がないと嫌煙される職業でもあり
荷を預ける商人にも多大なリスクが伴っていたのだ
だがそうした状況が、孫呉が江東を治めた事によって、ガラリと一変してしまう事となる
一刀が提案した国からのお墨付きもあり、保険の適応により万が一荷駄に損害がっても補償され
民間に委託された警備保障の枠組みではあるが、腕がよく実績が伴えば軍への仕官や登用も繋がる訳で
仕事の給料の支払いの際に一定額を支払っていれば、もし万が一警備中に自身が死亡または怪我をしても
警備保障側から家族への見舞い金なども受け取れる手厚い保護制度があった為
皆、用心棒という不安定な職から脱し、自然と地位の向上した警備員への成り手が多かったのであるが・・・
そこに民間警備会社に務める者と用心棒という、同じ職業に関らず・・・修復出来ない程の埋められない深い溝が出来てしまっていた
いつの世にあってもそうだが、それでも全てを相殺できる筈もなく
どうしてもあぶれてしまう者達が出てきてしまうのが、政治の難しさともいえる
この度のように、そのあぶれた者達が酒を呷り、愚痴や文句を言ってるだけなら、緋蓮や珊瑚もこのまま見逃していたのだが・・・
あぶれ者達の話がどんどん熱を帯び出したのであろう
緋蓮や珊瑚が聞いているとも知らず、今回の仕事に関する情報を話し出したのであるが・・・
・・・どうも用心棒が酔って言っている仕事内容が、どうしても辻褄が合わない矛盾が生じていたのである
その矛盾とは・・・品に関しては、民間警備であろうと守秘義務があるので、警備員全員に明かされない場合も多いが
彼らのいう”簡単な仕事”と言う割りに、護衛をするべく雇われた用心棒の人数が、通常ではありえない大人数を雇い入れている点
また大人数にも関らず、簡単な仕事の割りに、全員羽振りが良く大金が支払われる点にあった
そんな大人数を雇い、散財できる程の大金を使える仕事が、楽である筈がないのだ
酔っ払いの戯言と取れなくもないが、緋蓮や珊瑚は軍を動かす一軍の将たる者である
兵を雇ったり動かしたりするのに、どれだけ莫大なお金が掛かるのかは判っている
用心棒達が話した計画が、かなりきな臭い事情が孕んでいる事を察知した緋蓮や珊瑚は
詳しい事情を探るべく、行動に移ることに決定したのであった・・・
「・・・厄介ね これだけの人数の規模となると・・・ さすがに私の手に余りそうだけど・・・
彼らが護衛する対象が何なのかをマズ知る事から始めないとね
時間も限られてるわ 急ぎ情報収集をするとしましょう!
ん~~~~~~他に何か・・・ あっ そうだわ! 珊瑚
私の名前を出すと、逃亡される恐れも出てくるから・・・ そうねぇ・・・ご隠居様がいいわ!
この旅の間中は”ご隠居様”と呼びなさい いいわね? 珊瑚」
「ハッ 承知仕りました ご隠居様! こんな感じでいかがでしょうか?」
「フフフ いいわ 珊瑚 一刀が以前言ってた、まさにツボに入った感じ! 今後それでいきましょう!
情報収集する内容は、仕事内容、警護するという場所の確定をお願い!
私はこれから呉の城へ行って、至急 建業にいる王林へ連絡をとって
呉を流通する高価品に関する警備関連の情報を調べてもらうとするわ
後はそうねぇ 今日はまだ早いけれど宿を取る事にして、その宿を拠点としましょう
上手くいけば、どちらかで情報を掴めるんじゃないかしら?」
「ハハッ ご満足戴けましたようで・・・委細承知しました ご隠居様 それでは早速事情を調べて参ります
狼! いくよ!」
「ヴォン!」
「ええ 珊瑚! よろしく頼むわ
厄介事に巻き込まれた感じがヒシヒシと伝わってくるのよね 偲蓮との楽しい旅にしようと思ってたのに」
珊瑚が狼の背に乗るや一吠えすると、一陣の疾風となって緋蓮と偲蓮の目の前から忽然と姿を消すのでありました
こうして緋蓮と珊瑚の2人は、事態の収拾へと行動を移すのでありました
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珊瑚に明命や思春・瑠璃のような探索に長けた者達のように、上手く探索できよう筈もないが
酔った用心棒達が拠点へと帰りついた所で、腕に自信があるから雇って欲しい
そう殴り込みをかけ、そこで大立ち回りを演じた珊瑚は、腕を見込まれ潜入に成功したのである
後は、用心棒と名乗る者達から、今回の事細かい仕事の内容を掴んだ珊瑚は
拠点である宿へと堂々と引き返してきていたのである
珊瑚が宿へと帰還を果たした時、緋蓮は険しい表情をしつつ
建業にいる王林からの書簡に目を通していた緋蓮であったのだ
珊瑚が部屋に入ってくるのを確認した緋蓮は、険しかった表情を崩しつつ、珊瑚が帰って来たことを労うのであった・・・
「珊瑚 ご苦労様 何か解った?」
「はい ご隠居様 用心棒の仕事のあらましは、ほぼ全て・・・」
「聞きましょう」
珊瑚が調べ上げた事態を要約すると・・・
1:雇い入れた商人から、用心棒達は護衛する物品には一切触るなと厳命されていて
首領格の者も物品に関しては把握していないとの事
2:雇い入れたという商人が言うには、物品は奪われた物らしく量も少ない
しかし、物品の周りにはどうやら護衛がいるそうなので、まずは護衛を追い払って欲しいとの事
この条件を聞いて、用心棒達はおかしいとは思わなかったのであろうか?
正気の者達であったなら、余りのきな臭さに、すでに断っているのかもしれない
大金という欲にくらみ、事件に巻き込まれている事を全く理解しているとは思えない、情報の漏洩具合といい杜撰さであった
「・・・という警護内容だったようです
してご隠居様 あちらの方はどうでありましたでしょうか?」
「・・・ええ 珊瑚が帰って来る前に届いてたのだけれどね
私の想像が正しければ、彼らは専売品を奪おうとしているわね」
「なっなんと!? そんな大それた事を!!?」
緋蓮の推測を聞いた珊瑚は、王林が竹簡に記していた内容を急いで眼を通し始めた
「専売品の中でも、呉を通す貴重な専売品は海産物のみ
ワインや紅茶といった希少品となると、殆どは同盟の山越を一回介す必要があるから
専売品の海産物の中で怪しいと思われる品は3つ、塩、真珠、珊瑚ね」
「あたいの名前が出たので少し焦りましたが・・・なるほど真珠ですか」
「ええ・・・十中八九 量が多くないっていう時点で塩は除外、珊瑚は建業で加工されるからかさ張って無理
残るは”本命”しか残らないという訳だけど・・・」
珊瑚にバラす情報の漏洩具合といい、管理の杜撰さを考えるなら・・・
また、荷を何かも用心棒達に教えていない事からも、彼らを雇い入れたという商人辺りが一番怪しく
この度の首謀者とみた緋蓮であった
またこの商人は、大人数を雇い入れた用心棒達を騙し
真珠を警備している人員を全て殺害か排除後、速やかに荷を強奪する手筈に計画を練っていたのであろう
この時代での天然真珠、黒真珠は、採取できる量は現代と比べれば微々たる量で、かなりの希少価値であった
海産物である珊瑚も高値で取り引きされてはいたが、さすがに真珠や金剛石に及ぶべくもない高級品である
一刀の天の知識によって、何度も試験的に養殖技術が試みられていたのだが
未来の確率された養殖技術とは違い、天の知識があってもなかなか真珠の品質が天然物に届かずまた死んだりと
人工養殖の段階にはほど遠いのが現状であったのだ
この度、建業にある真珠店に送られる真珠は、もちろん天然物であり、今回の目玉として黒真珠が出品されるとあって
各地の魯家支店を通じて、すでに大々的に宣伝され、真珠の仕入れ時には今や大陸中の商人が
こぞって建業を訪れる季節の風物詩となりつつあるのだ
その荷が仮に奪われたとしたら? 孫呉としては大損害、大失態を大陸中に晒すだけではなく
民間警備会社の安全性への信用の失墜ともいえる1大事件となるのは必定であった
・・・事件の全容としてはこんな所であろうと、推理を終えた緋蓮はというと・・・
「それじゃ 首謀者と思われる商人を捕まえに、悪の巣窟へと乗り込むとしましょうか 珊瑚用意はいいわね?」
「ハッ ご隠居様 万事整え終えております
それと・・・偲蓮様はどうなされる御つもりでしょうか?」
「置いていって人質にでもされたなら、後悔しても足りない事になるわ
・・・それくらいなら珊瑚も狼もいる方が頼もしいもの
「ハッ この命に代えましても必ずや・・・お二方をお守りすべく、万全を尽くしご期待に応えてみせる所存でございます」
「ええ 頼りにさせてもらうわ」
緋蓮が珊瑚の質問に答え終えると・・・ ゆっくりと敵の拠点に乗り込むべく足を運ぶのであった
珊瑚の案内により用心棒達の屋敷に到着した緋蓮は、珊瑚の取り成しで屋敷内へ入ろうとするものの・・・
珊瑚の腕は熟知してはいたものの・・・緋蓮と偲蓮の異様な組み合わせに不信感を抱き
門番は2人を決して屋敷内に入れようとはしなかった
さてどうしたものか・・・と緋蓮はちょっと試案顔になり、一刀の言葉を思い出してみるものの・・・
門番の追及の余りの五月蝿さに、順番などもはや煩わしく、寧ろどうでも良くなったのか・・・
五月蝿い門番を蹴り飛ばし、中に強引に入っていく偲蓮を抱いた緋蓮と珊瑚・狼主従
門番が蹴飛ばされ気絶した様子を、屋敷にいた用心棒の誰かが様子を窺っていたのだろう
「怪しい奴らが侵入してきた! 敵だぁ~~~~~敵襲~~~~~~~~」
一刀から聞いていたのと展開が違うのよね~ やっぱり人質がいて乗り込まないとダメなのかしら?
偲蓮か珊瑚が人質にでもならないと無理なのかしら・・・ 偲蓮が人質・・・ちょっとイラっときたわ
一刀にこの事を聞かせたなら、なっちゃいない どうみても悪人側の登場の仕方だな・・・と追及されかねないわ
でも・・・私らしいと笑い転げそうな気もするわ・・・
・・・なんて事を暢気な思考をし苦笑している間にも、用心棒と思われる者達がゾロゾロと現れ始める
おっ? 結果的に一刀の言ってた展開に近くなってきてない? そう思考した緋蓮は・・・
「珊瑚・狼や! この不埒者共を少々懲らしめてやりなさい!」
と何処かで聞いた風な文言で、珊瑚・狼主従に命を下す緋蓮
「ご隠居様 承知しました それでは・・・」
狼に騎乗している珊瑚は、偲蓮と緋蓮が極力襲われない様に、緋蓮に群がろうとする用心棒達を次々と気絶させていく
そんな中、頭領である用心棒が騒ぎを聞きつけ出張ってきたのであろう 緋蓮達の前に躍り出てきたのである
「なんだ! なんだ!? お前達は?」
「騒がしいですよ? 何事ですか!?」
頭領と目されるこの男は、身内による喧嘩でも発生したのだろうと勘違していたのであろう
まだこんな暢気な事を喚いているようであった
そして商人らしい小太りな男も頭領と目されるこの男と共に、出張ってきてくれたのは緋蓮達には都合が良かった
「悪い事は言わないわ 今直ぐ襲撃なんて止めて置きなさい」
緋蓮と正対していた頭領と思しき男の眉間に皺が寄せられる
「止める? 襲撃? 何のことだ 我らはこれから警護の仕事をするんだぞ?
それにだ はぁ? 我らはなぁ! 民間警備に居場所を奪われた者達の集まりなんだぞ!
この度の褒美を足掛かりにして、我らが民間警備に参入する礎を築くのさ」
頭領として最もらしいことを述べてはいるが・・・所詮強盗の戯言に過ぎない所に悲哀を感じた
「理由と理想は立派だけど、襲撃した財で作ろうとするのは戴けないわね」
「うっさい! ババア! 元手は多いほうがいいだろう? 襲撃?警備の間違いだろう カッカッカ!」
「「さすが銀兄!」」
「さすが銀次さんです 用心棒の鏡ですかな」
周りにいる取巻き達や商人に褒められ満更でもない表情の頭領であった
ニタニタ下品に笑う者達の顔を眺めた緋蓮は、最初は殺す事を選択していたのだが、その考えを止めてしまった
だからといって下品な言葉を吐いた頭領達が逃げられたという訳ではない
むしろその逆で・・・生き地獄を味あわせてあげるわと考え直していた緋蓮だったのである
それと首謀者を確認したいと思っていた事もあり、この馬鹿馬鹿しい茶番に付き合う事にした緋蓮であった
「歳に関する暴言はこの際置いておくとして・・・ 貴方 襲撃する品物が何か判って、警備するなんて大言壮語を喚き散らしている訳?」
「品物だと!? 中身なんぞそんなもんどうでもいいさ 手付け金といいかなりの額もらったしな
依頼主・ ・ ・の意向を守るのも用心棒の務めのうちだろう?」
頭領の頭の緩すぎる自慢げな言葉に、商人がサッと表情を顰めた様子を緋蓮は逃さなかった
「・・・ふふふ 一番聞きたい事を教えてくれてありがとう その礼に免じて少し付き合ってあげるわ
貴方のいう褒美金額、それは幾ら?」
「ありがとうだと!? ふざけるな!といいたい所だが・・・
いくらだと!? いちいち小うるさい女だな お前に関係ないだろうに・・・
まぁいい 前金も随分と弾んでもらって気分もいいしな! 聞いて驚け! 銀※※斤だ!」
その下卑た笑いに含まれている表情には、とても中身が真珠と知っているような顔ではなかった
中身が真珠と知っていたなら・・・ 今吐いた金額を自慢げに語るなんてことはありえなかったからだ・・・
これで黒幕がどちらかが知れたわけで、ほとほと哀れに思えたので溜息をつきつつ、銀次に話しかける緋蓮でありました
「はぁ~~~ なんてお馬鹿さんなんでしょう 吐いた単位が低すぎて可愛そうになってきたわ・・・
最初は生ぬるいから、生き地獄をみせてあげようかと思ったのだけど・・・
まぁ いいわ それじゃ銀兄とやらに質問! ジャジャン! 真珠って貴方がさっき喜び勇んで言った報酬で買えるのかしらねぇ?」
「はぁ~? 何が悲しくてお前に銀兄と呼ばれなくちゃならんのだか・・・
それにしても今、なんで真珠?の話なんてするんだ? このアマ・・・ かっ」
銀次が発する言葉は、緋蓮にはすでに判りきった問答だっただけに
後は無用と銀次が発していた言葉を上書きして途中で遮った
「ああ 皆まで言わなくていいわ もちろん買える訳ないわよね~~
貴方達が襲撃予定の商品の中身は真珠 しかも天然物がほとんどとなると、仮に金千斤であってもとても足りない金額でしょう?
箱の中身を開けるなとも商人から言われなかった? 貴方達用心棒さん達は、お前を含めて全員騙されていたのよ
事が成功しようとしまいと始末されていた事でしょうね」
「なっ・・・ なんだと!!? それに我々が知らない品の中身をどうして知ってやがる! てめえ!」
緋蓮が言った事をそっくりそのまま・・・横にいる商人が打ち合わせの際に言った言葉だったのだ
「そっそんな筈ありまへんがな~~~」
と睨んでくる銀次を見て、商人はヘラヘラと笑いを浮かべながら、汗を懸命に拭っていたが・・・
「じゃ 大量の真珠という高価な内容物と用心棒さん達が知ったなら・・・ 給与では足りないと言い出すんじゃない?
おそらく最上級品の真珠の腕輪ひとつで、貴方達の全員のお給料払えちゃうんじゃないかしら?」
「ぐっ そっそんな筈おまへんがな~~~」
と商人はもはや顔や額から脂汗をダラダラと流し続けている
そんな様子をみた銀次は・・・皆が騙されていたことに気付きはしたが、もうすでに護衛を排除する用心棒達を派遣してしまった後なのだ
時はすでに遅い・・・もはや手遅れとみた銀次は、証拠隠滅するしかないと・・・ 初期の崇高?な理想はどこへやら・・・
銀次は馬鹿丸出しで偲蓮を指さすと・・・
「者共! あのガキから見せしめに殺してやれ!」
と怒気を発し緋蓮共々睨みつけ指を指して皆に号令するのであった・・・
「ぐすっ・・ ぐすっ・・・ わぁぁぁぁぁぁ~~~ん!!!」
と銀次に睨まれ指をさされた偲蓮は、火のついたように泣き出す様子に・・・ 江東の虎としての血が覚醒したというのであろうか!!?
「おどれらぁ~ 偲蓮をぉぉぉ~~ 殺す・・・ですってぇ~? よぉ~くぅ~もぉ~ 泣かせてくれたぁ~わぁ~ねぇ~~?
万死に値する!! 覚悟しぃやぁ~~~~!!!
珊瑚! 狼! いいから遠慮なくやってしまえ!」
瞬時に珊瑚は虎の尾を踏んだなと思った
珊瑚の思考の通り、今や酒呑み友達となっている親しき霞から、以前にドスの利いた言葉というのを聞いていたのであろう
緋蓮の割れんばかりの怒りの篭った覇気は、周囲の建物を震わせ
居並ぶ小悪党達皆を竦ませ、身動き1つ取れなくなる程の迫力であった・・・
かつて”江東の虎”と恐れられた緋蓮の怒気の凄まじさを、この時珊瑚も初めて体験したのであった
言葉を発し終えた緋蓮はというと、仁王や阿修羅と表現する事ができ
しかも後方からゴゴゴゴゴゴーーーーーーという音まで聞こえてきそうな迫力を伴っていた
ごろつきの大将である銀次は、緋蓮達を亡き者し証拠隠滅を謀ろうと躍起になって号令を下したのだが・・・
「ヒィィィィーーーーーーーー」
「あがぁぁぁぁーーーーーー-」
「ギャァァァーーーーーーーー」
と全ての悲鳴は銀次の手下の者ばかりという惨憺たる様相をみせており・・・
一向に緋蓮達の悲痛なる叫びが聞こえない所か・・・
「証拠人員も残しておかないとねぇ お前は安心せい! 峰打ちよ!」
「アギャァァァーーーーーーーー アアアッァァーーー ガクン」
とこのように緋蓮は発しているが、襲い掛かった者達の腕が、この一撃であらぬ方向へと曲がってしまい
蟹のように泡を吹いて気絶し、戦闘不能に追い込まれてしまっている状況である
そしてその恐怖は伝染し、用心棒達の足が自然と緋蓮と対する事を拒んでいたのだった
緋蓮の安心せいは、命はあるんじゃないかしらねぇ?という・・・悪党にとっては絶望ともとれる気休め的な意味でしかなかった
また、あまりの小悪党共の手応えのなさに、怒気を纏う緋蓮に溜息までつかれるお粗末すぎる有様となっていたのだ
乱舞する珊瑚や狼もまた、1つの傷や怪我があるはずもなく・・・ 狼の爪や噛み付きによる出血の方が惨たらしく見えてしまう
態勢が粗方決してしまう頃には、緋蓮の腕に抱かれて泣いていた筈の偲蓮はというと・・・
流石は一刀と雪蓮の血を引く娘といえようか、周りが阿鼻叫喚の地獄絵図となろうとも
泣き疲れたのか緋蓮の腕に抱かれたまま・・・すやすやとお寝んねしている豪気さでありましたとさ
以前一刀から聞いていたのと全然違うような展開な気がするけれど・・・この際気にしなくていいわよね! アハハハ!
偲蓮が寝ていることもあり、先程まで怒気を纏わせ大立ち回りを演じた同一人物とは到底思えないくらい
今となっては、”借りてきた猫””江東のにゃんこ”との表現が似つかわしい程、大人しくなっていましたとさ・・・
悪徳商人はその後、珊瑚にしょっぴかれ、王林の手に委ねられ国家反逆罪に問われ
文字通り生き地獄を味わいながら、極刑に処せられたという
銀次達と用心棒の皆はというと・・・立っていられた者は僅かではあるが、今では全員土下座モード
辺りからは呻き声が聞こえるという・・・ 阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されてはいたものの・・・
「ハハァァァーーーーーーーーーー」
と偲蓮を抱いた緋蓮に平伏する悪党達でありました
悪党達が土下座し、排除に向かったという派遣された護衛達の行方を見守るべく、しばらく重苦しい沈黙が辺りを支配している中・・・
呉城から派遣された者が、漸く緋蓮達の居場所を掴めたのか、言伝を携えて到着したようで
狼に乗った珊瑚が対応に向かい、こちらへ帰ってきたようである
「ご隠居様! 真珠の警護班の方は大丈夫だったそうで
多少の怪我人は出たものの、1人の脱落者なく無事に建業へと向かっているそうです
ご協力感謝致します、との王林様より言伝であります
また雪蓮様より・・・母様! 帰ってきたらただじゃおかないから覚悟しておきなさい!
との怒りを多分に含んだ言伝も戴いております」
と狼から急いで降り報告した珊瑚は、根が真面目なのだろう 淡々と緋蓮に報告し終えたのだった・・・
「うぐっ あっありがとう珊瑚・・・ 最後は全然有り難くない言伝だわね・・・ 今はまぁ よしとするわ
運が良かったわね~ 未然に事件が防げた事もあり、貴方達に関しての罪は不問にしてあげるわ
それに・・・ふむ お前達 使えそうね 私の言う事を聞くのなら今回はこの程度で許してあげるわよ?
そ・れ・と次に偲蓮を泣かしたら、この程度ではゆるさないわよ? い・い・わ・ね?」
「「ハハッーーーーーーー肝に銘じます ありがたき幸せ~~~~~」」
「ああ それと銀次とやら 貴方達はそもそも警備兵に向いていないわ
蛇の道は蛇ともいうし・・・義侠にでもなりなさいな そちらの方がまだ向いているでしょうよ
あと私達の配下になるのだから、そんな頭の弱さでは頭領としてはダメよ! ”再教育”してあげるから覚悟しておきなさい!
それとそうねぇ? 建業以外の孫呉の他の都市に関しても、貴方の支配下に入れておきなさい
あと、同盟の山越の都市に関しての揉め事は、私達は仲裁など一切立ち入らないからね? あちらの流儀に乗っ取って裁かれるからね
情報に関しては逐一、周瑜、張昭、張紘の誰かに連絡を入れなさい 孫策と黄蓋には私が後で手回ししておくわ
だ・だ・し 反旗を翻したり、今回のように私の大切な家族である庶民への迷惑行為が認められた場合
誰であろうと断罪するつもりだから心して置くように! わかった?」
「義侠・・・ねぇ? 負けて文句も言える立場でもねぇですし・・・ なんでもやります! やらさせて戴きます! が・・・
あっあの~~~~~ 今更なのですげんども・・・御隠居様はどぢらざまでじょうか?(どちら様でしょうか?)」
狼に銜えられた銀次は、苦しげながらもなんとか声を出し、ご隠居と呼ばれている緋蓮に質問を試みる
すると・・・驚愕の事実がご隠居様である緋蓮の口から告げられるのでありました
「私? 私は孫文台! かつて”江東の虎”と呼ばれていたこともあるわ
貴方達も知っているであろう”江東の小覇王”と呼ばれる孫策、孫呉の王である孫権は私の娘であり
天の御遣いである北郷 一刀は、私の愛する義理の息子でもある!
そしてこの子は愛する息子”天の御遣い”と”江東の小覇王”との間に出来た娘、 私にとって孫に当る孫紹!
後の天皇候補筆頭であり、孫呉の王となるかぁ~いぃ~(可愛い)娘だからね?」
印籠を出してから、珊瑚が告げるのがお約束的展開なのであろうが
緋蓮はそう銀次にいい終えてしまうと、寝ている偲蓮にキスしたり何度も頬摺りを繰り返したりと、大層ご満悦の様子でございました・・・
「えっ!!? へっ!!? ええぇぇ~~~~~!! あい!! しょっ承知いだじまずだ・・・・」
銀次は緋蓮達の正体が、余りにも想像以上の身分だった為に
衝撃的な事実を告げられ眼が点となり、暫しの間開いた口が塞がらないようであった・・・
通りで荷の中身を知る事が出来た訳だと、妙に納得した銀次でありました
また余りに早急な成行きに、驚きようを隠せず・・・つい訛りが出てしまったようであるが
告げられた事実を信じられず、視線を珊瑚に移し泳ぐものの・・・非情にも珊瑚からは肯定の頷き1つあったのみである
狼に銜え上げられた無様な格好のまま・・・首を上下に小刻みに振り、全てを承知した旨を緋蓮に向かって示す
何故、雪蓮と祭に・・・また建業以外という条件であったのだろうか?
それは・・・建業にはすでに民間治安維持組織である雪蓮率いる『おにゃんこ隊』
祭率いる『ぷち呉れんじゃい』が治安を護っているから他ならない
『ぷち呉れんじゃい』の一員である珊瑚と狼が、この度のお供にいるのだから
遅かれ早かれ祭には、この度の話が届くことになるだろうが・・・ ※第1章 拠点ー雪蓮編、祭編参照
彼女達の手の回らない部分を、銀次達を使って悪を部分を出来る限り制御しつつ、孫呉の支配の安定化を着々と進めていったのである
この銀次であるが、この後に母に似て背はスラリと高く、色白な肌で美しく成長を遂げ
孫呉の王となりし偲蓮と再会することとなったが・・・
緋蓮のこの時の言葉である「次に偲蓮を泣かしたら、この程度ではゆるさないわよ? いいわね?」が効き過ぎたのだろうか?
それともその後に王林による、蓮華二重人格の元を作り上げたという、シゴキいや”再教育 ”の賜物?ゆえなのかは定かではないが・・・
常時平身低頭、遠くに偲蓮の姿が見えた場所から即跪き、何処であろうとも額を床に当てた土下座状態になったそうである
人格が540度?3回転ぐらい?捻じ曲がり、真っ当すぎる男になっていて
偲蓮がそう畏まらないでください、そう声をかけても一向に変わる様子がなく
自分の鳴き声が原因でこうなったと聞いただけに
大きく成長し綺麗になった偲蓮はというと、苦笑を浮かべるしかなかったようで・・・
流石に幼すぎて、銀次に会った事や当時泣いたという記憶すら、成長した偲蓮には一欠片の記憶も全く残っていなかったようである・・・
・
・
・
そんな銀次のエピソードは、一度体験した者にとって忘れられぬ無理からぬ出来事といえよう
また、事件を解決し意気揚々と建業へと帰還した緋蓮は、待ち構えていた雪蓮にとっ捕まえられて、数週間消息不明となった
この事件以降、味をしめたのか 数週間消息不明に陥ったのにも懲りず
緋蓮は幼き偲蓮、珊瑚や狼を伴って秘密裏に度々ふらりと旅へと出かけていたようである
旅する先々で、偲蓮を抱いた緋蓮とお供の珊瑚、狼が問題事を起こし・・・
その度毎に偲蓮が泣くや・・・緋蓮と珊瑚&狼が容赦の欠片もなく大暴れ&退治していき
次々に地方に山積していた諸問題を、容赦なく処断していったという事であった
偲蓮が笑ったり機嫌が良いと緋蓮も機嫌が良く、逆に偲蓮が泣くだけで、酷い時には泣きそうになっただけで
緋蓮が激怒し、周囲へと当り散らし手が付けられなくなる様子から
偲蓮が江東の虎である緋蓮を手懐けていると皆が本気で思い込み、その噂が孫呉中に轟いたのだろうか?
巷では偲蓮の事を大陸版・水戸黄門ならぬ、偲が変じて”江東の獅子姫”と呼ばれる事となり
またこの時の大乱闘から、”前門の虎、後門の狼”の故事のモチーフともなったと囁かれるまでになったようである
※趙弼『評史』 にある「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む(表門で虎の侵入を防いでいるときに、裏門からは狼が侵入してくるの意味)」で
前後から虎と狼に挟み撃ちされては、勇者であってもたち打ちできないということ ※WIKI【出典】趙弼 『評史』より
「・・・そういえば『獅子は我が子を千尋の谷に落とす』なぁんて事も言ってたわよね~ 一刀!
でもぉ~ 偲蓮と片時も離れたくないし~♪ それは流石にないわね! うんうん!」
と笑顔を浮かべて偲蓮に頬擦りする”大母さま”雪蓮の心配は杞憂に終わった様であるが・・・
仮に偲蓮の名前が”獅”蓮や”試練”だったなら・・・ 一体どうなって事であろうか!?
一刀の雪蓮による生傷も、頬へのビンタ1発で済まなかった事が予想されるだけに
この世のモノとは思えない雪蓮の変身モードに、戦々恐々となる一刀の姿が見られたのかもしれない・・・
まぁ、今更言うに及ばないと思われるが、言葉はちゃんと一刀より教えてもらっていた緋蓮でありましたとさ・・・
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●『真・恋姫†無双 - 真月譚・魏志倭人伝 -』を執筆中
※本作品は【お気に入り登録者様限定】【きまぐれ更新】となっておりますので、ご注意を
人物設定などのサンプル、詳細を http://www.tinami.com/view/604916 にて用意致しております
上記を御参照になられ御納得された上で、右上部にありますお気に入り追加ボタンを押し、御登録のお手続きを完了してくださいませ
お手数をおかけ致しまして申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします<(_ _)>
■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン)
春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し
『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた
優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた
容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である
祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか
○張紘 子綱 真名は紅(コウ)
呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる
張昭と共に『江東の二張』と称される賢人
※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。
呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です
容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである
髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが
その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである
服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている
○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)
普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う
発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する
このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される
※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです
容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている
背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている
○張昭 子布 真名は王林(オウリン)
呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる
張紘と共に『江東の二張』と称される賢人
妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか
容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである
眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から
姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている
○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)
緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名
祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする
部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている
真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・
容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている
均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである
○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ)
荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると
知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる
以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま
呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている
容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女
(背丈は朱里や雛里と同じくらい) 真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます
○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族
槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人
部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす
容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ
胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている
○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)
弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人
『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが、一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で
徐々に頭角を現し、後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる
容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである
二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える
○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)
朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される
その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される
天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為、未熟であった一刀の補佐に転属させられる
初期には転属させられた事に不満であったが
一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に
後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している
容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである
服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・
と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)
○太史慈 子義 真名を桜
能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者 桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し
騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)
本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という
両者の良い処をとった万能型である
武器:弓 不惜身命
特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く
隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった
容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子
眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める
一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる
○高順
「陥陣営」の異名をもつ無口で実直、百戦錬磨の青年
以前は恋の副将であったのだが、恋の虎牢関撤退の折、霞との友誼、命を慮って副将の高順を霞に付けた
高順は恋の言いつけを堅く守り続け、以後昇進の話も全て断り、その生涯を通し霞の副将格に拘り続けた
○馬騰 寿成 真名を翡翠(ヒスイ)
緋蓮と因縁浅からぬ仲 それもその筈で過去に韓遂の乱で応援に駆けつけた呉公に一目惚れし
緋蓮から奪おうと迫り殺りあった経緯がある
この時、緋蓮は韓遂の傭兵だった華雄にも、何度と絡まれる因縁もオマケで洩れなくついて回ることとなるのだが・・・
正直な処、緋蓮としては馬騰との事が気がかりで、ムシャクシャした気持ちを華雄を散々に打ちのめして
気分を晴らしていた経緯もあったのだが・・・当の本人は、当時の気持ちをすっかり忘れてしまっているが
この事情を孫呉の皆が仮に知っていたのならば、きっと華雄に絡まれる緋蓮の事を自業自得と言いきったことだろう・・・
○孫紹 伯畿 真名を偲蓮(しれん
一刀と雪蓮の間に生まれた長女で、真名の由来は、心を強く持つ=折れない心という意味あいを持つ『偲』
”人”を”思”いやる心を常に持ち続けて欲しい、持つ大人へと成長して欲しいと2人が強く願い名付けられた
また、偲という漢字には、1に倦まず休まず努力すること、2に賢い、思慮深い、才知があるという意味もある
緋蓮、珊瑚、狼をお供に従え?呉中を旅した各地で、大陸版・水戸黄門ならぬ
”偲”が変じて”江東の獅子姫様”と呼ばれる
○青(アオ)
白蓮から譲り受けた青鹿毛の牝馬の名前
白蓮から譲られる前から非常に気位が高いので、一刀以外の騎乗を誰1人として認めない
他人が乗ろうとしたりすれば、容赦なく暴れ振り落とすし蹴飛ばす、手綱を引っ張ろうとも梃子でも動かない
食事ですら・・・一刀が用意したモノでないと、いつまで経っても食事をしようとすらしないほどの一刀好き
雪蓮とは馬と人という種族を超え、一刀を巡るライバル同士の関係にある模様
○狼(ラン)
珊瑚の相棒の狼 銀色の毛並みと狼と思えぬ大きな体躯であるが
子供が大好きでお腹を見せたり乗せたりする狼犬と化す
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【あとがき】
常連の読者の皆様、お初の皆様 こんばんは 雪月でございます
いつも大変お世話になっております
これで都合2回目ですね 予約システムによる文章の尻切れ・・・ 便利だと思っていたのに・・・
切れた場所が前回と同様、人物紹介とあらすじだったから良かったものの・・・
物語部分尻切れてたら・・・ 発狂モノデスヨ?
ホント勘弁してほしい 字数制限でもあるのでしょうか?
原因が判明するまで、当分予約システム使うの控える事とします(泣
そうした理由もあり、年末を控えて仕事が忙しい時期を迎えていますので
もしかしたら掲載時期が遅れちゃう事もあるかも・・・ その場合、その都度お知らせする事にしますね
次に出張から帰ってきた時には、お気に入り登録者数が900名を超えておりました 皆様、本当にありがとうございます<(_ _)>
今回もですが・・・900という記念すべき数字を見る事が叶いませんでした(泣
雪月タイミング悪すぎ・・・。・゚・(*ノД`*)・゚・。 いいんですけどね・・・ぐっす・・・
物語へとお話を移しますと、今回のお話いかがでございましたでしょうか?
話の中心となる時期は、ちょっと早いのですが第3章の時となります
緋蓮さんと初孫となります 一刀と雪蓮の娘にあたる子供との物語ですね
姓名を孫紹 字を伯畿 真名を偲蓮(しれん と名付けました
元々孫策さんの息子として孫紹さんがいらっしゃったようでして・・・姓名に関しましてはそのまま固定
字に関しましては不詳でした事もあり、雪月が自由につけさせて戴きました
孫策さんもそうですが、日本では太郎・次郎に当たります、大陸では”伯”という文字を使用し 例:”伯 ”符
畿を使った理由は、天皇陛下が住まれる都を指すことから戴きました次第です 例:近畿、畿内など
真名に関しては、名付けた理由は文章中にもカキコしましたので、ここでは割愛させて戴きますが
初期の真名は実は香蓮(カレンさんだったのです
ただ、香蓮(カレンさんという名前は、どこかの外史でお見かけしたような気がしたもので・・・
(厳密には一刀と雪蓮の娘の名前でなければ、使用しても差し障りがないとは思っておりますが・・・)
出来る限り重複しないようにと避けつつ、第2候補でありました偲蓮の方を選択いたしました
シレンという名前は男子の名前?らしく、重複の事を考えますと、娘さんの真名に使用するのは都合が良いと思いました次第
これからもその時々で、雪蓮や一刀との家族の団欒時、また養育係の緋蓮との絡みなどで出演する事と思いますので
今度とも偲蓮ちゃんをよろしくお願いいたします<(_ _)>
もうお分かりとは思いますが、今回は水戸黄●様を題材と致しました
時代劇を題材としましたので、他にも多くの時代劇がある訳でして・・・
またどこかで使わせて戴く作品が出来るやもしれませんが(笑
緋蓮さんがコラボ?したら・・・こんな感じの作品に仕上がりました次第です(笑
最後に次回更新につきまして、拠点候補ヒロイン人気投票第3位となりました瑠璃のお話となります
現在制作中でございまして、来週までお待たせしてしまう事となりますが、お楽しみにお待ちくださいませ~
これからも皆様の忌憚のない御意見・御感想を、制作の糧にすべくコメント等でお聞かせ下さいませ
それでは次回更新まで(*´∇`)ノシ マタネ~♪
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常連の皆様&お初の方もこんばんは いつもお世話になっております
この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
※猶、一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を! ※オリキャラ紹介は本文下記参照のこと
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