No.634012

魔法少女リリカルなのはTime Leapなの? 〜過去に戻った高町なのは〜 【A's】 第八十話

新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。

任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。

なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!

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2013-11-04 02:05:15 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1687   閲覧ユーザー数:1626

Fate:Side

 

 

 

「くそっ、一体なんなんだよあれはっ!!」

 

 なのはから次々と現れる触手の猛攻により、なのはに近づくことさえできないでいた。

 魔法で触手を切っても次々に現れてくるために霧がなく、一度なのはに向けてプラズマスマッシャーを私は放ったけども、触手ですべて防いでなのはには届かなかった。

 とにかく、このままでは時間の浪費にしかならず、こちらの魔力が尽きていくだけだと思い、一度なのはから距離を大きくとり、クロノとシグナム達と共に集まっていた。

 

「このままでは、時間の無駄にするだけ。何とかしなければ、この世界がどうなるか」

「あれが闇の書の闇だというのならば、この世界を滅ぼそうとするかもしれないから?」

「フェイトの言うとおりだ。結界を展開しているからまだ良いが、解除されたとしたら大変なことになる」

「結界については当分大丈夫だな。シャマルが結界を増強してもらっているところだ」

「面目ない、敵対していたとはいえ、まさか協力するためになるとは」

 

 クロノは突然の事態に協力してもらったことに、感謝していた。

 

「元々は我々が起こしたようなものだ。我々が起こしてしまったものを止めるのは当たり前だろう?」

「ザフィーラの言うとおりだ。なのはも……はやてのためだと思って、協力してくれたというのにっ!!」

 

 ヴィータは右手を強く握りしめ、なのはがこのようになってしまったことを悔やんでいた。はやてというのがシグナム達の主だろうと思いつつ、とにかく今はこの状況をどうにかするかを考えた。

 そこで私はシグナムの方へと向いて話しかけようとしたが、シグナムは手に持っている短剣を見つめていた。先ほどからシグナムは一言も話してなく、その短剣を見ていることが結構あったため、私はシグナムにどうしたのかと話しかけた。

 

「シグナム? さっきから短剣を見てどうしたの?」

「ん? あぁ、さきほどなのはに闇の書の苦しめていた原因が移ったと言っただろ?」

「うん。それはさっき聞いたけど……」

「もしかしたら、この短剣はなのはに効くのではないかと思ってな。闇の書に向けて作られていたが、発動するという可能性はあるかもしれない」

「それじゃあ、それをなのはにぶっ刺せば、なのははもとに戻るかもしれないのか!!?」

「成功するかどうかは分からないが、ヴィータが言った可能性があるため、試してみる価値はあるかもな」

 

 なのはが最後に残した予備の短剣――こうなるとはなのはも予測していなかっただろうが、思わぬ事態が起きたためになのはは予備として用意してくれたのだろう。先を見越してくれたなのはには感謝するしかなかった。

 そして、そのなのはのためにも、なのはを救わなければならない。それが、私たちの目標だった。

 

「よし、何としてでもその短剣をなのはに刺すぞ!!」

「でもクロノ、このまま突っ込んでもなのはには近づけないことには変わりがないよ。何とかして策を練らないと――」

『それについては問題ありません』

「っ!? 一体誰!?」

 

 目的は決まったけども、どうやってなのはに近づくかという問題は決まっていない。そう思って私はどういう作戦を練るかを話し合おうと思ったが、突然聞き覚えのない声が聞こえてきた。

 それは私だけではなく、シグナム達も突然の声に驚いていた。全員、一体どこにいるのかと探し回るが、どこにいるのかわからなかった。

 

『私はここに居ますよ』

「まさか、この声はっ!!」

 

 シグナムはこの声が誰なのか気づき、手に持っていた夜天の書が突然と輝き始めた。

 そしてそこから一人の女性が現れ、そのまま夜天の書を持っていた。髪は銀髪で、漆黒の騎士甲冑に、背中からは四枚の漆黒の翼が生えていた。

 

「ど、どうして管制人格(マスタープログラム)のあんたがっ!?」

「闇の書――夜天の書の徴収は終えており、既に現れることは可能でありました。元の夜天の書として正常であり、私が現れても問題ないと考え、姿を現すことにしました」

「ってことは、本当に闇の書では無くなったのだな!!」

 

 ヴィータの言葉に対して、管制人格(マスタープログラム)である彼女は頷き、ヴィータは場違いなのに思わず笑みがこぼれていた。はやてという人が本当に無事だと知り、安堵してしまったのだろう。

 しかし、今は笑みを浮かべている状態ではないという事はヴィータも分かっているはずだ。そのため、すぐにこぼれた笑みを抑え込み、真面目な顔へと戻していた。

 

「しかし、すべてが終わったわけではないという事は分かっているはずです。そこで私から一つの提案なのですが」

「提案? 一体何を――」

 

 クロノが何をしようとしているのかと聞こうとするが、管制人格(マスタープログラム)は近くの建物の屋上に魔方陣を出した。

 そこから一人の少女が入院服を着ており、その姿をみたヴィータ、シグナム、ザフィーラの三人は驚いていた。

 

「な、なぜ主はやてをここにっ!?」

「提案というのは、主はやてにも戦わせてもらえないかという事です。そちらの二人は大丈夫でしょうが、ヴォルケンリッターが拒否するかと思いましたので、先に連れてきましたが」

「あたりまえだっ!! はやては、今回の件に関しては関係ない!!」

「ヴィータの言うとおりだ。どうして、主はやてに戦わせようとする!!」

「ヴィータにシグナム。今すぐ敵意を向けるのをやめろ」

 

 ヴィータとシグナムは管制人格(マスタープログラム)がシグナム達の主であるはやてをここに連れてきたことに対して、敵意を抱いたが、すぐにザフィーラが二人を止めに入った。

 まさかザフィーラが止めに入るとは思っていなかったのか、ヴィータとシグナムは驚きながらもザフィーラに反論した。

 

「どうして止めるんだよザフィーラ!! こいつは、はやてを巻き込もうとしているんだぞ!!」

「既に主をここに呼んでいる時点ですでに遅い。私たちの事を見越してこのようにしたのだろう?」

「ちっ」

 

 思わず舌打ちをしたヴィータではあったが、確かにシグナム達の主であるはやてを連れて来た時点ですでに遅かった。

 はやてが居るところからもなのはの姿が見え、それがとんでもない状態だという事はすぐに分かるくらいだった。なのはとはやてはすでに知り合っていたとは思うし、この時点で安全なところへと言われても夜天の書の主であるはやては魔法を使えることは確かなため、なのはがあのようになっているのだから戦うだろうというだろう。結局は、管制人格(マスタープログラム)が考えた提案の通りに動くことだった。

 

「とにかく、主はやてのところへと行こう。何が何だか分かっていないはずだ」

「シグナムの言うとおりだね。とにかく行こう」

 

 入院服からして、はやては病室から直接転移されたのだろうと思い、私たちははやて達のところへと向かった。

 はやてもこちらの姿が見えたようで、そこ中にヴィータ、シグナム、ザフィーラの三人が居たため、はやては私たちが近づいたときに何があったのかと三人に聞く。

 

「なぁ、これは一体なんなんや? どうして、なのはちゃんはあんなことに?」

「それは私から説明します。我が主」

「……あんたは?」

「闇の書――夜天の書の管制人格(マスタープログラム)です。何度かお会いしたとは思いますけど、記憶にないと思いますので」

「そうなんか。それで、これは一体どういう状況なんや?」

 

 それから、管制人格(マスタープログラム)は今現在起きていることを説明した。

 闇の書というのは元々プログラムの改ざんによって壊れており、それを直すためになのはがずっと頑張っていたこと。そして、闇の書を改善したプログラムを入れようとしたときに、その壊れたプログラムがすべてなのはの中に取り込まれたという事を。

 

「そんな……それじゃあなのはちゃんは私の為に犠牲になったものやないか!! どうして、こんなことに……」

「…………」

 

 はやては思わず泣き出してしまい、シグナム達ははやての言葉に対して何も言い返せなかった。結果だけを見れば確かにはやてが助かり、その代りになのはが今大変なことになっている。

 しかし、管制人格(マスタープログラム)ははやてへと近づき、言葉をかけた。

 

「ですが、まだなのはを救えないというわけではありません」

「……ど、どういうこと?」

「シグナムが持っている短剣。あれは闇の書に何かが起こった時の為に用意していたもので、刺せば闇の書の根源を消すことができる様になっていました」

「……ようするに、そのシグナムが持っている短剣をなのはちゃんに刺せば、なのはちゃんは何とかなるかもしれへんという事やな?」

「はい。人間であるため、どうなるかはわかりませんが、試してみる価値はあるかと」

 

 それを聞いたはやては、まだなのはを救えると思ったのか、泣き止んで何とか立ち上がろうとした。

 

「主はやて!! まだ立ち上がるのは――」

「ええんや。これくらいのこと、今のなのはちゃんに比べたら全然平気な事や!!」

「はやて……」

「それで、私はどうすれば」

「まずは、夜天の書を起動させてください」

 

 管制人格(マスタープログラム)ははやてに夜天の書を持たせ、はやては夜天の書を起動させた。

 管制人格(マスタープログラム)に似た格好となり、背中には六枚の羽根、そして手には剣十字の杖を手に持っていた。

 その騎士甲冑を着た自分の姿を見て、はやては自分の体を横に揺らしたりしていた。

 

「これが、魔法を使うときの格好なのか……」

「感心しているのは良いですが、余り時間がありません。そろそろここも気づかれる可能性が――」

「その辺は分かっておる。なのはちゃんを救うためにも、何としてでも助けるんや!!」

「魔法について分からない点があれば、私に聞いてください。私は、主はやてと共にいますから」

「ありがとうな……そういえば名前は?」

「私に名前はまだありません。管制人格(マスタープログラム)と呼んでもらえば――」

「そんな堅苦しい名前を一々言うとるのは面倒やな……祝福の風、リインフォースというのはどうや?」

「っ!? はい、主はやて!!」

 

 名前を与えてくれるとは思っていなかったのか、管制人格(マスタープログラム)――リインフォースは喜んでいた。

 そしてはやてはなのはの方へと体を向け、私たちもそちらへと向けた。

 

「さて、いくでなのはちゃん。なのはちゃんを救うために痛い思いするかもしれへんけど、ちょっと我慢してな。そんじゃあ、みんないくで!!」

 

 そのはやての言葉を皮切りに、私を含めそれぞれがなのはを元に戻すために動き出したのだった――

 

 

 

Side:End


 
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