No.633277

真・恋姫†夢想~世界樹の史~第一章・忘れ草編

alcaponさん

※この物語は特に蜀√が本筋というわけではありません。
※筆者は三国志好きのため、姫武将以外もオリジナルで登場します。
※第一章最終話です。

2013-11-01 22:49:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4015   閲覧ユーザー数:2926

第八廻 お日様とお月様

 

 

Another view 董卓

 

私は、誰かに手を引かれながら歩きます。

その誰かはとても暖かく、とても優しい人。

 

私の胸を焦がし、柔らかく包んでくれるお日様のような貴方。

焦がされた胸は締め付けられるようで、とても幸せなのにちょっぴり切なく疼きます。

 

草原の先まで手を引くと、急に手が離されました。

その誰かは私に告げます。

 

「・・・またね。」と。

消えゆく貴方を懸命に追いかけ、靴が脱げても膝をすりむいても、涙で目の前が霞んでも追いかけます。

どんな怪我よりも貴方を失う悲しみのほうが耐えがたいから。

 

私は追いかけます。

「ご主人様!」と。

 

 

Another view end

 

 

 

 

賈詡「・・・え!・・・て!月起きて!」

 

董卓「・・・?おはよう詠ちゃん。」

 

賈詡「月、大丈夫?嫌な夢でも見たの?うなされてたけど・・・。」

 

董卓「ううん、大丈夫だよ詠ちゃん。

 

   最近ね、同じ夢を毎日見るの。」

 

賈詡「え?」

 

その時、バタンと勢い良くとが開き、小柄な少女が息を切らせて入ってきた。

 

陳宮「た、大変ですぞ!汜水関を突破されたのです!」

 

賈詡「こんな早く?!華雄と霞は?!」

 

陳宮「霞殿は虎牢関に撤退!華雄殿は・・・消息が掴めないのです・・・。」

 

賈詡「そんな・・・。」

 

董卓「詠ちゃん・・・。」

 

賈詡「大丈夫よ月!

   絶対、絶対あなたは守ってみせるわ!」

 

董卓「・・・詠ちゃん。」

 

 

 

 

 

~反董卓連合軍・曹操陣営~

 

人払いされた天幕には華琳と桂花が居た。

 

桂花「華琳様、宜しいのですか?」

 

華琳「あら、何がかしら?」

 

桂花「北郷のことです!

   あの種馬、少し勝手に動き過ぎでは・・・。」

 

華琳「あぁ、その事ね。問題ないのではなくて?」

 

桂花「でも華琳様!」

 

華琳「ふふっ、良いのよ桂花。

   こんな茶番劇はああいうバカを好きに躍らせるのが丁度いいの。」

 

桂花「・・・。」

 

華琳「さ、軍議の時間よ。準備なさい。」

 

桂花「は、はい!」

 

 

 

 

~反董卓連合軍・本陣~

 

袁紹「さて、汜水関はこの私、こ・の!わ・た・く・し!

   袁本初率いる連合がすんなり落としましたわね!お~っほっほっほっほ!」

 

公孫瓚「いや、麗羽なにもしてないじゃん・・・。」

 

袁紹「あら?白蓮さん、あなた連合に居ましたの?」

 

公孫瓚「居たよ!!最初から居ただろ!」

 

袁紹「気付きませんでしたわ。」

 

公孫瓚「orz」

 

袁術「華雄が来るのじゃ・・・ガクガクブルブル・・・」

 

華琳「さて、話を進めて良いかしら?」

 

袁紹「あら、何かしら?『部下の』華琳さん?」

 

華琳「・・・まぁいいわ。

   次の標的は虎牢関になるわけだけど、先鋒は誰が良いかしら?」

 

次こそは手柄をと考える諸侯たちは一斉に顔をあげる。

 

袁紹「私が行きますわ!」

 

顔良「麗羽様?!」

 

袁紹「華琳さん程度で落とせた董卓軍の関ですもの?私が行けばすんなり落とせますわ!」

 

文醜「おっしゃあ!待ってました!!」

 

顔良「ちょっと文ちゃんまで!」

 

チラリ、と華琳は一刀に目を向けた。

 

一刀「うわ~!助かるな~!

   じゃあ袁紹さんで良いんじゃないかな?いや、袁紹さんが行ってくれたらそれはもう『あらほらさっさ』と落とせるよ!」

 

袁紹「あら!あらあらあら!

   貴方、たしか北郷でしたわよね?ただの下男かと思ってましたけど・・・いい目を持ってますのね!

 

   華琳さんの所なんて抜けて、私が飼い主になってあげますわよ?///」

 

一刀「いぎっ?!」

 

袁紹「いき??」

 

一刀「いや、何でもない何でもない!(誰か!誰か気付いてくれ!俺は今、左足を風に右足を華琳に踏まれている!!)

 

   じゃ、じゃあ袁紹さんに虎牢関攻めは一任するって方向で良いかな?

   孔伷さんと劉岱さんもそれぞれ左翼・右翼への布陣をお願いします。」

 

袁紹「さぁ、では準備しますわよ!解散!」

 

 

それぞれ陣営に引き返すが、多種多様な色の目が一刀に降り注いでいた。

ある者は感謝の色を、ある者は疑惑の目を、ある者は殺意を込めて・・・。

 

 

 

 

~反董卓連合軍・曹操陣営~

 

そこには曹操軍のほか、劉備軍・孫策軍・公孫瓚軍・馬超軍の数名が集まっていた。

 

一刀「お集まり頂いて感謝します。さっそく話を…」

周喩「その前に我らとの約束を反故にした理由を聞こうか。

   いつ雪蓮が飛びかかるかわからんからな。」

孫策「そうね・・・。」

 

鋭い眼光で一刀を射抜く孫策。

 

一刀「ん?反故にした覚えはないけど?」

周喩「ふざけるな!虎牢関を袁紹に譲ると言っていただろう!」

 

一刀「あ~、あれね。」

 

にこりと笑う一刀。

 

周喩「何がおかしい!」

一刀「だって、どうせ落とせないもの。」

周喩「戦に絶対は」

一刀「絶対だよ。」

 

孫策「どういう事?」

 

一刀「あそこには れ…いや、呂布が居る。

   呂布は虎牢関を開けて一当してくるだろうけど・・・それで壊走するんじゃないかな。」

孫策「呂布ってそんなに強いの?」

一刀「あぁ、ここにいる武官全員でかかったら勝てるかもしれないけど、半分以上は失うものと考えていいよ。」

 

周喩「なんだと?!」

孫策「戦ってみt」

周喩「駄目にきまっているだろう!」

孫策「ぶ~ぶ~。」

 

馬超「なぁ、とりあえずさ、アタシらをここに呼んだ理由を聞かせてくれよ。」

 

一刀「あ、そうだったそうだった!」

公孫瓚「また・・・忘れられてたのか・・・ははっ、はははは・・・」

一刀「忘れてないよ?!」

 

華琳「貴方達は次の虎牢関攻めで・・・失礼、麗羽が負けた後の虎牢関攻めでの作戦に参加してもらうわ。」

風「それでは~、説明するのですよ~。

 

  まずは左翼に華琳様、右翼に劉備さん・公孫瓚さん・馬超さんが布陣してください~。

  お兄さんの隊で門は破るので、出てきた呂布さんか張遼さんを右翼左翼で片方ずつ受け止めます~。」

 

周喩「虎牢関の門をたった一隊でどう破るのだ?」

風「それは見てのお楽しみなのですよ~。

  あ、大事なことなのですが~、呂布さんたちを受け止めるとき包囲するのではなく受け流す感じでお願いします~。

  そうしないと負けちゃいますから~。

  あとは孫策さんが機を見て虎牢関に攻め入ってくれれば完了なのです~。」

 

馬超「なんだか簡単に言ってくれるなぁ。」

 

公孫瓚「作戦の実行はいつになるんだ?」

 

一刀「袁紹軍が壊走して、呂布達が虎牢関に戻った直後にすぐだから予め気取られないように準備しておいてね。」

 

 

 

Another view 袁紹

 

何が起こっておりますの?

私の前線は三万は居たはずですわ。

 

それが、消えた?

いえ、そんなことは有り得ませんわ!

そんなことがある訳・・・!

 

顔良「麗羽様!は、早くお逃げください!」

 

そ、そうですわ!逃げなくては!

 

麗羽「て、撤退!撤退しますわよ!!」

 

文醜「あ、あらほらっさっさーーー!!!」

 

何故ですの!何故ですの?!

董卓軍は弱いんじゃありませんの?!

 

 

Another view end

 

 

 

 

桂樹「ご主人様!袁紹軍の撤退と董卓軍の入城を確認!イケますよ~~~!!」

 

一刀「ありがとう!

   それじゃあ、作戦開始!王双、銅鑼を!」

 

王双「はっ!!」

 

三度打ち鳴らす銅鑼の音を合図に、各諸侯は前進を開始。

 

張遼「恋!後続が来よったで!はよ隊の再編せな!」

 

呂布「・・・コクっ」

 

兵士「ちょ、張遼様!!」

 

張遼「なんや!今忙しいんや後にせい!」

 

兵士「そ、それが・・・」

 

張遼「?」

 

兵士「も、門前に、龍が現れました!!」

 

張遼「・・・は?」

 

呂布「・・・??」

 

城壁へ駆け上がり、門前を見渡すとそこには曹・孫・劉・馬・公孫の旗印が布陣され、

その最前線には黒い塊が虎牢関へ向け迫ってきていた。

 

その塊の中には足並みをそろえ行軍する北郷隊の面々が居た。

 

凪「隊長!虎牢関が目前に迫ってきました!」

 

一刀「ありがとう。

   真桜、例のものは?」

 

真桜「いつでもブチかませるで!」

 

沙和「それにしても凄いの~!まるでお城の中にいるみたいなの~!」

 

一刀「あははっ、ただ盾で全体を覆ってるだけだけどね。

   北郷隊の盾は全員がくっつけられるようになってるんだ。」

 

真桜「設計大変やったんやで~。」

 

一刀「ありがとう真桜。」なでなで

 

真桜「ぅ・・・///」

凪「(いいな…)」沙和「(ずるいの~…)」

 

真桜「感謝してくれるんやったら~、お・返・し、期待してるで~♪」

 

一刀「もちろん、できる限りのことで良ければ。」

 

真桜「よっしゃ!約束やで~!(来た来た来た~!!今夜は隊長と・・・///逃さへんよ~!///)」

 

ザクッザクッザク

 

沙和「け、桂樹くん・・・何で藁の人形に釘さしてるの~?」

 

桂樹「…刺す刺す刺す刺す刺す刺す…」

沙和「こ、怖いの~!」

 

 

 

 

張遼「な、なんやあの黒い塊は!」

 

陳宮「わけがわからないのです!」

 

呂布「…」

 

張遼「ん?恋、どないした?」

 

呂布「…フルフル」

 

張遼「何にしても、まずは部隊を整えてからや!

   いきなり門が破られるなんてことは無いやろ!」

 

陳宮「謎の塊が門に取り付きましたぞ!」

 

兵士「…ん?すぐに離れていっています!」

 

張遼「何をする気や?」

 

ドゴーーーン!

 

張遼「な、何や?!」

呂布「?!」

 

兵士「も、門が…消し飛びました!!」

 

張遼「な、何やて?!

   しゃあない!流れこんでくる前に出るで!」

 

呂布「…こくっ」

 

張遼「恋!」

 

呂布「??」

 

張遼「こうなりゃ撤退はもう無理や!

   月のとこにはもう帰れん!最後と思って暴れるで!」

 

呂布「…最後じゃない。

   生きてまた会う。」

 

張遼「恋…。

   約束や!」

 

呂布「…こくっ」

 

 

 

 

甘寧「雪蓮様!虎牢関の門が破られました!敵が出てきます!」

 

孫策「そう、旗印は?」

 

甘寧「紺碧の張旗に真紅の呂旗です!右翼、左翼に当たるようです!」

 

周喩「本当にたった一隊で門を破るとは…。

   あの隊は恐ろしいな。」

 

孫策「そうね~。さっすが一刀♪」

 

周喩「ずいぶんと嬉しそうね?」

 

孫策「だって~、これで約束通り虎牢関は手に入りそうだし。

   それに…彼、もっと欲しくなっちゃった♪」

 

周喩「やれやれ。」

 

 

 

 

張飛「あ、愛紗~!!敵がこっちに来るのだ~!」

 

関羽「旗印は?!」

 

張飛「呂って書いてあるのだ!!」

 

劉備「?!」

諸葛亮「はわわっ!」

龐統「あわわっ!」

 

張飛「でも変なのだ!旗しか見当たらないのだ!」

 

趙雲「…どういう事だ?」

 

 

 

張遼「だ~っ!!

   恋!何でお前までこっちに来とんねん!!」

 

呂布「??」

 

張遼「??じゃないやろ!!

   ここは普通別れて突破するのが常識やろ!!」

 

呂布「…兵にはそう言った。」

 

張遼「それで何でお前がこっちに来とんねん!」

 

呂布「あそこ、お日様の匂いがする。」

 

張遼「はぁ?!」

 

呂布「恋の大好きな匂い。忘れてた匂い、する。」

 

張遼「忘れてたって何やねん?」

 

呂布「??」

 

張遼「あ~もうえぇわ!

   ウチラで右翼に突っ込むで!!」

 

呂布「こくっ!」

 

 

 

 

その頃、呂布隊の面々…

 

兵士A「呂布様に続け~~!!!」

兵士B「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

兵士C「劉備や馬超が何するものぞおおおおおおおおおおおっ!!」

兵士D「…で、呂布様は…どこ?」

 

ピタッ

 

 

趙雲「ん?呂布隊の動きが止まったようだが…?」

公孫瓚「…私…私は…?ねぇ、私はちゃんとここに居るよね?」

劉備「白蓮ちゃん…。」

 

関羽「敵は何をしておるのだ?

   随分キョロキョロしているようだが…。」

 

 

兵士A「え、あれ?さっき確かに左翼に突っ込んでって言われたよな?」

兵士B「あぁ、門を出るまでは一緒に居た気がするが…。」

兵士C「突っ込んだらどうするんだっけ?」

兵士D「陳宮様がおっしゃるには、一当したら逃げ延びろと。」

兵士E「で、その陳宮様は?」

 

兵士「「・・・」」

 

兵士「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」

 

 

関羽「ビクッ?!な、なんだ?!」

馬超「あ、あいつら…みんな泣きながら突っ込んできてないか!?」

 

 

兵士「「我らにどうしろとおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」

兵士A「とりあえず続け~~!!!」

兵士B「うおおおおおおおおおおおおおおおん!!」

兵士C「劉備様や馬超様ごめんなさああああああああああああああああああいっ!!」

兵士D「我らは呂布様に忘れられたのか?」

 

ピタッ

 

 

趙雲「また止まったな。」

馬岱「も~!何がしたいのよあいつらは!」

 

 

兵士「「「可愛いからまあいっかあああああああああああああああああああああああ!!!」」」

 

張飛「また突っ込んできたのだ?!」

 

趙雲「人間あそこまで朗らかに泣けるものなのだな…。」

 

公孫瓚「私も居るぞおおおおおおおおおおおおお!!」

 

兵士「「ぎょえーーーーーっ?!」」

 

公孫瓚「私が…この私が!公孫瓚が!!呂布隊を包囲したぞーーーーーーー!!」

 

趙雲「ぱ、白蓮殿…。」

 

 

 

 

 

~曹操陣営~

 

 

秋蘭「華琳様!!」

華琳「どうしたの秋蘭。」

秋蘭「張遼隊に混ざり、呂布もこちらに突っ込んできます!!」

華琳「…なんですって?」

秋蘭「現在撤退中の北郷隊にぶつかる模様!」

華琳「すぐに春蘭隊を救援に回しなさい!!

   秋蘭、季衣、流琉!貴方達も救援に行きなさい!」

秋蘭「姉者は既に向かっています!

   華琳様の護衛はどのように?」

華琳「自分の身は自分で守るわ!

   早く行きなさい!取り返しの付かないことになるわよ!」

秋蘭「はっ!!」

風「お兄さん…。」

桂花「…だ、大丈夫よ風。あのゴキブリがすぐに死ぬもんですか。」

風「…。」

 

 

 

 

 

目の前には考えうる中でも最も絶望的な状況だった。

 

 

一刀「嘘だろ?!」

王双「た、隊長!!ここは我らで凌ぎます!!隊長はすぐに…」

一刀「王双。北郷隊の掟を忘れたか?」

王双「し、しかし!!」

一刀「眼前には紺碧の張旗と天下無双の呂布奉先。

   よっしゃ!腹くくろうぜ皆!!あっはっは!!」

凪「どうするのです?」

一刀「とりあえず、完全に盾で周りを覆う黒城の陣!守りを固めて一撃を受け止める!」

真桜「そ、その後はどないすんねん。」

一刀「…とりあえず外の空気を吸いに行く!」

真桜「死ぬやろそれ!」

沙和「真桜ちゃん、さっきの『ばくだん』は?」

真桜「ありゃ一発だけや。もうあらへん。」

王双「陣形整いました!」

一刀「おう!

   衝撃くるぞ!みんな踏ん張れ!!」

 

盾を地面に突き刺し、陣を固める。

 

ドーーーーン!!

 

 

張遼「固っ!?何やコレ壁?!」

呂布「…かたい。」

兵士「張遼将軍!どうしましょうか!」

張遼「とりあえず取り囲んどき!

   もしも~し!中に誰もおらんのか~?」

一刀「誰も居ないよ~!」

凪「ちょっ?!」

張遼「そうか~、おらんか~。

 

   …てアホか!!もう取り囲んどんねんから出てきいや!」

一刀「しょうがないなぁ。」

桂樹「だ、ダメですってばご主人様!!あ、ちょっと!!」

 

一刀「ふ~、やっぱり外の空気はウマい。」

張遼「…あんたがこの隊の隊長か?」

一刀「そうだよ。」

凪「ち、違います!!私です!私が隊長です!」

一刀「ありゃりゃ、凪まで出てきちゃったの?」

凪「わ、私は貴方の側を離れません!!(うわっうわっ!!言っちゃった///)」

張遼「いや、もうその発言からしてこの兄さんが隊長やろ…。」

凪「はっ?!」

 

張遼「はっはっはっは!!何やあんたらおもろいなぁ!

   とりあえず、あんたらを人質にして包囲を抜けさせてもらうで。」

一刀「まぁ、そうなるよね。」

張遼「おっ、物分かりがえぇやん。

   ほんまはこないな事しとう無いんやけど、大目に見てや。」

一刀「それなら、うちに来れば良いんじゃない?」

張遼「アホ抜かし!月…うちらの主は今も戦ってんねん。ウチだけ寝返れるかいな。」

一刀「ん~、悪い話じゃないと思うんだけど…。」

 

北郷隊兵士A「な、なぁ」

北郷隊兵士B「おう?」

北郷隊兵士A「俺には北郷様が包囲されているようにみえるんだが…」

北郷隊兵士B「包囲されてるな。」

北郷隊兵士A「包囲されてる将が包囲してる将を勧誘してる…あれ?なんか頭が…」

北郷隊兵士B「考えすぎるなよ新兵。それが隊長だ。」

北郷隊兵士A「オォウ…。」

 

張遼「何を言われようと、ウチは月に槍は向けへん。絶対や。」

一刀「俺も向けないよ。絶対に。」

張遼「はぁ?!ここまで攻め入っといて何ぬかしとんねんアホ!」

一刀「俺達は袁紹の茶番劇で好き勝手に演じてるだけ。

   董卓が本当はすごく優しい子なのも、賈詡が素直じゃなくてもとてもいい子なのも知ってる。」

張遼「あ、あんたに何がわかんねん!!」

一刀「…わかるよ。」

張遼「な、何やて?」

一刀「呂布さん。」

呂布「??」

一刀「セキト達は元気かい?」

呂布「…セキト、知ってるの?」

一刀「あぁ、知ってる。約束するよ、洛陽にいる君の家族も、董卓も賈詡も。全員救い出すって。」

張遼「…おもろいやないの。

   ウチらがここで兄さんを殺すかもしれんよ?」

一刀「その時は…まぁ何とかして君に勝つ!」

張遼「くっ…くっくっく…あっはっはっはっは!最高やで兄さん!

   ほんなら一騎打ちで勝負や!ウチが勝ったらウチらは洛陽まで引かせてもらうで!あんたが勝ったら降ったる!」

一刀「マジで?!」

張遼「その代わり…約束は、守ってや。」

一刀「…おう!」

 

凪「隊長、大丈夫なのですか?」

一刀「あれ、俺負けると思われてる?」

凪「相手はあの張遼です!もしものことがあったら…」

一刀「さっきの。」

凪「?」

一刀「さっきの言葉、すごく嬉しかったよ。俺も君の側に居たいからね、負けるわけにはいかないさ。」

凪「隊長…。」

 

 

 

 

張遼「綺麗な武器やな~、そんなんで戦えるん?」

一刀「大丈夫大丈夫。

   さ、始めようか。」

張遼「えぇ度胸や!」

 

開幕一閃。張遼の連撃をすんでのところで躱す一刀。

 

張遼「なかなかやるやん!でも、逃げてばかりじゃしゃあないで!」

 

一刀「うおっ危なっ?!(でも、春蘭との修業の成果かな?体が軽い。それにもっともっと動けそうだ!)」

 

張遼「そらそらそら!!攻撃してこんかい!!」

 

一刀「春蘭流… 三 段 突 き !!」

 

張遼「ぐっ?!

   …なんや、思ったより強いやん。」

 

一刀「俺の勝ち、かな?」

 

張遼「まだやアホ!ウチはこれから」

呂布「霞、負け。」

張遼「なんやて?!」

呂布「武器、折れてる。」

張遼「な、う、ウソやろ?(たった一撃やぞ?恋にさえ折られたことあらへんのに…。)」

 

呂布「恋も。」

一刀「はい?」

呂布「恋もやる。」

一刀「いやいやいやいやいやいやいやいや!!無理でしょ!!君は無理だよ!?」

呂布「…ショボン」

 

張遼隊兵士A「おい、あの北郷とやら…呂布様を泣かせたぞ?」

張遼隊兵士B「許せんな…。」

張遼隊兵士C「落ち込んだ呂布様も可愛いがこれは許せん。」

張遼隊兵士D「もう射る?射っちゃう?片目くらい軽く持ってっちゃう?」

陳宮「それが良いのです。許可しますぞ。」

張遼隊兵士「「…」」

陳宮「何を見ているのですか!」

張遼隊兵士「「(この人…どこに居たんだろう。てか呂布隊は大丈夫なのか?!)」」

 

一刀「わかった!やる!やるから!な?」

呂布「…(パアア」

一刀「ぐっ…(か、可愛い!)」

 

王双「け、桂樹様?あの、私の背中で何を?」

桂樹「動かないでよ…藁人形が…ずれちゃうじゃない。」

王双「お戯れを?!」

 

一刀「よっしゃ来いやあああああああ!!!」

 

張遼隊兵士「「「あの人男だ…泣いてるけど。」」」

 

呂布「行く。」

 

手加減なしの渾身の一撃が一刀を襲う。言葉通り死に物狂いで盾を構えた。

 

一刀「~~~~~~っ!!」

 

し~ん

 

一刀「あれ?なんか、あれ?」

 

呂布「止められた…?」

 

一刀「え、止めたの?ていうか何か俺の周りがクレーターになってるんだけど…。

   (荘周ちゃん、お元気ですか?貴方のくれた盾。これは一刻も早く宇宙へ飛ばしましょう。

    これはもうラグ○ロクです。聖なるバリア的な鏡フォースも真っ青です。)」

 

張遼「恋、あんたのも折れてるで。」

呂布「…恋、負けた?」

陳宮「そんな、有り得ませんぞ!」

 

一刀「凪、どうしよう。」

凪「??何がですか?」

一刀「勝っちゃった。」

凪「おめでとうございます。(さすが隊長!だ、抱きついたらダメかな…///はっ!わ、わたしはなんて事を?!)」

 

張遼「しゃあないか。

   約束は守ってくれるんやな?」

一刀「もちろん。」

呂布「恋の真名、恋。」

一刀「え、いいのかい?」

呂布「…恋に勝った。セキトたちを助けてくれるいい人。」

一刀「ありがとう、恋。」なでなで

恋「///」

 

 

王双「桂樹様…そ、それは釘というよりもむしろ…杭いいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

桂樹「ふふっ…ふふふふふ…。」

沙和「あ、あわわわわわ…。」

真桜「な、なんや、王双のおっちゃんが元気そうで良かったわ~。」

沙和「げ、元気というか、切羽詰まってるの…。」

 

恋「??

   くんくん。」

一刀「あ、ごめん、汗臭かった?」

恋「…フルフル

   お日様の匂い、見つけた。」

一刀「お日様の匂い?」

恋「…探してた。探さなきゃいけない匂い。見つけた。」

一刀「恋…。」

恋「ご主人様、見つけた。」

一刀「恋…。(ありがとう…!)」なでなで

恋「///」

 

 

 

一方その頃、急ぐ華琳本隊にて

 

華琳「急ぎなさい!遅れたものは置いて行くわよ!」

桂花「華琳様!秋蘭達が戻ってきました!」

華琳「なんですって?!一刀は?!」

桂花「一緒じゃないみたいです…。」

風「…っ。」

華琳「…そう、ここへ呼びなさい。」

桂花「…はっ。」

 

秋蘭「お呼びでしょうか華琳様。」

華琳「えぇ、一刀はどう…、どうしたの皆?」

秋蘭「それが…いえ、見ていただいて方が早いでしょう。」

華琳「それは、春蘭が泣きそうなのと流琉が拗ねているのと、貴方が不機嫌なのと関係があるのかしら?」

秋蘭「はい…♯」

 

 

 

 

霞「な~んや兄ちゃん、よう見たら男前やん!恋ばっかりやのうてウチも撫でてや~!」

一刀「うわっと!こ、こら霞あんまり引っ付くと!」

霞「えぇやんえぇやん!男に真名預けたん初めてなんやで~!」

恋「すりすり…///」

 

 

張遼隊兵士A「あのお二人を手懐けてしまわれた…。」

北郷隊兵士A「よう。」

張遼隊兵士A「お、おぉ、そちらは北郷殿の隊の?」

北郷隊兵士A「戸惑っているようだから一言言っておくとな?」

張遼隊兵士A「あぁ。」

北郷隊兵士A「あれが北郷様だ。」

張遼隊兵士A「な、なんと…!(兵士達の練度も凄まじい!!)

       ?!な、何だ?!こ、この負の波動は?!」

北郷隊兵士A「我が主の登場だ。こういう時は…全力で楽しめ!」

 

 

恋「すりすり」

一刀「こ、こら恋、くすぐったいって!」

音々音「れ、恋殿~!こらボンクラ!恋殿を独り占めするななのですぞ!」

恋「すりすり」

一刀「んなこと言ったって…!」

華琳「 か ず と 。」

一刀「!!!!!!!!!???????」

 

華琳「一刀、こっちを向いたらどう?」

一刀「か、華琳?こ、これは、あれだよ?親睦を深めて…」

風「どういう意味の親睦ですかねぇ~。」

一刀「」

 

華琳「春蘭、秋蘭!や~っておしまい!!」

一刀「ぎゃあああああああああああああああっ!!!!」

 

 

 

 

 

その後、虎牢関をすんなり落とした孫策軍の軍功により、連合はすんなり洛陽へと歩を進めた。

一番乗りを目論む袁紹、袁術らを宴と称して足止めし、潜入部隊が呂布の家族を救出。

 

一番乗りを果たした劉備軍は…

 

 

桃香「ん~、ここだよね?一刀さんが言ってた裏通りって?」

諸葛亮「はい、この辺りだと思うのですが…」

 

賈詡「ほら月!急がないと見つかっちゃう!」

董卓「う、うん!」

 

桃香「もしかして…あの人が董卓さんかな?!」

龐統「あわわ、御遣い様の仰っていた人相と一致しますのでそうではないかと…。」

桃香「董卓さん!!」

董卓「?!」

賈詡「見つかった?!」

桃香「助けに来ました!」

 

董卓「えっ…?」

賈詡「信用しちゃダメよ月!」

桃香「私達はある方に頼まれて、董卓さん達を助けに来たんです!」

賈詡「あ、ある方って誰よ!」

桃香「その方から董卓さんに言伝を頼まれてます。」

董卓「??」

 

桃香「『またね。』だそうです。」

 

董卓「…!!!」

 

 

 

 

 

 

Another view 董卓

 

 

その言葉は胸に響きました。

幾重にも水面に波紋を描きます。

 

それは貴方の姿を形作り、手を伸ばしても消えることはありませんでした。

 

そう、それはとても大切な人。

それは心から愛している人。

 

どうして忘れていたんだろう。

どうして離れているんだろう。

 

水面には貴方が移り、寄り添うように月が浮かびます。

あの日々の貴方と私のように。

 

 

Another view end

 

 

 

 

賈詡「ゆ、月?どうしたの?どうして泣いてるの?」

 

 

董卓「詠ちゃん…

       ご主人様に、

            会いたいよ…。」

 

 

 

 

真・恋姫†夢想~忘れ草編~完結

 

 

 

 

 

 

 

 

今回もお読み頂き誠に有り難うございます。

やっとのことで忘れ草編が完結です。

次は『歩みの葉編』です。

なんとなくこの作品のスタンスと言いますか、方向が伝わったかなと思います。と、言うより第一話が一番ヒントになっているんですよね。笑

 

それでは。次話をお楽しみに。

 

 

最後に一句

『我が見せ場 ついに訪れ 燥げども

    何故か皆に 優しくされた』

             白蓮、生暖かい風を感じて


 
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