No.632766

愛紗 凪 亞莎こそ三国一の忠犬よ!!(前編)

南無さんさん

こちらは真・恋姫†無双でございます。
たまには、甘い話以外を。一応コメディ作品と思ってます。
こんなにガッツリと三人称で書いたの初めて…
いざ尋常に勝負!!
それにしても、今月は沢山投稿したなー。

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2013-10-31 11:59:24 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:7385   閲覧ユーザー数:6110

とある一室にて三人の恋姫が大声を上げていた。

 

そのメンバーとは、魏王華琳。呉王雪蓮。そして、蜀王桃香の三名。

 

この三名が先程から真剣に烈火の如く議論を交わしていたのであった。

 

その内容はというと……

 

 

「いい。もう一度言うわよ。

 凪こそ三国一の忠犬よ。異論は認めないわ」

 

「いいえ!華琳さん、納得できません!!

 愛紗ちゃんこそ三国一の忠犬です!!」

 

「二人とも何を言ってるのかしら。

 亞莎こそ三国一の忠犬よ!!」

 

 

…何とも馬鹿馬鹿しい内容であった。何故この様な事になってしまったのか、

 

それは華琳さんが…

 

 

「三国一の忠犬は誰かしら?」

 

 

という一言からであった。三王は我先にと自慢の仲間の名を口に出し、

 

 

「一刀と一緒に居る時の凪は忠犬の鑑よ」

 

「あら。亞莎だって同じよ」

 

「愛紗ちゃんだって、そうです!」

 

 

などと言った理由を述べ、何度も同じやリ取りを繰り返していたのです。

 

こうして馬鹿げた事に時間を費やし現在に至るのであった。

 

おや?三王に何やら進展があったようです。

 

 

「ああっもう!これじゃ埒が明かないわ!!…こうなったら勝負よ、勝負!」

 

「「勝負?」」

 

「そう、三国一の忠犬は誰か勝負するの。

 勝った者が名誉ある称号『忠犬の鑑』を授与するのよ!」

 

 

雪蓮さんが大層な称号を賭けて勝負をしようと提案してきました。

 

端から聞いたら全くもって魅力の無い称号です。

 

しかし、華琳さんと桃香さんは…

 

 

「わかりました。受けて立ちます!」

 

「面白いわね。その話乗ったわ」

 

 

やる気満々な御様子。やれやれ困った王様達です。

 

 

「それじゃあ、約定を決めるわよ。勝負を行うのは当人のみ。

 私達は協力などの関与を禁ずる、これだけよ。内容は…一刀を使って何かをする、これでどう?」

 

「随分と大雑把ね。まぁ、いいわ。その案でいきましょう」

 

「はーい。異議なしでーす」

 

 

約定と勝負の内容を迅速に決めると三王は自慢の将を連れて来るのでした。

 

 

 

「「「お断りします」」」

 

 

連れられて来た、愛紗、凪、亞莎の第一声は否定でした。

 

それもその筈。こんな馬鹿げた勝負に参加する意味はございません。

 

 

「ぶーぶー。三人とも勝負してくれないの?」

 

 

口を尖らせ駄々をこねる雪蓮さん。

 

 

「当然です!!この忙しい時に下らぬ事でお呼び立てしないで頂きたい!!」

 

「…いくら華琳様とはいえ、その様な命令は致しかねます。

 私は警邏がございますので、失礼します」

 

「私も軍政司の職がございますので失礼致します。

 申し訳ございません。雪蓮様」

 

 

三人は踵を返し、それぞれの持ち場へと戻ろうとしています。

 

しかし、各々の行動は三王にとって想定内の出来事。

 

ここで、華琳さんは誰もが従ってしまう切り札を投入します。

 

 

「…残念ね。優勝した子には、

 一刀一日独占券を授与しようと思ったのに…。本当に残念」

 

 

それを聞いた瞬間、踵を返していた三人の動きがピタリと止まってしまった。

 

忠犬の称号はこれぽっちも欲しくはありません。けれども、恋する乙女達は、

 

喉から手が出るほどに一刀独占券が欲しいのです。一刀を慕っている恋姫は数多い。

 

その中で、限られた時間だが独占できるメリットは非常に大きいのです。

 

三人は葛藤していました。このまま、勝負に参加して、

 

与えられた仕事を放棄しても良いのかと。

 

 

「あ!安心して。皆のお仕事は替わって貰ったから。

 今日はお休みだよ」

 

 

愛紗達の心を見透かしてか、桃香さんが安堵する様に口を開きました。

 

しかし、三人はまだ葛藤をしています。後ろめたさと常識が邪魔をしているからです。

 

だが、この隙を見逃さないのが乱世の奸雄、曹孟徳。

 

最後に決定的な一打を口にします。

 

 

「しょうがないわね。優勝者には独占券を二枚与えましょう」

 

「「「よろしくお願いします」」」

 

 

あっさりと陥落してしまう三人なのでした。

 

今、此処に馬鹿による馬鹿げた馬鹿馬鹿しい馬鹿な勝負の幕が開いたのであった。

 

 

 

 

三王は今か今かと出場者を待ち構えていました。

 

 

「「「お…お待たせ致しました」」」

 

 

愛紗達が恥ずかしそうに顔を赤らめ到着しました。

 

おや?三人は何故かメイド服を着用しています。

 

一体何故、着用しているのでしょうか?

 

 

「あの、言うがままに従者の服を着用致しましたが、

 何故、この様な格好をせねばならないのです?」

 

 

スカートの裾を握り締めワナワナと震える愛紗。凪も同様に落ち着きが無い様子。

 

亞莎も一刀君と胡麻団子を作る際に着用しているが、

 

いかんせん、三王の御前なので萎縮し恥ずかしい御様子。

 

 

「それはね、愛紗ちゃん。華琳さんが説明してくれるから、聞いてくれる」

 

「皆、集まったわね、今から説明に入るわ。勝負は全部で四回、正々堂々と行い、

 一番点数が高い者が優勝よ。それと、何故、メイド服を着用してるのか、

 疑問に思っているだろうけど、私達が出題する課題が一刀に関することだから。

 決して面白いとか、そんな事を思ってないわよ。…時間が惜しいわ。

 これより始めるわよ。…雪蓮、お願いね」

 

「りょ~か~い。はい、ちゅうも~く。早速だけど私が出題する一回戦の課題は…」

 

 

『ドキッ!一刀にだ~れだ。一番に呼ばれるのは私なんだからねッ!!』

 

 

「…よ。今からこの廊下に一刀が通るから、気配を消して後ろからガバッっと

 やって頂戴。あ、それと公平を期すために三人一斉にやってもらうわ。

 一番最初に一刀の口から名を呼ばれた者に点数をあげちゃいます。

 じゃあ、準備をしてくれる?」

 

「「「は…はい!」」」

 

 

三人は緊張し胸を高鳴らせながら準備に取り掛かるのであった。

 

 

 

 

~一回戦~

 

 

 

「フンフンフン♪ラーララ、ラーララー♪」

 

 

鼻歌を歌いながら陽気に廊下を歩く一刀君。

 

嬉しそうに笑顔を浮かべています。

 

 

「さっき、月と詠でお茶をしてたら、茶柱が立ったんだよなー。

 これから良い事があるかも…。ラーララーラー♪」

 

 

それは良かったですね、一刀君。日頃の行いの賜物かも知れませんね。

 

おや?…ふふ。これから直ぐに良い事が起こりますよ。

 

何せ、貴方のワンコ達が、顔を赤くして後ろから近づいていますからね。

 

 

「………うおっ!?」

 

「「「だ、だ~れだ…」」」

 

「~~~~~~!?」

 

「「「……………」」」

 

 

どうした事でしょう?一刀君からの返答が一向に来ないのです。

 

何か粗相をしてしまったのではないか。ワンコ達は気が気じゃありません。

 

しかし、返答しないのには理由があるのです。

 

それは一刀君を覆っている手に問題があるのだ。三人一斉に目を覆うなど不可能。

 

なので、一番背の高い愛紗が目を押さえ、凪が鼻付近を、亞莎が口周りを…。

 

もう、お分かりですね。一刀君は窒息しかけています。

 

 

「フゴー!フンフゴー!!…………キュー」

 

「ご、ご主人様!?」

 

「隊長!?」

 

「一刀様!?」

 

 

気付いた時には、もう手遅れ。一刀君は白目をむいて倒れてしまいました。

 

因みに一部始終を見ていた三王は……

 

 

「あっはっはっはっはっは!!もう!最高!!」

 

「…ぷ………くくくく」

 

「………ご主人様大丈夫かな?」

 

 

三者三様であった。

 

 

 

                     判定北郷一刀TKOにより引き分け

 

 

 

 

 

~二回戦~

 

 

 

「「「も…申し訳ございません!!」」」

 

「いいて、いいって。そんなに謝らなくてさ」

 

 

あの後、ワンコ達は一刀君を介抱しようと部屋に運びました。

 

幸いにも直ぐに目を覚まし、現在謝っています。

 

 

「それにしても、皆。その格好どうしたの?」

 

「え?…あの、その」

 

「ん?」

 

 

愛紗は口をモゴモゴとしてしまいました。私利私欲の為にメイド服を着てるなんて、

 

口が裂けても言えません。見るに見かねて、凪と亞莎が助け舟を出しました。

 

 

「じ…実は隊長に喜んで頂こうと思い、メイド服を着て来ました」

 

「そ…そうなのです!…あの、一刀様。私達は似合っておりますか?」

 

「そうだったのか…。ありがとう、愛紗、凪、亞莎。

 凄く似合ってる、可愛いよ」

 

「「「~~~~~~~!?」」」

 

出ました!!北郷一刀君の必殺の笑顔!!これを拝見した恋姫は忽ち

 

顔を真っ赤にして悶えてしまうのです。ヨッ!このジゴロ野郎!!

 

 

「…お、お茶を煎れますね」

 

 

放心する愛紗と亞莎。凪は何とか自我を保ちお茶を煎れる事にしました。

 

そして、カップにお茶を注ぐさなか、凪は桃香から出題された課題を思い出していた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『はーい。発表します!私が出題する課題は…』

 

 

~ドキッ!誰が一番可愛いの?ご主人様の心を射抜くのは私なんだからねっ!!~

 

 

『…です!規則は簡単。誰か一人がご主人様にお茶を煎れ、注ぎ終えた後に、

 各々が考えた姿勢(ポーズ)と、とある台詞を言ってもらいます。

 最後にご主人様に誰が一番可愛かったか聞き、選ばれた人に点数をあげちゃいます。

 それじゃあ、皆、頑張ってね♪』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

いよいよ二回戦の勝負の時。放心していた愛紗と亞莎も意識が戻り、

 

ワンコ達は覚悟を決めています。

 

 

「煎れてくれてありがとう。早速頂くよ」

 

「お…お待ち下さい、ご主人様」

 

「ん?どうしたの?」

 

「あ、いえ…お。美味しくなる、おまじないを、かけようかと思いまして…」

 

「へぇ、おまじないね。面白そうだ。じゃあ、お願いするよ」

 

「畏まりました。…すぅ~~、はぁ~~~~~。

 …いくぞ、お前達。せーの!!」

 

 

 

「「「美味しくな~れ!萌え萌えキュン☆」」」

 

 

 

「……へ?」

 

 

一刀君は驚きを隠せません。どうやら予想外のおまじないだった様です。

 

ポーズを決めていたワンコ達は見る見るうちに顔を真っ赤に染め上げ……

 

 

「「「…うわわあああああああああああああ!!!!!!」」」

 

 

猪突猛進の勢いで部屋を飛び出してしまったのです。

 

残された一刀君は…

 

 

「え?ちょっ!?待ってくれ皆!!…行ってしまった。

 一体何なんだ……」

 

 

困惑していました。そして、今回も気付かれぬ様に、

 

一部始終を窺っていた三王は…

 

 

「ぷぷぷ…あっはっはっはっは!萌え萌え!…萌え萌えキュンですって!!

 くくく、も…もう駄目。お腹が痛い~!」

 

「ちょ…ちょっと、ふふふふふ。

 わ…笑い過ぎよ、雪蓮。……くく」

 

「だ…だって、萌え萌えキュン☆よ、萌え…萌えキュン☆

 ぷぷ、くくくく」

 

「…皆どうして部屋から飛び出しちゃったのかな?

 独占券は欲しくないのかな?」

 

 

二名は抱腹絶倒し、一人は何故逃げたか疑問に思っているのでした。

 

 

 

                     判定:敵前逃亡により引き分け

 

 

 

                         ~後編に続く~

 

 

 

 

 


 
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