No.630129

真・恋姫無双 異聞  ~俺が、張角だっ!!~ 第2話

isakaさん

恋姫無双の世界に転生した農大生のお話。

彼はどう生きていくのだろうか?

姓は姜、名は維、字は伯約。そんな彼の物語。

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2013-10-21 16:46:23 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1227   閲覧ユーザー数:1191

第2話 危機 You have dual sexes

 

 

涼州は天水郡にとある村があった。

 

大きくも小さくもないその村は飢饉に見舞われることもなく、この時勢においては比較的穏やかに人々が暮らしていると言っていいだろう。

 

日が昇るとともに起きて畑に仕事をしにいき、夜日が沈んでしばらくすると就寝する。あるいは家畜を飼っているものは家畜の世話を、筵を織ったりして日々の糧を得ているものもいる。

 

たまに行商人が寄ったらそれだけでいつもより活気が沸く。そんなこの時代においてはどこにでもあるようなそんな村だった。

 

そんな狭い共同生活体においては、噂などというものはあっという間に村全体に広がっていく。ちょっとでも人々に奇妙と移るような行動をすればすぐに口から口へと渡り、村の人々の耳に入るのだ。

 

今回村にある小さな井戸の周囲で話されているのは1人の子供についてだった。

 

その子供はここ数年の間噂になることが多かった。現在9歳になろうかというその子供は物心がついたころから村の人々にとっては奇妙に感じられる行動をしだしたからである。

 

自分の庭の裏に穴を掘ってそこに糞尿と藁を入れたり。或いはこんな村では役に立たないのに文字を覚えるのに積極的だったり。さらには竹簡に何やら書いてはそれを溜めたりなどなど。人々の口から出る話題には枚挙に暇がなかった。

 

その子供の名前は姓は姜、名は維といった。黄金の髪と鮮烈な紅の瞳が麗しい子供である。その容姿の美しさも噂になる要因だった。

 

何時もならその奇行故に人々の口から出てくる名前は、しかし今回に限っては違う理由で話されているのだった。

 

「聞いた?姜家の子供さん、何やら病気にかかったそうよ?」

 

「高熱が出て収まらないんですってね」

 

「あんな行動繰り返しているから罰が当ったのよ」

 

この時代、まだまだ病気はオカルティックな側面を多く有していた。すなわち悪行を積んだから呪いにかかった、というような話である。そのため病気にかかったものは周りから疎まれ気味だった。

 

元々気味悪がられていた子供、ということもあってその後も口々と陰口を叩いていく大人たち。そんな自分たちがしている行動は果たして善行と言えるのかどうか・・・・・・。人とは他人のことは良く見れても自分のことは案外分からないものだ。

 

普通なら顔を顰めてしまうが、係わり合いになりたくないと思って近づかないようなそんな集団。そこに近づく1人の男がいた。

 

その男は髪を左右で黒白に分けている。顔には傷跡があり、何かしら事情があったのだろうことを伺わせた。服装は見るからに旅装であり、この村のものではなく旅人だろうということがわかる。

 

男は井戸端会議をしている集団に近づくと声をかけた。中々に渋い声音である。

 

「すまない。俺は流れの医師なのだが、先ほどから話題に上がっている病気の子供のことについて教えてくれないだろうか?」

 

その言葉に世間話をしていた大人たちは呆然としてしまう。そして考えられなくなった頭で勝手に質問の答えを導き出し、そして口に出していた。

 

「こ、ここからあっちに真っ直ぐいって、3軒先の家を右手に曲がるの。そしたら5軒先が姜さんの家よ」

 

「そうか。説明感謝する」

 

頭を下げて医者は進みだした。世間話をしていた集団はしばらくその背中を見送っていたが、またすぐに騒ぎ出す。どうやら新たな話の種が出来たことで盛り上がっているようだった。

さて、医者の方はといえば先ほど聞いた通りに進んでいた。そうして辿りついた1軒の家。その扉の前に立ちそして声を張り上げた。

 

「すまない!この家の者はいるだろうか!?」

 

しばらくすると中から慌しい気配がやってきた。どうやら相当慌てていたようなのが扉越しからでも感じられる。医者はそのことに苦笑した。

 

開かれる扉。中から出てきた男の顔には焦燥が濃く漂っている。目の下の隈も酷く濃くなっており、憔悴しているのが見て取れた。それを見て医者はこの家の子供が病気になっているのは本当のようだと察した。

 

「あ、あなたは?」

 

「私は流れの医者だ。この村にやってきたばかりだが、この家の子供が病気であると聞き尋ねさせてもらった」

 

「ほ、本当ですか!?あの子を治せるんですか!?」

 

男が医者に縋りついてくるように大声を張り上げた。その眼には自らの子供への心配と、治るかもしれないという希望が宿っている。

 

それを見て医者は内心笑みを浮かべた。病気の子供は人々の噂になるくらいには奇行を繰り返しているという。それにも関わらずこの男は子供に対して絶大な愛情を持っていたのが医者にも感じ取れた。そのことに医者は大きな好感を抱いたのだった。

 

「落ち着いてくれ。診てみないことには何とも言えない。中に上がらせて診せてもらっても構わないな?」

 

「は、はい!勿論です!ついてきて下さい!」

 

医者は家の中に入っていく男の背を追う。歩きながらも家の中を見てみるが別段変わったところはない。普通の家といった感じだった。

 

ところが恐らく寝室と思われる部屋に近づいていくにつれ様相が変わってくる。時々見える部屋の中に竹簡などがちらほらとあるのだ。街ならともかくこのような村で文字を読むことが出来る人間は稀である。医者は多少の驚愕を持ちつつも男の背を追っていった。

 

そうして辿りついた1つの部屋。扉を開けて中に入ると異様さが際立っていた。

 

部屋の隅の机には硯と墨と筆が置いてある。使いかけのまま放置されているのが生活臭を感じさせた。壁には手作りと思われる棚が幾つも置いてあり、どうやら種別ごとに竹簡が整理されているようである。

 

名士の子息女ならばともかく、このような村の一子供の部屋としてはなんとも奇妙な違和感を感じざるを得なかった。

 

「お、おい!お前!この方は流れの医者だそうだ。もしかしたら雷華が治るかもしれないぞ!」

 

「ほ、本当ですか!?あなた!?」

 

女が部屋のなかの寝具の横に椅子を持ってきて座っていた。男がその女に医者のことを紹介すると、女が驚愕のなかに喜色が交じった顔をした。どうやらこの女は男の妻のようである。

「それではお願いします、先生」

 

「わかった。では診させてもらおう」

 

医者はこの奇妙な部屋の持ち主を診る。人形のような顔が赤く紅潮している。黄金を思わせる髪が汗で顔に張り付いていた。その瞳は硬く閉ざされ苦しい様子であるのが伝わってくる。

 

「触診のために服を脱がすが構わないな?」

 

「は、はい。それで雷華が治るのなら・・・・・・」

 

医者が患者の服を脱がせる。真っ赤に染まっているものの、それが逆になんとも言えない美しさをかもし出している肌が顕わになった。

 

医者はその滑らかな肌に手を触れていく。その表面だけではなく、医者が習った「氣」によって触れたところの内部も診ていく。その動きに淀みはなく、熟練のものを感じさせた。

 

「むっ!?」

 

その医者の手が止まったのは下腹部でのことだった。その部分をさらに重点的に、精密に調べ上げていく。そうすると医者にはその患者の状態が正確にわかった。

 

(この氣は・・・・・・)

 

医者は多くの人を診て、そして治してきた。この患者の状態はそんな彼でも初めて診るものだった。知識はある。文献でそのような人間がいるとも読んだことがあった。だが現実として存在している人物に会うのは初めてであり、医者を驚愕させた。

 

その医者の驚愕に横に居た男は不安を煽られたのだろう。心配げな声で医者に問いかけてきた。

 

「雷華は治るんですか?」

 

「あぁ、治すことは出来る。そこは大丈夫だ」

 

医者のその言葉に夫婦は顔を喜色満面にした。自分たちではどうにも出来なかった病気。それを治せる医者が偶然来たことを天に感謝してさえいた。

 

「やったな、お前!」

 

「えぇ!あなた!」

 

その様子を見て医者は頬を緩めていたが、夫婦に見られる前に顔を真剣なものにした。そして夫婦の喜びに水を挿すことを言い放った。

 

「ただし、治療費には5000銭をいただく。」

 

「なっ!?」

 

その余りの治療費の高さに夫婦は絶句した。とてもではないが今のこの家にはそんな貯金はなかったのだ。そもそもこんな村でそんな大金を求めるのが間違ってると男は思う。

 

「な、なんとかまかりませんか!?」

 

「無理だな。この患者の治療には長い月日を要する。それだけの時間を拘束されるのならば、それに見合った治療費を貰うのが当然だろう?」

 

「くっ。それは、そうですが・・・・・・」

 

医者の正論に男は反論することが出来なかった。そもそも医者とて慈善事業ではないのだ。正当な報酬を要求するのは当たり前であった。

 

男は俯いて考える。これまでのこと。これからのこと。妻のこと。そして、自らの愛する子供のことを。

 

「あなた・・・・・・」

 

その男に女が声を掛けた。しかし必死になって考える夫に何を言っていいのか判断しかねているようで、その先の言葉は繋がらなかった。

 

だが、夫である男にとってはそれで十分だったのであろう。男は妻の方に顔を向けると笑みを浮かべた。そして顔に決意を浮かべると医者の方へと向き直ったのであった。

 

「何年かけてでも治療費は払いきります!ですので、どうか、どうか雷華をお救いください・・・・・・!!」

 

男が頭を下げる。それに習って女も頭を下げた。部屋に沈黙が広がっていく。医者が何も言わないので、男は医者がどう思っているのかどんどんと不安になっていった。

 

その状態で1分は経ったろうか。医者は不敵な笑みを浮かべると夫婦に声を掛けた。

「フ・・・・・・その言葉が聞きたかった。」

 

「では・・・・・・!!」

 

「あぁ。この子供の治療をやらせてもらおう。勿論治療費もいらない」

 

医者のその温情に夫婦は互いに抱き合った。そうして喜びを分かち合っていたが、医者が居ることを思い出してしばらくするとまた離れていった。その顔には朱がさしている。

 

医者はその光景に笑みを浮かべながらも自らの治療道具を取り出していく。

 

医者が取り出したのは細長い鍼だった。夫婦はそれが何なのか分からずに揃って首を傾げている。その様子は「似たもの夫婦」という言葉がぴったりと当てはまっていた。

 

「では、治療に入らせて貰う」

 

医者が治療開始を宣言する。同時にその手に持つ鍼が光っていった。その神々しささえ感じさせる姿に、夫婦は生唾を飲み込んだ。

 

光が段々と強くなっていく。最早眼さえも開けていられないほどにその光が最高潮に達した時、医者はその鍼を高く掲げた。

 

「我が身、我が鍼と1つとなりっ!一鍼同体!全力全快!必察必治癒!」

 

医者が金色に光り輝く鍼を振り下ろす。それは子供の下腹部、ちょうどへその下辺りに刺さり、そしてさらに強く辺りを照らし出した。

 

「元気になれぇっ!」

 

あまりの眩しさに夫婦は目を開けていられなくなる。そうして目を閉じても瞼を透過してくる光にさらに強く眼に力を入れた。

 

そうして時間が経つこと十数秒。ようやく瞼をすり抜けてくる光が収まってきた。もう大丈夫かと思い夫婦は目を開ける。まだまだ光の残滓が残っていたが眼を開けていられないほどではなかった。

 

「治療は成功だ」

 

夫婦はその言葉に自分達の愛の結晶を見やる。赤く染まっていた顔は平常時の白磁の色へと戻っている。汗ももう出てきてはいないようだ。その呼吸も穏やかで、本当に体調が元に戻ったということが見て取れた。

 

その様子に夫婦達の目尻に涙が浮かぶ。看病しても良くならない体調にもしかしたら・・・・・・という予感が拭い去れないでいたが、どうやら杞憂に終わったようであった。

 

「ありがとうございます・・・・・・!!なんとお礼を申し上げたらよいか・・・・・・」

 

「いや、まだ礼を言うのは早い」

 

「え?」

 

男が礼を言おうと頭を下げかけたが、医者はそれを押し留める。医者のその言葉に夫婦は困惑するしかなかった。確かに自分達の子供の体調は治っているのに何故?と疑問を浮かべることしか出来なかったのだ。

 

「先ほども言ったように、今回の治療には時間がかかる。今のは初期治療として取りあえず体調を整えただけだ。しばらく放置していたらまた同じ症状が出てしまうだろう」

 

「なっ!?で、ではどうすればっ!?」

 

「落ち着け。先ほども言ったように治療は出来る。・・・・・・ただし、この子の頑張りしだいだがな」

 

「そうですか・・・・・・」

 

「とにかく、詳しい説明はこの子が起きてからだ。その時に今回の症状が出た理由と治療方法を教える」

 

そう言い残し医者は立ち上がった。そうして部屋から出て行こうとする。それを見て女は医者を呼び止めた。

 

「待ってください!どこに行くのですか?」

 

「何処って、今日泊まるための宿探しに決まっているだろう」

 

「それでしたら、我が家に泊まっていってください。大したお持て成しは出来ませんが、せめてものお礼に・・・・・・。勿論代金も要りません」

 

「フム・・・・・・。では言葉に甘えさせてもらおう」

 

夫婦は安堵の息を漏らした。無償で自らの子供を治療していただいた医者に何もしないなど、礼儀に悖る。ほんの少しだが恩が返せてよかったと思っているのだ。

 

その晩、その家では子供の恩人を少しでも持て成そうと精一杯の豪勢な食事が振舞われたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、早朝のこと。日が昇り始めている時間帯。まだ時計がないので正確な時間はわからないが、時期から察するに大体5時くらいだろうか。雷華は雀たちの歌で眼が覚めた。

 

しばらくは焦点が合わず、視界がぼやけたままだった。次第に明瞭になっていく視界に見知らぬ男を見かけたことで、雷華の意識は完全に覚醒した。

 

雷華は体を起こそうとした。だが、その体には力が入らずに首を起こすだけに留まり、それが雷華の危機感をさらに煽ることとなった。

 

そんな雷華の様子を見た男――流れの医者だ――が注意を促した。

 

「落ち着け。昨日の影響でまだ体は弱ったままなはずだ」

 

「誰だ?あんたは」

 

警戒心を滲ませながらも雷華が問い質す。その年の子供にしては不相応な凄みを発する雷華に、医者は多少驚いたようだった。しかしそれを表に出すようなことはせず、あくまで内心で驚くだけに留めたあたりは場慣れしている証左と言えた。

 

「姓は武、名は羅、字は玖若。流れの医者でお前の治療をするものだ」

 

その言葉に雷華は先日までの自分の状況を思い出し、現在の体の軽さに吃驚した。

 

下がらない熱。

 

止まらない汗。

 

激しい頭痛。

 

Etc etc

 

それら自分を苦しめていた要素が全て無くなっているのである。強いて言えばかなり気だるく、体を動かすのに苦労するが病み上がりなのでむしろ当たり前といえるだろう。

 

雷華は自分の体調を鑑みて目の前の男が医者というのは正しいと感じた。その為警戒するのも馬鹿らしくなって、寝具に全体重を預ける。前世のベッドと比べるとかなり固いがもう慣れてしまった感触が背中全体に広がった。

 

「それで、治療完了した医者がなんでまだいるんだ?」

 

「正確に言うのならばまだ治療が完了していないからだ」

 

玖若の言葉に雷華は小首を傾げた。その美しい姿と相まって小動物的な愛らしさを醸し出しており、琥若は「これはあの夫婦の愛しようもわかるな」と内心で思った。

 

「は?・・・・・・どういう意味だ?」

 

「それならばすぐに説明しようか。・・・・・・なぁ?」

 

琥若が振り返りながら言った。その視線の先を雷華も追うと、この体の両親が扉を開けているのが見える。転生者という特殊な自分にも愛情を惜しみなく注いでくれる、雷華にとっても自慢の両親だった。

 

「雷華・・・・・・!!」

 

「よかった。本当に良かったっ!!」

 

両親が駆け寄り自らを抱きしめてくる。その過剰な愛情表現に苦笑しながらも、雷華は嬉しく思っている自分がいることに気付いていた。

 

そんな心温まる光景を玖若は眺めていたが、いつまでもそのままでいる訳にもいかないので咳払いで空気を入れ替えてから切り出した。

 

「さて、では何故姜維にあんな症状が出たかを話そうと思う」

 

そう前置きしてから玖若は懐から眼鏡を取り出し眼にかけた。人差し指をピンと立てている様は生徒に講義をする先生を思い起こさせる。

 

「姜維は現在9歳だったな。」

 

「あぁ、そうだけど」

 

「9歳といえば早いものなら既に男女の違いが現れ始めているころだ。男として、或いは女として正しい機能を得るために体が日々成長していく時期だ」

 

そこで一端間を作る。そうして玖若は雷華が体調を崩した根本原因について話し始めた。

 

「だが、姜維の体は男と女、両方に成長しうる可能性を持って生まれてしまったんだ。その為に体がどちらに成長していいのかわからず混乱した。そしてその混乱の影響で体の均衡が崩れ、結果あのような症状が現れてしまった」

 

その言葉を聞いた夫婦は顔をキョトンとさせていた。玖若の言っている意味がわからなかったのだろう。しかし前世の記憶を持っている雷華には意味がわかった。わかってしまった。

 

雷華の顔を驚愕が彩っていく。前世が男であり、今世もナニがついているのでまた男なのだと思っていた。顔が女顔なのが気になるがその程度だと思っていたのだ。

 

「まさか、俺は・・・・・・!?」

 

「俺も文献でしか見たことがないが、お前の体には確かに男の機能へと成長しうるものと女の機能へと成長しうるものが混在している。まず間違いなく両性具有というやつだろう」

 

頭をガツン、と鈍器で殴られたような錯覚さえした。雷華は目の前が真っ暗になっていくように感じられた。

 

両性具有。その言葉は雷華も知っている。創作の世界、とりわけ同人誌などでは結構頻繁に取り上げられたりしているが・・・・・・。

 

「このままでは今後もこうして体調を崩すだろう。最悪の場合は・・・・・・」

 

雷華は玖若のその言葉に絶望しかけるが、違和感を感じ取り顔を上げた。

 

「このまま?じゃぁ、どうにかする方法もあるのか?」

 

「あぁ、ある」

 

その言葉に雷華は顔を輝かせた。生き残れる可能性がある。それだけで雷華には十分だった。

 

雷華の瞳に決意が宿る。この先どんなことが起ころうとも「生き残る」ためなら耐えてみせるという覚悟が雷華の中には生まれていた。

 

「教えてくれっ!その方法をっ!どんな苦しみにだって耐える。どんな試練だって克服するっ!」

 

その言葉に玖若は不敵な笑みを浮かべた。そして立ち上がり背中をみせる。雷華にはその背中が「ついてこれるか?」と問うているように見えた。

 

「いいだろう。ならば教えてやる。俺が習った「氣」の極意をな」

 

こうして、雷華は武羅 玖若の弟子となることが決まったのだった。

 


 
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