朝、自然と目が覚めたいつもこれぐらいの時間に起きているのだろうか。
「う~ん・・・・・いい天気だ・・・・ん?」
ふと、右手に柔らかい物体があることに気づいた。
「何だろう」
「あん・・・・・あ・・・」
その声を不審に思い、布団をはいでみるとそこには全裸になっている雪蓮の姿があった。
「う・・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
その大声は、もっとも遠い冥琳の部屋まで聞こえたという。
「一刀!」
その声を聞きつけ、入ってきたのは蓮華であった。
「どうした・・・・・の・・・・」
「もう、うるさいわね・・・・・・」
「な、何も何もしてないよ」
必死に弁解を繰り返している。
「そうね、昨日は添い寝しただけだからね」
「じゃ、じゃあ、何で服を・・・・」
「あぁ、夜に邪魔だから脱いじゃったの」
「そ、そうなんですか」
少ししてから、全員が集まってきた。
「・・・・・・どういうことか説明してもらいますよ」
輪の中心には、服を着た雪蓮が正座させられていた。
「だって、一刀と閨を共にしてなかったから、せめて添い寝くらいはいいじゃない」
「ほう・・・・言い訳はそれだけですか?策殿」
「いいわけって、何も悪いことはしてないわよ」
「一人だけ抜け駆けして、それで終わりか?」
静かな口調で言ったのは冥琳だった。
「何?そんなに悪いこと?」
「はっはっは!実に策殿らしい」
「祭、分かってくれるじゃない」
「ですが、今回ばかりは・・・・許されませんな、北郷の記憶がなくなったことで誰もが有利な立場に立ちたい中でのその行動・・・どういう事態になるか、分かっていないとは言わせませんぞ」
無言による沈黙、それは事態を飲み込んだ雪蓮の息をのむ声がやけに大きく響いた。
その空気を打ち砕くようにドアが開く。
「あ、あの・・・・俺は何をしていたんですか?」
「それは、私が教えよう」
「め、冥琳様、わ、私だって、お、おお教えれますよ」
「私だって、一刀さんに手取り足取り教えたいです~」
文官三人の声が上がった。
「じゃ、じゃあ、冥琳さんにお願いしようかな」
「そうか、ではそういうことだから失礼する」
必死に一刀に顔を見られない様にしていたその顔は勝ち誇ったような顔をしていた。
「・・・・・・なんなのだ、あの顔は!」
扉が閉まり、気配を感じなくなったとたんに祭が叫んだ。
「まぁ、一刀が起きた時に最初に見たのは冥琳さんですし・・・・」
「そ、それはそうじゃが、なんか納得いかんのう」
「・・・・・・そうですね」
珍しいことに思春が同意する。
「!し、思春が・・・・ど、どうしたの?」
「何がですか?」
「あなたが一刀の事で同意したのは初めて見たから・・・・・」
「こう見えても、私は北郷のことをかっているつもりでしたが」
そういう会話が行われている中、二人は・・・・・。
「それで、どういうことをすれば・・・・・」
「実は、主だった仕事は記憶が無くなる前の一刀が終わらせていたからな」
「そ、そうなんですか・・・・・」
「そんなに気落ちするな、一刀がいるだけで私たちは嬉しいんだ」
「・・・・・・・俺は、誰と結婚しているんですか?」
「・・・・・・・・そうか、皆同じことを言ったか」
昨日の全員が一刀は自分の婿発言に対し、迷っているようだった。
「強いてい言えば、だれとも結婚していない、しかし、全員と婚姻関係にあるといっても違いないだろう、本当は私が一番になりたいんだがな」
自嘲気味に笑う冥琳の顔に一刀が触れ、その唇に自らの唇をつける。
「なっ!」
「俺は・・・・・たぶん、記憶が戻っても、誰かなんて選べないと思うだけど・・・・」
外が何か騒がしい、しかしそれを全く気にしないで二人だけの世界が広がっている。
「それでも、今は・・・・俺が選びたいのは」
手が冥琳の眼鏡をはずす。
突然扉を突き破り、雪蓮が飛び込んできた・・・・・というよりも、吹き飛んできた。
「危ない!」
思わず、その場で冥琳を突き飛ばし、その体で雪蓮を受け止めるが、勢いを殺しきれずにそのまま一緒に吹き飛ぶ。
「・・・・・雪蓮!お前は何を・・・・・・!」
目にした光景は、雪蓮の下敷きになっている一刀の姿だった。
「北郷!おい、起きろ!」
「ん?あぁ、冥琳に雪蓮、どうかした?それに俺は今まで何を・・・・」
「記憶が戻ったのね!」
「どうなんだろう、俺が記憶が無くなっていたのかどうか分からないからな・・・・・!」
一瞬にして、一刀の顔が蒼くなった。
「ご、ごめん、やることがあったんだった!」
二人に謝るとそのままいつもの倍近いスピードで部屋を出て行った。
「な、何だったのかしら?いったい」
「まぁ、何にせよ、記憶が戻ったのはいいことだ・・・・・・少し残念な気もするがな」
最後のほうは声が小さく聞き取ることができななかった。
「ん?何か言った?」
「いや、何も言ってない」
「はぁ・・・・・俺は、冥琳に惹かれてたのか?いや、それよりも早く持っていかないと間に合わない!」
いつもより早く動く一刀を見ることしかできなかったため、そのまま一刀が何か紙をもって、市に降りていくのを見ておくことしかできなかった。
炎上はやむことなく、火炎は竜巻と融合し火焔旋風となり、市街を駆け巡り始めるはたして、この火焔旋風はどれほどの被害を出すのか、天さえも知らない。
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今回、だいぶ冥琳よりです、それにかけ足すぎたかなと思います