この作品はキャラ設定が崩壊しております。原作重視の方はご注意ください。
一刀くんがチート的強さです。時代背景などもめちゃくちゃです。
オリジナルキャラが登場します。
それでも良い方はどうぞ・・・・
前回までのあらすじ
孫呉へ使者として向かった凪と一刀、その道中鴉、貂蝉、卑弥呼と出会う
黒い箱を通して二人の中が急速に接近する中、華琳は孫呉、涼州の同時攻略を決定する。
月、詠と共に涼州へ赴くこととなった一刀
外史により着実に体を蝕まれていく一刀と、孫呉攻略のため一刀と離れることとなった凪の想いは……
華琳に涼州攻略を任された一刀は、月、詠と共に軍を率いて涼州へと進軍していた
孫呉と涼州の同時攻略を行うために、一刀たちが涼州攻略に兵数と時間をかけることは許されなかった
時間を掛ければかけるほど、蜀、呉ともに兵力を充実させていくだけであった
いつも以上に敗北の許されないこの戦に、兵士たちの間には重い空気が流れていた。しかし、そんな兵士たちとは正反対に、一刀、詠、月の三人は落ち着きを見せていた
一刀「さすがに冷えるな……。二人は…慣れてるみたいだな」
詠「当たり前でしょ。少しすればもっと寒くなるから、あんた死んじゃうかもね」
月「詠ちゃん! そんなこと言っちゃだめだよ」
寒そうにする一刀を見て、詠が嬉しそうに笑うと、月が申し訳なさそうな顔を一刀に向ける。月に注意された詠は少しいじけたような表情を浮かべそっぽを向いてしまう
一刀「ところで、例のアレはちゃんと使えるようになったか?」
そんな詠の様子を気にするでもなく、一刀が詠にそう問いかけると、詠は得意げな笑みを浮かべながら
詠「当然でしょ。あれが使えるようになってなかったら、この程度の兵数で涼州攻略なんてしないわよ」
そう答えた
一刀「それもそうか」
そう言って一刀は後ろに連なる兵士たちを見た。十万の精兵。これだけ見れば十分な数にも思えるが、涼州という地域の広さ、馬騰率いる涼州の兵たちを考えれば少ないと言えるであろう
詠「馬騰のことだから、民への被害を考えて、野戦。それも一回の決戦でこの戦を終わらせるつもりだと思う。だから、必要以上の兵を連れてきても兵糧の無駄になるのよ」
一刀のほうを見るでもなく、独り言のように呟く詠
月「馬騰さんなら間違いなく野戦を仕掛けてくると思います。民のことを大事に思っていると同時に、騎馬隊に揺るぎない自信を持っていますから」
詠「だからこそ、騎馬隊への対策は入念にしたわけ。だから、大将のあんたがそんな不安そうな顔しないでよ」
一刀「そうだな。よし! 気合い入れていきますか」
月と詠の二人に励まされた一刀は、自身の頬を軽く叩いて気合を入れなおした。それとほぼ同時に前方から一頭の馬が駆けてきた
曹仁「一刀殿。馬騰軍を発見しましたぞ」
一刀「詠、頼む」
たった一言、一刀がそう言うと、詠は深く頷き返し後方へと下がっていく
一刀「月も、よろしく頼むよ」
月「はい」
強く頷き返した月の瞳には、確かな決意があった
数日後、馬騰軍と一刀たち率いる魏軍は、平原にて対峙していた。月たちの予想通り、馬騰は野戦での決着を望み、一刀たちを待ち構えていた
馬騰「久しぶりだな、董卓。死んだと聞いていたのだが」
月「はい、その通りです馬騰さん。董卓は死にました」
馬騰「ほう…」
月「反董卓連合で、敗れ一刀さん…北郷将軍に保護された私は、権力などのしがらみがないところから、初めてこの大陸の現状を見ることができました。そして、分かったんです。力なき人々のために力を振るうことの必要性を、降りかかる火の粉を払いのけるだけでは何も変化しないということを」
馬騰「そのために多くの民が犠牲になろうともか?」
月「この戦乱の時代が長引けば長引くほど、私たちは多くの負担と犠牲を民に強いることになる。同じ犠牲であっても、私はこの戦乱を一日でも早く終わらせるための犠牲にしたい」
馬騰「犠牲を出さないことは考えないのか? 漢王朝の下、今一度皆が一つに纏まれば無駄な争いもせず、民に負担を強いることも少なくなるだろう」
月「いいえ馬騰さん。今の漢王朝にその役割は出来ません。私たちが巻き込まれたあの戦いで、漢王朝は終わりを告げたのです。この大陸は新しい統治者が必要なんです。力を振るうべき時に振るうことのできる、振るう相手を見誤らない。そんな統治者が」
馬騰「それが曹操だと?」
月「はい」
馬騰「心酔してるな」
月「いいえ、曹操さんの全てを認めるわけではありません。心酔しているわけでもありません。ただ、今このときに必要な人物ではあると考えているだけです」
馬騰「ふぅ…話疲れたな。これ以上は不要。あとは戦いで語り合おう」
月「そのつもりです」
馬騰、月の両者が自軍へと戻っていく
一刀「お疲れ様、月」
月「ありがとうございます、一刀さん。でも、これからです」
一刀「あぁ、これからだ。俺たちの戦いはな」
詠「その戦いを始めるためにも、涼州を手に入れなければならないわよ」
曹仁「ですな。では、一刀殿」
一刀「全軍抜刀!! まずは敵騎馬隊の機動力を奪うぞ!!」
一刀の叫び声を合図に、全軍が抜刀する。それを待っていたかのように馬騰軍が突撃を開始した
詠「弩兵隊構え!! 射撃後はすぐに後ろの兵と交代、本当の矢の雨を馬騰軍に見せてやりなさい!」
曹仁「大盾部隊前へ!! お前らは城塞だ!! 鼠の一匹たりとも通すんじゃないぞ!!」
一刀「じゃあ、行ってくる」
月「はい、お願いします。一刀さん」
月に頷き返した一刀は、修繕を終えた『備前長船長光』を抜き、指輪からワイヤーを出すと、前線へと駆け出した
一刀たちが動き出すと同時に馬騰軍も部隊を展開させる。そして
馬騰「涼州の兵たちよ!! 我が旗に続け、突撃!!」
馬騰の号令により騎馬部隊が一斉に突撃を開始した
曹仁「……今だ! 煙幕展開!!」
曹仁の声に合わせ、大盾部隊の後方に控えていた兵士たちが勢い良く煙玉を前方へと放り投げる
すると、玉が弾け、中から煙が広がり敵騎馬隊からその姿を隠した
曹仁「お前たちは壁だ! お前たちの後ろには戦友が! 国が! 民がいる! 決して敵を通すんじゃないぞ!」
兵たちに激を飛ばすと曹仁は井闌上にいる兵士へと視線を移した
詠「弩部隊! 構えー! ……放て!!」
詠の号令と同時に弩兵が次々に矢を放つ。矢落下地点である煙幕の向こう側からは悲鳴があがった
悲鳴が上がるとほぼ同時に井闌上にいた兵士がその手に持っていた旗を振りおろす
曹仁「爆竹放て!!」
それを合図に曹仁が叫び、矢の先端に爆竹をつけたものを弓兵たちが放つ。煙幕の中に吸い込まれるように消えていった矢は、凄まじい炸裂音を辺りに響かせる。次々と倒れる仲間、塞がれた視界、急な爆音
これらは涼州騎馬の要である馬を驚かし、混乱に陥れるには十分であった
多くの涼州騎馬が落馬や暴れる馬を抑えようとするなか、少数ながらも煙幕を抜けることに成功した者たちもいた
馬騰「抜けたぞ、翠、蒲公英!」
馬超「大丈夫だ!」
馬岱「ここにいるぞー!」
馬騰、馬超、馬岱の三人の後に続く、まさに涼州騎馬の精鋭とも言うべき者たちを待っていたのは
一刀「随分減らすことが出来たな。さぁ、一仕事だ」
一刀と曹仁指揮下の、一枚の城壁となった大盾部隊であった
一刀は煙幕を抜けた涼州騎馬の先頭を走る三人に狙いを定めて駆け出す
馬騰「っ! 蒲公英、上だ!!」
馬岱「え!?」
煙幕を抜け、互いの無事を確認しあった馬騰、馬超、馬岱の三人に迫る一つの陰に真っ先に気が付いたのは馬騰であった
馬騰は、自らの足元に迫る一刀の馬を狙った一撃をギリギリのところで防いでいた
防がれた反動をそのまま跳躍力とし、高く飛び上がった一刀は馬岱に向かって『備前長船長光』を振り下ろしていた
馬騰の言葉に反応した馬岱は一刀からの一撃を防いだもののそのまま落馬してしまう
着地と同時に再度飛び上がり、一直線に馬超へと斬りかかる一刀。それに対抗するように馬超は馬上で跳躍すると、空中で対峙する
馬超「はぁぁぁぁぁ!!」
馬超が槍のリーチを活かし、先手をとるもののその一撃はあっさりと一刀に弾かれ
一刀「ふん!」
馬超「っぐあ!」
一刀が振り下ろした『備前長船長光』を受け止めた槍ごと地面に叩き付けられた
馬騰「さすがは北郷……魏武の象徴と言われる男だな」
一刀がゆっくりと振り返った先には馬騰達三人が武器を構えていた
馬騰「無駄に戦を長引かせるつもりはない。ここで貴様を討ち取り、この戦を終わらせる」
一刀「討ち取らせるつもりはないけど、この戦を早く終わらせるのには同意だ」
一刀がそう言い終えると同時に馬騰たち三人は一斉に一刀へと駆け出す
馬騰は正面、馬超、馬岱の二人はそれぞれ左右に分かれると、三人同時に一刀に連撃を繰り出した
馬岱「うそ!?」
真っ先に声を上げたのは馬岱。三人の槍は一刀の体に触れることもなく、『備前長船長光』かワイヤーによって弾かれていた
一刀「遅い!!」
馬超「ぐぅ!」
馬岱「きゃあ!」
一刀が叫ぶと同時にワイヤーはその速度を増し、馬超、馬岱の体から血が噴き出した
馬騰「翠、蒲公英!!」
血を吹きだした娘たちに気を取られながらも、馬騰は一刀の連撃をなんとか凌いでいく。その隙に体勢を整えた馬超と馬岱の二人が再度一刀との距離を詰める
指輪をはめた手でもう一刀の『村雨』を抜刀すると、一刀は一旦馬騰たち三人から距離を置いた
馬騰「二人とも、無事か」
馬超「あぁ、この程度なんともないぜ母様」
馬岱「傷自体は浅いけど、絶対に許さないんだから!」
馬騰「それだけ元気があるなら大丈夫だな――!」
娘たちの無事を確認した馬騰は再度一刀目がけて駆け出した。先ほどよりも一層速くなったその動きに、馬超と馬岱が続いた
一刀「ようやっと本調子。でも……」
瞬間、一刀の体から膨大な量の氣が溢れ出した。その氣はワイヤーへと流れ込み、速さと切れ味を増していく。そして、二本のワイヤーが馬騰の脇を通り過ぎ、馬騰の後ろに続く馬超、馬岱の二人に迫った
馬超「っ!?」
馬岱「くぅ!」
ワイヤー自体を視認することはできなくとも、二人は迫ってくる氣と動物的直観を頼りに寸前でワイヤーを避けていた
しかし、ワイヤーを完全に避けきることはできずに二人の槍は無残にも真っ二つにされてしまった
馬騰「ちぃ!」
馬騰は焦りの色を隠せずにいた。誰が相手であれ、三人で挑めば負けることはないと考えていた。だが現実には……
馬騰「そらそらそらそらー!!」
息つく間もないほどの連続付きを放つも、一つ一つを冷静に弾く一刀。しばらくの間二人の間で激しい攻防が繰り広げられ
馬騰「かはっ!」
一刀の蹴りを腹部に喰らった馬騰が砂塵を巻き上げながら後方へと吹き飛ばされた
慌てて立ち上がり構えなおそうとした馬騰の首元に一刀の『備前長船長光』が突きつけられていた
馬騰「私の……私たちの…負けだ」
武器を落とし、がっくりと項垂れた馬騰
涼州連合の象徴とも言える三人が捕縛されたことにより、一刀たちの涼州攻略は終わりを迎えた
鴉「随分呆気なく終わっちゃったね~」
左慈「ふん。人形に何かを期待するほうがおかしい。奴を殺せるのは俺だけだ」
于吉「まぁまぁ、あまり殺気立つと気づかれますよ」
そんな一刀たちの戦いを遠方から見つめる三人がいた
鴉「馬騰さん達も五胡の動きが活発だから、こっちにあまり兵数投入出来なかったみたいだし。シカタナイネ」
于吉「その五胡の動きを活発にしたのは、私たちなんですけれどもね。ね、五胡頭領」
そう言いながら左慈の肩に手を置く于吉。そんな于吉の言葉を鼻で笑うと、徐々に下に下がり始めた于吉の手を払い、左慈は戦場に背を向けて歩き出した
左慈「さっさと城に戻るぞ」
吐き捨てるようにそう言って、早足に歩き出す左慈の後を于吉が追い
鴉「さてさて、いよいよクライマックス。ぐちゃぐちゃに心を掻き毟りたくなるように盛り上げて行きましょうかね」
誰にも聞こえないような声でそう呟いた鴉が不敵な笑みを浮かべていた
一刀たちが涼州を攻めてから数か月後、一刀は許昌の城でお茶を飲んでいた
一刀「で、どうして華琳様は俺の目の前で優雅にお茶なんか飲んでるのですかね」
なんとも不満そうな表情でお茶を飲んでいる一刀の目の前には、お茶を飲み、おいしそうに菓子をつまんでいる華琳の姿があった
華琳「どうしても何も、私がお茶を飲んでいたらいけないのかしら?」
そう言いながら華琳が空になった湯呑みを机に置くと、すかさず秋蘭がお茶を淹れる
一刀「お茶を飲むこと自体に問題はない、ただ孫呉に攻めてるはずじゃなかったのかと訊いているんだ」
華琳「ここ最近、許貢の残党を軍に迎え入れたことは知っているわね」
一刀「許貢といえば……」
そこまで言って一刀はなんとなくではあるが、華琳が軍を退いた理由に気が付き言葉を止めた
そんな一刀の様子に気が付いたのか
秋蘭「その残党たちの中の数名が孫策の暗殺を計画していたようでな。出陣直前で兵站の最終確認を行っていた際に毒矢が発見されてな」
一刀「華琳の逆鱗に触れたと」
秋蘭へ向けていた視線を華琳へと戻した一刀の目に映ったのは、その時のことを思い出しているのか、頬を細かく動かし苛立ちを隠そうともしない華琳の姿であった
華琳「覇道を歩むこの曹孟徳と、江東の小覇王孫策の決戦に毒矢ですって?」
呟くようにそう言った華琳は、机を叩きながら急に立ち上がった。机を叩いた腕は怒りで震えていた
一刀「まぁまぁ、落ち着け華琳。未然に防げただけでも良かったじゃないか。それで、その兵達はどうしてるんだ?」
まともに答えられそうにもない華琳から秋蘭へと一刀が視線を移すと、秋蘭は腕組をしながら
秋蘭「今頃、沙和、姉者、霞の部隊演習と訓練に参加していることだろう」
一刀「それはなんというか……お気の毒に」
華琳「お気の毒なものですか。首を撥ねられなかっただけで、一生感謝され続けても足りないぐらいだわ」
ようやく怒りが収まったのか、華琳は椅子に座り直し菓子へと手を伸ばした
一刀「ふむ、それじゃあ華琳の機嫌直しとして。入ってきてくれ」
華琳と秋蘭の二人が不思議そうに首を傾げていると、一刀に呼ばれた人物が扉の向こうから姿を現した
馬騰「お初にお目にかかる」
そう言いながら馬騰が入ってくると、先ほどまでの不機嫌が嘘かのように華琳は目を輝かせた
華琳「一刀!!」
一刀「わざわざ涼州からここまで来てもらったんだ、あまり失礼なことはするなよ?」
かつてないほどの笑顔を浮かべた華琳を横目に、一刀はそれだけ言うとさっさ部屋から出ていった。その日、華琳、馬騰、秋蘭の残された部屋の明かりは夜遅くまで灯されたままだった
どうもkarasuです。
いかがだったでしょうか? 楽しんでいただけたでしょうか?
ここから一気に展開が早くなっていきますが、ラスト頑張ります。
あらすじをてきとーに入れてみたのですが、こんな感じで大丈夫ですかね? 作品に対するご意見ご感想、お待ちしております。
ここまで読んでいただきまことにありがとうございました。
これからもほそぼそと続けさせていただきたいと思います。
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過度な期待はせずに生暖かい目で読んでください。
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