No.627990

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 外伝~旧市街の復興支援~前篇

soranoさん

外伝~旧市街の復興支援~前篇

2013-10-14 08:56:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:809   閲覧ユーザー数:775

ワジ達はアッバスが出した支援要請を達成する為にアッバスがいる旧市街のジャンク屋―――ギヨーム工房に向かって、中に入ってアッバスに近づいた。

 

~旧市街・ギヨーム工房~

 

「フフ、やってるね。」

アッバスに近づいたワジは静かな笑みを浮かべて声をかけ

「ワジ……それに支援課の面々……それもこちらが指定した通りのメンバーで来てくれたか。」

声をかけられたアッバスはセティ達を見回して言い

「よお、依頼を見てくれたんだな?しかもこっちが指定したメンバー全員を連れてきてくれるとはな。一人でもいるだけでも充分ありがったんだが……」

ジャンク屋の主人であるギヨームはセティ達を見回して言い

「そんな……こういう時こそ私達の力が必要だと思いますし。」

「そうだね。今こそあたし達”工匠”の腕の見せ所だね♪」

セティとシャマーラはそれぞれ答え

「外の様子を見る限り復興はまだまだこれからという印象ですが……」

エリナは真剣な表情で尋ねた。

「ああ、その通りだ。テスタメンツが先導し、旧市街の住民総出で作業に当たっているが……いまだ襲撃の傷跡は大きく、進捗も芳しくない状況でな。」

「そういえば、旧市街は魔人化したヴァルドさんが襲撃したそうですけど……」

「旧市街の人達はその事を知っているの?」

アッバスの話を聞いたセティはある事を思い出し、シャマーラは真剣な表情で尋ねた。

「いや……バイパー以外に気付いてる者などほとんどいないだろう。なにせ、あのような異形の姿で現れたのだからな。」

「ショックが大きいでしょうし……公言しない方が無難でしょうね。」

「…………………」

アッバスの答えを聞いたエリナは目を伏せて呟き、ワジは黙り込んでいた。

 

「………ひとまず、その話は捨て置こう。今重要なのは、復興作業を如何に進めていくかだ。この旧市街においては行政の協力を期待できない上に業者などを雇う資金もない。できれば、特務支援課………”何でも創る”と言われる”工匠”の力を貸してもらえると助かるのだが。」

「はい、任せて下さい。できる限りお手伝いをさせて頂きます。

そしてアッバスの言葉にセティは微笑みながら頷き

「ふむ、それはありがたい。」

「へへっ、お前達ならそう言ってくれると思ってたぜ。」

セティの答えを聞いたアッバスは頷き、ギヨームは口元に笑みを浮かべた。

「それで、僕達は何を手伝えばいいんだい?」

「ああ、今は主に3つの場所で作業を行っていてな。一つは”ロータスハイツ”で行われている炊き出し。一つはメゾン・イメルダ跡で行われている廃材回収作業。最後はこの場所―――”ギヨーム工房”での建材の収集、加工作業だ。支援課には各場所に赴き、それぞれが必要としている手伝いを行ってもらいたい。」

「なるほど………どれも重要そうな作業ですね。」

アッバスの説明を聞いたエリナは真剣な表情で呟き

「ちなみにここでは何の作業をしているの?」

シャマーラはギヨームにある事を尋ねた。

「ああ、ここでは壊れた建物を直すための建材を見繕ってんだ。一応、工房で余った素材なんかも使えそうなんだが……さっき、重大な問題に気付いてな。」

「問題……ですか?」

ギヨームの言葉を聞いたセティは不思議そうな表情をした。

「ズバリ、建材を組む為のネジやら釘やらが足りねえんだ。このままじゃ、修繕すらままならねえ状況ってこった。」

「外に色々と散らばっていましたが……落ちてる廃品は再利用できないのですか?」

ギヨームの答えを聞き、ある事が気になったエリナは尋ねた。

「ふむ、一応カノンという子供に頼んではいるのだが……」

「ま、あれはどちらかというと資金調達のためにやってもらってることでな。それに強度の問題もあって、なるべく新品を使いてえんだ。」

「やれやれ、難儀なことだねえ。それじゃあ、どこかからネジや釘を仕入れてこいってことなのかな?」

二人の話を聞いたワジは溜息を吐いた後尋ねた。

「いや、それよりも断然いいものがある。武具の改造などに使っている”Uマテリアル”を使うんだ。あの素材があれば、その辺のものは作れちまうからな。」

「”Uマテリアル”か~………あれ自体はなかなか手に入りにくい材料だよね?何個必要なの?」

ギヨームの話を聞いたシャマーラは考え込んだ後尋ねた。

「そうさな………10個もありゃ釣りが来るだろ。どうだ、調達を頼めるか?」

「………………………そうですね……勿論調達してきますが………今後の事を考えて”Uマテリアル自体”をいっそ”創って”みませんか?」

ギヨームに尋ねられたセティは考え込んだ後尋ね返し

「へえ?」

「………マジか?だったら是非とも創り方を教えてもらいてえんだが………あの素材は何にでも使えるし、そこそこ良い値で売れるから、資金にもなるしな。」

セティの言葉を聞いたワジは目を丸くし、ギヨームは目を丸くした後驚きの表情でセティ達を見つめて言った。

「ええ、そのぐらいでしたら。……ただ、材料がないのでそちらの方も”Uマテリアル”自体の調達と共に今から調達してきますね。」

「ちなみに”Uマテリアル”を創る材料は廃品やクロスベル市外の街道の市内に比較的近い場所で手に入ると思いますので、元値はかなり安く済むと思います。」

ギヨームの言葉にセティとエリナはそれぞれ答え

「ちょっと気になったけど、君達はそれでいいのかい?自分達が試行錯誤して開発した物の創り方を他人にあっさり教えちゃって。」

「えへへ……”工匠”が開発した物の創り方は基本、無償で他の”工匠”達にも開示されるから全然問題ないよ!」

ワジに尋ねられたシャマーラは笑顔で答え

「へえ……”工匠”ってのは太っ腹なんだね。」

シャマーラの答えを聞いたワジは感心し

「頼んだぞ、特務支援課の諸君。」

アッバスはセティ達を静かな表情で見つめて言った。

「それでは早速手伝いを始めましょう。まずは炊き出しと廃材回収の方にも話を聞きに行きましょう。」

「後は”Uマテリアル”を創る材料の調達ですね。」

「了解。古巣が大変な時だ、一肌脱がせてもらうよ。」

そしてセティとエリナの提案にワジは頷いた。

 

その後セティ達は行動を開始した……………

 

 


 
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