No.627877

【獣機特警K-9ⅡG】幻獣激突、そして【戦闘】

古淵工機さん

一回ぐらい、ヴォルペがピンチになってもいいんじゃないかと思った。
でもなぜか死亡者が出ない不思議。リク君はケガしたみたいですが。

◆出演
クロエ:http://www.tinami.com/view/627595

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2013-10-13 23:08:37 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1000   閲覧ユーザー数:875

ラミナ市からほど近いここは港湾都市ドルフィンベイ。

この街の一角にある廃倉庫で、恐ろしいことが起こっていた。

 

「うわあぁぁぁ!誰か!誰か助けてくれぇっ!!」

地元のカレッジに通う学生、服を見ると男子サッカー部員だろうか、

アライグマ形の少年ロボットが、なにやら謎の女に追い詰められていた。

付近には同じ部に所属していたと思われる少年ロボットたちの遺体が転がっている。

「んー、なに?よく聞こえなかったんですけどー?」

少年ロボットにじりじりと近づいてくる女は、一見するとライオン型ファンガーのようだが、

その背中には巨大な翼、そしてその尾はサソリの毒針である…。

彼女は遺伝子操作によって生み出された幻獣マンティコア…クリムゾンクロスのクロエ。ポイズンであった。

 

「く、来るな!来るなってんだよぉ!?」

「いいねその顔。ホントよくできたオモチャじゃね?マジ遊び甲斐ありそうなんですけどー?」

ロボットの少年はすっかり袋小路に追い詰められ逃げ場がない。

クロエは舌なめずりをしながらゆっくりと尾の毒針をロボット少年に向ける。

「じゃあさぁー…これあーたの身体ン中入れたらどうなっちゃうかな?他のオモチャはなんかヘンなノイズ上げてコワれちゃったけど、アンタはどんな音出んのかなー、みたいな?ヒャハハハハハ!!」

まさに彼女が毒針を少年ロボットに向けようとしたそのときだった!!

「でええぇぇぇぇぇぇいっ!!!」

「がっ…!?」

前半身がオオワシ、後ろ半身がウマの姿を持つ大型の幻獣・ヒッポグリフがクロエにむかい突進してきたのだ!!

「な、なんなのこいつ!?チョー邪魔なんですけど!?」

「放してたまるかよ…それとも今ここではらわた引きずり出してやろうか!?」

やたら口の悪いこのヒッポグリフは、ラミナ警察署の幻獣部隊に所属するぐり之進であった。

「ぐり之進!そのままこいつ逃がすんじゃないわよ!」

と、あとから入ってきた黒ネコ型ファンガーの女性はルネ・シャルダン。ぐり之進のマスターである。

ルネはすぐさま少年の下に駆け寄ると、そのまま抱き上げる。

 

「さ、逃げるわよ!しっかりつかまって!」

「は、はい!!」

ルネはそう言うと、少年ロボットを連れて走り出した。

「今です隊長!!」

「よしきた!!」

ルネの合図と入れ替わりに白いドラゴンの女性が入ってきて、クロエの顔面に跳び膝蹴りを食らわせる!!

幻獣部隊の隊長、淵野辺霧香の変身した姿である!!

「あーぁ、せっかく面白くなってきたのにジャマするとかありえないんですけどー」

「ありえないのはアンタだ。ここにいたロボットたちを殺した罪、決して許されるもんじゃないよ!」

「うは、殺すとかwwwマジウケるし!オモチャが壊れただけっしょ?」

と、狂ったように笑みを浮かべるクロエに対し、キリカは鬼のような形相を浮かべて叫ぶ。

「貴様ぁぁっ!!」

「あー、あたしあんたらと遊んでるヒマないんだよね。じゃあさいなら」

クロエはそう言うと、スカートの仲に隠し持っていた煙幕弾を地面に叩きつけた!

 

「ゲホッ、ゲホッ…く、くそっ!ぐり之進!匂いで追跡しろ!」

「ムリだキリカ…ゲホッ、ゲホ…煙幕の匂いがきつすぎて…!!」

「ちっ…味な真似しやがって、クリムゾンクロスめ…!!」

煙幕が晴れたときにはクロエの姿はなかった…。

数日後、カフェ・ラ・ヴォルペ。

「…というようなことがあったんだってさ。ヒドくない?相手は罪もない学生ロボットだったのよ!?」

と、話を切り出すのは雑貨店経営者のデイジー・アサガヤ。

「15人の部員たちのうち無事だったのはわずか3人だったって…」

と、その話を聞いて俯くのは売れっ子歌手・Janeことジャネット・エクセロン。

二人のもとに、白犬型ロボットの女性である煌月空がやってくる。

「ほかにご注文はありますか?」

「ああ、【ヴォルペ特製ホットケーキ】もらえないかしら」

と、いつもの注文をするジャネット。だが、その隣のデイジーはソラに話しかける。

 

「…ソラちゃん」

「はい、なんでしょう?」

「ソラちゃんもロボットなんでしょ?クリムゾンクロスの標的になってるかもしれない。十分気をつけるのよ」

「大丈夫ですって。そう簡単にやられたりは…」

と、自信満々に話すソラ。だがその途端、バックヤードから彼女の兄、煌月陸斗の声が轟いた!!

「ソラ!デイジーさん、ジェーンさんも危ない!!伏せるんだぁーっ!!」

「え!?」

わけがわからないままテーブルの下に隠れる三人。その直後、激しい閃光と爆風が店内に轟いた!!

「い、一体何があったんだリク君!」

と、店主のカルロ、それに続いてその妻のルチア、娘のモニカが飛び出してくる。

「…クリムゾンクロスの…攻撃ですよ…」

と、リクはカルロの方を向いた。

 

…リクの右頬は吹き飛び内部のメカが露出し、さらに右耳にいたっては吹き飛んでいた。

さらに右肩、右腕も人工表皮が焼け落ち、やはり内部のフレームが鈍い金属光沢を放っていた。

「り、リク!そんな…リクっ!!」

リクのその姿を見たモニカは思わず涙を流して抱きつく。

そんな彼女を見るや、リクは微笑を浮かべると、モニカを抱き寄せ肩をなでながらささやく。

「大丈夫。この程度の損傷(ケガ)なら慣れっこだからね」

「でも…あなたの顔が…あなたの身体が…」

「心配しなくていいってば。俺はこの程度じゃ死なないよ。現在の機能レベルは75%。十分動けるさ!」

と、機械がむき出しになった右手で誇らしげに胸を叩くリク。

その姿を見たモニカは思わずリクの肩をとり、しばらくその瞳を見続ける。そして…。

 

「リク…」

「モニカ…」

「リクっ、リクぅっ!」

「モニカ、モニカぁっ!!」

と、こんな状況だって言うのに抱き合う二人。バカップルもいいとこである。

その様子を傍目で見ていたソラの心には、ある感情が芽生え始めていた。

(あまつさえ罪のないロボットたちを何人も殺して…今度は私の大事な人たちまで奪おうとした…クリムゾンクロス、絶対許すわけにはいかないわ!)

思わず拳を握り締めるソラの耳に内蔵された通信機に、イシスからの連絡が入った。

 

『こちらイシス!ソラちゃん、応答して』

「はい、ソラです」

『ソラちゃん!?さっきヴォルペにマイクロロケット弾が撃ち込まれたって…怪我はなかった!?』

「大丈夫です、私はテーブルの下にすぐ隠れましたから。兄も爆風で毛皮がちょっと焼けてしまいましたけど、どうにか無事です!」

『そう、とにかく無事でよかった…隊長からの連絡よ。作戦会議を始めるからラミナ署のK-9ルームに至急集合ですって』

「了解!すぐ向かいます!」

『移動中も襲撃が予想されるから、絶対に気を抜いては駄目よ』

 

…かくて、いよいよK-9隊とクリムゾンクロスの対決が始まろうとしていた。

果たしてクリムゾンクロスの目的とは!そして、K-9隊の運命やいかに!?


 
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