先程の事象が嘘の様に再び月が姿を消した。空からは待ってましたと言わんばかりの
雪が三度強く舞い降り、地上を更に白く染め上げていた。
そして、気になるのは愛を確かめ合った二人。彼らは情事を終え、
寝台で、端から見れば幸せそうに会話を楽しんでいた。
それでは、スポットライトを再び二人に浴びせるとしよう。
甘い物語の始まり始まり…
「一刀ったら。激しい過ぎるのよ。…ばかっ!!」
「…面目しだいもございません」
「全く…。どうかなっちゃうかと思ったんだから」
「あはは。桂花への想いが溢れちゃったから、つい…」
「もう!笑い事じゃないわよ!!」
「ゴメンゴメン。…だけど桂花だって凄い事を言ってたじゃないか」
「…なにがよ」
「一刀好き。好きなの大好きなの、強く抱きしめて。一刀!一刀!一刀!…って」
「ちょっと!?止めてよ!……恥ずかしい…じゃない」
「俺としては嬉しかったから…ね。…けど、恥ずかしいか。
なんだかあの日を思い出しちゃうな」
「…あの日って?」
「ほら。俺が桂花に告白して想いが成就した日だよ。
あの日も今日みたく言ってたじゃないか、口付けした後に恥ずかしいって」
「…そうだったわね。そして、一刀に天の言葉を教えてもらったのよね」
桂花との甘い会話 ~Sランク直後~
「…嬉しいな。桂花が好きって言ってくれて」
「恥ずかしいから、そう言う事は口に出さないでよ。
…顔から火が出そうだわ」
「あの桂花が好意を表出してくれたんだ。
俺が口に出して舞い上がるのも仕方がないだろ」
「あのって…。一刀は失礼な人なのね」
「…桂花。今まで君が俺にしてきた事を、胸に手を当てて思い出しみろ。
結構酷い事をしてたぞ」
「そ…それは、……い…いいじゃない!!昔の事なんて気にするだけ無駄だわ!
大事なのは今とこれから。過去を穿り返すだけ無意味よ!」
「…まぁ。俺も別段、気にしてないから構わないけどね。
よし!この話は閑話休題!」
「…悪かったと思ってるわよ。……ごめんなさい」
「ん?なんか言った?」
「な…なんでもないわよ!」
「そっか。…なぁ桂花。もう一度俺に好きって言ってくれないか?」
「え?な…なんでよ」
「いや、単純に聞きたいんだ桂花の口から好きだって。
そしたら、明日も頑張れるなと思ってね」
「……無理よ」
「どうして?」
「だって、恥ずかしいじゃない!」
「恥ずかしいって…。さっき俺に告白してくれただろ。好きだって。
今更恥ずかしがる事ではないだろ?」
「あの時は気持ちが昂ってたし、想いを伝えようと必死だったし…。
と…とにかく!無理なものは無理なの!!」
「そこをなんとか…な。頼むよ」
「うう。…わ、私は一刀を…す、すすすす………やっぱり無理だわ!!」
「ええ~」
「ええ~じゃないっ!は…恥ずかしいんだから、仕方ないでしょ!」
「う~ん。…ならさ、I LOVE YOUって言ってみてよ」
「愛バブブー?…急に赤ちゃん言葉?気持ち悪いわね、この変態!!」
「
「…冗談よ。それで、その言葉はどんな意味なの?」
「私は貴方を愛してます。って意味。これなら恥ずかしがらずに言えるんじゃないか?」
「まぁ。それなら大丈夫だと思う…」
「なら。早速頼むよ」
「…わかったわ。……一刀。…その、あ…あい、らぶ、ゆう」
「…ありがとう、桂花!」
「きゃっ!?か…一刀!?」
一刀は嬉しさから思わす桂花を抱きしめた。桂花はと言うと一刀の腕の中で
頬を赤く染めていた。当初、驚きの余り離れようと思った桂花であったが、
次第に心地良くなり、借りられて来た猫のように大人しくなっていった。
願わくば現状の如く、一刀と共に安らかな未来が訪れます様にと、
細やかに思いながら……
「うっし!!明日も警邏を頑張るぞーーっ!!」
「…ふふ。ほんと、単純な奴だわ……ば~か。…ふふ」
現在 ~一刀の部屋~
「少し前なのに、今、思うと懐かしいわね」
「うん。確かに懐かしいね。…そう言えば、桂花は何時から躊躇なく、
俺を好きって言える様になったっけ?」
「あの時よ、ほら、一刀が訓練で怪我をして帰って来た時」
「あ~。あの時か。大した怪我ではなかったんだけど、
桂花が泣き付いて、一晩中俺を看病してくれたんだったよな」
「…だって、仕方ないじゃない。一刀が心配だったんだもん。
昼は仕事で抜け出せなかったし…」
「別に責めてる訳じゃないんだ。只、嬉しかった。それだけの話だよ」
「…良かった。一刀に嫌われたら、どうしようかと思った」
「そんな事ある訳がないだろ。俺は桂花に惚れてるんだ。
嫌いになるなんて、天地が引っくり返る程ありえないよ」
「ふふ、嬉しい。…一刀、アイラブユウ」
「…俺も、I LOVE YOU」
二人は口付けを交わした。感情の赴くままの濃厚な口付けではなく、
啄ばむ様な優しい口付けを…
「…ん。…ふぅ。……喉が渇いたな。少し話しすぎたかな?」
「…そうね。私も喉がカラカラだわ」
「…用意したお茶は…空か。厨房に行って水を持ってくるか。
…桂花、今日は泊まっていくだろ?」
「いいの?」
「いいも何も大歓迎だよ。桂花と一緒に居たいし」
「ありがとう、一刀」
「ん。それじゃあ厨房に行って、水を取って来るから少し待っててくれ」
「わかったわ」
一刀は制服を着衣し、厨房へと歩いていった。桂花はというと…
「……アイラブユウか、…ふふ。ふふふふふ。一刀から言われると何時もと違って、
照れくさいわね。けど、嬉しい。…一刀と肌を重ね合えたし…。…ふふ」
寝台で喜び悶えていた。
「ふふ。…そう言えば、アイラブユウってどう書くのかしら?
天の文字は私達の世界と余り大差がないって、一刀は言ってたし……気になるわね」
そう思った桂花は服を纏い、寝台から抜け出すと、
机に置いてあった竹簡と筆を見つけ。椅子に座った。
「…私ってば、根っからの軍師なのね。身体はクタクタなのに知識欲に駆られるなんて。
っと、今はそんな事を言ってる場合じゃないよね。…え~と。アイはやっぱり愛よね。ラブは……」
「……出来たけど、これって……」
「お待たせ桂花。って、あれ?服を着ちゃったのか、残念だな……」
「一刀。あの…その…聞きたい事があるのだけれど…」
「ん?何?」
桂花は手をモジモジさせ、顔を真っ赤に染めながら一刀に問いた。
「あの…その……えっとね………か…一刀は、油でするのが…好きなの?」
「油?なんの話?」
「…な、なんでもないの!…私やっぱり自室に戻るね!!」
「え?お…おい、桂花!?」
桂花は恥ずかしさから、小走りをし扉の取っ手を掴んだ
そして…
「…私、一刀が望むなら何でもしてあげるからね。……お休みなさい!」
湯気が出そうな位、顔を更に赤く染め勢い良く、自室へと駆け出したのであった。
一方、一刀は…
「…何なんだ一体。せっかく水を持ってきたのになぁ…。
…ん?俺、竹簡使ったっけな?…それに何か書いてあるぞ」
愛裸撫油有
「……新手の呪文か何かか?…はぁ~。桂花は自室に戻っちゃうし、、
天国から地獄に突き落とされた気分だよ。……もう寝よう」
気分を落としながら、寝床に就いたのであった。
…因みに、お気づきであると思うが、桂花が書いた、あの当て字は…
…魏の猫耳軍師は頭の中まで、一刀色に染め上げられているのでした。
めでたしめでたし?
オマケ
20投稿目、という事でイラストを描きました。
『桂花との甘い一時』のシーンから。一刀の制服を手に取り、匂いを嗅ごうとする桂花。
桂花に見えるか少し心配です。
ご拝読ありがとうございました!!
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こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
今回は前回のすぐ後のお話です。
導入部…ん?シリアス系の甘い話かな?
中盤……やっぱり、いつも通り甘々な話じゃないか!
ラスト…( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
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