賈駆「月!虎牢関が落ちた!」
董卓「……恋さんや霞さんは?」
賈駆「あの二人はどうやら戦場を離脱したみたい。……洛陽に戻ってくるかは微妙かもね。」
董卓「華雄さんは?」
賈駆「行方不明だそうよ。」
董卓「……そう。」
賈駆「連合軍を甘く見ていたのは僕の責任。……月、洛陽を捨てよう。」
董卓「……捨てるの?」
賈駆「うん。洛陽を捨て、涼州に戻って再起を図る。それしか方法は無いわ。」
董卓「……詠ちゃん。私たち……そこまでして戦わなくちゃいけないのかな……?」
賈駆「戦いを仕掛けてきたのは、今、連合を組んでいる諸侯の方!僕たちは降りかかる火の粉を払いのけただけ、でもね。洛陽を捨てたって、諸侯は月を狙って涼州にまでやってくる。……生贄を捧げなければ、権力争いを止めることは出来ないから。」
董卓「……」
賈駆「……ごめんね、月。」
董卓「ううん。良いの。……涼州に帰ることが出来るのなら、そうした方が良いと思う。」
賈駆「絶対……絶対に月を涼州に連れて帰るから。だからもう少しだけ僕の指示に従って。」
??「ちょっと待ってもらおうか!!」
董卓「っ!?」
賈駆「誰!?」
華雄「董卓様方、私の顔を忘れてしまったのですか?」
董卓「華雄さん!」
賈駆「華雄!生きていたのね!」
華雄「はっはっは、あの程度の奴らには負けないさ。っと、そんなこと言ってる暇は無いな。急いでください。ここから逃げましょう。」
賈駆「逃げるって言っても連合軍は月のことをどこまでも追ってくるわ!そんな簡単にいくわけないじゃない!!」
華雄「大丈夫だ。私の知り合いが連合軍の手の届かないところに住んでいる。そこへ行ければ平和に過ごしていくことが出来る。」
賈駆「そんな夢みたいな話が……」
華雄「董卓様、信じてください。」
董卓「……詠ちゃん。華雄さんの言う通りに逃げよう。」
賈駆「なっ、華雄が裏切ったらどうするつもりなの!?華雄は一度連合軍に捕らえられてもおかしくなかったのよ!」
董卓「裏切るなら、今頃私たちは殺されるか、捕まってるよ。そして、なによりも華雄さんを信じたいの。お願い、詠ちゃん。」
賈駆「……」
華雄「賈駆……」
賈駆「絶対に連合軍はそこまで来ないの?」
華雄「あぁ。」
董卓「……」
賈駆「はぁ、分かったわよ。華雄を信じてあげるわ。」
董卓「詠ちゃん。」
華雄「では、私について来てくれ。」
~装 side~
華琳「ふむ……この静けさはどういうことかしら。」
華琳さんは顎に手をあてて、何かを考えているようです。
あの虎牢関での出来事の後、華琳さんは春蘭の姿を見て目を見開き、涙目でその状況を訊いてきました。
春蘭は目を喰らったときの事もしっかり伝えると、華琳さんは涙をひっこめ「良い心がけよ、ご褒美として今夜閨にいらっしゃい。」というと春蘭は顔を真っ赤にし、喜んでいました。
秋蘭も春蘭の姿を見て、驚きはしたものの「やはり姉者だな。今度、眼帯を一緒に買いに行こう。」と笑って言っていました。
そしてそのまま孫策軍(袁術軍)が虎牢関の一番乗りを果たし、次の戦は洛陽となりました。
まぁ、戦は無いでしょうがねぇ。ケケッ。
秋蘭「どうかされましたか?」
華琳「洛陽に近づいてきているというのに、何も起こらない。……気にならない?」
春蘭「そういえば……動きがありませんな。」
華琳「気になるわね。……霞。」
霞「ん?何?」
ちなみに張遼は曹操軍と真名を交換しました。
それでも何故か僕のことを『元侍中さん』と呼んでくるんですよねぇ。
多分、皇帝の味方の立ち位置だった僕は、董卓のことを知っているはずなのに連合軍に参加している、ということが気に入らないと思い、無意識になれている『侍中さん』に、無意識に皮肉を合わせ『元侍中さん』とでもなったのでしょう。
当たっているか、どうかは知りませんがねぇ。
それと春蘭と霞殿はあの目のこともあり、かなり仲が良くなっていて、秋蘭が久しぶりに酒に誘ってくれたのかと思ったら、愚痴をただひたすらに聞かされることになってしまいました。
「姉者は可愛いんだ」から始まり、「姉者は多少抜けている所もあって」と繋がり、「姉者は霞に盗られてしまうのでは、ないだろうか」など。
僕が解放されたのは、空が白み始めた頃でしたねぇ。
これだから酔っぱらいは……
華琳「董卓軍の内部事情を説明してくれるかしら。」
霞「内部事情?……内部事情なぁ。」
春蘭「どうした?まさか昔の仲間を売るのは嫌とでも言うんじゃないだろうな?」
霞「そら仲間を売るのは嫌や。けどウチかてアホやないねんから、今の主人が不利になるようなことはせんわい。」
春蘭「なら、何を躊躇しているのだ?」
霞「内部事情ってもんが無いから、何を言うてええのか分からんねん。」
華琳「内部事情が無い?」
霞「せや。元侍中さんは知ってるかもしれんけど、元々、董卓は涼州でのんびり暮らしてた。
せやけど、前の帝位継承争いの時に、董卓の軍事力を利用しようとした張譲に騙されて、洛陽に進駐することになってん。
その時に諸侯……というよりも、張譲と対立していた何進の片腕、袁紹と袁術にハメられて、いつのまにやら、洛陽を占領した悪人に祭り上げてもーたって訳や。
んで、気付いたら諸侯連合が出来てて。
降りかかる火の粉を払おうとして、汜水関、虎牢関に兵を容れて……って感じやからな。内部事情云々なんて殆どあれへん。
そもそも、董卓の傍に居る人材らしい人材っちゅーたら、呂布を筆頭に、陳宮やろ、ウチやろ、んでもって猪の華雄に、軍師の賈駆ぐらいや。
賈駆は董卓のことを愛しとるから、反乱なんて絶対に起こさん。これは保証するわ。……他の人間は、逃げるなり、戦死するなりしとるからなぁ……」
華琳「ふむ……内部に混乱や波乱が起こる可能性は少ないということか。」
霞「そういうこっちゃ。考えられるんは……」
華琳「洛陽を捨て、涼州に帰るか。……董卓にとってはそれが幸せかもしれないわね。」
桂花「しかし華琳様。世論はすでに董卓を悪とし、連合を善としています。もはや涼州に帰れば全てが終わるという段階では無いかと。」
華琳「そうね。……茶番とはいえ、何らかの終幕を迎えなければ劇にもならない。……董卓はこの茶番を終わらせる贄となる、か。」
秋蘭「どこまでも追いかけて、ですか。……ふむ、不憫ですな。」
華琳「それで、ソウはどう考えているのかしら?先ほどから妙に大人しいけど。」
装「どう考えているか、ですか……。別に特には無いですよ。不憫であっても、それは自業自得です。運も実力の内ですねぇ。」
華琳「ふぅん。まぁ、同情の余地は無いわね。」
桂花「ところで華琳様。これから我らはどう動きましょう?」
華琳「捨てられた都に先陣切って雪崩込めば、洛陽の民の反感を買うでしょう。我らは悠々と入場し、民たちの心を獲る。」
春蘭「ということは……戦わないということですか?」
華琳「そうよ。……つまらないの?」
春蘭「い、いえ、決してそのようなことは……」
霞「……無理せんでええのに。」
春蘭「うううう、うるさい!」
秋蘭「……相変わらず分かりやすいな、姉者。」
装「まったくですねぇ。」
華琳「そこが春蘭の可愛いところよ。……では皆、それぞれの判断で部隊を動かしなさい。」
五人「御意。」
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華雄さん再登場!!
ミスごめんねー。