No.625924

【真・恋姫†無双】桂花との甘い一夜

南無さんさん

こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
桂花と甘いシリーズ第三弾です。
実はこのシリーズ少し拘りがありまして、なるべく台詞だけで話を構成させようと思っていましたが、今回は三人称のナレーションを結構いれております。
なので、いつもの2828展開と言うよりは、シリアス系な、
ほろ甘い作品になっております。

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2013-10-07 09:15:02 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:7935   閲覧ユーザー数:6440

 

 

季節は冬、天高く輝いてた月が四刻程前から姿を消し、空から雪が断続的に降り続いていた。

 

地上ではその雪が積もり一面、銀世界に染め上げ、観る者の心を奪わせるような、

 

幻想的な雰囲気を醸し出している。

 

 

そして、とある一室。二人の男女が愛を確かめ合おうとしていた。

 

 

これは甘い物語

 

 

数多の猛者が砂糖を吐き出すほど、蕩けるくらい甘い……

 

…少し時間を巻き戻そう。事の始まりは女が男の部屋に訪れた時。

 

それでは、始めるとしよう。

 

 

ようこそ。極甘な世界へ……

 

 

 

 

 

 

降り頻る雪の中、桂花は一刀の部屋の前に来ており息を漏らしていた。吐いた息は白く、

 

手も冷え相応の寒さを窺わせている。桂花は戸を叩こうとしたが、間をとり深呼吸をした。

 

夜更けに女が男の部屋に訪れるのだ。鈍感な男でも、これから何が行われるかわかるだろう。

 

桂花は覚悟を決め戸を叩いた。

 

 

トントントン

 

「…一刀。……来たよ」

 

「…いらっしゃい、桂花。外、寒かっただろ?」

 

「ううん、大丈夫。一刀に会えるんだもん全然平気よ」

 

「…桂花は相変わらず可愛い事をいうなぁ。さあ。中に入って」

 

「う…うん。…お邪魔します」

 

「適当に座っててよ。用意したお茶を煎れるからさ」

 

「わ…わかったわ。ありがとう一刀」

 

 

桂花は寝台に座り、一刀は用意していた茶器にお湯を注いだ。

 

寒さで悴むこの季節。一刀は桂花が底冷えになるのを予想していた。

 

だから、一刀はお茶を準備していたのだ。

 

 

「………こうやって。少し蒸らすと美味くな…るっと!…出来た」

 

「……………」

 

「はい、どうぞ。……桂花?」

 

「な…何かしら」

 

「……いや、何でもない」

 

「そ…そう?か…一刀が煎れてくれたお茶、頂くわね。

 ……美味しい。凄く美味しいわ」

 

「当然。桂花を想って煎れたんだ、美味いのは当たり前だよ」

 

「……ばか。………でも凄く嬉しい」

 

「喜んでくれてよかった。…隣、座っていいかな?」

 

「う…うん」

 

「それじゃあ失礼するよ」

 

「……………」

 

「……………」

 

 

暫しの間、沈黙が場を支配した。桂花は神妙な面持ちで一気にお茶を飲み干す。緊張しているのだ。

 

一刀に抱かれる。こんなに嬉しい事はない、しかし自分でもわからない

 

別の感情が頭の中で渦巻いていた。身体が震える。心が震える。

 

寝台に座っていた桂花は徐に立ち上がり湯飲みを机に置いた。

 

そして、そのまま寝台に戻り、気持ちを落ち着かせる為、眼を閉じた。

 

 

「……………」

 

「……緊張してる?」

 

「えっ?」

 

「桂花の顔に書いてあるよ。緊張してるって。後、身体が少し震えてるしね」

 

「……緊張するわよ。だって、その……一刀の女になるのよ。

 普段通りで居るなんて無理だわ」

 

「…怖い?」

 

「怖くはないわ。けど、自分でも判らないの。どうして身体が震えているのか

 こんなにも嬉しい筈なのに……」

 

「…桂花」

 

「か…一刀!?」

 

 

一刀は桂花を落ち着かせる為に優しく抱きしめた。

 

 

「俺の心音が聞こえる?…俺だって結構緊張してるんだ。

 ふふ。桂花と一緒だな」

 

「一刀……」

 

「……色々あったよな。初めて会った瞬間に罵倒されたり、一緒に落とし穴に陥ったりさ。

 …俺、桂花とこういう風に好き合う関係になるとは思わなかったよ」

 

「……………」

 

「けど、今は想いが通じて、お互いが大切に思ってる。

 一握りの勇気の告白で俺と桂花の道が交わったんだ。

 これって凄いよな。住む世界が違う二人が結ばれるなんてさ」

 

「…そうね。私達は本来、出逢う筈はなかった。

 でも、奇妙な運命が重なり一刀に出逢えた」

 

「そして、俺は桂花を好きになった。男嫌いの君を……」

 

「私も一刀を好きになった。男嫌いだった筈なのに貴方を……」

 

「奇跡なんて安っぽい言葉で俺達の出逢いを片付けたくない。

 この巡り会いは必然だったんだ。…俺はもっと桂花を知りたい。桂花を俺の女にしたい」

 

「一刀……。私もそう望んでいるわ、貴方の女になりたいって…」

 

「…嬉しいよ。……震えが止まったようだね、桂花」

 

「…本当(ほんと)だ。これも一刀のお蔭ね」

 

「大した事はしてないよ。俺は只、桂花を安らげようと勤めただけだから」

 

「謙遜しないで…。私の心は何時も以上に澄みきっているわ。

 これは一刀のお蔭なの。貴方にしか出来ない事なの」

 

「桂花……」

 

「…待って。……明かりを消して、恥ずかしいから…」

 

「…わかった」

 

 

一刀は燭台の火を消して、桂花を優しく寝台に押し倒した。

 

 

「…貴方に会えて本当に良かった。

 もしかしたら私の男嫌いは貴方に出会う為のものだったのかも知れないわ」

 

「なら感謝しないとな。そのお蔭で桂花を他の男に取られずに済んだんだ。

 …愛しい君を……」

 

「一刀……。私の有りのままの想いを受け取って……。

 誰よりも貴方を…愛しています」

 

「俺もだ…。誰よりも桂花を…愛してる」

 

 

二人が愛を囁き合った瞬間、降り頻る雪が急に止み、今まで雲に覆われていた月が姿を現した。

 

丸で二人の仲を祝福するように、より一層輝きを増しながら…

 

そして、窓から月の光が差し込み、二つの影が今……一つに重なった…

 

 

 

 

                            ~次回、桂花との甘い勘違いに続く~

 

 

 

 

 

 


 
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