真・恋姫†無双 異伝 ~最後の選択者~
第三章、『決別の道』
外史に降り立った二人を迎えたのは、幽州涿郡太守・公孫賛であった。
涿郡の善政に助力するうちに、かつて同じ時を共に過ごした者達が次々に集ってくる。
やがて、二人は遂に邂逅する―劉備玄徳、真名を桃香。
かつて仁徳を掲げて共に戦った同志は、今また『天の御遣い』を求めてやってきた。
しかし、彼女の傲慢とも言えるやり方を、公孫賛は喝破する。
静かに胎動する『計画』。訪れる戦いの時。
情報の掌握、各方面への手回し、黄巾党との戦い。表と裏の戦いを繰り返す二人。
新たな出会いにも恵まれ、二人の『計画』に様々な因子が絡みついていく。
黄巾党との決戦の後、平原にやって来た一刀達を許しもなく神輿として祭り上げる劉備軍の面々。
まるでそれは、一刀達の虚名を利用して自分達の行いを正当化するような行い。それを唯一諌め、
止めようとした鳳統。しかし劉備は聞き入れようとしなかった。
『計画』に気付き、自らを監視者として任じた鳳統。
峻厳苛烈なる信念の炎を宿し、主君たる劉備の甘えを許さず、誇り高く在ろうとする少女。
その在り方は、一刀達にも影響を与えていく。
そして平原にも届けられた反董卓連合の檄文。
望みは薄いと悟りながらも、二人はまだ劉備に期待を抱いていた。
しかし、劉備は連合への参加を決定する。己の激情に任せて。
この期に及んで、自分達には天が付いていると言い張って。
二人は遂に歩むべき道を定める。
『乙計画』…劉備と敵対する道を。
かつての仲間達を裏切ることに苦悩する一刀と朱里。
しかし、二人はそれでもその道を往く。
外史を救い、数多の命を救う。そのためにこそ、外史に戻ってきた。
今までの外史では採り得なかった、過酷な選択肢。
それが未来に繋がると信じて、二人は修羅の道へと歩み出す。
歩め。ただ、誇りとともに―
人物紹介(その2)
◇公孫賛軍
◆公孫賛 伯珪 / 白蓮 (こうそんさん はくけい / ぱいれん)
武器:普通の剣
幽州・涿郡の太守を務める少女。『白馬長史』の異名を持ち、それなりに有名人。
幽州に降り立った一刀達を保護し、客将として迎え、黄巾党への対策を進める。一刀達の虚名を最初から利用することはせず、二人に十分な
実績を積ませ、確かな支持基盤を形成させてから虚名を売り出すなど、極めて堅実な方策を取る。一刀達を大切な友として見ており、二人の
『天の御遣い』という立場を利用しようとする者、二人の力を欲望や野望の為に利用しようとする者に対しては激しい怒りをあらわにする。
高潔な精神の持ち主で、今回は私欲だけでは決して動かない義侠としての一面が強く出ている。
友人である桃香の理想を支持こそしているが、あまりにそれが先行し過ぎている事には苦言を呈することもある。
『超越者』の一人。
◆趙雲 子龍 / 星(ちょううん しりゅう / せい)
武器:直刀槍『龍牙(りゅうが)』
旅の武人。『常山の昇り龍』の異名を持つ、冀州常山国出身の少女。
稟や風と共に旅をしていたが、路銀が尽きたので、ちょうど涿郡に来ていたこともあり、素晴らしい善政を敷いているとの
評判である白蓮の許で客将となる。その際一刀と出会い、彼の実力を見縊って勝負を仕掛けるが、あっさりと敗北。以後は一刀の部下として
軍を率いることになる。
性格は変わっていないが、一刀に教えられたこともあってか、幾分謙虚さが強まっているようにみられる。なぜか彼に興味を引かれる自分を
自覚しているが、それが恋愛感情なのかどうかまでは判断が付いていない模様である。
『超越者』の中でも特殊な存在である『大超越者』の該当者。
◆程昱 仲徳 / 風(ていいく ちゅうとく / ふう)
稟や星と共に旅をしていた軍師。
星の路銀が尽きたのに付き合い、しばらく白蓮の許に客将として逗留することになる。
一刀達の行動の理由を薄々察していたり、平原に向かう一刀達を予言じみた言葉で見送るなど、相変わらずの鋭さを発揮している。
何を考えているかよくわからないのは相変わらずだが、自分がどうすべきなのかは定めつつある模様である。
一刀に対する呼び方が変わっていないのは仕様。一刀のことは好ましく思っている他、朱里には友人として接している。
(まだこの時は「程立」と名乗っていますが、便宜上「程昱」の名で紹介させていただきます)
◆郭嘉 奉考 / 稟(かくか ほうこう / りん)
風や星と共に旅をしていた軍師。
星の路銀が尽きたのに付き合い、しばらく白蓮の許に客将として逗留することになる。
一刀らの能力や、彼らが提案する政策などを高く評価しているが、彼らの人間離れした部分には少し引き気味である。
性格は変わっていないので、その毒舌も変わっていない。鼻血癖もあるが、まだそういう状況が起きていないため鼻血噴射をしていない。
心中では既に誰に仕えるかを決めてはいたようだが、それでも涿郡に留まることを選んだあたり、迷いが生じている模様である。
まだ「戯志才」と名乗っているため、本名は風しか知らない(一刀と朱里はもちろん知っている)。
◆田豫 国譲 / 涼音(でんよ こくじょう / りょういん)
武器:双刃槍『双龍角(そうりゅうかく)』
黄巾党征伐遊撃軍の出立後、稟がその才を見込んで登用した武将。漁陽郡出身。桃香とも友人。
明るく物怖じしない性格で、主君の白蓮に対しても敬語を使わなかったり(白蓮も特に咎めていない)、誰に対しても屈託なく接するなど
社交的。桃香の誘いを「母が病気なので世話しなきゃいけないから」と言って断っているなど、家族想いで仲間想いな性格でもある。
外見は年齢より幼いが、それに反して思考は極めてシビア。桃香が白蓮の許を訪れた経緯を聞くと、激怒して厳しい言葉を投げかけている。
一方、一刀達が故郷から遠く離れて乱世の大陸に落ちてきたということに心を痛めているなど、根はとても優しく慈愛に満ちている。
武の方は「やれるだけのことはやる」と言っているだけだが、実力は袁家の二枚看板にも全く引けを取らない。
策略や言葉での攻撃にも長けており、戦う前に相手を口でやり込めたりもする。
露出の控えめな中華風の騎士礼装のような服を纏う。
◆簡雍 憲和 / 優雨(かんよう けんわ / ゆう)
武器:錫杖『黎明(れいめい)』
黄巾党征伐遊撃軍の出立後、稟がその才を見込んで登用した軍師。涿郡涿県出身で、桃香とは幼馴染。白蓮とも知己である。
生真面目で大らか、非常に落ち着いた性格。ユーモアを解し、真面目一辺倒ではない余裕のある人間性を持つ。
桃香の旅には同行しなかった。
桃香が白蓮の許を訪れた経緯を聞いた時には言葉で責めたてることこそしなかったが、怒りをあらわにしている。
軍略よりも政治に長けている政治家タイプの軍師。また錫杖を用いた武術の達人でもあり、武の方でも優秀な能力を示している。
中華風になってはいるが、現代の女子校(お嬢様系)の制服(冬服)を思わせる緋色の服を纏い、大学の卒業生が被るような帽子を被る。
◇劉備軍
◆劉備 玄徳 / 桃香(りゅうび げんとく / とうか)
武器:宝剣『靖王伝家(せいおうでんか)』
幽州の村に生まれ育った少女。後の蜀の王、昭烈帝・劉備玄徳その人である。
愛紗や鈴々と共に強きを挫き弱気を助くため旅をしていた。その途上で、学友である白蓮の許で活躍する『天の御遣い』の噂を聞き、
助力を請うためにやってくる。以前にそのことは管輅から聞いて知っており、相当な期待を持っていた模様。
彼女の理想そのものは良いが、力で戦うよりも対話を求める割には相手の理想など訊ねもせず、自らの理想を語るだけであり、
『天の御遣い』が大陸に降り立った『目的』を彼らの『理想』と決めつけ、自らの理想を語り一方的に助力を請うていることからも、
それが窺える。
そして平原に来た一刀達を本人達の承諾なしに神輿に据えるなど、理不尽な行動を取ってそれが正しいとして憚らない。
平原に来た一刀と接するうちに好意を抱くが、その気持ちを持て余している。恋愛関係での異様な鋭さは今回もいかんなく発揮されている。
一刀や鞘名から見れば遠い親戚にあたる人物。『外史の後継者』としての素質を持つ候補者の一人である。
◆関羽 雲長 / 愛紗(かんう うんちょう / あいしゃ)
武器:『青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)』
桃香と共に旅をする少女。軍神関羽その人。その美しい黒髪により「美髪公」と呼ばれる。
桃香や鈴々と共に義勇の士として旅をしていたが、その途上で白蓮の許で活躍する『天の御遣い』の噂を聞き、助力を請うために
やって来る。
期待こそしていたが、桃香ほど過剰な期待は抱いていなかった模様。しかし一刀達が平原に来てからは勝手に二人を奉じて忠誠を誓い、
そして勝手に神輿に祭り上げようとする桃香を止めようともしなかった。
また、加入当初から桃香に対して厳しい態度を取り続ける雛里にはあまり良い感情を持っていない。
一刀に懸想しているが、恋愛に不器用な面はやはり変わっていない。だが、一刀が自分たちの想いに応えることはないだろうということは
見抜くなど、多少そういった機微には敏感になっている模様である。
『大超越者』の一人。
◆張飛 翼徳 / 鈴々(ちょうひ よくとく / りんりん)
武器:蛇矛『丈八蛇矛(じょうはちだぼう)』
桃香と共に旅をする少女。燕人張飛その人。関羽とは同郷の幼馴染で義姉妹。幼いながらも凄まじい武勇を誇る。
桃香や愛紗と共に義勇の士として旅をしていたが、その途上で白蓮の許で活躍する『天の御遣い』の噂を聞き、助力を請うために
やって来る。
彼女本人はよくわかっていなかったが、「いい人なんだろうな」と期待は抱いていた。平原に来た一刀達を祭り上げようとする義姉たちを
止めることは当初していなかったが、一刀に諭されて桃香達の行動に明らかな不足があったことに気付き、その後義姉たちを
理を以て諭すなど、確実に成長している。
彼女の戦う理由には第一に「家族を守ること」があり、桃香の理想は実は二の次だったりする。
『大超越者』の一人。
◆諸葛亮 孔明 / 朱里(しょかつりょう こうめい / しゅり)
武器:『大きな大きな本』
水鏡女学院から雛里と共にやって来た少女。『伏龍』の異名を持つが、よく『はわわ軍師』と呼ばれる。
『天の御遣い』の噂を聞きつけ、仕官しようと幽州まで旅をしてきたが、その途上の冀州で黄巾党に追いかけられ、居合わせた公孫賛軍に
救われる。その後は同様の目的で白蓮の許を訪れ、客将となっていた桃香一行と意気投合し、共に世に漕ぎ出すことを決意する。
この時、一刀の傍らにいる朱里と面識を持ち、名前が同じでは呼びにくいだろうと、一刀達に対しては字で呼んでほしいと言っている
(この時朱里は仮面を被っていたので、朱里の顔は知らない)。
さすがに軍師だけあってか冷静な判断力を持っているが、雛里のようにきつい態度は取っていない。
朱里のことを同じ軍師として尊敬しており、また兵や民に優しい一刀を思慕している。
この朱里は外史の修正力によって物語に必要な演者として生み出された存在であり、以前の輪廻の朱里(つまり一刀側の朱里)と同一の
人物ではないため、『超越者』のカテゴリーからは外れた存在である。
◆鳳統 士元 / 雛里(ほうとう しげん / ひなり)
武器:『巨大な巻物』
孔明と共にやって来た少女。『鳳雛』の異名を持つが、よく『あわわ軍師』と呼ばれる。
『天の御遣い』の噂を聞きつけ、仕官しようと幽州まで旅をしてきたが、その途上の冀州で黄巾党に追いかけられ、居合わせた公孫賛軍に
救われる。その後は同様の目的で白蓮の許を訪れ、客将となっていた桃香の話を聞き、その危険性に気付きつつも、暴走を阻止するために
劉備陣営への参入を決意する。この時、一刀の傍らにいる朱里と面識を持ち、懐かしさを覚える。
引っ込み思案な面はこの外史ではあまり見られず、一方で内に秘めた誇り高さが前面に出てきている部分が見受けられる。
一刀達が平原に来てからは、普段こそ他の皆と同じように呼んでいるが、他に誰もいないときは名前で呼んでおり、桃香たちの呼び方が
押しつけがましいものであり、一刀達にまだそのつもりが無いということを理解している。そのことで何度も桃香に諫言したようだが、
当の桃香が聞く耳を持ってくれなかったり、愛紗には怒られたりなど、心を砕いていてもなかなか報われない。
早い段階から『計画』に気付き、これまでのことで途方もなく強い信念の一端を示した一刀と朱里の協力者となる。
◇設定:『超越者』
外史を渡り、異なる外史へと足を踏み入れた経験を持つ者の総称。
この外史においては『始まりの外史』に存在し、なおかつ『天の御遣い』たる北郷一刀に認識され、外史を渡った者が該当する。
そのため相当数の該当者が存在している。
過去の輪廻の記憶が他の者よりも甦りやすいのが最大の特徴であるが、勝手に甦ることはない。はっきりしないビジョンとして
過去の記憶を幻視することあっても、それが何なのかわからないため、混乱する。一刀か朱里が「処置」を施すことで記憶を甦らせる
ことが可能である。
◇『大超越者』
一刀からただ一人「大切な存在」として認識され、二人きりで外史を渡った者の総称。
かつての北郷軍五虎将である愛紗、鈴々、星、翠、紫苑、そして紫苑が選ばれた時には共に外史を渡った璃々も該当する。
強大な想念の力を持ち、処置を施されずとも記憶がふとした拍子に戻ってしまう。「処置」も有効だが、勝手に戻ってしまう
場合の方が多い。
なお、現在の新生した外史における孔明は、輪廻を繰り返してきた「これまでの朱里」ではないため、これに該当しない。
本来、朱里はこのカテゴリーに属するはずの人物であるが、『最初の超越者』として輪廻を一刀と共に脱却したため、この
カテゴリーから外れている。
あとがき(必要か?)
連投のJack Tlamです。
今回は人物紹介(ちょっとしか出てきてない人除き)と、これまで度々言及された『超越者』の設定を公開しました。
ぶっちゃけ、無印からいる恋姫武将は全員そうなんですが…
斗詩については麗羽たちが出て来るまでお待ちください。次の機会に紹介できるかと思います。
次回から第三章『決別の道』が始まります。
一刀の許に次々懐かしい仲間たちが、また新たな仲間たちが集まってくることになるかと思います。
ではでは。
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連投なのじゃあ~
またまた人物紹介とちょっとした設定をば。
第三章を始めるためにということで。では。
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