No.623489

【恋姫二次創作】死神の毒 師匠の策と弟子の策~前編~

ほとんどが回想です。
基本的にこの話は原作とあまり違いはないんじゃないかな?
まあ、次回は大きく原作と変わっていくんですがね。

2013-09-28 22:39:44 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1049   閲覧ユーザー数:985

~装 side~

 

装「未だ汜水関は落ちず。もう連合が出来て結構立つんですがねぇ。」

 

僕の目の前には汜水関に群がる連合軍の兵たち。

 

桃香殿たちは……後方ですか。

 

装「策が効きすぎましたかねぇ?」

 

効果が出すぎても困るんですがねぇ。

 

こんなところで腐ってもらっては困るのですよ。

 

装「袁紹殿と曹操殿の所は後回しです。先に劉備軍へ行きますよ。あなた方は連合軍に顔を見られないように。」

 

忍(装)「はっ。」

 

装「ではでは、留守は任せましたよ。允恭に食べらねないように気をつけてくださいねぇ。ケケッ」

 

それだけ忍に言い、僕は桃香殿たちの方へ向かう。

 

袁紹軍や曹操軍に見つかると「先に挨拶に来るのが礼儀だろう」とでも言われそうなので(袁紹に)林の木の枝を行く。

 

もちろん跳ねている訳ではなく、ある物を飛ばして枝に刺し、ターザンとやらのように劉備軍の方へ向かっていきます。

 

足元にはサボっている兵がちらほら。

 

袁紹軍と袁術軍辺りですかねぇ?

 

そんなことを考えている間に、劉備軍の下へと到着する。

 

装「ケケッ、まるで泥人形のようですね。」

 

兵全体が肩を落とし、下を向いている。

 

こんな状態で前線に出たらただただ足を引っ張るだけですねぇ。

 

足を引っ張るのは袁家だけでも多いというのに、弱小の勢力が全体の足を引っ張るなんて、なかなか愉快な物です。

 

劉備軍の将は一か所に集まっていて、なにやら暗い表情で話し合っている。

 

朱里や雛里は顔を青くさせ、愛紗殿と星殿は頭を抱え、鈴々殿はつまらなさそうにしている。

 

桃香殿はオロオロし、一刀殿は顔を軍師の二人よりも青白くしている。

 

誰か死んでもここまで暗くはならないでしょうねぇ。

 

ここまで効くとは想定外すぎますねぇ……

 

なんとか持ち直してもらわないと困るんですがねぇ。

 

装「どうも、皆さん久方ぶりですねぇ。」

 

僕がそう言うとまるで幽霊でも見ているようなふうにこちらを見て目を見開く一同。

 

おお、怖いですねぇ。

 

怒りは無いようですが……

 

朱里・雛里「ぜんぜぇーーーーーーーー!!」

 

涙と鼻水で顔をベタベタにした教え子二人がこちらに走ってきます。

 

愛紗殿は助かったという顔をし、星殿はホッと息を吐き、鈴々は「お帰りーなのだー!」と言って喜んでいる。

 

桃香殿と一刀殿は教え子二人に続いてこちらにやってくる。

 

装「いったいどうしたんですか?こんなにも兵の士気が落ちて、将一人一人がそんな顔をするなんて連合全体の影響になってしまいますよ?」

 

教え子二人はマントに鼻水や涙をつけまくる。

 

一張羅なんですがねぇ……

 

朱里「ぜんせぇ、あのでしゅねぇ……うぅ、うわぁーん。」

 

雛里「せんぜぇ……うぅぅぅ。」

 

装「はいはい、ぜんせぇでも、せんぜぇでも、ましてやぜんぜぇでもありませんよ。いったいどうしたんですか。」

 

僕は屈んで教え子の顔を手拭いで顔を拭く。

 

伏龍、鳳雛などと呼ばれても、やはり中身は見た目通りですか。

 

桃香「お帰りなさい……。あの……」

 

一刀「……俺から言うよ。装、まずはお帰り。実は装がいない間で、こんなことがあったんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀殿達が連合の集合地点に着いたときには、まだ総大将は決まっていなかった。

 

一部を除いて、総大将という面倒な仕事はやりたくない、という人間がほとんどでまるで軍議は進んでいなかった。

 

やりたい人間にやらせればいいのだが、その者が立候補せず、他の諸侯も発言に対しての責任を負いたくないから薦めない、というものだった。

 

そんな間にも苦しんでいる民が居るのではないのか、と考えた一刀殿たちは軍議の場へと向かった。

 

一刀殿が賭けとして、何も知らないフリをして「早く決めてくれ」と軍議の場で言うことを提案する。

 

そんなことを言えば責任を負えと言われかねない、賭けだった。

 

責任の内容により、成功するか失敗するか。

 

そんな案を持ち軍議の場に行くと、そこは予想とは大きくかけ離れている場だった。

 

金ぴかの衣装を身に纏い、天を衝くほどのクルクルドリルヘアーを颯爽となびかせる少女が、沈黙する軍議の中で一人だけ喋りに喋りまくっているというものだった。

 

この金ぴかは河北の雄、袁紹。

 

その口調、物の言い方に接してみれば、袁紹が総大将になりたがっているのは誰にだって分かったという。

 

話の進め方からしても、袁紹を推しても、援助はまず無かった。

 

総大将になって当然。

 

そんな顔で居るため、誰かに推されても「そんなのは当然よ」と考え、感謝など微塵もしない。

 

先ほどの賭けもこれでは良い方向などには行かないだろう。

 

結局、軍議に参加した桃香殿と一刀殿は何も言えなかった。

 

そんな中、袁紹は一人、連合軍を率いる総大将に必要な要素を並べ立てていたという。

 

第一に、名誉ある目的を持った軍を率いるには、相応の家格が必要。

 

第二に、能力。気高く、誇り高く、優雅に敵を殲滅できる、素晴らしい能力。

 

第三に、天に愛されているかのような美しさと、誰しもが嘆息を漏らす可憐さ。

 

その後に周りを見回し、「そんな人物こそ、この連合軍を率いるに足る総大将だと思うのですが、如何かしら?」と言う。

 

袁紹はそれに続き「世に名高いあなた方ならば、誰かお知りなんじゃありませんの?」と言う。

 

高笑いをする袁紹と、それを呆れた目で冷やかに見つめる曹操たちの諸侯の姿。

 

このままでは、全然進まないと思った一刀殿と桃香殿。

 

小声で二人で相談した後、桃香殿が思い切って袁紹に声をかけた。

 

簡単に言うと「もう袁紹さんで良いよ。」だった。

 

それに賛成すると言った曹操。

 

続いて孫策の軍師、周瑜。

 

三番目に袁術であった。

 

袁術でさえ呆れるほどの軍議だった。

 

結局、総大将は袁紹となり、袁紹は大喜び。

 

絶句する諸侯の面々。

 

決定事項は後で伝えてくれと言って出ていく曹操と孫策の面々。

 

袁術はそれに不満を漏らす。

 

袁紹に対し飽きれる白蓮殿。

 

不満で頬を膨らませる袁紹。

 

桃香殿の方に振り返った袁紹は責任を負わせる。

 

あなた方のせいで重い役割になってしまったので先陣でその雄姿を見せてくれ、というものだった。

 

一刀殿は上手く袁紹を乗せて、一か月分の食糧と兵士五千を手に入れた。

 

桃香殿は作戦を袁紹に訊く。

 

その作戦は。

 

「作戦?そのようなものありませんわ。」

 

そして進軍方法は。

 

「雄々しく、勇ましく、華麗に進軍、ですわ♪」

 

絶句だった。

 

いくら作戦や戦について深く知らない一刀殿も流石に言葉が出なかった。

 

軍議が行われた天幕から出て、不安を口にする桃香殿。

 

一刀殿が言うに、単に人より上に立ちたいのが目的で、立って何かするのが目的じゃないそうだ。

 

個別で作戦を考える事となった一刀殿たちは全員を集めて説明をしている時に、早速袁紹から約束した軍事物資や兵士の提供が行われた。

 

気が変わり、先陣に文句を言う前に既成事実を作っておこう、ということだそうだ。

 

案外抜け目ない袁紹に各々感想を述べる。

 

軍師二人が先陣での作戦について話をきり出す。

 

董卓軍は約二十万。

 

それに比べ連合軍は約十五万。

 

二十万全てという訳ではないが、まだまだ弱小勢力の劉備軍には先陣がどれほど厳しいものか想像もできない。

 

連合軍はバラバラな状態で、苦戦は必至だった。

 

洛陽までは東の虎牢関か、少々遠いが西の函谷関の二つ。

 

これ以上、董卓軍に時間を与えることもできず、虎牢関へと攻めることになるだろう。

 

しかし、難攻不落の虎牢関を落とすとなると、まさに奇策でもなければ勝利が出来ないだろう。

 

虎牢関の道は両脇に崖がそびえ立ち、洛陽に向かう一本道に、いくつかの関が存在する。

 

これ以上の防衛に向いた土地は他に無いと言っても良い場所だった。

 

その中でも注意すべき関。

 

汜水関と虎牢関。

 

攻めるに難く、守るに安い。

 

そんな関が二つもある。

 

そして先陣を任せられている現状。

 

落ち込まないように自分たちを励まし、作戦を練った。

 

その後、袁紹の大号令と共に陣地を発し、連合軍は汜水関へと進軍を開始した。

 

斥候の報告によると、汜水関に立て籠もる董卓軍は、約五万。

 

強敵たり得るのは、猛将として名高い華雄将軍が率いる籠城軍の主力部隊で、約三万。

 

いずれも装備の質、兵の質共に高く、士気も大いに騰がっている。

 

結局作戦はできぬまま、進軍している連合軍。

 

いや、作戦は雄々しく、勇ましく、華麗に進軍なのだろう。

 

だが、攻城戦に限って言えば、作戦や策らしきものは必要ではない。

 

と、雛里が言う。

 

攻城戦はどうしても、圧倒的に籠城側が有利なため、野戦とは違い、策というものは調略方面でしか活躍できない。

 

更に、董卓一人を複数の諸侯で攻めるため、挟撃される心配も少ない。

 

つまり今考えるべきは、この先陣をどうやって乗り切るか、という方策。

 

そして雛里が考えた策は、汜水関にいる華雄は誇りである武を穢されることを嫌うはずだ、ということで、華雄を罵り関より引き出す、というものだった。

 

一軍の将となっている者が、見え透いた挑発に乗るだろうか、と疑問を口にする星殿。

 

そして、鈴々殿を見た愛紗殿に納得する星殿。

 

その後もその策に少々手を加え、策はそれに決定した。

 

その時はその策があんな悲劇を起こすとは誰も予想していなかった。

 

 


 
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