一旦葵を落ち着かせたはいいものの、今後のことを相談しなければなりません。

「張遼いいかな？」

「なんや？」

「葵がいると、勝手に突撃してしまうだろう？」

　その辺は、張遼も困っているでしょう。

「そうやね・・・相手の意表を突いたりするときならともかく、挑発にのったりされると、引き留めるのに精一杯や」

　そうでしょう、そうでしょう。

「と言うことで、俺は葵を連れて虎牢関の方に行った方がいいよな？」

　予定通りの撤退です。

　これにて救出完了です。

「却下やね」

　むむむ・・・。

「葵の部隊を置いていってもだ駄目か？」

　兵さえいればなんとか持ちこたえられるでしょう。

「それやと、ここがうちひとりになるやん。二人は居らんときっついわ」

　武人なら気合いと根性で何とかするべき！

　きついからといって諦めてはダメだ！

「いや、それでも葵を抑えるよりいいだろう？」

　メリットあるよ！諦めてはダメだよ！

「それでも、抑えるのは一時的なもんやさかいなあ・・・」

　くっ！交渉に乗ってこないとは！

「そうや！いい方法あるで！」

　代案があると？

「その方法とは？」

「あんたが虎牢関にいる恋を呼んでくるんや！」

　ん？どういうことかな？

「それだと虎牢関が、がら空きにならないか？」

「そやから、恋と葵の場所を交代するんよ。流石に兵すべての移動は駄目やけど、半数ずつに分ければなんとかなるやろ」

　それだと、虎牢関の指揮ってどうなる・・・？

「だから、虎牢関の武将不在になるじゃないか」

「あんたがおるやん」

　・・・。

　俺は、武将ではないです・・・。

　葵の連れ出しが出来ないため、仕方なく虎牢関に向かっています。

　竹簡と数名の霞の部下と一緒です。

　正直に言って、かなり不安ではあります。

　しかし、悠長に待つよりいいかと思いました。

　なので、一日かけて張遼のパワーアップと休息を図りました。

　あれならば、十分に葵を抑えることは出来るでしょう。

　その時に真名の交換をしました。

　認めてくれたようでなによりですが、俺は武人ではないんですよね・・・。

　と言うか、最初から恋を汜水関に配置しておけばよかったのではないでしょうか？

　考えていても仕方ありませんね。

　やっと虎牢関も見えてきたし、サクッと交代しておきましょう。

　交代中に攻撃を受けることは、ほぼないでしょうし、気楽に待つだけです。

　竹簡と張遼の部下もいるので、交渉についても問題ないでしょう。

　多分音々音も一緒にいるはずです。

　なので、問題は音々音が恋についていくか、残るかの判断くらいでしょう。

　果報は寝て待てと言うやつですね。