(惑星イネット・王宮 第1階層)
Lパワードの面々は、カタパルトから王宮の壁を破壊し、王宮の第1階層に侵入した。そこは基本的に広い螺旋回廊だけで出来ていた。
ルカ「なるほど、第1階層のボスってのは、さっきの機動兵器だけって事ね」
リリィ「そうみたいね。しかし、他の兵をこっちによこさないとは、エルとしてもレンとしてクトゥルフとしても、大した自身ね」
海斗「こっちは急いでいるんだ。さっさと先に進もう!」
ミキ「それが賢明です。スキャン結果では、残念ながら、第2階層には何かが待ちかまえているようですから」
ミク「じゃあ、尚更、先に進むミク!」
通信機(メイコの声)「こっちは大丈夫よ。学歩とめぐみが頑張っているから!」
ルカ「オーケー! 先に進みましょう!」
ザッザッザッ
こうして一行は、王宮の螺旋回廊を上へ上へと進んでいった。そして第2階層にたどり着いた。
(惑星イネット・王宮 第2階層)
少し進んだ通路の中央に、大きな球体がたたずんでいた。
ミキ「・・・どうやらクトゥルフも予想通り学習したようね。あの球体兵器、特殊ゴムの特性でパルスが効かず、更に中にパイロットが乗ってない。つまりゴム球の無人兵器。残念ながら今回は、私はお手上げです」
ルカ「ほぉ~、ゴムボールなわけね。じゃあ、私のキツイパンチで・・・」
ミキ「それが事は簡単じゃないんです。あのゴム弾の成分を、この星のデータベースで照合した結果、燃焼温度と衝撃吸収能力が高すぎて、今のままでは一切攻撃が通用しません。ちなみにアイツ、自律可動で私たちを追跡する能力があるらしく、壁を破壊して外側から追い越して先に進むことができません」
ルカ「じゃあ、絶対に先に進めないの!?」
ミキ「“今のまま”ではダメです。だから、メイコさんに“ファイナルモードの開放許可”を取ります」
ルカ、リリィ、海斗、ミク「ファイナルモード???」
ミキ「Lパワードの後期型バトルスーツの最終形態で、究極兵器“ファイナルウェポン”を使用するモードです。私の戦術構築の結果、今回は、ルカさんと海斗さんのファイナルウェポンを使うことにします」
ピピッ
ミキ「・・・あ、メイコさん、事情はそちらのモニターでご理解頂けていると思います。ルカさんと海斗さんのファイナルモードの許可をお願いします」
(Lフォートレス・艦長席)
メイコ「オーケー。クトゥルフも今のあなた達の武装は分析済みだと思うから、そんな球体を送り込んできたと思う。なら、“絶対分析できない”、武装で対応しようじゃないの」
パカッ
艦長席の左右手前の2つの箱のフタがパカッと開き、ピンクのボタンと青いボタンがそれぞれ設置されてあった。
メイコ「ルカのバトルスーツ、ファイナルモード!」
ブンッ!
メイコ「海斗のバトルスーツ、ファイナルモード!」
ブンッ!
メイコは両手の拳を作って両腕を振り上げた!
メイコ「承・認!!!!」
バゴン!
メイコの拳はピンクのボタンと青いボタンに叩き込まれ、もの凄い力で2つのボタンが押された!
(惑星イネット・王宮 第2階層)
ピカーーーーン!
ルカ「きゃあ!」
海斗「うわ! なんだ!」
二人のスーツはちょうど、ルカの胴体、海斗の胴体を光の珠が包む形に変形して自転して、光は渦を巻きながら収まっていった。
ミキ「ジャーーーン! これがルカさんと海斗さんの後期型バトルスーツの本来の姿“ファイナルモード”です!」
ルカのスーツは前のビキニスーツではなくなり、ピンクに輝く「ライトアーマー」に変形した。両肩にショルダーアーマー、背中に左右で3枚ずつ、計6枚の白くて極軽い金属の羽が現れ、ヘルメットではなく、オーラを放つ丈夫なヘッドセットが装備され、胸部と腰部はしっかりしていながら強度の高い薄いピンクの金属プレートのアーマーが装着された。靴も白い羽根が付いている、空中で多段ジャンプできる特殊シューズになっていた。そして最大の武器“ファイナルウェポン”は、両手の拳にそれぞれスパイクが3つ装着されたアーマーナックルだった。
海斗のスーツも負けじと変形していた。彼のスーツは、下地の白に、“蒼く輝くライン”が施された「コート」だった。そして首には自分の意志で変形できる蒼いマフラーが装着されており、頭部には軽量のヘッドセットが装着されていた。靴は茶色の防寒靴であり、両手拳には蒼いグローブが装着されていた。
ルカ、海斗「こ、これは・・・」
ミキ「簡単に説明します。ルカさんのファイナルモードの名前は、“ルシフェルアーマー”、海斗さんのは“シヴァコート”です。まずは海斗さんのファイナルウェポンから。あなたはそのマフラーを自分の意志で自在に操って、先から絶対零度の猛吹雪を発生させて、対象を氷漬けにできます。ルカさんのファイナルウェポンは、硬度“インフィニティ”の物質で出来ている両手の“スパイクナックル”で、対象を粉砕できます」
ルカ「その順番で説明しているってことは・・・」
海斗「俺がアイツを氷漬けにして、ルカがぶん殴ってバラバラにしろ・・・と」
ミキ「ご名答です。相手のゴム素材は、いくらルカさんのファイナルウェポンでも粉砕できません。弾かれてしまいますから。でも、“絶対零度で凍らせれば”、ゴムの素材性質“凍結温度”を遥かに越えているので、ゴムの「弾性」が働かず、単なる凍った岩となり、粉砕できます」
海斗「オーケー。じゃ、やってみるかね、ルカ!?」
ルカ「ええ、やろうじゃないの!」
シャキン! ギューーーン!
クトゥルフにもその情報が渡ったのか、そのゴム球体から、固い“棘”が無数に出現し、回転しながら、ルカと海斗の所に転がってきた!
海斗「もう遅い!」
海斗はマフラーを鋭角に曲げながら伸ばして、ターゲットの正面に配置させた!
海斗「絶対零度!」
ビューーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!
マフラーの先から、真っ白に輝く猛吹雪が発生して、ターゲットを包み込んだ! ターゲットは瞬間的にカチンコチンに凍り付き、その場で止まってしまった! 回転と移動運動はその真下にも発生した絶対零度の氷がからみつき、運動エネルギーは消滅してしまった!
ルカ「あんた、邪魔なのよ!!!!」
ガツンッ!!!!
ルカは両手拳を組んで、思いっきり振り上げて、ハンマーナックルのようにして、全力でターゲットを殴りつけた!
ペキ・・・・・・ペキペキペキッ・・・・・ガラガラガラ!!!!!!
ミキの言ったとおり、ターゲットは単なる凍り付いた岩が崩れるように、バラバラになって、破片が床に転がって、消滅してしまった。どうやら、“物をなすために必要な分子結合”まで切れてしまって、粉々になってしまったようだ。
ミキ「ターゲット、駆逐完了。私も含めて皆さん全員、飛んでココを越えて下さい。足が凍り付きますから」
Lパワード面々「了解!」
海斗とルカは飛び越えてバラバラになった白い床を眺めながら、ふと思った。
ルカ(これが、私の本当の力・・・)
海斗(これが俺の力・・・)
(惑星イネット・王宮 第3階層)
第3階層の螺旋回廊の途中には、お約束通り、クトゥルフが差し向けた敵が待ちかまえていた。
今度は大きな火球らしく、周囲のエリアは近寄れないほどの熱さだった。
ミキ「・・・なるほど、クトゥルフも大分追いつめられているようですね。先ほどの能力の詳細分析ができないから、場当たり的に単純思考で作ってきたのね」
海斗「ふっ、こんなの俺の絶対零度で、」
ミキ「そうはいかないです。絶対零度は“-273℃”。このプロミネンスの表面温度は約1000℃、残念ながら凍結できません。クトゥルフの単純な対応策だけど、効果はあるようね。当然だけど、ルカさんの物理攻撃は触れられないからNGです。皆さんもくれぐれも近寄らないようにして下さい。ヤツが動いたら必ず回避です」
リリィ「って! 今度は対応策無し!?」
ミキ「いえ。今度はリリィさん、貴方のバトルスーツのファイナルモードを開放します」
ピピッ
(Lフォートレス・艦長席)
メイコ「オーケー オーケー。そろそろクトゥルフも崖っぷちに立たされているようね。今回は火球か。ならリリィの“風”属性が効果的ね」
パカッ
艦長席の左前の箱のフタがパカッと開き、黄色のボタンが設置されてあった。
メイコ「リリィのバトルスーツ、ファイナルモード!」
ブンッ!
メイコは拳を作って左手を振り上げた!
メイコ「承・認!!!!」
バゴン!
メイコの拳は先ほどと同じように黄色のボタンに叩き込まれ、ボタンを叩き押した!
(惑星イネット・王宮 第3階層)
ピカーーーーン!
リリィ「う、うわ!」
リリィのスーツもルカや海斗の時と同じように胴体を光の珠が包み、光は渦を巻きながら収まっていき、新しいスーツに変わったのだった
ミキ「うん、変身完了! これがリリィさんの“ファイナルモード”です!」
リリィのスーツは前の着ぐるみではなくなり、「軽量の男性用スーツ」に変形した。黒色ベースで金色のアクセントがついた執事が着るような衣装で、両手にはヒランヤマークが浮かんだ“白い手袋”をしており、全身をオーラが包んでいた。頭部には執事のモノクルが付いており、両足は、黒の革靴を履いていた。オーラは空中浮遊が出来るようになっており、非常に軽量なので、動きは非常に素早かった
リリィ「この執事服が、私?」
ミキ「貴方のファイナルモードの名前は、“アルカードスーツ”です。ファイナルウェポンは、全てを吹き飛ばす竜巻“ヴァルマンウェ”。その白い手袋から発射し、自由に操れます」
リリィ「よ、よし! やってみる!」
リリィは両腕の手のひらを火球に向かって掲げ、神経を集中させた。
リリィ「ヴァルマンウェ、発射!!」
ゴゴゴ・・・ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!! ギュリュリュリュリュリュ!!!!
リリィの白い手袋の中心に編み込まれている“ヒランヤマーク”が金色に輝き、ソレを中心にして、巨大な金色の竜巻が発生し、周囲に突風を作りながら、火球に向かっていった!
ビューーーーーーー!!!!!
火球はその竜巻にあっさりと飲み込まれ、リリィの意志通り、右側の壁を壊して外に飛び出し、火炎がなくなって黒い弾になった状態で遥か下のカタパルトに落下して爆発してしまった。
リリィ「す、凄い・・・」
ミキ「これがリリィさんのファイナルウェポンです。属性は“風”。あ、ルカさんのは“物理”、海斗さんのは“氷結”、私のが“電撃と磁気と振動”です」
ルカ「残るはミクね。まぁ何となく属性は解るけどね」
ミキ「急ぎましょう。壁の穴からみた限りで、脱出船団が、かなり宇宙に向かって飛び立ってます。最終連絡もそろそろでしょう」
こうして一行は、螺旋回廊を駆け抜け、第4階層にたどり着いた。
(惑星イネット・王宮 第4階層中央・舞踏の間)
今までは螺旋回廊の途中での戦闘だったが、今回は部屋に入ることが出来た。つまり、この上が“最終階層”ということになる。
第4階層の部屋は舞踏の間。綺麗な赤絨毯が敷き詰められており、戦闘とは無縁のような場所だった。しかし、その中央に、今までとは全く違う姿の“敵”が待ちかまえていた。
ルカ「あれって・・・」
リリィ「リンさん!」
海斗「くっ! クグツか!」
リン「クックックッ・・・」
ミキ「操り主はストレートに“クトゥルフ”ですね」
リン「もう、人質はいらないのでな。さて、どうしますか? 助けるべき対象が相手では 何も出来ないのでは? それとも 無慈悲な決断を下すのですか?」
ミキ「・・・貴方の方が追いつめられているのですよ。こんな“場当たり分析”での最後の手段しか使えないのだから、もう手駒もないのでしょうね」
リン「なに?」
ミキ「こっちには、まだミクさんという未開封の手駒があるんですよ。最後です。ミクさんのバトルスーツのファイナルモードを開放します」
ピピッ
(Lフォートレス・艦長席)
メイコ「これでこっちの手駒は最後ね。オーケー。これで相手の手駒も終わり。サシの勝負よ!」
パカッ
艦長席の右前の箱のフタがパカッと開き、緑色のボタンが設置されてあった。
メイコ「ミクのバトルスーツ、ファイナルモード!」
ブンッ!
メイコは拳を作って左手を振り上げた!
メイコ「承・認!!!!」
バゴン!
メイコの拳は先ほどと同じように緑色のボタンに叩き込まれ、ボタンを叩き押した!
(惑星イネット・王宮 第4階層中央・舞踏の間)
ピカーーーーン!
ミク「ミクゥ!!」
ミクのスーツも同じように胴体を光の珠が包み、光は渦を巻きながら収まり、新しいスーツに変形したのだった
ミキ「うん、変身完了! これが最後! ミクさんの“ファイナルモード”です!」
ミクのスーツは巫女さんの姿をしていた。白地の巫女服で、赤いラインの他に緑のラインもアクセントに入っていた。右手にお祓い棒、右手に赤い水晶球を持っていた。リリィと同じく、緑のオーラが全身を包んでいて、浮遊していた。
ミク「巫女服が、私のファイナルなんですか?」
ミキ「そう。貴方のファイナルモードの名前は、“ビャクエ”です。ファイナルウェポンは、左手に持っている水晶球から吹き出す火炎“アグニ”。それと右手のお祓い棒“ヒミコ”による、治癒と治療。つまり属性は“火炎と治癒”となります」
ミク「わかったミク。今回使うのは、“ヒミコ”の方!」
ミキ「そう。リンさんにかかっている“クグツ”を治療してあげて下さい」
ミク「わかったミク! ヒミコよ! 操られしリンさんのクグツを治療して!」
ギューーーーーーーン!
お祓い棒を一振りすると、薄緑のオーラが出現し、リンを包んでいった。リンの目がみるみる元に戻っていく!
リン「う・・・あ、あれ? ここは・・・うっ!」
ミキ「クグツは解けましたが、後遺症があります。ミクさん、リンさんをお願いしますね」
ミク「わかったミク。さ、リンさん、こちらへ」
リン「う、うん」
クグツが解けたので、クトゥルフの声は聞こえなくなった。
ミキ「これより先の反応は、1つだけ。つまりクトゥルフだけとなります」
リン「お願いします! レンを助けて!」
ルカ「うん、わかってる。どうにかしてアイツをレンから引っ剥がすから」
ミキ「さぁ、次が全てのミッションのファイナルです。気合い入れていきましょう!」
こうして全員は、王宮の最終階層への螺旋階段を上っていったのだった。
(続く)
CAST
ルカ:巡音ルカ
エル=レン=クトゥルフ:鏡音レン
リリィ:Lily
ミク:初音ミク
海斗:KAITO
メイコ:MEIKO
ミキ:miki
リン:鏡音リン
学歩:神威がくぽ
めぐみ:GUMI
その他:エキストラの皆さん
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☆今日はカレーを作っただけだったので、更新できました。
○ボーカロイド小説シリーズ第12作目の” 特務戦隊 Lパワード!“シリーズの第8話です。
○今回は戦隊モノです。
○ギャグあり、涙あり、ワクワクありの、戦隊モノの王道をボカロ達に演じて貰いました。
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