No.620752

新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 外伝 第003話

今回、外伝編のヒロインになるであろう、高順さんを出演させてみました。

そして高順の字はオリジナルです。
もし知っている方がいらっしゃれば、コメントお願いします。

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2013-09-19 00:54:58 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:938   閲覧ユーザー数:870

新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 外伝 第003話「もう一つの物語」

漢王朝の時代。

天水の山近くのとある村に、若き村長がいた。

彼女の姓は高、名は順、字を逓雁(ていがん)と言い、今はしがない隠居中の身である。

容姿は女性にしては高めの165弱の身長を持ち、真っ赤に燃えるような長い赤髪。

燃える様と言っても、決して髪が乱れている訳ではなく、キチンと(くし)で整えられているようなぐらい流れている。

真っ赤に燃える炎と言うより、真っ赤な美しい炎の川と言った方がいいか。

顔の形も整っており、美人である。

見た目的には20代前半であろうか。

女性を象徴する膨らみも決して大き過ぎず、かと言って小さい訳でもない。

腰や脚、腕もよく引き締まっており。

彼女を見れば、大物モデルも裸足で逃げ出すだろう。

今は山を少し登った所に、小さな家を構え、田を耕し書物を読み、たまに以前使っていた獲物の手入れをしながらのんびりと暮らしていた。

以前は天水の領主に仕官していたが、妹がその領主に仕官したのを皮切りに、彼女は隠居して、この村でのんびりしていた。

妹と言っても血の繋がりは無いが、ホントの妹の如く可愛がった”よく食べる子”だ。

巷では『飛将軍』などと呼ばれているが、彼女にとっては今でも可愛い可愛い妹の『恋』である。

そう、黄巾党三万の大軍を一人で壊滅させた、あの飛将軍、呂布である。

彼女に武を授けたのがこの高順である。

そしていつもの様に山で今晩のおかずを探していると、彼女がいつも見慣れていた大木が、何かにぶつかったかの様な後を残し倒され、その傍には人が倒れていた。

見たことも無い黒い綺麗な生地に身を包み、彼の傍には銀色の鉄の塊と鉢巻、そして変な形の木の棒。

足元から頭にかけてゆっくりと見ていくと、顔はそれなりに整っている。

恐らくはこれは格好が良い男性の部類に入る……のだろうか?

隠居するまで妹の世話と政務に明け暮れた毎日であった為、すっかりそういう色恋沙汰については疎くなってしまった。

だがよく見ると、男の頭からは血が流れていた。

脈を測れば命はあり息もしていたので、このまま放置するのも目覚めが悪くなりそうであるので、とりあえず自宅に持ち帰る事にした。

彼の持ち物であろう物は、持ってきた袋に入れて持ち帰った。

【目覚めるとそこは天井。見たことの無い天井だ。自分の名は輝守正義、名は思い出せる。しかし自分が何者か思い出せない。1+1=2 70×8=560 √4=2なるほど、知的な記憶はしっかり残っている様だ】

彼が体を起こすと、何かにぶつけたのか、頭に激痛が走った。

その部分を触ってみると、頭には包帯が巻かれている。

誰かが治療してくれたのだろうか。

そんな事を考えていると、部屋の扉が開き、一人の女性が入ってきた。

「あ、気付いたのですね。貴方、森の中に倒れていたので、勝手ながら連れさせて頂きました」

どうやら、この頭の治療は、彼女がやってくれたようだ。

出てきた女性の美しさに一瞬目を奪われるが、彼は直ぐに向き直り、寝ていた寝具より足を出し座り直す。

「いえ、助けてくれたことに加え、こうして治療をしてくれたこと、感謝致します」

そう言うと深々と頭を下げる。

すると高順は慌てて頭をあげてくれと言う。

「そんなお礼なんて!私は当然の事をしたまでです。自己紹介がまだですね。私の姓は高、名は順、字は逓雁と申します。今は近くの村の村長でもしながら、のんびりと隠居している身です。失礼ですが、貴方の名は?」

「こう……じゅん……?」

その名前に聞き覚えがあった。

その昔、中国の三国時代に呂布という天下一の猛将に従った者の名が、そんな感じであったのを知識として思い出した。

それに来ている服も、どこか古臭く、最初は何かコスプレ大会でもあるのかと思ったが、彼の周りの置物や家の壁から見ても、とても現代で再現できるモノでもなかった。

「あの、女性が名乗って男性が名乗らないのは、どうかと思いますよ」

彼女の(くす)べる表情を見て、正義は慌てて高順に謝罪しながら答えた。

「こ、これは失礼。私の名は輝守正義と申します」

「姓が輝で名が守ですか?」

「いえ、姓が輝守で名が正義です。字はありません」

「字が無い?……貴方は一体何処から来たのですか?」

すると正義は片手で頭を抱える。

「………判らない。自分が誰なのか。判るのは名前だけで、何処から来たかと言っても、知識として残っている『日本』という国の名前しか判らない」

「日本?聞いたことの無い名ですね」

「私からもいくつか質問して宜しいでしょうか?」

「どうぞ」

そこで正義は高順にいろんな事を聞いた。

今いる地域、国、そして時代を聞いていくうちに、どうやら自分は過去の三国志の時代に来てしまったようだ。

だが彼の知識として持っている三国志は、高順は男のはずだ。

三国志で有名な人物の名前をいろいろ挙げていくと、確かに男もいるようだが、半分は女になっていた。

それにこの国では真名と言う習慣があり、その名は自分の許した者しか名乗ってはいけない名前らしい。

物騒で深い習慣だと思うのが、今の彼の意見であった。

「なるほど、私の国では真名という習慣は無かったはず?と言う事は『正義』が真名に当たるのかな」

「え?……ということは、貴方は会って間もない者に真名を預けたのですか?」

「……私の名前はこれ一つだけですから。そういうことになりますね。しかし、私は命を救って頂きました。その者にならその真名とやらを預けても、別に問題はありませんね」

彼女は少し考える。

「………判りました。私の真名は鈴華(りんか)です。受け取って下さい」

「いいのですか?話を聞く限り、その名は預ける相手は凄く重要なのでは?」

「真名を受け取ってしまえば、返さなければならないのが礼儀です。また断るのも失礼に当たりますよ」

「わかりました。鈴華さん、貴女の真名、預からせて頂きます」

「や、止めてください。私の方が年下みたいですし、『さん』付けなんて止めて下さい。それにもっと話し方も砕けた感じでいいですよ」

「……判った。鈴華、俺の名前は正義だ。よろしく頼む」

 


 
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