翌日、王室の間にて集まった将達にミノル達4人は董卓軍に参加する事が発表
「本当にありがとうございます…私のために、こんな事に巻き込んでしまって」
そう言って彼女は四人に頭を下げた。
「いいえ、とんでもない!僕達が決めた事ですから顔を上げてください」
頭を下げる董卓にアキラが必死になって止めようとした。
「まあ、紅き戦人と蒼き戦人が味方につけば心強いけど…」
「けど?」
「ううん!なんでもない…もうすぐ作戦会議が始まるから少し待ってて?」
「わかった…」
苦い顔をした彼女に疑問を持ったが
そして張遼、華雄、呂布が玉座の間に集まり、作戦会議が始まった。
「連合軍が攻めてきているのは知ってるね?」
「ああ、知っている」
ミノルは言ってアキラも首を縦に振る。
「一度はシ水関(しすいかん)で食い止めようとしたのだけど‥‥‥」
「ウチらの猪突猛進を人物化した将が突貫したんよ。そんですぐさま陣形が崩れた」
「馬鹿にされたのだ! 許せる筈がない!!」
張遼が言うと華雄が机を叩いて言い返した。
「同情はしませんよ、戦場では我を忘れる者が死ぬ…わかってますよね?」
「うっ…」
アキラの冷たい一言に華雄が黙り込む。
「落ち着きなさい! 今の言う通り、連合軍は着々と近づいてきてるの。わかった?」
「つまり…かなり劣勢って訳ですね」
コーウェンが苦い顔をして言うと、ミノルが口を開く。
「だが連合軍でもそれぞれ自分達の事しか考えて参加している。つまり、統一性はあまり無いと思うが…」
「なるほど…」
ミノルの一言にシーナが納得する。
「ちょっとその前に、董卓殿の意見を聞かないと…」
「ああ…そうだな…」
アキラの一言に一同が静まり、董卓の方を見る。
「董卓殿、あなたの考えを聞かせて欲しい」
「‥‥‥私は降伏をしようと思っています」
『!?』
董卓の一言に一同が驚いた。
「月?! やめて、降伏したって殺されるだけ!」
「それでも、みんなの命が助かるなら‥‥‥」
賈駆が必死になって董卓に言うが、董卓は冷たく言い返す。
「月は悪い事してないのよ! 何でそんな事しなきゃいけないの!?」
「‥‥‥詠ちゃん」
「何でよ‥‥‥何で」
「‥‥‥ごめんね、詠ちゃん」
賈駆は涙目になりながら董卓を説得しようとしたが‥‥‥
「私一人の為にみんなを苦しめちゃいけない。だから降伏するよ、詠ちゃん」
「うぅ‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「クッ‥‥‥私にもっと力があれば!」
「ホンマ憎たらしいで、連合軍」
董卓は既に降伏する考えでいた。何も出来ない配下達は悔しい気持ちや悲しい気持ちになっていた。
そこへ‥‥‥
「董卓殿…」
「はい…」
アキラが董卓の前に立ち、自分の手を董卓の肩に乗せた。
「何で無理をなさるのですか?」
「む、無理なんてしてません!?」
アキラの言葉に董卓は少し焦る感じで言い返した。そして…ミノルはアキラの隣に来た。
「いいや…アキラだけじゃない。俺やコーウェン、シーナも無理して言っているようにしか聞こえなかった」
ミノルは真剣な眼差しで董卓に言った。
「お願いです董卓殿、『君主』の君の答えじゃない。『君自身』の…本当の事を言ってください」
アキラは悲しい目をしながら董卓に言った。
「教えてください…あなたは、君はどうしたいんですか?」
アキラが再び董卓に問いかける。しばらく沈黙が続いて‥‥‥
「‥‥‥私は」
「「‥‥‥‥‥‥‥」」
「私は‥‥‥みんなと一緒にいたい‥‥‥みんなと一緒に‥‥‥生きたい」
涙を流しながら答えた董卓。ミノルとアキラはお互い顔を見てコクっと首を縦に振った。
「‥‥‥それが君の答えですか?」
「‥‥‥はい」
「それで…連合軍は今どこに?」
「まだ情報が…」
コーウェンが言った時に、そこへ‥‥‥
「失礼しますぞ?!」
帽子を被った少女が勢いよく王座の部屋に入ってきた。
「ねね、動きは?」
「連合軍が見えてきたです! もう少しで到着する筈です!」
「‥‥‥モタモタしていらんないわね」
「俺にいい案がある」
その一言で全員の視線がミノルに移る。
「何を言ってやがるです! というかお前誰ですか!?」
「俺はミノル」
「僕はアキラ」
「お嬢ちゃん、お名前は?」
「あ、ねねは陳宮(ちんきゅう)です‥‥‥って何で和んでいるですか!?」
「‥‥‥ねね、うるさい」
「何ですとー?!」
陳宮は一人で騒いでミノルとアキラは少し笑った。
「いい案って?」
「簡単な話だ…俺とアキラで虎牢関の前に立ち、連合軍を迎え撃つ」
「‥‥‥大丈夫なの?」
「心配ないって!なあ?アキラ」
「ええ!何万の兵だろうが戦います!」
「しばらく連合軍の士気を下げて、呂布と華雄と張遼は合図を出したら兵を連れて一気に攻めろ」
「・・・・・うん」
「わかった」
「その案乗ったで!」
「コーウェンとシーナは彼女(董卓)の護衛だ」
「わかりました」
「全力でお守りいたします」
コーウェンとシーナが元気よく返事をした。
「それじゃあ~行くか!」
「ええ!」
「アキラさん!」
二人が部屋から出ようとすると董卓がアキラを呼び止めた。
「はい?」
「私の…私の真名(まな)は月です…」
「えっ!?」
「月!何で真名を…」
董卓の突然の行動に驚く賈駆。
「兄さん…真名って」
「真名って言うのは自分が認める親しい人物に教える名前の事だ」
「えっ!?それって…僕が認められたって事…」
「まあそうなるわな~(ニヤニヤ)」
ミノルの言葉にアキラが顔を少し赤くなり、内心歓喜していた。
「詠ちゃんもミノルさんに真名を教えたら?」
「な!何で私が!しかもミノル限定!?」
すると董卓が小声で賈駆に耳打ちして賈駆が驚いて声を荒げた。
『たまには正直になったら?』
「///!!」
董卓の言葉に顔を赤らめる賈駆。
『なるほど…あの子兄さんの事…』
するとミノルが賈駆の前にやって来て、彼女の頭を撫でた。
「かならず帰ってくる、約束する!」
「・・・・・・うん…あと…これ!」
「???」
彼女が持っていたのは赤色と白色のお守りだった。
「これは?」
「朝早起きして月と一緒に作った手作りのお守りよ…白がアキラので、赤があんたのよ!」
見るからに赤色のお守りが白のお守りよりちょっと雑な出来だった。
「ありがたく貰うよ」
「ありがとうございます」
二人はお守りを首にかけた。
「行って帰って参ります月殿」
「はい…」
「行って来る、賈駆…」
「詠…」
「えっ…」
「ボクの真名は…詠…」
恥ずかしながら言う詠にそれを見たミノルが詠を見る。
「必ず帰るからな、詠」
「うん!」
そう言ってミノルとアキラは王室の間を後にした。
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第六章完成しました~
もうすぐ戦闘シーン…たぶん2人の無双になるかも…