No.619668

【恋姫二次創作】死神の毒 拠点フェイズ表 ②

拠点です。
黄巾党はさっさと終わりました。
蜀√でもさっさと終わってましたし。
張三姉妹出ず。

2013-09-15 16:09:37 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:975   閲覧ユーザー数:936

~一刀 side~

 

曹操軍と共同作戦を行うこととなった俺たちは、各地に散っている大小様々な黄巾党の部隊を、協力して次々に撃破していく。

 

……と言えば、連戦連勝の精鋭部隊に聞こえるけど、実際のところは、集積していた兵糧を焼き払われ、すでに軍という形も保てなくなった黄巾党を掃討するだけのことだ。

 

それでも義勇兵ばかりの俺たちにとっては貴重な実戦経験だったし、桃香たちも指揮の仕方なんかを必死になって曹操から盗んでいた。

 

そんなこんなで、ほぼ半年ほどの間、黄巾党討伐に明け暮れて……桃香たちはいっぱしの戦闘指揮官となっていた。

 

もちろん俺だって例外では無く、この世界の文化や常識をソウから教えてもらい、様々なことを学び、実践し、……少しは成長できたと思う。

 

そんな実感を持ち始めた頃―――曲陽という場所で黄巾党の頭領、張角が討ち取れた、という情報が飛び込んできた。

 

長かった黄巾党の戦いが、これでようやく終わりを告げた―――――。

 

一刀「そういえば、最近雛里の姿を見ないなぁ。」

 

ソウ「そうですかねぇ、結構働いていますよ?」

 

一刀「そっか、じゃあ良いや。」

 

ソウ「ここの字、間違ってますよ。」

 

一刀「ゲェッ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ふぅぅ~~~………」

 

平和な日本から来た俺が、天下の豪傑と肩を並べて戦えるとはもちろん思えないけど、(護身用の)剣は預かっている。

 

鞘から抜くと、白刃が陽光を照り返す。

 

一刀「よっ、ほっ」

 

なんとなく素振り。来たるその日に向けて、地道な努力を始めてみた。

 

じっとしてられないとも言える。

 

一刀「ふっ、ふっ……!」

 

汗と一緒に雑念が流れ出ていく感じが心地よかった。

 

一刀「ふうっ、忘れてたな……こういう感じ。」

 

部活に励んでいたころが懐かしいぜ。

 

元気かなぁ、学校のみんなは。

 

???「あうぅ~~~~~~~~~~ぅ……」

 

???「そこも間違ってますし、そっちも間違ってますよ。」

 

一刀「……ん?」

 

素振りの手を止め、耳を澄ましてみる。

 

あの声は……。

 

ソウ「ほら、また同じ間違いですねぇ。」

 

桃香「ふえぇ~~~~~~~~ぇ……」

 

声の調子で、頭を抱える様が容易に想像出来た。

 

一言で『庭』といってもこの広さだ。

 

木陰を選んで机やベンチは点々と用意されている。

 

声もおそらく、その辺りから。

 

ぐるりと周囲を見回して……。

 

ソウ「そこはさっきのとは違うので、もっと前に教えた……。」

 

桃香「はうぅ~~~~~~~ぅ……」

 

いた。

 

傍らに硯、手には筆。周りには大量の本。

 

そして、正面には俺や桃香、鈴々の先生役のソウ。

 

何やら勉強中かな?

 

邪魔しちゃ悪いか……。

 

ソウ「おや、一刀殿。」

 

桃香「あ、ご主人様ぁ~。」

 

集中が乱れていたと見える。

 

声をかけずに立ち去るか迷う間に、向こうの頭が上がった。

 

桃香「きゃーーーーーーーーーーー!?」

 

一刀「うおっ!?」

 

桃香「な、なんで抜き身の剣をっ、殺さないで!?」

 

ソウ「あ、そこも間違ってます。」

 

桃香「きゃーーーーーーーーーーー!?」

 

一刀「え、なんのっ、あ……これか。」

 

さっきまで適当に振るっていた剣を、思い出して鞘に収める。

 

一刀「悪い悪い……にしても、殺さないではないだろ。信用無いなぁ。」

 

ソウ「剣を握った人が無言で背中に立っていたら、誰でも多少は驚くでしょうねぇ。」

 

言われて、剣を構えたソウがじりじりと俺の背中に迫ってくる様を想像してみる。

 

一刀「ご、ごめんなさい。」

 

物凄く怖かった。

 

桃香「いえいえ、こちらこそ。驚きすぎてごめんなさい。」

 

律儀にお辞儀を返して、桃華はぴょこんと首をかしげる。

 

桃香「ところで、何してるの?ご主人様。」

 

一刀「俺は桃香の声が聞こえたから……」

 

桃香「秘密特訓?」

 

一刀「う~ん、そんなようなものではあるかも。」

 

ソウ「ほう、稽古とは感心ですねぇ。」

 

はぁ……と、のんびりした相槌と、ふむ……と、満足そうな頷き。

 

桃香「ご主人様も、影ながら色々と頑張ってるんだね~。ちょっと感動かも。」

 

一刀「桃香こそ、何か勉強してるみたいじゃないか。」

 

桃香「これ?これは~……」

 

歯切れが悪いなぁ……目を伏せて、一度筆も置いてしまう。

 

一刀「字の練習?」

 

桃香「わたし、そんなに字は汚くないもん。」

 

ソウ「綺麗でもないですけどねぇ。」

 

桃香「うぅ、もっとちゃんとしたお勉強っ!」

 

わかってたけどね……ちょっと天然な桃香は、からかうと面白いのだ。

 

桃香「いずれ国を治める身として、国がどう成り立つとかは身に入れて勉強しておくようにって。」

 

一刀「愛紗が?」

 

桃香「うん、愛紗ちゃんが。」

 

人差し指を立てて、桃香にくどくど言う愛紗の姿がすぐに思い浮かんだ(あと、口を開けて「ほへー」と聞いている桃香と、朱里や雛里と一緒に「またか……」と聞いているソウも)。

 

一刀「それでソウは監視役と。」

 

ソウ「えぇ、逃げ出さないように、だそうです。他の方に任せようとしたのですがいつの間にか居なくなってて……」

 

やれやれ、とソウは手に持っていた本を右の本の山に置き、左の本の山から一冊取り出し読み始める。

 

桃香「国を統治して、民の皆の生活を支えるには学問が必要なの。」

 

一刀「って、愛紗が?」

 

桃香「うん、愛紗ちゃんが。」

 

要するに、全て愛紗の受け売りらしかった。

 

桃香「例えば国はどういう風に成り立って、国に生きる皆が生活の糧を得るのかとか」

 

桃香が愛紗をどれほど信頼しているのかは知っているし、つべこべは言わないとしても。

 

桃香「知ってる?王国経済の仕込みっていうんだって。」

 

ソウ「国家経済の仕組みですねぇ。」

 

一刀「多少は知ってるけど……しかし、なかなか難しいことを勉強してるんだな。」

 

桃香「そうなの、難しいの。」

 

少々、荷が勝ちすぎという気がしなくもない。

 

いつもはツヤツヤのほっぺも張りを失って五歳は老けて見える。

 

ソウ「あまり、甘やかしてはいけませんよー。」

 

ぺらぺらとページを捲り、あり得ない速さで本を読んでいくソウに注意される。

 

桃香「わたし、自分で思ってたよりおバカだったかも……都で白蓮ちゃん達と一緒にお勉強したのに、あんまり覚えてないの。」

 

一刀「素直に忘れたと言いなさい。」

 

桃香「ソウさんに教えてもらってるけど、大体は自分で考えなさいって本読んじゃうし。」

 

ソウ「間違っているところは教えますが、答えは自分で調べたほうが頭に入りますからねぇ。」

 

一刀「さっきのはそれだったのか。」

 

桃香「ご主人様はわかる?じゅよーときょーきゅーとか、かへーの流れ、とか。」

 

ソウ「需要と供給、貨幣の流れですねぇ。」

 

一刀「……今、言った言葉くらいならなんとか。」

 

桃香「………………………」

 

ソウ「………………(ニヤッ)」

 

桃華の瞳に星が、ソウの口が三日月に。

 

桃香「わかるだけじゃなくて、あんまり頭がよくない私にわかりやすく噛み砕いて説明も出来る?」

 

ソウ「できれば監視役の方を代わってもらえると……」

 

一刀「わからん。」

 

桃香「すっごく真面目に授業受けるからぁ……お願い。力を貸して。」

 

ソウ「こしあんマンやももマンが僕を待っているんですねぇ。」

 

桃香は何度も頭を下げ、ソウは口から涎を垂らす。

 

一刀「俺も、そんなに専門的なことは分からないぞ。」

 

桃香「謙遜しなくていいからぁ……それとも、わたしなんかにはもったいなくて、知識を分け与えてなんてあげられないの?」

 

哀顔から苛立ちへ、桃香の機嫌は分かりやすく変化を見せていた。

 

それだけ真剣ってことだよな……。

 

一刀「よし、わかっ「じゃあ、後はまっかせましたよー。」た。」

 

ソウは俺が全て言い終わる前に、街の方へと走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ソウ side~

 

何とか逃げれましたねぇ。

 

最初、愛紗殿に監視役を頼まれたときは、今日は夕方まで甘い物を食せないかと思いましたねぇ。

 

しかも、鈴々殿は仕方ないとしても、朱里や雛里があそこまで早く動けるなんて予想外でしたねぇ……。

 

まあ、いいです。

 

さっさと甘味に舌鼓を打たせてもらいましょうかねぇ。

 

そうこうしているうちに店の前に到着しました。

 

ソウ「店主~。甘いものいっぱいくださいねぇ。」

 

店主「お、また来たね。少し待っときな。来ると思ってたくさん準備しといたんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソウ「ハグハグ……なるほどこのマントー(蒸しパン的なやつ)を甘めにしつつ、

 

こちらのパオズ(餡を包んだ蒸しパン的なやつ)の生地は甘さを控えることで、

 

餡の甘さを強調させ、より双方とも甘味としての風格を保っている、というところでしょうかねぇ。

 

しかし、この餡の深みのある味……なるほど、少々高価になりますが塩を入れたのですねぇ。

 

なるほどなるほど、これはまさにこだわりの味と言ったやつですねぇ。」

 

店主「お若いのにただ者じゃありやせんね、お客さん。」

 

ソウ「まぁ、若くはないんですけどねぇ。」

 

店主「へ?」

 

ソウ「あ、いえいえ。なんでもありませんねぇ。」

 

んむ、しかし何度も噛むことにより出てくる味の深さや、出来立てから出てくる香に噛んだところから出てくる香。

 

匂いを嗅ぐだけで涎が止まらず、この程よい弾力により更に食欲が倍増。

 

美味い。うーまーいーどー。

 

っと、なんだか性格が変わってしまいそうなほどおいしいですねぇ。

 

店主「夢中で召し上がっていただけるのは嬉しいんですがね……お客さん、腰の物には気をつけてくださいよ。」

 

ソウ「ハグッ?」

 

店主「引ったくりが多いんでさぁ。人込みに紛れられちまえば、取り返せませんぜ。」

 

ソウ「それは困りますね。汗水流して働いた証を奪うなど不届き千万ですねぇ。」

 

もし、給金が盗まれたなんてことになってしまえば愛紗殿に怒られるだけではなく、鈴々殿にからかわれ、他の者にも顔が立ちませんし、忍の者にも呆れられるやもしれませんねぇ……。

 

口の中から一瞬、味が消えるほどですよ……。

 

ソウ「気をつけます。っ!?」

 

???「………………………………………」

 

視線……まさか、僕が甘味を食している時に来るとは、あのハゲや白髪ではないでしょうが……。

 

両手を来るであろう刺客に対し、いつでも戦えるよう準備する。

 

この数秒の間、僕の周りから音が消えたような状態に陥る。

 

より、刺客に意識を向けて視線の方へと目を向ける。

 

鈴々「………………(ジー)」

 

ソウ「鈴々殿でしたか……。」

 

鈴々「おいしそうなのだー……。いいなー……。」

 

ソウ「とにかくその涎を拭いてくださいねぇ……。」

 

鈴々殿はだらだらと涎を流し、こちらを見つめていました。

 

いけませんねぇ。今だけとはいえ、仲間を誤って殺しそうになるなど……。

 

鈴々「にゃ~~~~~~~~……。いいなー……。」

 

ソウ「どうしたんですかねぇ?こんなところで。」

 

鈴々「どうしたもこうしたもないのだっ!愛紗が、街の警邏に行ってこいって……。」

 

ソウ「鈴々殿も逃げきれませんでしたか。」

 

鈴々「そういえば、ソウのお兄ちゃんはお姉ちゃんの監視役じゃなかったのかー?」

 

ソウ「一刀殿が何でもするから代わってくれって、言っていたので代わってあげました。」

 

鈴々「へー。鈴々はまだお昼さえ食べてないのだー。」

 

………………………………………………。

 

鈴々「鈴々はまだお昼さえ食べてないのだー。」

 

ソウ「分かりました。」

 

僕は一気にマントーとパオズを口に入れて飲み込み、席を立ちます。

 

ソウ「ラーメンでも食べに行きますかねぇ。一刀殿支払で。」

 

鈴々「いいのっ!?」

 

ソウ「何でもするって言ってましたから良いんじゃないですかねぇ?」

 

鈴々「やったー!なのだー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕と鈴々殿は街でも有名なラーメン屋に到着し、僕の隣に鈴々殿が座るなり、両手でをパチパチと叩いて、可愛らしく催促を始める。

 

鈴々「早くっ、早くっ!」

 

店主「ご注文は何になさいやすか、可愛い将軍様と冷静な軍師補佐官様。」

 

鈴々「うむ!にんにくラーメンっ、チャーシューと麺は大盛りで……あ、ネギも。ネギもどっさりなのだ。」

 

ソウ「僕は……この超豪華ラーメンで。あ、並で良いです。」

 

店主「あいよ。」

 

店主はそのまま厨房へと戻る。

 

ソウ「全力ですねぇ。」

 

鈴々「たくさん食べないと力が出ないのだ。」

 

今回、あまり早く食べると鈴々殿の食いっぷりを見てしまい、また食べたくなってしまいそうですねぇ。

 

流石に追加注文までは可哀そうになってきますからねぇ。

 

そして少し待った後。

 

店主「へい、お待ちどうさま。」

 

鈴々「きたのだーーーー!」

 

道行く人がビクッと反応するほどの大声で喜んでいますねぇ。

 

鈴々「ずるるるるるーーーっ、ずっ、ずるずる。」

 

ソウ「ラーメンは飲み物という説も間違いじゃないかもしれませんね。おお、チャーシュー分厚いですし、いい味出してますねぇ。」

 

鈴々「うまいのだー!特にこのチャーシューは極上なのだ!」

 

ソウ「確かに。口の中でとろけますねぇ。」

 

鈴々「はふ、はふっ、もぐ……これじゃあすぐ無くなっひゃうのだ。」

 

この小さな身体のどこに、こんな大きなラーメンが入るのでしょうかねぇ?

 

鈴々「もぐもぐ。」

 

ソウ「ハグハグ。」

 

鈴々「ぷは、うまーいのだー。こんなに美味しいラーメンは久しぶりすぎるのだ。」

 

ソウ「うむ、豚だけではなく鶏がらと合わせたダシもまた絶品ですねぇ。」

 

店主「ははは、恐れ入りやす。」

 

鈴々「がつがつ、ずるるぅ~~。この一杯だけじゃあ足りないのだ。おっちゃん、もう一杯!」

 

店主「はいはいはいっ」

 

少し箸を止めて、周りを見ると鈴々殿の食いっぷりを見ていく通行人がたくさん集まっています。

 

鈴々「はふ、はふっ、がつがつがつ。」

 

ソウ「凄い汗ですよ、ほら、拭いてあげますから。」

 

鈴々「はふっ、くすぐったいのだ。」

 

食事中の動物というのはこういうものなんでしょうねぇ。

 

鈴々殿の汗を拭いてあげると、あまり嫌そうにはせずそのままラーメンにがっつく。

 

ソウ「まったく、おいしそうに食べますねぇ。僕も熱いうちに食べますかねぇ。」

 

鈴々「ラーメンは熱いときが一番美味しいのだ。」

 

ソウ「その通りですねぇ。ハグハグ。」

 

通行人①「ゴクッ、おい!こっちにもラーメン!」

 

通行人②「こっちにも!」

 

見物人たちも我慢できなくなったのか、だんだんお店が混んできました。

 

鈴々「ずずーっ、ぷはーなのだー。」

 

店主「いや~、ありがてぇなぁ。ちょいとまってくだせぇねっと。ほい、どうぞ。」

 

どんぶりの交代。

 

店主も心得たようで、二杯目のどんぶりも一杯目に負けず大きい。

 

鈴々「ずずずずず~~~~~~~~~~っ!」

 

どんぶりを傾けると、顔が隠れてしまうほどに大きい。

 

ソウ「ほら、また汗が……。」

 

鈴々「くすぐったいのだー。」

 

この子を見ていると『あの人』みたいでついつい構ってしまいます。

 

鈴々「がふがふ、がふっ。」

 

ソウ「いつか、あの人みたいに箸の持ち方も教えてあげますかねぇ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日

 

愛紗「ご主人様。」

 

一刀「ん、どうしたの愛紗?」

 

愛紗「これ、なんですか?」

 

一刀「え?なになに請求書、ラーメン代……えぇえええええ!?」

 

愛紗「こんなにも無駄遣いをして、どういうつもりか聞かせてもらいましょうか。」

 

一刀「し、知らないよ。こんなの。あっ、鈴々助けてー!!」

 

鈴々「?」

 

愛紗「言い訳は後で聞きます。」

 

一刀「ちょ、ま、ギャーーーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

 


 
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