今日は一刀様御同行の警邏を楽進さんの私室から引き継いで、そのまま夜は御会食させて頂ける予定だ。
こないだ、張任さんが可愛がってもらったって言ってた話は凄かった。…下着も一番えっちだって言われてるのにしたし、会食の後はじょうずにお誘い出来ればひょっとしたら私も…くふふっ。
そんな甘い事を考えていたら、いや考えていたからなのか、悪魔と目が合ってしまった。
『過去』と言う名の、悪魔と。
「あーっ!」
「………(げっ…)」
「子義姐さん!?子義姐さんッスよね!あたしの事覚えてます?『東呉の毒殴』連合で舎弟やってました張英ッスよ、今日都に来たんス!」
「………あの失礼ですがちょっと存じ上げませんのでこれで」
「姐さん自分于糜っスよ、忘れちゃったんスか!?劉繇んトコにいたころ一緒に暴れまわったじゃないですか、『ブッ殺したらァ孫策っ!』つってガチで殴り合いやって引き分けたの自分忘れられないっスよ!あと髪立てて七色に染めんのやめて黒に戻しちゃったんスね、あれマジかっこよかったのに!」
「…申し訳有りませんが公務中ですので」
「あっスンマセン久しぶりに会ったのに酒切らしてて、姐さん晩飯前は濁酒一升って決めてましたもんね!今干し肉もそこらへんでカツアげぶっ」
「ちょっと向こうで伺いますねこの野郎様。…あ、すみません一刀様、ちょっとあちらで御事情聞いてきますね」
一刀様から見えない角度で二人の腹に一発ぶち込んだのはもうしょうがない。しょうがなかったんです。
「いいかおめーら、オレはもう昔のオレじゃねえんだ!それに于糜もな、都でカツアゲとか絶対やるな速攻で牢屋行きだぞ!」
「そんな治安厳しいんスかここ!?」
「たりめーだ!それにな、一刀様のいる前でオレにそういう話し方すんのやめろ、あと昔の話も。オレぁ今こっちでその…おしとやかに暮らしてるんだから、頼むから大人しくしててくれよ」
「一刀様って…さっきいたあの男っスか?」
「そうだよ。ってかあの男呼ばわりすんな、今なんとか振り向いてくれかかってるとこなんだからよ」
「えー、らしくねーっスよ姐さん!『欲しいもんは力づくでオレのもんにするのさ』っていつも言ってたじゃないっスかぁ」
「だーかーら!もうそういうのはやんねぇの、雪蓮にこっち(王都)に連れて来られてからすげえ頑張って亞莎とか皆の真似して、ようやく一刀様にその…可愛がって貰えるようになったとこなんだから邪魔すんなよ!?じゃ、オレもう行くからな」
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「お待たせ致しました、一刀様」
「あ、もういいの?…さっきの人達、陽(太史慈)の昔のお知り合い?」
「いえ人違いだそうで。都は人が多いですから」
「………そうなんだ」
笑顔笑顔。オレはもう昔のオレじゃない。
「あっ一刀様、あれ仲達様じゃないですか?夕食御一緒にお誘いしても宜しいですか」
「あ、うんいいよ。仲達さんが忙しくなかったらね」
「はいっ、ちょっと伺ってきます」
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「おうお前、ちょっとツラ貸せや」
「あ、さっきの陽(太史慈)の…」
「聞くけどよオメーあれか?子義姐さんのツレか」
「えっと、うん、彼女がそう思っててくれると嬉しいんだけど」
「こんなののどこが良いんだろうな姐さんも」
「姐さん、なりも乳もでけえけど純な方だからよ?失礼の無い様にクチの利き方気をつけろよな」
「うん、気をつけてる。ところで君ら後ろ危ない」
「知ってんだよあたしらがアブねーのなんて。あたしら東呉じゃ毒殴連合っつってへぶっ」
全力疾走してきた仲達さんと陽がそれぞれ延髄斬りとバックドロップを食らわすのを、もう俺はただ見ているしかなくて。
「…」
「!仲達さん駄目、殺さないで!二人とも陽に預けて、これは命令!命令だからお願い!」
いや大事な仕事があった、無言で短戟を振り上げた仲達さんを止めるっていう仕事が。
「……ですがこの者…この賊共は、一刀様に暴言を吐き胸倉を掴みました」
「大丈夫危害は加えられてないから!陽、この子達預かってあっちで事情聴取して、で陽なりに口頭注意したら警備部に渡さないで釈放して。俺の権限で!俺の権限で!!」
「は、はい!」
「…はい」
怒り過ぎで顔を青ざめさせた仲達さんに気絶してる二人を離させて抱き寄せる。
「あっ…」
「うん大丈夫、大丈夫だからねー。有難うね仲達さん俺のこと心配してくれて、はあいよしよしいい子いい子、んー大丈夫だよー」
「はい…」
背中をさすると仲達さんの体から力が抜けていくのがわかる。
「(ムツゴロウ王国…)」
「…はい……?」
「ううんなんでもない。仲達さんは可愛いね」
「いえ…そんな…」
今日も夕焼け綺麗だな。…って感慨に浸ってないで陽の方も見に行かないと。
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「おい起きろよ、二人とも」
「う…うーん?あ、姐さん」
「やぁめろってばよぉ!一刀様に手ェ上げるとか死にたいのかよお前ら!」
「そんなんじゃないっスよ、ちゃんと姐さん大事にするようにあいつ軽くシメて」
「するなって!ほんとこっちじゃ…やっと、やっと普通の女になりきって折角慣れてきたとこなんだからよ、ほんとマジで乱暴酒飲み女でしたなんてとこ見せられねぇの、いい加減分かれよ、な?」
「陽大丈夫?」
「るっせーな!今忙し…………」
「…………う、」
「ごめん!えっと、見てない!見てないから!」
「う……う…うぇぇぇぇぇぇ……!!」
「よ、陽…大丈夫、大丈夫だから…落ち着」
「だ、だからぁ、お前ら余計な事すんなって、すんなってわたし何度も言ったのにぃっ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!見られちゃったじゃんかよ馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!うぇぇっ、うぇっ、うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!も、もう嫌わ………じゃっだじゃんがよぉぉぉぉぉっ、ばがぁぁぁぁぁぁぁ!うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!か、かじゅどさまぁぁぁぁぁぁっ、やだぁっ、やだよぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「あ、姐さん?…あだっ、あだだだだだっ!?」
「…太史慈殿は一刀様が看て下さいます。貴女達は八つ裂きにしたいところですが一刀様の御命令なので命だけは見逃してあげますから、……とっとと失せろ…!」
「ひ!?す、すんませんしたぁっ!」
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「…はい。いってらっしゃいませ、一刀様。………ふふっ♪……………うわ!?何時から居たんだよ思春!あと明命も!?おいちょっと、オレ服着るから外で待ってろよ…へ?卑怯って何がだよ…はぁ!?あ、あざといって、だってオレ、雪蓮が一刀様はがさつで乱暴な女は嫌いって言うからオレだって頑張って…違っ、んな好きで見られたわけじゃねえよマジで!わざとじゃねぇって!…しょうがねえだろっ、だって本当に嫌われたって思ったから、…いやそんな何度も聞いてねえよ、たぶん……ばっ、数えてたんなら聞くなよ!ってか蓮華様までいつ来たんですか!?…いえ筋書きとか言われましてもほんとに何も無くて…はあ…ええ…あの…、愚痴なら一刀様に聞いて頂いた方が…は?教えろって言われましても何も…夕べの事全部って、全部って…冗談ですよね!?あと明命と思春はぱんつとブラ返せよ!え、エロって…お前らだってそういうのいっぱい持ってんだろ、「こうやって緩めてずらすんです」って言ってた明命に言われたくねえよ!……ちょっと雪蓮お前っ、居たんならそこで涙流して笑ってないで助けろってばよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
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くらげ様へ。メールで、「太史慈はもう少しおとなしい娘にすると思います」と言ったな…あれは嘘だ!なんか書きたくなって止まりませんでした!(すみませんが容姿だけ変えちゃいました)
司馬日記は三次創作して下さる方、コメを下さる方、ポチっと御支援して下さる方、見て下さる方の御情けとちょっぴりの私の妄想で出来ています。いつも皆様有難う御座います…